たまごのたまこ

‪子供のころの記憶と、大人になって感じた事が中心です。かつて「目に焼き付ける」「心に刻…

たまごのたまこ

‪子供のころの記憶と、大人になって感じた事が中心です。かつて「目に焼き付ける」「心に刻む」と言っていたけれど、すでに多くの感動を忘れました。だから私は、文明の利器に頼ります。忘れることを恐れず、今をしなやかに生きていきたい。✳︎スキとフォローとサポートありがとうございます✳︎‬

最近の記事

入浴欲求が満たされない

入浴が好きだ。普段は熱めのシャワーですべきことを順番に終わらせて上がるから15分もかからない。この15分で、いかに効率よく快適と清潔を手に入れるかがわたしの毎日の燃えポイントだ。 でも、たまには「ぽちゃん、ちゃぷん」と音を立てて浴槽に浸かりたいな、という気持ちが私にも生まれる。温かいお湯にぴったり包まれて、よい音響の中で水と戯れる時間。夢の中にいるより心地が良いことを身体が覚えている。だから私は、浴槽に湯を貯めて入ることにした。 追い焚き口から熱めのお湯が吐き出されたら、

    • 祈りの花、無力の花

      ‪自分のことも整理できていないくせに、自分の現実から逃げるように、友人のことを祈っている。祈るだけで、目に見える行動はなにもしていない。なんにも。つまり、自分のことも友人のこともしないでソファで動かず横たわっているだけの、それだけの一日だ。 「あの子のことは、今はそっとしていたほうがいいのよ…」という高度な人間力のある人の話ではない。実際にできることが何ひとつも思いつかないのである。 常に視界に入っているし、そっぽを向いているわけではない。困っている友人にここぞとばかりに

      • 松屋がサンタクロース

        横を向いて寝転んだとき、下側になった肩が痛くなるのは、私の場合ぜい肉が薄いのと、枕が合ってないからだと思う。 先日、体格の異なる人から聞いた話では、肩にきちんと肉がついていると、肩掛けショルダーバッグを使っても肩が痛くならないとのことだ。つまり肩に肉を蓄えれば、日常的な肩の痛みはすべて解決するかもしれないということである。 贅肉の「贅」は贅沢の『贅』。贅沢してお肉をたくさん食べたら贅沢な肉が私の贅肉となるのだ。だが、あいにく私は肉を調理するのが苦手だし、肉を買ったこともた

        • まくら

          2時間を枕、30分を眼鏡、1時間をヘンテコ枕商品の検索に費やしてから、また普通の枕検索をして迷っている。 私はよっぽどぐっすり眠りたいんだなと自覚した。いますぐに快適な目覚めが欲しい。でも手にした枕に違和感があったとき、痛感する不要な枕の存在感を想像してしまうと、まだ勢いでポチることができない。 これまでに何個もの枕と夜を共にした。違和感を感じたら我慢して使いながら、代わりを見つけてから別れてきた。今見つけようとしている枕にもきっと別れが来るだろうけど、できるだけ長く良い

        入浴欲求が満たされない

          出会いと別れ、そして愛

          プリンタが欲しいという願いをかれこれ2年以上我慢している。これまで、1枚でも400枚でも私はコンビニプリントに頼っていた。コンビニの在庫用紙を使い切り近隣をハシゴしたこともある。そのたびに居心地が悪く感じて、ネットでプリンタを検索し、これが欲しいあの機能は絶対に、などと夢を見て、想像の中でプリンタと戯れた。 もぐら本の最終原稿ができて、企画メンバーそれぞれがすべての原稿を血眼にしてチェックするという段階でも、私はMacBookの画面のなかで大きくしたり小さくしたりしなが

          出会いと別れ、そして愛

          来客があるのに何も準備しないなんて

          「ある日のツイートを肉付けして、そのときの気持ちを思い出す」…そんな遊びをしたくなった。Twitterの画面をひらいてから目をつぶり適当にスクロール、手を止めて目をあけたときに画面にあるものが、このツイートだった。 2020.04.02 16:55 来客があるのに何も準備をしないなんてあってはならないという固定観念をすりつぶすことに強く抵抗しながらも、身体は全く動こうとしないので、つまり今はそれしか道はないのである。無念じゃ。 割と最近のことだ。すぐに思い出せた。 この日

          来客があるのに何も準備しないなんて

          安心安全な場所はどこにあるのか

          引きこもり小中学生と暮らす私は、今の世の中の動きを「やっとか」と思いながら眺めている。 不登校である子供に責める理由など本当はないことを把握していながら、義務教育を自ら放棄したかのようにしむける今の社会に苛立ち、それでも文句ばかりいっていられないからと子供たちの次なる居場所や学べる場所を探し続けていた。子供一人ひとり、特性も性格も恐いものも異なる。だから子供のことをよく理解しているのが保護者の私であることもわかっている。しかしだからといって私ひとりで解決できるはずがなく、子供

          安心安全な場所はどこにあるのか

          見下しながら愛を請うあなたが知らないこと

          彼は私に「大切だ、愛している」と何度も言った。 交際を始めて三ヶ月後には、彼から結婚の意思を伝えられた。 ドラマの中にいるような感覚だった。 あのとき私は、たった一人特別な存在として彼に選ばれた。 私は存在を許された。許されるどころか、必要とされているのだ。 こんな私なのに。 特別ではない私美しさ・飛び抜けた才能・熱中できるもの・賢い頭脳。これらは、生きるうえで絶対に必要なものではない。でも、それに向かうための努力をしている人は素敵に見えるし、手に入れている人たちは輝

