1年経っても、ぼくは元気です。

そういえば、そんなこともあったなぁ。

ちょうど1年前、ぼくは抜鈎(ばっこう)していた。この言葉は聞き慣れないかもしれないから補足すると、いわゆる抜糸である。

去年の3月30日、開幕戦だったその日の朝、頭に裂傷を負った。血が流れ落ちるのを見ながら、タクシーを走らせ病院へ向かったのだ。

その場で手当を受けたわけだが、「今夜、用事(開幕戦)があるんですが大丈夫ですよね?」と少しだけ可愛い看護師さんに確認をした。

看護師さんは笑いながら、苦笑いでも冷めた笑いでもなく、満面の笑み(自己判断)で「大丈夫だと思いますよ、脳に異常がなければ」とこたえてくれた。

脳に異常がなければ、を深く考えすぎることなどせず、CT検査を受けたことを覚えている。ほどなくしてステップラーで傷口を塞ぐ。めちゃくちゃ痛い。医療用ホッチキスだけれども、見た目は業務用のホッチキスみたいなものだ。

パチン、パチン、パチンとリズムよく先生が塞いでいく。少しだけ可愛い看護師さんが手を握ってくれていたから痛みも和らいだ、なんてことはまるでない。握りしめているのは自身の拳である。

そんなことがあってから1週間後である4月6日に病院で抜鈎したのだ。

あれから1年。

ドラマなら、なんだかいい感じの曲が流れそうではあるけれども、ここは現実。頭の中に流れているのはGLAYのHOWEVER。

日本語に訳すと「しかしながら」

ぼくは元気にやってます。


こちらサポートにコメントをつけられるようになっていたのですね。サポートを頂いた暁には歌集なりエッセイを購入しレビューさせて頂きます。