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#042 今まで見たモザイク画は序章に過ぎなかった話(シチリア旅行記その3)

こんにちは、マルタのタマルです。
今日はパレルモ観光2日目のようすを。この小さなエリアにどんだけあるんだ!?っていうレベルで、まだまだ教会がありました。今日も少し長くなりますがお付き合いください!


10:30 Oratorio del SS. Rosario in Santa Cita

宿から歩いて10分ぐらいのところに、この祈祷堂はありました。17~18世紀にかけてパレルモ生まれの彫刻家セルポッタがこの内装を施したようで、迫力は圧巻です。QRコードで読み込むタイプの解説(英語もあったよ!)には、「控えめな装飾ながら~」的な説明がありましたが、いやいや、全然控えめじゃないよ!

祭壇以外がほとんど真っ白なので、すごく印象的だったなあ
真ん中の船の彫刻はレパントの海戦を示しているそうな。

人もほとんどいなかったために静かで、白という色がそうさせている部分もあるのだろうけど、心が落ち着く空間。ひとつひとつの彫刻のクオリティが本当に高くいつまでも見ていられて、長居してしまいました。椅子もあったし(これ重要)。

11:30 Oratorio del SS. Rosario in San Domenico

先の祈祷堂より歩いて2~3分。こちらも壁の装飾は先にも紹介した彫刻家セルポッタが行ったようです。天井のフレスコ画がやはり圧巻なのと、フランドル出身の画家、ヴァン・ダイクの絵が祭壇に飾られています。

天井のフレスコ画
ヴァン・ダイクについて改めて調べてみたら、美術史上めちゃ重要な人物であった…

ちなみに、料金は先程の祈祷堂と合わせて€6です。こちらは先程とは違い椅子がないので長居はできません。笑

12:00 Basilica di San Francesco d'Assisi 

またまたセルポッタの重要な彫刻が見られる教会。ですが、中がとても薄暗くミサ中?だったので、あまりうろうろはできませんでした。静謐な印象。

先程の祈祷堂とはうってかわり、とても広々とした空間

13:00 Palazzo Conte Federico

さて、この日行った中でも印象に残っているうちのひとつがこちら。Google Mapsには「歴史博物館」とありましたが、そんなに仰々しいものではありません。パレルモでも最も古い建物のうちの一つらしく、実際今もここで住んでいるご家族が時間ごとにガイドツアーを行っています。
ツアーはなんとたっぷり50分!

実はここで20分ぐらい待たせてもらった。風が心地よかった
大広間の床。お部屋ごとにタイルの柄が異なり、ここは紋章や当時の景色の様子が描かれていた。元々は海が近く見晴らしが良かったのだけど、埋め立てられてしまったのだとか。
ガイドさん「昔は兄とここでサッカーをしていたよ!だってこの部屋はシャンデリアがないから安全でしょ?」
一部屋ずつ丁寧に案内してくださった
昔使用されていた食堂だそう。いちいち設えがかっこいい

ガイドさんがとてもよい方で、英語も大変ききとりやすく、楽しい時間でした。一緒にまわっている方々、だいたい20人ぐらいいたと思うけど、皆さんフレンドリーでそれもまたよかった。

14:45 モアンアーレへ…

最古の建物を堪能した後は、この日の目玉・モアンアーレへ行こうと思っていた、のですが。バスチケットのカウンターが閉まっています。まじかぁ。
しばらく待っても一向にあかないし、バスの時間も迫っている。
バス停で待っている方に、「モアンアーレ行きたいんだけど」ときいたら、「このバスで大丈夫なはずだよ」とのこと(ちなみに英語は向こうもあまり通じず、いろいろな手段でコミュニケーションしています)。「チケット持ってないし売り場も閉まってるんだけど…」といえば「多分中で買えるよ!」というので、おとなしくまっていました。
時間通りにバスが来ました。が、バスの運転手にきいたら、「いやチケットカウンターあそこだから。僕からは買えないよ」とのこと。出た出た。
「でもカウンター閉まってるんよ。15分ぐらいは待ったんだけど全然開かないんよ。これってそっち側の過失よね?」「……まあ、乗っていいよ」。
ということで、運転手さんもやむなく私をのせてくれました。チケットカウンターを目視して、彼も諦めたようです。いや、私だって買えるもんなら買いたいからね!?
バスに乗ってからだいたい25分ぐらい…とどこのサイトにもありましたが、この日は道が空いていたのか15分ぐらいで到着しました。そこから、歩いて10分(坂道だよ!)。お目当ての大聖堂(ドゥオモ)がありました。

