尾登雄平(世界史ブロガー・ライター)

世界史ブロガー・ライター。古代から現代まで世界史全般について書いたり話したりしてます。…

尾登雄平(世界史ブロガー・ライター)

世界史ブロガー・ライター。古代から現代まで世界史全般について書いたり話したりしてます。 著作 『驚きの世界史』(KADOKAWA) 『「働き方改革」の人類史』(イースト・プレス) YouTubeチャンネル http://youtube.com/@rekilog

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イスラム史の著名な女性8人

イスラムの歴史の中では正直なところあまり女性は登場してきません。 イスラムの社会秩序の中では女性は男性に守られるべき存在であり、公的なポジションに女性が就くことはまれであったからです。 その代わり家庭内では女性が完全に仕切っていて男は口出しできず、家庭内の教育は母親の役割であったので、女性の地位が低いというわけで全くなく、むしろ隠然たる力を持っていたのですが。 そんな社会秩序の中でも他の男性からも認められ、公的なポジションに就き歴史に名を残した女性もそれなりいます。今回はあ

    • 現代タイ経済史―タイは先進国になれるのか―

      2023年のタイ王国の名目GDPランキングは30位です。 アジアで言うと、中国、日本、インド、韓国、インドネシア、台湾に次ぐ6位です。 日本を始め世界各地の製造業・サービス業の拠点が置かれ、自動車・精密機械・造船・食品などあらゆる工場が林立します。そして首都バンコクは世界有数のメガシティ。新たな文化や産業が生まれる先端都市です。 経済的には優等生と言っていいですが、政治的には混乱が続いています。タイは冷戦時代に作られた「王室」「軍」「資本家」の支配構造が非常に強く、文民政権

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      • ケベックの歴史と独立運動の発展

        カナダ・ケベック州は、カナダ東部の大西洋に面した地域で、カナダでも有数の大都市モントリオールを抱えます。 約150万平方キロの広大な土地に約770万人の人々が暮らしています。 ケベックはフランス系住民が建設した北アメリカ植民地ヌーヴェル・フランスが元となっており、イギリス系とは長年に渡って対立、時には戦闘状態にあった歴史があります。カナダ連邦の一部ですが、現在でもケベックでは英語に加えてフランス語が公用語で他の連邦諸州とは異なる独自路線を採っています。 1970年代以降は

        • 政治犯・凶悪犯が送られた10の「流刑島」

          流刑島。 「夢敗れた男たちのたどり着いた先」みたいな感じでグッとくるものがあります。 島ってところがまたいいですね、閉じ込められた感あって。中央の抗争に破れて流されてしまい何もかも失ったが、今に見ていろ、ひっくり返してやる! ライバルへの復讐心と己の野望に燃える男たちが再起を図る…。いささか映画や小説の見すぎですが、歴史上で有名な流刑地は世界中にあります。 1. セントヘレナ島(イギリス領大西洋) セントヘレナ島はアフリカ大陸西岸から約2800キロ離れた大西洋上にある絶海

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          「アパルトヘイト」政策はなぜ生まれたのか

          南アフリカの「アパルトヘイト」と聞くと、バスや公衆便所、水飲み場など公共の施設で白人と黒人が分けられているシンボリックな写真を思い浮かべます。 今の常識だとそんな差別が制度化されていたのが不思議なほどですが、なぜ1994年まで続いていたのか。 それは単に南アフリカの白人が他の国の白人より差別的だっただけではなく、南アフリカの特殊な社会状況・経済状況がそのような社会システムを作り出したためでした。 システムの中に差別が組み込まれていたため、国際社会から批判を受けつつも、長い

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          クック船長殺害事件と「まれびと信仰」

          ジェームズ・クック(1728-1779)はイギリスの探検家で、3回の太平洋の航海でタヒチやオーストラリア、ニュージーランドの周辺を航行。さらに、ヨーロッパ人で初めてハワイ諸島を発見したことでも名高い人物です。 クックは3回目の航海でハワイを発見し、地元のハワイ島民といざこざを起こしてその途上で殺されてしまったのですが、一時はクックはハワイ島民に「神様」と呼ばれ崇拝の対象になっていました。 なぜハワイ島民は「神様」であるクックを手のひら返しで殺害したのか。それにはハワイ島民

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          ハンガリーに義賊「ベチャール」がたくさん現れた理由

          弱きを助け、強きを挫く。農民の味方・正義の義賊。 世界各地に義賊はいるのですが、特に義賊の数が多く社会や文化に根ざしていたのが中央ヨーロッパとバルカン諸国です。 今回のテーマは、なぜこれらの地域で義賊がたくさん出現したのか、です。 1. なぜ盗賊は発生するか世界的な義賊研究の権威E.J.ホブズボームによると、盗賊が「義賊」として認識されるには以下の要因があるそうです。 農民社会の周縁部に生き、いつでも元の農民に復帰できること 義賊になるきっかけが名誉なものであること

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          1898年アメリカ陸軍「腐敗牛肉缶詰事件」

          これは米西戦争後に米メディアが告発した「腐った牛肉缶」に関する記事の一文です。 戦争中、陸軍兵士たちに支給された牛肉缶は極めて品質が悪く、その肉を食べたせいで「多くの兵士が病死した」とされました。 20世紀初頭の全米を揺るがした食品スキャンダル事件です。 1. 蚊、マラリア、そして牛肉缶スペインを排除してキューバを掌握する主張は、もともと経済界を中心になされていましたが、世論の主意見ではありませんでした。 ところが1898年5月に発生した、アメリカ戦艦メイン号がキューバのハ

