購入して丸11年を迎える今の車は
長女や次男が生まれたときには
すでにわが家にいた。

だんなさんは普段仕事の車に乗り
私がこのワンボックスカーに乗って
こどもの送迎などしてきた。

電車で出掛けるにしても
最寄り駅まではこの車で行く。

所有者はだんなさん名義だけれど
こども達曰く「さいこさんの車」だ。

多少下手くそな運転者だから
バンパーを縁石にこすったり

オレンジと黒の縞模様の
工事現場のバリケードが
横に置かれてるのを忘れていて
ボディーをすったり
すり傷は数知れず。

こども達が飲み物こぼしたシミも
シートにはついている。

車検の日の朝
10時にディーラーに乗り入れて
代車に乗り換える。

代車は私の車より小さい車

それでも
乗りなれない代車で
スーパーの駐車場に駐めてみたら
線からはみ出て斜めになる。

図書館の駐車場でも
コンビニの駐車場でも
やっぱりまっすぐ駐められない。

免許取り立ての
初心者ドライバーみたいな気分だ。

アイドリングストップ機能にも
不慣れなため

信号待ちなど停止して
再発進しようとするたび
エンジンのかかる音にびくっとなる。

車内に流れるのは
聴き慣れないFMラジオ。

なんとなく
できる限り出掛けたくない気分。

夕方６時過ぎに
ようやく車検完了の連絡が来て
迎えに行く。

西へ向かって代車を走らせる。

薄藍色に所々
サーモンピンクが混じる
このまだ少し明るい
日没前のかすかな夕焼け空を見ると

なぜだか無性に
切ない気持ちになる。

ディーラーに到着して
代車を駐めたら
ようやく納得できる駐車

もうサヨナラなんだけどな。

支払いを済まし
整備されピカピカになった車と
８時間ぶりのご対面

私の安心の指定席に座って
お腹が空いたなと思いながら
家路を急ぐ。

東の空は藍色の空。

ところが家に到着する前に
ディーラーから電話があり

支払いに手違いがあったから
もう一度来店してほしいとのこと。

空腹感を訴えている自分に
早く応えてあげたかったのと
８時間ぶりのドライブが楽しくて

一旦帰宅して腹ごしらえしてから
またディーラーへ向かうことにした。

ついさきほど
代車の少し低いシートで見た西の空は
今は藍色を増している。

聴きなれたお気に入りの音楽を
かけながらのドライブは
やっぱり最高！！！

８時間離れてみて
嫌というほどわかった

こいつがやっぱり
私のベストパートナー

他のやつじゃ落ち着かない
他のやつじゃ楽しめない。

７年目くらいから
ディーラーの営業さんに
買い換えを迫られるも
断り続けてきたのは

新車には気を遣いすぎるけど
傷もシミもあるこの車が
気心知れていて心地いいから。

傷もシミも思い出も
全部ひっくるめて愛おしいやつ

いろんな景色を見せてくれて
たくさんの思い出を
共に作ってくれる。

家に戻ると
駐車場に一発で完璧に駐車し

明日もあさってもよろしくと
気持ちを込めて
エンジンを切った。