自宅映画鑑賞感想文(mixi救出)Part1

トライアングル

(タイムループする船上で巻き起こる惨劇からの脱出を図るミステリーホラー…といったところでしょうか?最後まで見ると浮かび上るタイトルの意味。とてもよく出来ています。いわゆるショッキングシーンもよく考えられていて、必要以上に残虐演出はされていませんが、おお!とか、うわあ…とか、思わず声が漏れるほど。序盤が伏線に次ぐ伏線なので、そこを集中して見ておかないと、後半には主人公の女優さんがやたら胸元が目立つ格好で船内をうろつき回るので、それもしかしてトップレスなのねえどうなの?という方に意識が行ってしまい、内容がおそろかになってしまうので要注意。

いけちゃんとぼく

最近の子役さんは演技が上手いので、画面の中で暴力を振るわれているのを見るとどうにも気が咎めます。この映画ではそれはやたらと多いので、ちょっとキツかったなあ。原作は見ていないのですが、サイバラさんらしからぬ理屈っぽい主人公に、サイバラさん作品らしからぬ終盤の野球で友情育む展開。監督の特徴がかなり入っているのかな?という印象があります。いけちゃんというようなキャラクターを、おそらく監督はあまり得意ではないのでしょうが、一生懸命使いこなそうと色々工夫しているのが伝わってきて、だからこそラストの別れは切なくなりましたね。


大日本人 

意外と見れなくは…ない。正義のヒーローのパロディというか矮小化というか。松っちゃんが金を使って映画を取ろうと考えて、真っ先に選んだのが特撮映画だった、というのは、ちょっと嬉しい気持ちもなくはない。自ら演じる主人公に対しては、過大な期待とシニカルな視線を耐えず浴び続けられる自身の投影、という部分もあるのかな?怪獣の(いや怪獣とすら言い難い)デザインが本当に悪趣味で、アレだけでこの映画の全否定したくなる気持ちになるし、最後のグダグダ感は意図的にせよ悪い意味で吉本的過ぎて嫌だったし、そもそもこれ映画なのコントなの?と言いたくなりますが、罵声を浴びせるほどの酷い内容とは思いません。2作目、3作目は知りませんが…


劇場版 ラーゼフォン 多元変奏曲

エヴァ以降に幾多製作された雰囲気重視のロボットアニメの一つ…という位置付けで間違いではないかな?テレビシリーズのダイジェストでやや分かりづらい部分もありますが、当時として最高レベルの作画で描かれる「雰囲気」が最大の魅力だけにそんなに気になるものではありません。自分の身近か人間が、得体の知れない別の存在と入れ替わっていく、というじわじわとして恐怖が、もうちょっと上手に書き込めなかったかなあ、という印象がありました。とにかく驚いたのが、「自分の彼女が時間経過のズレで多少見た目が変わったとはいえ、なんでそんなにずっと一緒にいて気づかない?」ということ。蘭姉ちゃんはまさか薬で子供になんてという意味で仕方ないですが、彼女のいた外の世界は自分とこより時間がすぎている、ということを知ってんじゃん主人公、はよ気づけよ!


劇場版マクロスF~イツワリノウタヒメ~ 

テレビシリーズとは大きく内容を変更しておりまして、結果としてそれが吉と出た内容だと評価します。ていうかですね、テレビシリーズがあまりにちょっとアレだった脚本を「ごめん!アレはちょっと忘れてくんない?」と言わんばかりに大幅に組み替えて体裁を整えた、「後出しジャンケン」映画という感じ。こちらの脚本は映画の尺に程よく収まっていて、本来ならテレビシリーズの方が向いているはずの主人公の成長がこちらの方がきっちり描かれています。お仕事をする、ということをキチンと意識している部分が良いですね。一方で、展開の強引さはこちらも変わらずですが…。それと、原作では死んでしまった人気キャラがこちらでは…という展開は、個人的にはズルい、と思うのですが、まあこれはこの作品に限ったことではないですね。


