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普通の人が普通に楽しく暮らせる社会を(第4回)

川口民夫さんのインタビュー最終回です。

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2018年4月、都内の体験処を紹介する地下鉄のCMで取り上げられた。ポスターの右下が、女優さんが瓦割りをしている様子(2018/8/13 瓦割り体験”カワラナ”にて撮影)

関わりを増やしたい

--- そして今月末で今までの会社を退職されて、合同会社ハハハに専念されるわけですね。

はい。お蔭さまで”カワラナ”もお客様が増えてきまして、次の段階に進めたいと思いました。そのためには週末だけでは足りないと。

全く悩まなかったわけではありませんけど、会社勤めをしていると、どうしても「やりたくないけどやらなきゃいけない」ことが増えてくるじゃないですか。それをやり続けるというカードと、「楽しく暮らす人を増やす」ことに専念するというカードがあると考えてみたら、迷わず後者を選ぶことに気がつきました。

今後の人生設計という観点からも、これからの世の中、勤務先だけでなく一般的に会社がどうなるのかもわからないし、自分で事業を回す筋肉を鍛える方がいいと思ったんです。

一旦決めたら、絶対こっちの方がよくて、なんでもっと早くそうしなかったんだろう?と思いました(笑)

--- 場としての“カワラナ”は今後どう育てていくのですか?

場所としての”場”を提供するのは店ですが、そこで体験としての”場”を形成するのは、その場にいる全員です。お客さんも受け身なだけじゃない。場の形成に参加するわけですよ。

何人かで集まって、1時間一緒に体験する。それが凄く楽しかったと言われます。こんなに他の人と喋れると思わなかったとか。

スタッフ体験もやっています。まずは仲間に、お手伝いという形でスタッフをやってみて貰いました。多い人では8回くらい来てくれています。みんな、普段の仕事はいわゆるホワイトカラーなので、たまに接客をするのが楽しくて仕方がない。どんどんお客さんに絡んでいいと言っていますので、ちょっと手持無沙汰そうにしていたら、「どこから来たんですか?」に始まって会話してもらっています。

その他にも、壁に無償で物を掲示してもらったり、展示してもらったりもしていますし、本棚を置いてもらっていて、本を取り換えに来る人がいたり、そういうものも関わりを増やす手がかりとして使っています。

--- 「関わりを増やしたい」というのも民夫さんのキーワードの一つですね。

ええ、会社も社員を増やして大きくする時代ではありませんから社員を増やす予定はありませんが、関わる人は増やしたいと思っています。そこは僕のチャレンジポイントです。

--- それは社外スタッフを増やすとか、そういうことですか?

それもありますが、もっと広い意味で巻き込んでいきたい。スタッフ体験も巻き込み方の一つですし、昨年実施したクラウドファンディングも巻き込みの一つです。今年も新たに実施する予定です。


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「せいっ!浅草の瓦割りカワラナに厠(かわや)を作りたいPROJECT!」と題して、2018年10月19日までクラウドファンディング実施中(2018/9/8 瓦割り体験”カワラナ”にて撮影)

普通の人が普通に楽しく暮らせる社会の基盤は人付き合い

--- 今後、“カワラナ”以外にどんな事業を手がけていかれるのですか?

セミナーやコミュニティ創りは一部始めていますが、軌道に乗せるのはこれからですね。何をやるにしても基本的には、"6"の人たちに向けたことをやっていこうと思っています。

--- "6"の人たちというのは?

世の中の人を三つに分けると、2:6:2 になると言われています。

自分で動けてうまくいっている人が2割、普通の人が6割、残りの2割が自分の力ではどうにもできなくなっている人です。

6割の普通の人たちもそんなにうまくいっているわけじゃない。ゼロかマイナス1,2の人が多いと感じています。僕のスコープはここで、そういう人たちをプラス1,2に引き上げたい。

普通の人が普通に楽しい社会にしていかないといけないんじゃないかと思っているんですよ。「みんながマイナス1,2なんだから我慢しろよ」では循環しない。困っている2割の人もそのままになってしまう。

そして、普通の人が普通に楽しく暮らせるためには基盤が必要だと思います。その基盤が人付き合いだと思うんです。

では、どうしたらそういう人付き合いの基盤となる場を作れるかと言うと、趣味を軸とした集まり、読書会とかは一つの解になると思っています。それは収入ベースとかではなく続けていく。

その他に何ができるかと言うと、地域軸かなと思うんです。地域軸で巻き込めるものに何があるかまだ解は見えていないけど、地域軸を考えようとした時に浅草という街はすごく良くて、そこで楽しめることや誰かの楽しさに繋がることを“カワラナ”を皮切りにもっと手広く手がけていきたい。

それをちゃんと収益が上がるようにやっていけるかは僕の成長の話ですね、経営者としての。

そう考えていくと「楽しく暮らす」ということについて俯瞰的な考察が必要なんですよね。「人によって違うじゃん!」と言われればそうなんだけど、一人で楽しむんじゃないんですよね、僕は。人の間と書いて人間なんですから、コミュニケーションの存在だと思うんですよね、やっぱり。

いろんなところで人付き合いがうまく回っていないことがネックになってしまっていると思うんです。僕は幸い仲間に恵まれてすごい感謝してますけど、そうじゃない、例えば人付き合いをしないで来てしまった若い人たちに、色んな軸で機会を提供したら可能性が広がる、と(思うというよりは)信じているという話ですね、これは。

--- これからはフルにリソースを使えるようになるわけですし、展開が楽しみですね。今日はお忙しいところ、長い時間お話しを聞かせていただきありがとうございました。

こうして話すのは自分の整理にもなる良い機会だと思います。こちらこそ、ありがとうございました。                   [了]

(2018/8/13 浅草の喫茶店「待合室」にて)

関連リンク:

・瓦割り”カワラナ” http://kawarana.jp/
・2018年10月19日までクラウドファンディング実施中   https://www.makuake.com/project/kawarana02/ 
・アサクサ読書会 https://www.facebook.com/asksdksk/



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