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職人の父が愛する釉薬の可能性。一点物のタイルの魅力を伝えたい

Ready for クラウドファンディングで資金調達をおこなました。https://readyfor.jp/projects/tilemade

■釉薬(ゆうやく)によって色や表情が変わるタイルの世界。魅力がギュッと詰まった「タイルのある生活」をプロデュース!

はじめまして、玉川幸枝です。私の地元、岐阜県の東濃地域はタイルづくりで全国シェア6~8割を誇る焼き物の産地です。私の実家は、岐阜県瑞浪市で、タイルの色・質感を作る素材である釉薬(ゆうやく)の製造を行っています。

みなさんは、タイルと聞くと、どのようなイメージですか。私は、今回のプロジェクトで「実はタイルって美しいんだ」ということを、もっと多くの方に知ってほしいと思っています。日常でタイルを楽しんでもらえる釉薬をつかった、タイル製品をつくります。手にとって、タイルってキレイなんだと思ってもらえて、タイルや釉薬に興味をもってもらえる、そんな第一歩となるようなタイルプロダクトをつくる企画です。

■釉薬職人の父から娘への継承。

私は、家業である岐阜の玉川釉薬で6年間働き、陶磁器やタイルといった焼き物の表面の質感や色を決める「釉薬(ゆうやく)」の魅力を知りました。

これがタイルの表面をつくるための素材である釉薬です。液体でドロドロしています。

右左で釉薬が塗られてるいる部分と塗られてない部分。塗られるとタイルに表情がうまれます。

多くの人に釉薬が生み出すタイルの魅力を伝えたい!その思いが生まれるきっかけとなったのは、釉薬職人である父の存在です。父は、土日でも作業着。仕事を休むことはほぼなく、毎朝4時台に起き、5時頃から働きはじめます。タイル用釉薬という、焼き物の世界。なかなか思い通りにならない素材と50年以上向き合ってきた父は、けして驕らず、実直で、強い人だと思っています。私はそんな父の姿を見て育ちました。

焼きあがるタイルは、釉薬の化学反応によって表情を変えるので、焼いてみないと、毎回どんな色になるかはわかりません。前と同じ原料を入れて釉薬をつくっても、少しの環境の変化で、その表情が変わってしまうのです。

とても複雑なものを均一にコントロールするため、職人は日々、釉薬を研究し、タイルと向き合い、カタログに載っているタイルを一から再現し、タイルメーカーに納品します。このように、あるタイルを再現することのみに釉薬職人の技術が使われてきました。それが、私にはもったいないと思えて仕方なかったのです。

何万通りのタイルをつくれる釉薬職人の技術を知れば知るほど、もっとユニークなタイルがつくれるのではと考えるようになりました。あるとき、父が何気なく言った「釉薬職人はタイルのトレンドを作り出せる」という一言。その言葉が私をタイルづくりの世界へ突き動かしました。

■ 私たちが提供するのは、「一点物」のタイル。世界に一つのタイルを届けたい!

私は、タイルづくりのコーディネーターとして、タイルの提案・企画・開発・製造・販売を行いたと考えています。作り手の技術を知り、つかい手のニーズを聞く。そして、そこから想像力を働かせ、世の中にないタイルを提案することが私の役割ではないかと考えるようになりました。

釉薬によって、魔法のように、無数の成分を組み合わせ、誰もみたことがないタイルを生み出すことができます。職人ならそれができる。そう信じて、タイルを生み出していきたいと考えています。

私たちが作るタイルは、機械でなく、手で作る。手づくりの想いの込もったタイル作りに挑戦したい。タイルのある生活をプロデュース。

どんなに素敵なタイルも、焼き色が少しずつ違う色むらのあるタイルがでれば、不良品のタイルになってしまうのがこの世界。私たちが新しくタイルのサービスを提案するとしたら、あえて「どれも違う」を大切にしたいと思うようになりました。

これから、タイルの色作りを得意とする家業の玉川釉薬とともに、一点一点手吹きでタイルを作る、特注のオーダーメイドタイルのサービスをはじめようと考えています。

この話を建築家の知り合いにしたところ、このサービスを使ってみたいと申し出てくれて、昨年の秋、第一弾となる、釉薬のオーダーメイドのタイルを開発し、届けることができました。

キッチン青の色むらタイル:

「毎日立つキッチンに、自分の好きな色のオーダーメイドのタイルを貼ることができて、さらにこの家に愛着がもてるようになったよ。」
直接、施主からタイルへの温かい感想をもらい、作り手と使い手、顔の見える関係をはじめて築くことができた瞬間でした。

花びらタイル壁面:

オーダーメイドでタイルを作って、直接お客さんに販売する。きっと、これまでのタイルの流通では存在しなかった、新しいタイル事業の形態です。
この話をマンション物件をもつオーナーさんにしたところ、ご賛同いただき、今年、第一弾となる、フルオーダーメイドのタイルを共同開発し、納品することができました。

今回、色、形、すべてオーダーメイドで製作しました。何度も試験を繰り返し、最終的に出来上がったのがこちらの花びらタイルです。

父の心を受け継いで、私だからできるタイルの魅力を発信していきます。

釉薬職人の仕事は、毎日、タイルの色があったかどうかの「結果」がでる仕事。もちろんその結果が、良い時もあり、悪い時もあります。玉川釉薬には、「ものづくりは生き甲斐づくり」というスローガンが会社に貼ってあります。繊細なものづくりのプレッシャーをも、生き甲斐としてしまう、職人としての父の前向きで強い心を間近で感じます。そんな職人のいる現場から、タイルの魅力を発信していきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

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