コマンドー

若くて笑顔が始めるピチピチのシュワちゃんの胸キュンなボディーを楽しむためのアイドル映画です。ええもう軽やかにロケットランチャーを担ぎながら筋肉たわわな上半身を惜しみなく晒しつつバラの花咲く園庭を楽しげに歩く姿にときめかない訳がないですよ!一昔前のアメリカ映画だとしても映画としてのレアリティを放棄してでも主人公の見栄えを優先した絵面がやたら目立つあたり、この映画がアクション映画にアイドル映画のフォーマットを持ち込んでいるのがよく分かります。それだけの魅力がシュワちゃんにあったのでしょう。


パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉 

とりあえず前作で一区切りつけて、仕切り直しの4作目。とにかくストーリーを片付けるので精一杯だった前作のハンデがなくなった分、娯楽作品としてシンプルな楽しさは戻ってきた印象があります。が、今後も続けて行くだけの爆発力があったかというと、どうだろう?009や寅さんにしたいなら、それだけの固定ファンを今の時点で掴み切っているかどうか、が今後のポイントになりますね。上映時間が相変わらず長いのが、個人的はマイナスです。見ていて時間が長いのがお得感じゃなくて億劫になってる印象。


ブラック・レイン 

大阪マジ怖えwと思ってしまうこの映画。正直トンデモ日本もいいところで、リアリテイは微塵もないのですが、登場人物の魅力が図抜けているので、見応え十分の作品ですね。高倉健に松田優作に安岡力也にガッツ石松に…いやー濃いなんてもんじゃないですね!今の日本人俳優では出せない昭和の濃厚さ!アメリカ人俳優と互角以上に渡り合っています!まあ作品のあちこちが不自然になってしまった理由に、日本側が撮影に非協力的であったため、代用の場所で撮影しなくてはならなくなった、という、今もちっとも変わらない極めて日本的事情は、ちっともこの時代から進歩していないわけですが。


劇場版名探偵コナン から紅の恋歌 

少し前の作品から気になりだした劇場版コナン独特のカットテンポがすごく好きです。臨場感をうまく醸し出す前のめりな感じの演出と言うか…うまく言えないんだけど(苦笑)爆発脱出オチは定番すぎてうんざり、と言う意見もありますが、たまにこれがない映画をみると物足りないので、これはもうしょうがないですね。ただ、ミステリー周りがやはりあまり好みでないとと言うか、ミステリープロットの出来不出来を子供が楽しむ映画であまり強く求めるつもりはないのですが、今回のような2時間サスペンスのようなウエットな展開は、映画の質とあってない印象があります。


パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド 

とにもかくにもここで一区切り!シリアスになればなるほど、ストーリーを進めようとすればするほど面白くなくなるこのシリーズ。そのことに製作者側も気づいたか、とにかく大真面目にストーリーをドシリアスに詰め込んで、一番モタモタした部分を全部押し込んでやっつけようとしています。夏休み最終日に無理やり終わらせた宿題の山の完成度。次は余裕を持ってちゃんとやるから!だから今回だけは見逃して!9月1日の朝に提出された宿題の中身を見て、先生たちは皆このような思いを抱いていたのでしょうか。


インディ・ジョーンズ 最後の聖戦 

CG全盛以前の、古き良き体張りましたアクション映画の具体例。何もインディジョーンズの親出す必要ある?と思うけど、家族愛を全面に出すハリウッド映画はこの頃から変わらずなのか。しかし親父はどう見てもやはり宮崎駿。パートナーとして面白いのは前作の男の子の方が、と思うが、あの子は一体どうなったのだろう。


