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『分けるから混ぜるへ ニューロダイバーシティの世界へようこそ』

今回、伊藤穣一(I)さん、松本理寿輝さん(M)の講演会に参加して、学びしかなかったので、内容を以下にまとめる。


1.ニューロダイバーシティについて

M:自閉症の少数派のダイバージェントの中にもダイバーシティがある。自閉症と高機能自閉症がいて、高機能が注目されがちである。高機能の一言が全てだと思ってはいけない。自閉症と高機能は差が激しい。自閉症と自閉症でない人以上に、自閉症の中での差が激しい。
そのため、学校のデザインの幅が非常に広くなってしまうので、どこにフォーカスするかが重要だと考えている。

I:セルフアドボカシー(当事者が参加していくこと)が重要だと考えている。現状は標準化に耐えられる人が「普通」だと体現される。ただ、中には本当はズレがあって、そこに入れない人が「自閉症」だと断定されている。それを緩めていくべき。日本の美学が日本人の中で固定されているから、それを変えていくのは大変。過去には、明治維新でそれが大きく変わった。今日も千葉工業大学で2600人の入学式で「標準化」が行われた(笑)95%の就職率を誇っているが、大学内でも長期的にニューロダイバーシティに向かっていくことは、学長の同意を得ている。

2.ニューロダイバーシティがより進んだアメリカの動き


I:アメリカでは、より早くムーブメントが起きているが、苦労していることもある。それは当事者団体の声が大きいこと。「当事者でないのに何言ってるの?」といった声が上がっている。
それに対して、日本は当事者の声もまだ弱い。それによって、この動きが受け入れられている状態。さらに現状、これまでより開かれている流れが来ている。
世の中の3パーセントは自閉症なのではないか、と言われている。それでも、反応できない人、強く言えない当事者がまだまだいる。大学でニューロダイバーシティについて講演したときの反応は無反応だった。偉くなるほど誰も何も言わない。まだ反応してない人がまだいるはずなので、カミングアウトするべきだと思う。アメリカは他の人がどうおもってるかなんてどうでもいいが、日本では反応したくてもできない人が多い。

3.著書内での当事者のインタビュー「FUCOさん」

M:FUCOのアーティスト。自閉症。人に頼る力がある方。
お母様は「3つのずらす」を大事にしている。
1.言語をずらす
社会的な言語を離れて、表現感性で対話している。FUCOさんが表現する言葉でない「表現言語」を拾っている。社会言語でなくても、自分の言語で捉えるようにしているとのこと。
アートは、FUCOさんが当時生きづらさを抱えており、「丸書いてみたら…?」というお母様からの提案が刺さった。言語をずらしたことがきっかけ。
2.時間をずらす
「高校は何年かよっていいの?」と学校にきいてみた。時間軸をずらして考えるという視点。減点主義に見てしまうことを、加点主義に見ているのが素敵で、豊かさに繋がっている。どうするか、でなく「どうあるか」に着目されている。苦手の克服より好きや得意をやって行った方がいい。内在的動機に繋がっている。

M:最近では企業の成長戦略として、ニューロダイバーシティについて扱われることが増えてきた。ただ、「高機能自閉症」はそうなるけど、そうでない人をむしろ差別することに繋がることもある。だから、やり過ぎはあぶない。必要な環境を手渡されるのが大事。

4.著書内での当事者のインタビュー「AKIさん」

I:AKIさんが「HENKAKU」コミュニティの中で積極的に活動されている。多面的な当事者としてかかわってくれている。サポートによって暗くなる場面が発生することがあるが、AKIさんは根っからの明るさでそれがない。理屈だけでなく、「変革する力」が必要。

