10月2日 ググるジャズ講談後記


朝からひたすらFacebookの「四代目玉田玉秀斎」ページのイベントページを作る。
事務作業、という奴だ。
コピー&ペースト&ライト。作業が加速してくるとミスが多くなる。何度か確認しながら。
「あ、間違えている、直さねば」が何度もある。こう何度もあるとまだあるような気がする。もう一度、もう一度チェックしようと思う。
チェック、ダブルチェック、という言葉は横山秀夫さんの御巣鷹山飛行機墜落事故を主題に採った小説「クライマーズ・ハイ」で知った。新聞記者たるもの何度もチェックをして、取材源に当たって、記事を書くように。というようなことだったと思う。
玉山にとっても重要な精神である。
最近脳裏に思いうかびがちな言葉だ。

餃子丼を食べて家を出る。
淀屋橋駅から本日の第二回ぐぐるジャズ講談の会場、周さんへ。
ここから机や椅子の大移動を行って会場を整えていく。
お客様の数が結構多い、ということがわかっていたので気合を入れて場内の様子を整備していく。
弟子になってから確実に力持ちになったように思う。
ついに周の店主の方から「怪力やなあ」と言われるようになってしまった。
今まで太った体に細い手足がついている冗談みたいな身体だったのに、ちゃんと腕が太くなってきている。
でも足はなぜか細いままなので、ルパン三世に出てくる力だけが強いあんまり喋れない用心棒みたいな体格になっている。やだなあ頭が悪そうで。
頭がよく見えるように痩せようかな。頭がよく見えるように痩せようだなんて考え自体頭が悪いのだから、頭が悪そうな見た目で自己同一性の感じながら生きていくほうが良いのかな。
いや。頭良くなって痩せよう。そうしよう。健康と人生の為に。

師匠とジャズメンの方々が会場入りされて一気にプロの空気が会場を包む。
サウンドチェックやリハーサルを横目に見ながら公演の準備をしている時間が好きだ。お祭りの前みたいで。僕はチラシを準備したりつり銭を準備したり、だ。

リハーサルが終わって開場の時間。お客様がトントントンっと入って来られるので接客をする。
席にご案内して、アンケートを書いてもらうように案内する。

このググるジャズ講談は、師匠が10年以上やられてきた講談とジャズの融合「ジャズ講談」の派生公演。
即興性が強いイベントだ。
まずは今まで演じられてきたジャズ講談の中からお客様のリクエストで3題演じる。

そして次は「ググるジャズ」と題してお客様から頂いたお題で講談を作って、ジャズメンが演奏する曲に繋げる、というもの。
「カクカタル」「ググる講談」をはじめ即興性の強い講談を武器とする師匠・玉秀斎と、即興性が高い音楽ジャズの融合だ。

この演目リクエストとお題を貰うためのアンケートをお客様に書いていただいて回収して本編が始まる。

前半はリクエストジャズ講談のコーナー。
今までの名作が次々とリクエストにこたえる形で語られる。
師匠が登場人物全員酔っ払いの講談を語られていたのだけれど、この酔態が陽気で、多幸感にあふれていた。
玉山、今までの飲酒生活は専らやけ酒、寝酒、一人酒、とお酒とは暗めなお付き合いをしてきた。果たしてあんな風に酔っ払いを演じられるだろうか、いや演じなければならない、と思って拝見していたのだった。

中入り休憩挟んで次はググるジャズ講談のコーナー。
そういえばどこかの会場でググるジャズ講談のチラシを見たご婦人が「ぐるぐるジャズ講談やて、面白そうやんか」と仰っていて可愛らしかった。

二つのググるジャズ講談が語られた。
一つ目のお題は「年賀状」「小泉進次郎」「醤油」だった。曲は「ラブレター」
師匠は小泉進次郎が醤油で年賀状を書く話を語られた。お題と真っ向勝負したその姿勢に会場は大いに沸いていた。
二つ目のお題は「初めてのお話」「デクスター・ゴードン」「映画音楽」曲は「酒とバラの日々」
全く無理なく、楽しく話が進んでいく。
デクスターゴードンは「ラウンドミッドナイト」という映画に主演をしている史実から自然と映画音楽というお題を回収。しかもこの「ラウンドミッドナイト」前半で語られたバド・パウエルをモデルとした物語だったから、これもお題と絡めて回収。大いに盛り上がった。

これにてプログラム終了。
講談界では他にないアンコールにこたえて一席ジャズ講談。これにて終演。

準備が大移動ならば片づけも大移動。今日も怪力味が増したように思う。
終わってから師匠と共に淀屋橋から梅田まで歩いて大阪駅でお別れをする。
最寄の三国駅まで帰る途中、電車で後記を書き進める玉山だったが、ちょうどルパンに出てくる力だけ強い用心棒が、どう、こう、の下りを書いている際に隣に女性が座ってなんとなくみられるのが恥ずかしくなってパソコンを閉じた。
しかしこれは私的な日記ではない。公開する、いわば公式記録だ。ネットの海に放つのに、隣の女性に恥じ入るとは何事か。何を恥じることがあろうか。恥ずかしいならそんなこと書くな。と再び書き進めようとパソコンを開いたところで三国駅。
追い立てられるように下車をして、なぜか湿布臭い三国駅の待合でひたすら書き進めて、今。
そろそろ終電だろうか。駅を出なければならないぞ。
明日もドーンといこうと思う。

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