メン・イン・ブラック3 

とにかく3つに1つはダダ滑りしようが恐れることなくボケを重ねて行くことの大切さ、SF破綻もグロ描写も笑いに変えて御都合主義はドンと来い!しかし最後にキッチリ泣かせまっせ!映画全体から吉本新喜劇臭がするのは気のせいでしょうか(テンドンも使っていますし…)。コメディSFアクションとして欠点のない内容で、見所盛りだくさん、クライマックスの「え、そんな歴史的大事件の現場でアクションするの!」と言う見せ場は正直感心しまくりでした。個人的に言うなら1よりもこっちのが好きなくらい。しかしやっぱり、コメディタッチとは言えグロ場面、特に虫系が苦手の人にはちょっとムリ、な場面が頻出する1からの悪しき伝統はなんとかならなかったのでしょうか。


TIME/タイム 

「寿命が貨幣化される」そのアイデアがとにかく秀逸。加えて現代となんら変わらぬ(むしろ少し古臭い)寂れた郊外と無機質なオフィスという階級社会を背景にモダンレトロな自動車が行き来する美術も良い。アメリカ映画で予算少な目だと一番ダメになりがちなポイントを実に上手にクリアしています。そしてヒロインも可愛い!なんつーか、アメリカ映画のヒロインってこんな感じのが一番好き!ワガママなお嬢様育ちで男を振り回すけど芯は強く主人公とともに成長して行く、みたいな!しかもボブカット!好みです!とにかくストーリーが致命的に御都合主義で、義賊展開も浅く、敵役の最後なんて「…」だし、そう言うとこを見てしまうとこの作品を傑作と言うのはとても無理なのですが、逆に言えばストーリー以外はどれもこれも良いんですよ。いや良いと言うんじゃなく、私好みなんですよ!だから星5つです!


デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!/デジモンアドベンチャー

覚悟してみたのですが、やっぱり凄すぎるなあ。率直に言って、テレビ版のデジモンアドベンチャーって、当時のレベルでも最低ランクの低予算作品だったのに(だからこそ、スタッフの努力が光る作品でもあるわけですが)、なんで映画ではこうなったんだろ? そもそも細田監督、映画タイアップの一エピソード以外はテレビ版に関わっていないのに。ショートムービーの前日譚の怪獣映画的演出もすばらしいですが、やはり白眉は「ウォーゲーム」の電脳世界の表現でしょう。「サマーウォーズ」と比較されますが、コンピューターネットワークの表現としては、むしろこちらの方がとんがっている印象すらあります。ネットワーク内で事態が深刻になっているのに、リアルでは瑣末なことが障害になって、事態をどんどん悪化させて行くスリリングさも、登場人物が子供ということもあって、こちらの方が組み合わせがよりうまく行っている感じ。40分の映画にどれだけの高密度の演出をぶち込んだのだ?と一度見ただけでは全く把握できない情報量です。以降のデジモンシリーズが、本来のライバルであるポケモンだけでなく、この映画も比較対象にされてしまったのは、いささか気の毒にさえ思えますね…。


「君の名は。」

テレビ観賞組です。終始見惚れた、という一言に尽きます。SF考証は皆無に等しく、タイムリープものとしての不自然さには一切触れず、終盤には他の要素を全て吹っ飛ばして二人のすれ違い巡り合いのみを描き出す展開などなど、「恋愛映画に興味がない」タイプの人からみると不満が言いたくなる部分も多々あるのですが、そんなの関係ないってくらいの圧倒的な美術と、それを引き立てることのみに特化した演出。見慣れた風景が全て神性を帯びる世界の魅力は唯一無比としか言いようがありません。「シン・ゴジラ」が現代の日本、東京をそのまま浮き立たせたのに対して、この作品は「こうも美しく見ることもできるかもしれない日本、東京」を描き出し、双方、この国の希望を視聴者に示してくれたのでは、という印象を持ちました。明日から本格的に働き出さなくてはいけない東京勤務の皆さんから見える東京は、かくも美しくキラキラしていますか?


レッド・オクトーバーを追え! 