I:例えば、「野田聖子」さん。パラリンピックで障害者をPRで出そう、と提案したところ、当初は大きな反対があったのを押し切り、投与したところ「障害≒かっこいい」になった。認識の違いが世代による。常識がずれている人が権力を持ってしまっているため。実は世間を動かすのはそんなに厳しくない。文化のシフトが必要。ニューロダイバーシティ当事者はニューロティピカルともいう。(健常者を悪く言う時に使うジョークの一種)ニューロティピカルシンドローム(頭が固い)ということも。
日本において、差別に合わないベーシックを手に入れるのにまだ必死な状況。だから障害≒暗いイメージなのがまだ一般的な現状。かっこよく見せる余裕がない、お金が理由なのか。自信持ってリーダーになる人がいない。変える人がいないとダメ。
「お金持ちだけの学校を作って意味があるのか」と言われることがある。←こういう人間を変えるために作るんだと説明している。

I:自閉症の中でも「機能できない人」と「多機能な人」でギフテッドばかりが前に出てきてしまっている。では、できない人はどうするのかという問題がある。障害者は全部違うのに縦割りになってることが問題。

I:社会をオープンにしていく必要がある。色んなカテゴリをオープンにしなければならない。障害の種類によってデザインを変えるのは大変だし、ブランドデザインも大事。

5.著書を出しての反応


M:著書を出した後の反応として、「子供預けたい」「一緒に働きたい」「寄付したい」という意見が多く、心当たりのある社会課題なのだと再確認できた。世間からはポジティブな反応がおおく、直接保育園からも相談を受けていた。でもカミングアウトを拒んでいる人が多かった。
FUCOさんのヘラルボニーデザインを採用している。デザインが素敵。障害の課題はシリアスにし過ぎないことが重要で、温かいメッセージが届けられている。それは、彼女がダイバージェントだからじゃなくて、尊敬できるアーティストのイメージが伝わるから。

I:奥さんが「今までで1番いい本だね」と言った。Amazonが「哲学」カテゴリーだったからかも(笑) 「インパクトがある。今までと違う」と言われている。理系、脳科学に留まらない内容だからだと思う。日本のForbesは好き(アメリカは金融バリバリのイメージだが)日本はバランスが取れている。以前、野田聖子さんとのインタビューがきっかけだが、障害にクールなイメージを日本で普及したいと考えている。

6.9月秋にオープン予定の学校について

M:南青山ポーラに設立予定。3歳〜9歳のお子さんが対象。パイロットスクールとして実験的にあるといいと考えている。家庭が参加しながら作っていく。

I:神奈川県もインクルーシブ教育には注目していて、伊藤さん、松本さんも関わっている。公立の学校に導入するにはどうしたらいいか。自閉症は思春期は特に重いしニーズがあるので、今後どんどんやらないといけない。


I:子供より親が大事。親の教育はインパクトある
「なんで、健常者の環境に入れるの?」ということを言っている人がまだまだいる。国連からも日本の分離体制については指示されている。ハイブリッドをどうやって発信していくかが重要。

M:ダイバーシティは客観的には難しい。経験しないと意味を感じにくいため。大きなルールよりも、小さな出会いを紡いでいくべきだと考えている。
子供たちが普段教えてくれる。子供は「障害者」と思わない。
「なんでおててがないの?」「どうやって食べるの?」がわかると、
「ふーん、そうなんだ」で可哀想やいいも悪いもない、判断がないため。
身体は不自由だけど、元気で算数ができるし、個性を大事にできる。新しいレンズを手にしていく感覚。大人も持つべき。

I:ヘラルボニーもいいストーリー。まさに子供のころの原体験がいいストーリー(共感しすぎて私が泣きそうになるw)
子供の頃はそういうことが思える。ヘラルボニーのラジオ収録でも「自閉症の人が30分全く話さない」「途中でトイレにいっちゃう」っていうような普通じゃないことも普通にできる感じがいい。
みんな子供のころはそれができるのに、周囲からいじめられてたりすると防御に入る。

【Q&A】

7.今後ニューロダイバーシティを広めていくにはどうしたらいいと思うか

I:MITはほとんど自閉症が多い。みんな靴を見ながら話している。そこに対して、違和感がない。それが「あるある話」になると言いやすい。
日本はコソコソしやすい文化があるので、ロールモデルが重要。
いろんなところに出ていく。叩かれても強い人が表に出る。政治家はやるべき。

