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ベトナムの職業訓練センター

雨季真っ只中にあたる8月のハノイは、気温30度台が当たり前で、降雨量は東京の倍、湿度が80%を超えることもしばしばだ。蒸し暑く不快な日が続くこの時期は、外出するのが少し億劫になる。視察先を一件訪れただけで、まるでシャワーを浴びたように全身汗まみれになるほどだ。
ノイバイ空港から車で15分ほどのクアンミンにある某送出機関が運営する職業訓練センターでは、そんな暑さをものともせずに、技能訓練に取り組む実習たちで活気に溢れている。職業訓練センターとは、座学で日本語を学習する日本語学校とは別物で、実習生たちが各職種に応じた技能を学ぶためのいわば実技用施設だ。こちらの職業訓練センターでは、溶接、足場組立、木工作業・・・と、主に建設職種を中心とした訓練用設備や資材が用意されており、地元の熟練技術者の指導のもと、実習生たちが脇目もふらず集中して練習に励んでいる。彼らはこれから日本企業の面接に臨むのだ。通常、実習生は、面接の段階では日本語をほとんど話すことができない。そのため、日本人を採用するような対話形式による面接だけでは、その人物の技量やポテンシャルを計ることが難しい。そこで、実際に課題を出して作業を行ってもらうことにより、実習候補生の職種への適合性を確認するのである。
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職業訓練センターは、このような面接前の実習生の基本技能のトレーニングの場となる一方で、面接会場として利用される役割も担っている。今回視察した職業訓練センターはまさにそのための専用施設であり、黙々と取り組む姿から熱意がひしひしと伝わってきた。
さて、一般的に受入企業の面接に合格すると、約半年程度の期間全寮制の日本語学校へ入学し、一日中日本語漬けの毎日を過ごすことになる。その間職種によっては、日本の受入企業からの要望に応じて、並行してこういった職業訓練センターで特訓を受けるケースがある。出国までに即戦力レベルというわけにはいかないものの、道具の基本的な使い方や専門用語の習得、あるいは安全衛生に対する基本的な考え方などを、作業を通じて身に付けることを目標としている。特に建設職種においては、作業によっては危険を伴うことも多いことから、整理(Seiri)、整頓(Seiton)、清掃(Seisou)、清潔(Seiketu)、躾(Situke)の5Sを徹底的にたたき込まれているようだ。
職業訓練センターは、他にも旋盤作業、縫製、介護・・・など、それぞれの職種に特化したものがあり、最近では、ビルクリーニング専用の訓練室を整備する送出機関も出てきている。技能実習生の最大送り出し国であるベトナムは、他国に比べてこういった職業訓練センターの構築にも力を入れているのが大きな特徴である。
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(※このnoteは、ビル新聞2019年8月12日号掲載「リアルタイム外国人技能実習24時」Vol.9を加筆転載したものです。)

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