字幕を追っかけている日本人には気にならない部分だけど、ロシア人役の俳優さんが、場面次第で英語とロシア語で分けて話しているみたい。かなり不自然なはずだけど、あちらさんは気にならないのかな?「流れ星・銀」で犬がいきなり喋り出す、的な不自然さってないのかな(苦笑)。映画としては、事実と噂される内容を元にしたドキュメンタリータッチの緊迫感溢れる内容で、いかにもアメリカ映画らしいスタンドプレイが結果、世界を救うみたいな展開や、愁嘆場を込めたサービスアクションシーンなど、ちょいちょい不自然な映画的演出が入りますが、終始楽しめる内容です。


ゴーストシップ 

とにかくツカミが強烈なこの映画。これは一体どんだけグチャグチャグロゲロ展開が待ち受けているんだ!と身構えてしまいますが、その後の物語は意外と丁寧で、ジワジワと狂気の世界に迷い込んで行く展開をジックリと見せていきます。再びグンとテンポアップするのが終盤で、恐怖の正体も見えてくるのですが、そうなるといかにも西洋的というか、クッキリとわかりやす過ぎて、底知れぬ恐怖、というのはなくなるが残念と言えば残念。しかしラストがいかにもこうでなくちゃ!という面持ちのど定番であることも含めて、その分かり安さが魅力という部分もあります。くつろいで楽しめるホラー、という表現は褒め言葉になりますでしょうか?


東京ゴッドファーザーズ 

作画に関してはこれ以上何を求めようかという極上レベル。東京に降るべちょべちょした雪の質感をここまで再現したアニメなど空前絶後という他ありません。物語のテンポも見せ場の折り込みかたもユーモアも申し分なし。このような高い完成度を誇る作品の監督が、既に故人となっていることが、本当に残念でなりません。「君の名は」とか「サマーウォーズ」みたいな、一般レベルまで浸透する大ヒット作をみてみたかったなあ…。


96時間 

この作品にタイムクライムサスペンスと煽り文句つけた奴を今すぐここに連れてこい!脳みそなんか使う余地の一切ない頑固父ちゃん激オコ皆殺しアクションじゃないか!いやもうこの人怒らせちゃいけないとはいえ、手加減なしのやりたい放題でごめんなさいパリの悪党の皆様!良いぞもっとやれ!と、感想もついつい暴走気味になってしまう勢い満タンの作品です。ストレス解消に是非どうぞ。


蛍火の杜へ

物語は定石から1ミリとも逸れることなく、ベタベタと足音を立てつつ何のひねりもないまますっぱりと終わりますが、クライマックスで泣けたので私の負けです。別れのシーンの切れ味がすごく良かった。ワンカットで嬉し涙から嗚咽に変わる部分は見事です。ほのぼのとして少し切ないノスタルジーな世界観というのは、もう、「そこにある」だけで価値があるんだなあ、と再確認。そういう意味では少しずるい(苦笑)


パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト 

コメディタッチのアクションのノリの良さが良いです。ドリフとかピンクパンサーのような昭和コメディのタッチがありつつ現代風にちょっと洒落てる、みたいな感じ。今回も上映時間が長すぎるきらいはありますし、冒頭の話の本筋にまるで関係ない前半の救出劇とかチェストの奪い合いチャンバラ部分とか時間かけすぎだろ、とか思いますが、そこのアクションがめっぽう面白いから仕方ない。ていうかこの映画、話を進めようとする場面になると急激に画面が固くなって面白みが減退します。終盤のヒロインの行動なんぞ、えー、なんか急にそんなシリアス展開されるとちょっと嫌だなーと顔を曇らせていると、思いっきり尻切れとんぼて次回に続く。こういうひっぱり方をする3作目は、なかなかその期待に応えるで気にならなかったりするのですが、果たして…


パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち 

詰め込みに詰め込んだ豪華絢爛の娯楽映画、という感じで、見ていてちょっと疲れる感じ。キャラクターは濃いしアクションはてんこ盛りだし、物語は波乱万丈だし、目を離せない映画で楽しめることは間違いないですが、視聴が体力勝負になってしまうのは好みではないです(苦笑)ところどころにドリフか吉本か?みたいなボケが挟まったり、アクションでちょいちょいジャッキーなコメディ風味が漂ったりするのですが、変人イケメンがやってみせるとそんなのもスタイリッシュになるのですね、という感想はありました。


