女も男も怖い満員電車

先日、彼氏と通勤ラッシュの満員電車に乗っていて、
彼氏が多分痴漢と勘違いされたっていう話です。

その日は、たまたま出勤時間が一緒になったので
彼氏と一緒に電車に乗りました。
毎朝のことながら、ウンザリするほど人間ぎゅうぎゅう詰めの電車。
いつもどおり、どこを見るでもなくぼんやりしていたら
斜め前の女性がずっと彼氏をチラチラと見ていることに気がつきました。

歳は50歳半ばから後半くらい。
綺麗にお化粧をして、高そうなスカーフを巻いている女性でした。

最初は理由が分からず、変なの〜と思って目線を外しましたが、
ずっと彼氏の顔とご自身の腰の辺りで
視線を往復させていたので気がつきました。

「彼氏、痴漢と疑われてる…!!」

そう思った瞬間、全身の毛穴がワァァ!と開くのを感じました。
これ、痴漢です!って言われたらかなりまずい事になるぞ…

彼氏は見知らぬ人が体に触れるのが苦手なので、
満員電車では腕を組むかズボンのポケットに手を入れて肩を丸めています。
この日もズボンのポケットに手を突っ込んで、
その女性の斜め後ろに立って、
女性のことは見ずに電車の中吊りの方を見ていました。

彼氏が痴漢と疑われていると思った私は、
彼氏が女性に触れていないことを証言するために
彼氏と女性の間の空間を上から下まで鬼凝視していました。
当たり前ですが触っていませんし、触れてもいませんでした。

(え、なんで?なんで触ってると思ったの?
そりゃ満員電車やから全く触れてないとは言えないけど、
これだけギュウギュウだったらちょっと当たるとか普通じゃない?
ていうか、あなたからしたら分からないだろうけど、私彼女!
彼女といる時に痴漢なんかするかよ!
ハッ…そもそも彼女って証人になれるのかな…
彼氏をかばうのは当たり前とかで意味ないかも…
いやいや、そんなこと言ってる場合じゃない!
今は指についた繊維とかで科学的に証明できるってネットで見たぞ…
私がしっかりしないと!!!!!)

という気合いというか殺気が目から出ていたのか分りませんが、
その女性と目が合いました。
目を大きく見開いて、ジッと私の目を見つめてきます。
「この男が触ってるの、見てたよね?」
そう言っているように感じた私は、
「どうしたんですか?」と、何も知らないふりをして肩をすぼめました。

女性はそっぽを向き、しばらく首を傾げていましたが、
再び彼氏をチラチラ見ていました。

地獄みたいな電車を降りた後、
私は彼氏に今の出来事を話してよいのか分からず黙っていました。
自分が痴漢と間違われたのかも知れないなんて知ったら、
仕事が手につかないくらい落ち込むかもと思ったからです。

しかし、電車でまた同じ人に会った時に
知らなかったがゆえに対処できない方が怖かったので
その日の夜、彼氏に打ち明けました。

彼氏の返事は、「気付いてた。」でした。

気付いていたけど、どうしたらいいか分からないので
知らん振りをしてやり過ごした。
とても怖かった。
人に触るのも触られるのも嫌。だから満員電車は嫌いだ。

私も今まで生きてきた中で、男性から性的な嫌がらせを受けて
怖い思いをしたことがあります。
痴漢なんて全員デコに【痴漢しました】って
焼印を押されて生きていけばいと思っていました。
自分は被害者側で、加害者側の男性が悪だと思っていました。

でも、今回は”加害者にされる側の人の恐怖”を、少しだけ知りました。

彼氏のことを痴漢と勘違いしたであろう女性も、
怖かったし不快だったと思います。
多分「これは勘違い?いや、触ってるって、絶対触ってる!
でも違ったら…?いや、でも…」と
頭の中がぐちゃぐちゃだったと思います。
女性の私と目が会った時「助けて!」と思っていたかも。
私があの女性ならそう思うし、実際そう感じました。
しかし、今回は私は男性である彼氏の味方だったのです。

今回の件で、
外から見えてる”真実”は本物か?
人の数だけ真実は存在するのではないか?
自分を守るために何をしなければいけないか
常に考えておかないと実際ことが起こった時に何もできない
ということを感じました。
大事な人を守るのは、大変だ…。
(今回は何もなかったし、何もできなかったけど。)

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