          見下しながら愛を請うあなたが知らないこと

          濱田さんのこと

          今日は濱田さんのことを、記憶から文字に起こしてみようと思う。 濱田さんは、元サラリーマン。好きなおやつは白あんぱん。外見は伊東四郎氏にどこか似ている。髪は綺麗なシルバーで、櫛で綺麗に七三分けをしている。 服装は、夏なら数年前の地域イベントで自分がデザインしたレモン色のTシャツに、広島カープのキャップ帽。冬なら、仕事の休みの日に着ていたラフなワイシャツにベストを合わせて、ユニクロのダウンジャケットを羽織り、耳当て付き帽子をかぶる。 新聞や本をよく読む。パズルや脳トレが趣味

          濱田さんのこと

          言葉を紡いでいる途中に、脇道で生まれ続ける日常はずるい。

          数十のあたため途中の文章が、メモに溜まっていて地味に増え続けている。それらを整えながらも、日々の暮らしで次々に生まれる小さな気付きやホッコリやニッコリは、ずるい。 突然に私の目の前に現れて、灯火のように弱い光を見せたあと、それは、影だけを残して静かに消える。 私は何があったかを思い出そうとするけれど、そこにはもう、あの空気や言葉は残っていない。 今日のこと 久しぶりに家族三人で車に乗りました。車に乗ることも、食事をすることもできなかった下の子供が、「病院の帰りに焼肉を

          言葉を紡いでいる途中に、脇道で生まれ続ける日常はずるい。

          ゾンビ時代

          前回は、私の小学四年生のころの無邪気な訓練や兄からの日常的な暴力について書きました。今日はその続きです。 兄のその後兄は、引越しを機にイジメから離れ、自信を取り戻した。本来のお調子者キャラが復活したことで、人気者のモテ男になった。スクールカーストの上層部に身を置き、後輩から慕われ、先輩から可愛がられ、同級生とも楽しく過ごしていた。そのまま順調にイケイケのチャラ男になり、就職も結婚もして出世して友達も多いらしい。 ずるいよな、別にいいんだけど。辛いときを乗り越えて立ち直って

          クラゲ時代

          思考の癖は、子供の頃からの積み重ねである。私の子供時代は、誰かにとっては「まあまあふつう」で、誰かにとっては「なんてひどい」日常だ。 誰にも気付かれない。助けを求めるほどでもなく、他人が気付いたとしても助けるほどでもない。わかりにくい不幸、不快で苦痛の日常が普通だと思い込んでいる人が社会にどれほど潜んでいるのだろう。 四年生の私二段ベッドのハシゴを使わずに上り下りする訓練をしていたのは、小学四年生くらいの時だったと思う。訓練はだれかに命令されたわけではない。喧嘩のと

          傘の記憶

          母が、青いバラの傘と、赤いバラの傘を買ってきた。鮮やかな赤、吸い込まれるような青。大きな柄で丁寧に花びらが描かれている。 「しろばらとべにばら」の絵本をたびたび眺めていた私は、二本の傘が、まるで絵本から出てきた傘のように感じた。 姉と私は傘にかけよって、興奮した。 「きれい!」「白バラじゃなくて、青ばらなんだ。」「青のバラって初めて見た!きれい!」「青バラって本当にあるのかな。」口々に話していると、母が「あなたたちに買ってきたの」と言った。 姉と私は大喜びで

          「言い返す技術」イベントレポ

          「言い返す技術」著者の五百田達成さん・ゲストの紫原明子さんのトークイベントに行った。今日はその記録をする。先に結論をいうと、笑いあり学びありのステキな時間で、私は長く持ち続けていた過去の怨念を一つ成仏させるほどに満喫した。 第一部イベントが始まるとすぐにお二人が登場して、それぞれの自己紹介、この本が生まれた経緯、実際にお二人が「どんなときに言い返せなかったか」「言い返したとき」のエピソードを話してくれた。 メモをしていなかったので、具体的な内容については書けないのだが、お

          「言い返す技術」イベントレポ

          化石のことば、宝石のてがみ

          中高生の頃は、よく友人に手紙を書いていた。 「こんにちは。お元気ですか。私は」 と最初に書く。このとき私は、「手紙をサラサラしたためる可憐な私」になりきっている。 心なしか姿勢も良いし、口は少し微笑みを帯びている。筋肉は明らかに可憐な動きをしている。そんな時、私は少女漫画の中の住人になりきっていた。 当時、私は『ベルサイユのばら』のロザリーが好きだった。だから私はロザリーの仕草を想像して、上品にそしてかすかに「ウフフ」と声を漏らしながら書いているのだ。 (実際はこけ

          化石のことば、宝石のてがみ

          よりそいの花火

          子供の頃にみた景色を、いまも覚えている。 私だけに見えた、花火の話をする。 ******* 私の父は、よくレコードをかけていた。ビートルズやサイモン&ガーファンクル、クラシックや日本歌謡曲など、当時の流行りものをたくさん持っていた。レコードのジャケットには、きれいな風景やアーティストの写真が大きく印刷されている。私はそれを眺めるのが好きだった。 父のコレクションの中に「シルクロード」のレコードがあった。音楽は綺麗で、広大な景色が浮かび上がるようなメロディだったと思う。だ

          よりそいの花火