ミュージアム 

 出ました久しぶりの星二つ。ないわー、これはない。主人公の無能ぶりが酷すぎる。犯人に振り回されて相手舐めた挙句に同僚殺されて独断専行で罠にはまってボコりあいで負けて言いなりになって我を忘れてあやうく救出しようとしてた人殺しかけて、で、けっきょくラストの犯人逮捕に何の貢献もしていないんですよ。なにそれ?バカなの?
 いやまあ、それこそハリウッド映画とかでも頭なんもつかってない出たとこ勝負のでたらめ主人公なんていくらでもいるけど、こんな無能で魅力に乏しい主人さすがにおらんわ。途中からはもうヒステリックに喚くばかりになっちゃって、正直ただただ見苦しい。途中からは悪役頑張ってまずとにかくこの主人公を殺してくれ、と思って見てましたよ。まあ、この悪役も、ダークヒーロー感のない単なる性格悪いサイコ野郎ってのは別にいいんだけど、自分の仕事を他人に取られたことに激おこしちゃう小物っぷりで、魅力のなさではいい勝負(苦笑)
 他の登場人物もなんだかなあで、奥さんも一緒になって喚いてばかりだし、悪役の重要な関係者ももったいぶった謎めいた印象だけを残して、終始意味不明な行動。
 要するに脚本が根本から間違っている映画です。原作小説がそもそもこうなのか、映画にするときに大事なところを落っことしたのかはわかりませんが、最後の最後にお約束なオチを入れたことで、一仕事終えた満足感に浸ってしまうのではなく、十分な反省を願いたい。ホントに。


超高速! 参勤交代 

いわゆる定番のチャンチャンバラりな娯楽時代劇からちょっとずらした、コメディタッチの時代劇が、最近はみられるようになりました。その中でも成功作の一本がこちら。弱者の小藩が幕府の権力者の陰謀に立ち向かう、庶民劇の王道を貫いているという意味では王道ですが、お人よしが取り柄の平凡なサラリー武士が右往左往しながら事態を切り抜けている悲喜劇が一番の見どころ。それだけに終盤、アトラクション風味のチャンバラシーンや、涙そそる愁嘆場が入る部分には違和感も感じますが、時代劇を見たがる層にとっては、それがないと物足りないのでしょう。そして、物語の最後の方に語られるセリフ。それが何を意味しているのか、そのセリフをこの作品に入れる意味、やはりどうしても考えてしまいます。


WOWOW開局20周年記念番組 三谷幸喜「short cut」

友人の家でお泊りした際、朝食を食べながら見た、というシチュエーションなので断言できないのですが、なんと全編ワンカットという大冒険。もちろんCGでつないでいるのでしょうが、それにしてもすごいアイデアです!すげえんだな三谷幸喜!俳優さんもこの斬新なチャレンジに惹かれたのでしょう、思いっきり振り切った演技をしています。面白い!これぞ喜劇です。自分だと決して見ることがないタイプの作品なので、やはりたまには、他人のおすすめにのっかってみるべきだなあ、と思いました。


フライト・ゲーム

「わらの女」を思わせる中盤までの展開は本当にドキドキものだったのですが、犯人特定前後から急激にハリウッドテイストバリバリのなってしまうのが残念というかなんというか。クライマックスの飛行機のドンドンバンバンはCG描写なのですが、はっきり言ってかなりチープ。多分、それほどこの映画は予算をかけていないはず。あくまでミステリーとして練りこんだ脚本で勝負をしかけています。俳優人気や原作人気ではなく、こうした内容勝負の、できるならばミステリー映画を、日本でももっと作ってほしいもの。


映画 妖怪ウォッチ 空飛ぶクジラとダブル世界の大冒険だニャン! 