モアンアーレのバス停近くにある看板

15:00 Cattedrale di Monreale

「パレルモにきてモアンアーレに行かないやつはモグリ」的な言葉があるみたいですが、その言葉はマジでした。前日もモザイク画で飾られた礼拝堂を2つ見てきた私ですが、ここのは規模感が違いました。

写真では伝わらないけど、ものすごく天井が高いです

真ん中にある祭壇だけではないです。巨大な建物全体がぐるりとモザイクで囲まれています。旧約聖書の物語(ノアの方舟とか、アダムとイヴのお話とか…私でも知っているようなやつ)が壁一面を覆うように描かれています。
現存する教会の中で、世界一モザイク装飾表面積が大きく、その大きさなんと6,000平方メートル以上。はえ~。

これを作るのに、どれだけの労力が……

時代は1100年代後半で、まだまだ中世。宗教権と世俗権がせめぎあっていた時代であり、教皇は世俗の皇帝や王をも支配下に置こうとしていました。パレルモのカテドラルには、ローマ教皇の息のかかった司教がいて、それを面白く思わない王グリエルモ2世が、当時、王家の狩猟場だったモンレアーレにカテドラルを建設したのです。

アーモイタリア「モアンアーレ大聖堂」より引用

マルタもそうなんだけど、シチリアもこうした教会が本当にたくさんあり、そして今なおやはりその影響が強い土地だなあと思わざるを得ません。

外廊はこの日残念ながらおやすみ。行きたかったな~
外壁の装飾ももちろん豪華

もう1日訪れてもいいな…と思うぐらい、迫力のある場所でした。言葉をうまく選定できないですが、こうした圧倒的なモザイク画を見ていると、「宗教」や「権力」のもつ執着心というか、執念というか、人間の見えない底力みたいなものを感じました。すごいや。

17:00 もぐもぐタイム(アランチーニ)

さて、ふたたびパレルモに戻ってきました。小腹がすいてきたので、名物の「アランチーニ」をいただくことに。揚げたてアツアツ!でした

家庭で作られるときは、あまりものを入れるので味も様々なんだとか!

まんまるだから、食べるのにちょっと苦戦(あついし)。意外と食べ歩きには向かないかも。でも、おいしかった~!

17:30 Teatro Politeama Garibaldi

最後は、宿の近くにあるポリテアマ劇場に。内観が見られればな~とは思っていたのですが、遅くにいったことやこの日どうやらイベントがあったようで、残念ながら外観しか見られませんでした。
いつか海外の劇場で催しを見たいなあ~。未だ叶わず…いくらでもタイミングはあると思うんだけど!次回に期待!

夜のイベントに備えた椅子。この時間にイベントがあったら観客は全員溶けてしまうだろう

18:30 宿で翌日の予定を検討

例によってバテ散らかしていたので、この日も早々に宿に帰りました。が、ここで1つの疑問が。
当初の予定では、アグリジェントに1日観光に行くことにしていました。アグリジェントは、数多くの遺跡が眠る都市。ギリシャで見たような神殿や、神秘的な彫刻などが見られますが……、正直、この暑さで遺跡を巡ることに自分の体が耐えられないような気がしました。しかも、アグリジェントまで電車で2時間半…往復5時間。ますます耐えられなさそうです。
フライトを調べると、パレルモからマルタまでのフライトが翌日の夜に出発する予定。となると、パレルモで行っていない博物館などを巡る説もありますが…、うーん、せっかく来たし別の都市も楽しみたい。
タオルミーナのようなビーチにいくのもいいけど、なんとパレルモからタオルミーナまで直通のバスはありません。一回カターニアに戻るのかあ…うーん、ちょっとめんどくさいかなあ。
等、諸々考えていましたが、ひとつの名案を思いつきます。
「あっ、カターニアを観光すればいいじゃん!」
調べてみると、半日ぐらいで回れそうな規模ではありましたが、全く見るところがないということもなさそうです。語学学校で知り合ったシチリア出身の友達に相談すると、カターニアにあるおすすめのお店を3つほど紹介してくれました。ますます楽しそう!
私はすぐさまカターニアの宿をブックして、期待に胸を膨らませながらこの日はウッキウキで就寝しました。この日は、ね!

そんなわけで

含みのある終わり方ですが(笑)、シチリア滞在その他のお話はまた別の記事で~!

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