日本はなんてお水が美味しいのかしら

我が家には2か月に1回くらいのペースでタイから来客がある。
嫁の一族・親族、友人など近い人から、妹の友人や義母の友人など他人に近い人まで様々。
タイの訪日客は年々増え続けていて、2018年には140万人という見込みもある。
タイ人にとって日本は、おおげさでなく「憧れの国」。
日本を旅したことがあるだけである種、社会的な「ハク」が付くようなのだ。
そんなわけで嫁が日本に住み始めたというニュースを聞いて、近親者・友人がひっきりなしに訪れるようになっている。
そんな我が家にやってきたタイ人が皆口を揃えて言うのが、

「日本はなんてお水が美味しいのかしら」

である。しかも東京の水道水を飲んでこう言う。

実際、タイの水は美味しくない。というかそれ以前にめちゃくちゃ汚い。そのまま水道水を飲んだらお腹を壊すので、基本的に飲まないほうがいい。タイでは飲料水は買うものだ。
それに、タイでは行水や料理用に水を瓶に貯める習慣があるため、バクテリアや雑菌が発生してさらに危ない水になってしまう。
実際、嫁は日本やってきた後、悩まされていたデキモノが綺麗に消えてしまった。

ところでタイ人は富士山が大好きだ。
東京に来たタイ人の大部分が富士山・河口湖に向かう。
その姿形が美しいというのでまず感激するんだけど、この感激を二乗させるのが富士山麓のお水の美味しさである。
以前、義母を富士山麓に連れていき、湧き水をペットボトルに汲んだら、
「こんな美味しいお水は飲んだことがないよ!」
と言ってたくさん飲んでしまったのですぐに無くなり、翌日また汲みにいかなくてはならないほどだった。
我が家にはタイから連れてきたイヌがいるのだが、このイヌも富士山の水をがぶ飲みしていた。義母は目を丸くして
「はて、この子はこんなに水を飲む子だったかね。タイではあまり飲まなかったよ。やはりここのお水は美味しいのだろうね!」
と言った。

水質汚濁はタイが抱える深刻な社会問題である。
外国資本・国内資本の工場からは工場排水が川に流れ、インフラが整っていないため生活排水も川に垂れ流される。
モータリゼーション社会であるタイは、どんな貧乏人もクルマやバイクを持っていて、近所のコンビニに行くのでさえ乗っていく。排気ガスの規制も緩く、排ガスが空気中に大量にまき散らされる。その汚染された空気が雨となって地上に降るため、地下水も汚染されている。

また、タイでは政策も政治も「事を荒立てないように、争いや問題をなるべく顕在化させず、問題がさも存在しないかのように進める」という独特のカルチャーがある。
これによって、環境汚染は問題と皆が認識していつつも、それが問題点にならないのだ。
このような国民性がある以上、きっとある程度の「外圧」がないと前に進んでいかないと思う。
国王が率先して環境問題に取り組んでくれればいいんだけど、今の国王は無能すぎてそれも無理だろう。

日本を始め先進国はかつて環境汚染や公害を経験し、行政や企業、市民の努力によって大幅に改善した経験を持つ。
先進国の企業が進めている環境対策をタイのような国で進めていき、またCSR活動を行うことで、市民の意識も変えていくことが最も理想的で、かつ現実的な方法だと思う。

日本ブランドに憧れて大枚をはたき日本に旅行して、その環境の良さに嘆息しながら、自然豊かなタイの土地がいかに汚染されていっているか見て見ぬふりをする有様は、あまりにも救いがなく悲惨ではないか。
他人の芝の青さを羨ましがってばかりいるのではなく、まずは自分が何を改めなくてはいけないかをタイ人は考えるべきだろう。
そのようなことを嫁に語ったら一言こう言われた。

「あなた考え過ぎよ」

タイのお水が美味しくなる日はまだまだ遠いと思う。

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