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普通の人が普通に楽しく暮らせる社会を(第1回)

インタビュー連載の最初のゲストは「アサクサ読書会」および「カタカナ読書会」グループを主宰している川口民夫(かわぐち たみお)さん。最近は浅草の瓦割体験“カワラナ”の顔でもある。“カワラナ”は都内企業勤務の副業として続けてこられたが、今月末で会社勤務を卒業し、”カワラナ”を運営する合同会社ハハハに専念される。このタイミングで民夫さんの「これまで」と「これから」をじっくり聞かせていただいた。(全4回)

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川口民夫(かわぐち・たみお)
1979年生まれ、横浜市出身。2002年、慶応義塾大学総合政策学部卒業。都内のベンチャー会社勤務を経て、人材系サービス企業勤務の傍ら、各種サークルを主催。2016年8月合同会社ハハハを立ち上げ、2017年4月に浅草で瓦割り体験”カワラナ”を開始。2018年8月、勤務先を退職し、合同会社ハハハ専任となる。「本を知り人を知る」をテーマにした「アサクサ読書会」は月2回の開催で7年目に入り、間もなく150回目を迎える。


根無し草は育たない

--- 民夫さん、今日はよろしくお願いします。

こちらこそ、よろしくお願いします。僕は問われるままに答え続けますから。ちょっと話が長くなる可能性はありますけど(笑)

--- 民夫さんと初めてゆっくりお話ししたのは、私が「スミダ読書会」を始める時でしたよね?両国までお越しいただいてありがとうございました。

そんなこともありましたね。懐かし~い。

--- その時に読書会以前にもサークル活動的なことを主催しておられたと聞きました。そうやってずっと場を作ってこられた民夫さんが瓦割り体験をビジネスとして始められた時は正直意外な感じがしました。でも、民夫さんにとっては瓦割り体験“カワラナ”も、読書会などと同様に、場づくりなのですよね?

はい、そうです。体験する人同士はもちろんのこと、スタッフと体験者の間にも一方通行ではない関わり合いが生まれる場所にしたいと思っています。

--- 場づくりとして最初に始められたのは2003年のプレゼンサークルと伺いましたが、 それを始めたキッカケとか、動機は何だったのですか?

多分、元々から自分の中に、そういうことをやっていくことに繋がる何かがあったんだと思いますけど、契機になったのは学生時代の長い海外旅行ですね。

大学時代、あちこちのサークルに顔を出してはいましたが、ずっと旅行してましたから、自分でサークルを作ってはいなかったんです。

--- そうやってバックパックで海外を周り始めたキッカケは何だったのですか?

それはねぇ、猿岩石ですよ。 僕、(猿岩石の)有吉に似てるって言われていましたから(笑)

高校時代に国内を周って、一通り周ったので海外へ。早かったんですよね、海外に一人で行き始めるのが。ある地域に行くと他の地域はどうなっているのだろうかと気になってまた旅に出て、結局大学を1年間休学して世界を周りました。

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左:ハワイ(ホノルルマラソン完歩後)、右:モスクワの理容室にて。観光して回るだけではなく、イベントに参加したり、現地の人との触れあいを楽しみながらの旅ではあった。[写真は川口さん提供]

--- 何ヵ国くらい行かれたんですか?

その1年で40ヵ国くらい、全部合わせると60ヵ国を超えています。

休学して行った1年間の旅のゴールがニューヨークだったのですが、2001年でしたから、9.11の時に南米にいました。そしてニューヨークから日本に帰ってきたときの僕の感想は「根無し草は育たない」だったんですよ。今なお、その時の感慨が残っています。

--- 根無し草は育たない...。

「根を生やしてちゃんとやっていかないと、育たねぇな、オレ」と気づいたわけですよ。そこでバックパッカー生活は一旦終わりにして、もっと地に足をつけた、根を生やしたことをやっていこうと思ったんです。


生産している感じがないことに耐えられない

--- 旅を終えて「根無し草は育たない」と思ったキーポイントは何だったのですか?

ここは凄いキモで、基本一人旅なわけですよ。日々の暮らしベースで言うと、昼間一人でその土地で観るべきものを観に行って飯食って酒飲んで寝る。地域が変わってもやることは変わらない。

人間関係においても、宿で出逢った人と一緒に飯を食って一日くらい行動を共にしても関係がすごく深まるわけじゃない。話すことも、どこから来たのか、どこを周ってきたのか、どこがよかったか、だいたいそんな感じで収まってしまう。

その暮らしに飽きてきてしまうと同時に、生産しているとか、影響を与えているという感触がないことに耐えられなくなくなってきてしまいました。

--- その「生産している感じがないことに耐えられない」はキーワードですよね。世の中には、それがなくても平気な人が意外に多いですから。

僕はダメだということがわかったんです。チルチルミチルっぽい話ですけど、どこかに探しに行って見つかるようなものを求めているのではないというのがわかったのはよかったです。

別の旅の仕方、例えば、1ヶ所で1ヶ月暮らして1年で12ヶ所周って帰ってくる旅だったら全然違ったと思います。でも、あの頃の僕がしたかったのはそういう旅ではなかった。今ならいいかもしれないけど。

続きはこちら >>> 第2回「人を集めてきた理由は」

関連リンク:

・瓦割り”カワラナ” http://kawarana.jp/
・アサクサ読書会 https://www.facebook.com/asksdksk/


 

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