I:例えば黒岩さん。神奈川の事件があってから、当事者の周辺をまわって発信していた。強い人が発言していくのがいい。
プレッシャーのかけ方は注意が必要。日本はプレッシャーが強いから、言って平気な人から引っ張り出していく必要がある。地方にコミュニティを作る。障害者の村が出来ている。そうした人は外に出てこれる。

I:ストーリーをメディア等で発信する。日本は動き出すと早い。オタク文化やファン文化がいい例。自閉症文化を作る。意外にかっこよくなっていけると思っている。

I:ただ、重い人はそれが嫌だという部分は気をつけなければならない。施設から大学に行ける人はいないとよく言われる。ほとんどの天才は自閉症だけど、お金がないとアンフェアになる。
それでも、親を加害者にするムーブメントを無くすだけでもいい。ケアギバー(親や周囲)をどうサポートするかが大事。メディアでフィーチャーしていくのが大事。

8.自閉症の子を持つ親です

ASD 8歳。特別支援学校に通っていました。幼稚園〜学校に入る際、インクルーシブとの考えから通常の学校に入れさせようとしたが、拒否されてしまった。それでもなんとかPTA等を駆け寄り、今は普通の学級に行っている。それが普通になってきている。「●●ちゃんは違うけど一員だよね」になってきている。でも親の環境は仕事もできないくらいにタフです。

I:まずは親、その後当事者が発信をしていくこと。草分けは大変だよね。でも、一人でてくると、次の親が出てくる。だからそこを、いかに接続していくかが大事。日本は親の団体の力がない。政治家や学校にプレッシャーをかけるのが大事。

M:地方の学校では、30年前は40人を1人で見ていて、今は20人を1人が見ているけど、今の方が教育は大変と言われている。なぜか。ノーマルが縮小しているため。昔は「これがルールだ」と言ったらみんな従ってた。多様化していて、どう向き合えばいいかわからない、と言われる。イタリアでは子供に任せればいいとしている。子供がルールメイキングしている。そうすれば、分離する必要がない。

9.就労システムの機会を作っています

今後就労の場面においても幅を広げていくにはどうしたらいいと思いますか。
M:まずは学校を作ってから、順を追って考えていこうと考えている。

I:イスラエルには、自閉症専門の就労分野がある。重い自閉症を中心に活躍の場面があるため、親は泣いて喜んでいる。就職まで持っていける。

I:わかっている人が現場にいればまわる。空気が読めないと叩かれたり、文系が強いので自閉症系の人に相応しくない環境が日本は多い。ちゃんとわかる人をいれるのが大事。とはいえ、目が見えない、耳が聞こえないは完全に一緒は難しいので、デザインが重要。15人に対して1人のバランスがいいなど研究は進んできている。ソーシャルコーディネーターがいると回りやすい。

~ 講演会終了 ~

10.さいごに

貴重なお話ありがとうございました。

お話を聴いて、玉置が検討していたプランに非常にリンクする部分があり、ぜひ今後何か一緒に取り組ませていただけたら嬉しいです!

当初私が検討していたプラン。
ビジネスモデル「A」が今回設立予定の学校のイメージに近いなと思いました

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人生って本当に面白い。

そもそも私は西野さんのオンラインサロンに入ってなかったら、この天才級の伊藤穰一さんの存在に遭遇していない。西野さんがNFT、WEB 3界隈でサロン内で勉強会をしてくれたから、DiscordもNFTも壁なく使えてる。当時、伊藤穰一さんとNFTの可能性について対談されているYouTubeを観て、こんなに凄い方がいらっしゃるんだ、と知った。

そして、私はヘラルボニーに出逢っていなければ会社を辞めてないし(笑)ここまで障害についてのめり込めてなかった。ヘラルボニーが社会の潮流を創造していることは大きい。

伊藤さんも言ってたように、紛れもない時代の流れが来ている。

常に情報をインプットして行動に移していると必ずチャンスに巡り合う。もはやここまでプログラミングされてるのではないかくらいのタイミングでここまできた。社会を変えるムーブメント起こす!と更に士気が高まった。貴重なお話ありがとうございました✨

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