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パワハラをしている人に自覚はないのか?

国会議員の秘書に対するパワハラが話題になっている。
暴言やものを投げつけるといった行為に耐え切れず、秘書が何人も辞めているという。
当の議員先生は「アホ、バカ」などの暴言は「愛情表現」、ものを投げつけたことはなく「デマ」だと説明している
このようなパワハラは一般の企業でもざらにある。
私もかつては同じような扱いを受けた。

ライター活動を始めるまでの私はある金融系の企業に勤めており、中間管理職だった。
中間管理職というものは、上からも下からもいろいろと要求され、なにかと疲れる仕事だと私は思う。
でもひどかったのは、親会社を早期退職して出向してきた直属の上司だ。

上記の議員先生とまったく同じだ。
少しでもミスをすれば暴言の嵐、部下たちの見ている前で長々と大声で説教をするという公開処刑だ。
気に入らないことがあれば書類を投げつける、私が顧客からのクレームに電話で対応している最中に「謝るな!」と言って、私が座っている椅子を蹴ってきたこともある。

そのうち「この人は私を指導しているのではなくて、いじめてるだけなのではないか?」と感じはじめた。
半年に一度、本社から人事部長が面談にくるので、私はそのときに上司の仕打ちを訴えた。
でも返ってたきた答えは「〇〇さん(上司)は悪い人ではないからね~」というもの。
人事部長は、上司に注意することはなかった。

結局、社内に新部署が設立され、私はそこに異動することになってその上司との縁は切れた。
人事の配慮だったのかは、いまだに不明だ。

恐らく、上司は自分がパワハラをしているとは夢にも思っていなかっただろう。
私がいうのもおかしいが、本当に悪い人ではなかった。
今なら理解できるが、感情的になりやすく、適切な叱り方を知らない人だったのだ。
もしかしたら自分が上司にそうやって叱られてきたのかもしれない。

ただどんなに愛のある叱責でも、相手に精神的苦痛を与える行為は立派なパワハラだ。
「愛情表現」という言葉で済まされることではない。
きっと誰かが注意しない限り、元上司は自分がパワハラをしていることも気づかないままだろう。

会社では定期的に全員に対してコンプライアンス研修をおこなっていた。
パワハラ・モラハラに関する研修ももちろんあったが、上司には響かなかったらしい。

また外部の相談窓口も設置されていたが、私には勇気がなかった。
相談窓口に訴えたことが上司に知られると、一層ひどい扱いを受けるだろうと予測できたからだ。
きっと私と同じような人はたくさんいるだろう。
人格を全否定されるような扱いを受けていても、耐えるしかない事情もある。

私はまだ子供が小さく、とにかく働かなくてはならなかった。
理不尽な扱いをされるたびに一人屋上に行って「学費のため、学費のため」と自分に言い聞かせながら泣いた。
あのとき勇気を出せなかったことを今でも後悔している。
きちんと相談窓口に訴えて、事実を明らかにするべきだったのだ。
周りはパワハラの事実があったことを知っていても誰も行動を起こしてくれない。
行動を起こせるのは、自分だけなのだ。

あのとき行動を起こしていたら、また違った人生を送れたかもしれないと思う。
それまでのキャリアをすべて捨てて、今私はここにいる。
フリーランスは収入がなかなか安定しないが、人間関係はいたってシンプルでパワハラだと感じることはほとんどない。(稀にある)
それでよしとしたい。

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