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          イランではどういう人物が「支配正当性」を得るのか

          共同体というものは概して、自分たちの「トップのあるべき姿の文脈」を独自に持っています。 それは血縁だったり思想や宗教的連続性だったりするのですが、これをちゃんと持っとかないと絶対に納得しない奴が出てくる。揉めて共同体がまとまらない。下手すりゃ内乱にもなる。 なので「こういう理由でオレがトップなのである。分かったね」と言う必要があります。 日本の天皇も含め、正当性などは結局は神話でしかないのですが。 今回は最も歴史が古い国の一つである、イランの支配正当性についてまとめま

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          1810年ロンドン「バーナース通り事件」

          バーナース通り事件(Berners Street Hoax)は、1810年11月27日にロンドンで起こった伝説的ないたずら事件です。 バーナース通り54番地にある裕福なトッテンハム婦人の自宅に、突如大量の荷物配達人が押しかけました。荷物は朝から夕方まで絶え間なく届き、荷物配達人で通りは大混雑し、警察が出動して大騒ぎに。婦人は依頼した覚えのない大量の荷物に怖れおののきました。 1. バーナース通り54番地のトッテンハム婦人19世紀初頭は大英帝国の全盛期。世界中のありとあらゆ

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          なぜサンフランシスコは「ゲイの聖地」になったのか

          近年、同性愛者のツーリストが世界の観光業界で注目を集めています。 同性愛者の休暇取得率は一般人より21%も高く(Guaracino,2007)、レズビアン雑誌Curveの調査によるとレズビアンの約30%が、年間の旅行支出は2000ドルを超えると答えたそうです。 アメリカ、オーストラリア、カナダ、スペインなどの観光先進国はこれら、可処分所得の高い同性愛者のツーリストが落とすお金、通称「ピンク・マネー」を取り込もうと、キャンペーンを展開したり様々な取り組みを始めています。 さて、

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          西洋美術で学ぶ聖書の物語(新約聖書編)

          「聖書の物語を知ると絵画はもっと楽しい」 をモットーに、西洋絵画の題材によく取り上げられる聖書のエピソードをまとめていきます。前回は旧約聖書の物語を紹介しましたが、今回から新約聖書、 イエス・キリストの受難の物語です。非常に有名なエピソードばっかりなので、みなさんよくご存知のものばかりかとは思います。 13. 受胎告知大工のヨセフと婚約していたマリアのもとに大天使ガブリエルが現れ、精霊による神の子の懐胎を告げた。まだ結婚もしてないのに、と驚くマリアに、ガブリエルは生まれる

          西洋美術で学ぶ聖書の物語(新約聖書編)

          西洋美術で学ぶ聖書の物語(旧約聖書編)

          ヨーロッパに旅行に行くと、絶対に美術館に行く機会がありますよね。 ルーブルとか、バチカンとか、ロンドン・ナショナル・ギャラリーとか。 その時にたくさん見るに違いないのが「聖書を題材にした絵画」。 聖書に幼い頃から慣れ親しんでいるヨーロッパ人は「ああ、これね」って感じで理解できるでしょうが、あんまり知らない人間にとってはこれがどういう意味を含んでいるか理解できない場合が多い。 これって、めっちゃもったいなくないですか。 全部は無理だけど、やっぱりある程度聖書の物語を知ってお

          西洋美術で学ぶ聖書の物語(旧約聖書編)

          なぜ「モンゴル帝国=キリスト教国説」が流布したか

          我々の感覚的にはあまりピンときませんが、モンゴル帝国が台頭し周辺各国を怒涛のように飲み込んでいく様を聞き、西欧人の多くは 「異教徒からエルサレルムを解放しに東方のキリスト教大国がついに動いた」 と歓喜の声を上げました。 後にそれは間違いだったと分かるのですが、それでも「実はモンゴル皇帝はキリスト教信者である」という話を教皇や国王を含む多くの人が信じていました。 それは 「絶対にいるはず」の東方のキリスト教大国の存在を多くの人が切望した結果でもありました。 1. プレスター

          なぜ「モンゴル帝国=キリスト教国説」が流布したか

          歴史上有名な「なりすまし詐欺」事件

          小さいころ、母親がまったく別人の顔になっている夢を見たことがあります。家族や周りの人は普通の対応をしてるけど、明らかに顔が違う。誰だこいつは!子ども心には本当に恐ろしくて、朝起きて母親の顔を確認してホッとしたものです。 これは夢だったからよかったけど、自分の肉親や王様だと名乗る全然違うヤツが現れたら、いったいどうなっちゃうでしょう。 今回は歴史上に実在した 「別人物になりすました詐欺師・ペテン師」を紹介します。 1. 偽マルタン・ゲール事件(フランス領バスク)1548

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          失敗に終わった5つの共産主義革命

          20世紀は戦争の時代であると同時に、革命の時代であります。 ロシア革命に始まり、中国内戦、インドシナ戦争、キューバ革命など、ソ連の組織的な支援を受けて次々と赤化していき、それを食い止めるためアメリカを始めとした西側諸国は世界各地にカネや武器をばら撒いていきました。 アメリカの支援にも関わらず革命政権が樹立されるがその後の内政がマズくて崩壊していったケースが多いような印象を受けますが、実は途上で革命が阻止されたケースもあります。ということで今回は、20世紀の「失敗に終わった共

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