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史上最も有名で美しい自殺写真

 1947年5月12日に発刊された「LIFE」誌を飾った一枚の写真に、アメリカ中が騒然となりました。

その写真とは、24歳で簿記家のイブリン・マクヘイルがニューヨークのエンパイア・ステート・ビルから投身自殺をした時のもの。

死後の彼女の姿のあまりの美しさに「史上最も美しい自殺」と称される前代未聞の事件になりました。 


イブリン・マクヘイルの投身自殺


1947年4月30日午前10時40分ごろ、24歳で簿記家のイブリン・マクヘイルがエンパイア・ステート・ビルの屋上から飛び降り、下に駐車していた国連のクルマに激突して死亡しました。

 たまたま近くを歩いていた写真家志望の学生ロバート・C・ワイルズは、彼女の体がクルマに衝突する大きな音を聞き、おもわず現場に走っていきました。

 偶然カメラを持っていた彼は、事件によって渋滞したクルマの屋根によじ登りその姿をフィルムに収めました。彼女が地面に衝突して、わずか4分後のことです。

 死亡したイブリン・マクヘイルは、320メートルの高さから落下したにも関わらず目立った外傷もなく、まるで眠っているように息絶えていました。

衝撃の大きさを物語るように、クルマの外板は大きく歪み、ガラスは散らばっています。

しかしまた彼女は白い手袋をし、真珠を身に付け、まるでクルマが彼女の体を優しく受け止めたような印象すらある。その優雅な様子に人々は息を飲んだのでした。

 

 なぜ彼女は自殺をしたのか


イブリン・マクヘイルは1923年9月20日生まれ。

7人兄弟の長女で、両親の離婚後にワシントンDCで銀行審査官をしていた父親に引き取られました。高校卒業後、簿記家として働き、ロングアイランドのボールドウィンで兄弟姉妹と暮らしていました。

23歳の時にペンシルバニア大学の学生バリー・ローデスと出会う。

ローデスの弟の結婚式に花嫁付添い人をしており、その時に出会ったそうです。

将来を誓い合った2人。幸せの絶頂にあるかと誰もが思っていました。

結婚式は6月にニューヨーク州トロイにあるバリーの兄弟の家で行う段取りまで整っていました。

そして1947年4月30日、イブリンはバリーに「お別れのキス」をして列車に乗り、ニューヨークのエンパイア・ステート・ビルにやってきた。そして86階の展望台から飛び降りたのでした。

死後、ローデスは彼女が自殺する兆候はまったく見られなかったと証言しました。

しかしフランク・マレー捜査官は、展望台に置かれた彼女の「遺書」を発見したのでした。そこにはこうありました。

家族だろうがなかろうが、私は私自身のいずこも他の人に見られたくないのです。私の遺体は火葬にしていただけないでしょうか?私の家族にどうぞお願いします、どうか私に余計な心配をしないで、私を忘れ去ってください。私は絶対にいい妻になれません。彼は私がいないほうがずっといい人生を送れます。お父さんへ、私はお母さんにあまりにも似すぎています。

家庭環境が彼女に与えた影響と苦悩の大きさが感じられる遺書です。

ずっと孤独で思い悩み、誰にも悩みを打ち明けることができなかったのでしょう。 


 史上最も有名な自殺写真 


ロバート・ワイルズが撮影した彼女の自殺写真は、 1947年5月12日に発刊された「LIFE」誌に掲載され、大反響となりました。この写真が後世に与えた影響は大きく、アートやポップカルチャーに影響を与え続けています。

 

この写真自体の評価としては、「自殺写真」としてマルコム・ワイルド・ブラウンが撮影した南ベトナム僧侶の焼身自殺の写真と双璧をなすと評価されています。

作曲家のベン・コスグローブはこの写真を「技術的に優れ、魅力的で、何より美しい」「彼女の体は死んでいるのではなく眠っている」「彼女の空を空想しているかのようだ」と評しました。アンディ・ウォーホールも自分の写真の1つである「Fallen Body」の中にこの写真を取り入れました。

 白黒だった写真は後に着色されてカラー版も作られ、より臨場感と美しさが増したものになっています。

 

まとめ


確かに息を呑むような美しい写真です。

広告写真のようにも見えますがよくみると全然違う。美しさの中にある種の狂気がにじみ出ており、そこに人々は心打たれるし、また興奮を覚えるのではないかと思います。


参考サイト


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