見出し画像

大混戦だったプリンセス駅伝

流石にこれは逃げ切りかな、と、残り2キロくらいの場面では思っていました。
というのは、九電工のアンカー花房選手がルーキーとは思えないクレバーな走りをしていて、最初少し抑えて入り、差を詰められてもそこからペースアップしてじわじわ差を広げて、一時6秒くらいまで詰まっていた2位との差が12秒くらいまで開いていっていたので。そういう展開になると、普通は追いつくのは至難の業で、トップの方が余裕のある状態で流れも良いし、後ろは足も使っていて、精神的にも焦って力んで力が出しにくくなる状態になっています。12秒というのも、一気に追いつくには少し差があり過ぎます。そこまで差が開いてしまうと普通は逆転は難しいのです。
しかし、残り1.3キロくらいで、2位だったパナソニックの信櫻選手が猛然と切り替えて少し早めのラストスパートをし、猛然と差を詰めてきます。顔を歪め苦しそうな顔をしながら、まさしく最後の力を振り絞っての追走で、残り300メートルで逆転します。逆転した時も一気に抜いて差を広げて相手につかせず、一瞬で勝負を決めました。普通、こういう切り替えラストスパートは残り1キロで行うもので、残り1キロでのスパートの練習はランナーなら必ず練習しているものです。でも、それよりもかなり手前で、そこまでのスパートをしてしまうと最後までもたないかもしれない。でも、残り1キロでスパートしても、ちょっと差が開き過ぎてしまっていて、もう追いつけない。だから、ちょっと無理目のスパートで追いかけようとした信櫻選手の勇気と、無理目のスパートで力を絞り出し切ったど根性が生み出した逆転劇だったでしょう。
(もちろん、信櫻選手が1500mの一流選手でスピード溢れた選手である、という事も、それを可能にした大きな要因です。しかし、これだけの勝負根性を持つランナーをアンカーに配置できたパナソニックの層の厚さが勝因と言えますね。)

しかし、本番のクイーンズ駅伝を見据えると、上位4チームの力の差はほとんどないと言えそうです。(プリンセス駅伝はクイーンズ駅伝の予選会なので、本番はあくまでクイーンズ駅伝になります。)
パナソニックは1区スペシャリストの内藤選手が良い位置で繋ぎ、2区渡邊選手が力の違いを見せつけて独走に持ち込みました。日本一になった時の勝ちパターンが2区渡邊選手で抜け出して3区堀選手で差を広げて逃げ切る、という形だったので、渡邊選手の復活は大きいですね。あと、3区5区の長距離区間で中村選手と森田選手が粘ったのが地味に大きかった。中村選手は快走した小海選手には置いていかれましたが、一度抜かれた天満屋大東選手を抜き返して2位で繋ぎました。森田選手も激走の九電工逸木選手に突き放されても粘り、区間2位で差を小さく保ちました。この繋ぎができればクイーンズでもかなりやれそうです。2位の九電工は、5区逸木選手が素晴らしかった。シードチームにいる、日本トップクラスの新谷選手や廣中選手などを相手にどれくらいやれるのか、非常に楽しみです。それは4位第一生命の3区小海選手にも言えます。第一生命はアンカー関谷選手が急遽出場で力を出しきれませんでしたが、全体としては良い流れで駅伝できていたのではないでしょうか。3位天満屋は、エース前田穂南選手がアンカーでまずまずの走りができたので、クイーンズまでにエース区間で勝負できる状態まで上げる事ができるか、でしょうね。もっとも2つの長距離区間ともまずまず走れていたので、どちらかがアンカーに回れば強そうです。この4チーム+シードチームが上位争いの中心でしょうね。

それ以外の注目チームを挙げると。
エディオンの萩谷選手は、ちょっと心配ですね。ただ今回は5区の西田選手がチームを救いました。クイーンでも長距離区間でいけそうです。さらに、細田さんが戻ってくるなら、萩谷選手は長距離区間を走る必要はないと思います。細田さんはマラソンの疲労で無理させなかった形で、本来ならロードで非常に強い選手なので、細田選手が入るとかなり上がり目はあります。ただ、今回1区で出遅れて上位に絡めなかったので、萩谷さんにするか、もしくは復調途上の矢田さんにするかして1区を乗り切らないといけないでしょう。でも、そこがハマると今日の上位4つ相手にも戦えるように思います。
三井住友海上は前評判は高かったようですが、全体的に上位4チームとは差があったかな、と思いました。1区は好位置で繋げたのですが、2区からずるずる差を広げられて、4区の外国人でもそれほど浮上できず、上位争いに絡む事ができませんでした。全体のコンディションが良くなかったのでしょうか。

京セラは、非常に辛い結果になってしまいましたが、アンカーの子は良い走りをしていたと思います。ちょっと転倒の仕方がかなり悪かったですね(骨折してしまったそうです)。転倒の場面を見ると前の13位くらいまでに追いつきそうになっていたので、かなり頑張って無理気味に前を追っていて足がなくなっていて踏ん張りがきかなかった形でしょうか。ただ、17位とは差があったので、安全策で走っていれば、最後まで順位を保つことはできたでしょう。そういう意味でも不幸でした。
転倒直前に脚に異常があったとの報道もありますね。)

個人的に千葉真子さんにお世話になっているので、千葉さんが今年からコーチをしているルートインホテルズも注目していたのですが、出来はイマイチだったようです。外国人選手の激走でなんとか出場権を得た形で、本番までに立て直しが必要でしょうね。(そんなすぐに指導の効果って出ないでしょうし。)

クイーンズ駅伝は非常に激戦になりそうです。シードチームでは、積水、資生堂、郵政が3強だと思いますが、プリンセスの上位4チームはかなり戦えそうです。積水は新谷・佐藤の両エースの調子がどうか、郵政は鈴木選手次第、資生堂は一山選手が加入したのでエースクラスの選手の数は一番多くなっています。個人的には本命が資生堂、対抗がパナソニックと予想しますが、どうなるでしょうか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?