アニメの人気キャラクターが、現実世界に出てきて大暴れ!という企画は、昔から試されてきたことですが、やはりどうしてもあちらこちらに無理があって、子供心にも首を傾げたもの。しかし、この作品はなかなか頑張っている印象。現時点での実写とアニメの表現手段の参考資料にもなりそうな、一見の価値ある作品です。もともと人気アニメだけに、アニメパートの水準は高いのですが、今回の注目は何といっても特撮パート。アニメと特撮を並べるとどうしても目に付く差異の潰し方に、徹底的に拘っているのがうかがえます。あえて背景の市街地の情報量を減らす絵作りをする一方で、これは特撮でやった方が絶対に面白い!という場面の配置がうまい!その一方で、物語の展開上活躍させるわけにはいかないキャラや、特撮パートで似せる必要性も需要もないサブキャラの扱いの雑さは、ギャグとしては面白いけど、気の毒といえば気の毒でした(笑)


GAMBA ガンバと仲間たち

テレビアニメの作品が、日本アニメ史上でも有数の名作とあって、比べてしまうのはあまりに酷というもの。アニメ版では大幅に時間を割いたノロイ島までの冒険をほぼオールカットして、ガンバとノロイの戦いに主眼を置いたのは、上演時間を考えれば妥当でしょう。直前に公開されたドラえもんと比べると予算が少なかったのか、CG描写にインパクトある描写は少なかったですが、かと言って見栄えがしないわけでもなく、合格点の出来栄えだと思います。原作に垣間見えるいかにも昭和中期のイデオロギー闘争の気配を消しているのは、娯楽作品としては妥当だと思いますが、善かれ悪かれ作品の毒を消したしまった印象はぬぐえません。それなのにボーボは原作通りに殺しちゃうのね…ラストで誰にも振り替えられることもなし…そこはちょっと寂しいなあ。


機動戦士ガンダム THE ORIGIN V 激突 ルウム会戦 

ルウム戦役はこのシリーズの冒頭で一度描写されていますが、その時の映像に不満がありました。(カメラ移動の不自然さ、密集した艦隊描写の物足りなさなど…)その部分が今回、ほぼ改善されているのを見て、制作側の意欲がよくわかります。段々と映画としての風格が出てきました。半年に一度のペースでこのグレードというのは受け入れないといけないのでしょうが、この次回に続く!的エンディングで引き延ばすのはキツイなあ(苦笑)


モンスターストライク THE MOVIE はじまりの場所へ

ぶっちゃけ「君の名は」っぽい極彩色な色調と、実際の地名を絡めた物語展開がいかにもイマドキ狙いな感じでありますが、物語はけっこうヘビーな展開の続くスタンドバイミー的少年たちのロードムービー。課金ゲームの景気の良さを痛感させる贅沢な絵づくりは見ごたえ十分ですが、主人公の子供たちの表情などにもうちょっとこだわってほしかったかなあ、と思います。CGで表現できない部分の作画に物足りなさが感じるのですが、これもまた最近の作品にありがちな傾向ですね。


トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン 

3作目にして映像としては安定しまして、当初のブレブレ+過剰移動カットがなくなり、ロングでの見やすいながらも迫力のある映像が増えたのは何よりですが、監督の根気がほぼ尽きかけているのか、物語がはじけておりません。主人公が社会に出る間際の鬱屈は成長物として正しい展開なのでしょうが、映画全体のテンションがそこに引きずられてしまっているような印象あります。いろいろ都合があったと思われますが、必然性のないヒロイン交代が加えてよくない。この監督さんなりの変形ロボットアクションとしては、ここがほぼ完成形だと思うので、スパイダーマン同様、続編は別の人に撮らせるべきだったと思うけど、そうはいかないのは、やっぱり等身大ヒーローものに比べて難しいのかね、これは…


