５年くらい前に知って、凄い選手がいるなーと応援していた大阪なおみ選手。一気に有名になった結果国籍選択問題について話題になっています。せっかくなので国籍や帰化について書いてみようと思います。興味ない人に興味を持たせる書き方では無いのでご了承ください。

日本への帰化。

最近韓国籍保持者（もしくはその配偶者）からの相談が増えました。韓国本国の状況、対日対北関係に対する不安からの今後の動向、帰化の是非についての相談です。特に帰化について男性の意向に合わせていた女性からの相談増えているのが変化と感じます。家族の国籍を一体化する必要を女性が感じ始めた事は、一つのターニングポイントと実感しています。基本的に帰化に関しては男性が決定する事、特に家長の責任でありましたから。

法務省民事局資料に基づくと在日韓国人についてはここ１０年ほど毎年１万人ペースでの減少です。帰化人数については１０年ほど前から逆に8000人を切る形で抑え目の推移となっています。但し一つの特徴として、現在同胞間婚姻が10％からそれ以下の状況となり、日本国籍者の世帯に入る形となり出生児がほぼ日本国籍である点を踏まえると数字以上の状態と考えられます。

また、その他の国籍者を含めた場合最近の傾向として帰化申請の不許可件数が２０１２年より倍増している特徴があります。

さて、永住権保有者（特別永住権含む）が帰化をしようとします。日本国籍者との結婚の場合は両方の国の戸籍謄本の状態を最新にして揃えて、後は申請書と各種証明書（外国語の場合は翻訳）等を揃えて提出すれば審査後通知が来ます。もちろん元々の日本国籍所有者の国籍保有期間がある程度ある事（条件は緩和）、生活基盤がある事、犯罪歴等が無い事が前提ですが一番スムーズです。結婚出産等家族環境による帰化を一応特別帰化とも言います。

ところがそうではない場合（普通帰化）帰化申請の条件が厳しくなります。例えばずっと親の扶養に入っていて世帯登録が無い場合等は、就職していて納税をしていても制限行為能力者（決定権が本人のみに寄らない）として手続きが非常に煩雑になる可能性があります。（実際に専門の弁護士よりそう聞いてます）

・日本で生きる生活能力（収入、語学、生活基盤）が有るかどうか。

・日本に対して暴力的、反社会的な思想や活動により脅威とならないか。

・他国の国籍の破棄をする事が出来るか。

以上が満たされているかどうかが判断される点です。そりゃそうです。おらが村に住む以上は村人として仲良くやっていけるか判断しないといけませんから。生活基盤も生育環境も日本だから帰化するナチュラルな申請が以前は主な部分でした。不許可件数が大きく増えているのは判断基準の厳格化だけの事なのか、それとも......。

多重国籍ってどうなの。

多重国籍のメリットデメリットは多数挙げられていますが、個人的に思う点があまり見かけないのが気になります。多重国籍を容認した場合のメリットは単一国籍者にとってのメリットでは無いのでは？多重国籍者と単一国籍者の間で有利不利となってしまうとやがて排除活動へと繋がるのでは無いかと心配です。現状では多重国籍ならば本来両国の各種責務を負うべき点の税制、徴兵、動員等については居住地を理由に免除されている場合が多い様に見受けられます。帰化を行わない理由も便利だからと言う点が大きいのは間違いありません。

が、極論ですが所属国同士が戦争状態になったらどうするのでしょうか。両国からの徴兵、資産凍結、帰国命令、退去命令等が出た場合は？（そんなこと今の時代起こらないと言わないでね。そういいながら人は戦端を開いてきたのだから。）

第三国に亡命する？第三国はどちらの国からの亡命者として扱うのでしょうか？完全中立な国などないでしょう。やっかいな多重国籍者を亡命させてくれるでしょうか？

どちらかの国の国籍を破棄する？国籍破棄の手続きを受け付けてくれるのですか？破棄の為の手続きに一時帰国して出国規制かけられたらどうしましょう。

そうなる前に逃げる？情報を得られない一般人の場合はどうしますか？海外を拠点にして生活出来るだけの資産があればいいけど持ち出せるかなあ。ビットコインにでもしとく？

多重国籍の本来持つデメリットの可能性をもう少し真剣に考えてみてもいいと思います。少なくとも現在家族の国籍が分かれているだけでも真剣に悩んでいる人たちが増えているのですから。

いっそ国籍が担保する権限の一部を永住権に統合するか新たに分割してしまって国籍の若干の名目化を図ってしまえばなんとかならないかしら。本末転倒な気もするけど。