劇場版ポケットモンスター 水の都の護神 ラティアスとラティオス

「ポケモン映画ナンバー1は君に決めた!」という見出しでテレビ放映されていたこの作品、さすがにだいぶ前の作品ですが、この頃から変わることなく、ピカチュウのあざとい可愛さは際立ってますね…。映画を通して印象に残ったのは、当時としてはかなり最先端であったのでしょう、3DCGによる移動背景の多用で、映画全体にスピード感が高める効果があるように感じました。ストーリーとしては至極シンプルで、特にこの作品ならでは、というのは感じなかったのですが、ベネチアをモデルにした風情豊かな街で繰り広げられるアクションと出会いと別れ、という娯楽映画の王道を遂行したことが評価の高さに繋がっているのかもしれません。にして、私ポケモン全然知らないのでアレなのですが、ロケット団って、結局、何?


トランスフォーマー/リベンジ 

前作では笑っていられた、前半のコメディパートがちょっとダメでした…日本のロボット好きキッズに見せるにはちょっと、というお色気過多だし、主人公の母親役の奇矯はちょっと理解不能。アメリカの息子溺愛ママってああいう感じなの?その一方で、後半のアクションの畳み掛け部分は見応えのある一直線ぶりで、前作より引きの絵が増えた印象があり、見やすさも改善しているように思います。キャラクターのベタにもほどがあると言いたくなる分かりやすさは、こういう映画では美徳とするべきでしょうが、味方のコメディリリーフ役回りの2体はちょっと気持ち悪い顔立ちで、もうちょっとカワイイよりのデザインにすればよかったのに。それと、前作出演していた意識高い系金髪娘と引きこもりサイバーオタクデブの二人組はもう出ないの?


プレデターズ 

なんで異世界にしたのかね。全2作からだいぶ間隔が空いているようで、特撮のレベルはグーンと上がっているのですが、その大前提で納得できない人も多いことでしょう。作品全体としては1作目を強く意識していて、密林での一癖二癖ありそうな面々のサバイバルというプロットはなぞっているし、新キャラのプレデ犬などは面白いし、とあるどんでん返しなぞも足してあったりで、色々考えて作っているのですが、1作目の緊張感、2作目のおバカアクションのような、この映画ならではの売りがない、無難止まりの仕上がりになってしまった印象です。


プレデター2 

今度は大都市で大暴れのプレデさん。戦争の熱に反応などというガバガバな設定にケチをつけるやつから真っ先にナマ皮剥いでやるぜ!という意気込みも強く大暴れしています。人間側もその心意気に答え、バカで出たとこ勝負で見た目が派手なアクションを突き進んでくれます。前作のシュワちゃんほどの花がないというのと、前作の特に序盤にあった緊張感のようなものがないので、映画としての評価は落ちるかもしれませんが、頭空っぽで楽しめるアクションが見たいなーという場合は、こちらの方が向いているかも。


プレデター(特別編) 

B級映画としての見応えに特化した映画という感じ。当初は戦争映画みたいな感じだけど、サスペンスっぽい展開で、仲間たちの確執や協調がありつつ殺されて言って、最後は主人公との一騎打ち…と色々な要素を詰め込んで、飽きさせないし見どころ盛りだくさんで、しかもスカッとした後味。今の目で見るとちょっとな特撮部分は差し引いて見る必要がありますし、主人公が一人になってからの展開が少し長すぎる印象がありますが、まあシュワちゃんですから、そこは仕方ない部分なのかな。


トランスフォーマー 

公開当時、劇場で観た時は不満がちだったのですが、見返してみると、前半のコメディ色の部分とかはそこそこ面白い。当時は「なんかドリフっぽいギャグとかいいからさっさとガシャガシャ変形するロボットでドカドカアクションせいよ!」と思って観ていたのかなあ。それと、劇場では酔っ払いそうだったカメラブレ演出がテレビだと気にならないことも良かった。後半の展開の雑さは何度見直してもちょっとアレ。単品の娯楽映画としては充分以上に面白いけど、この後、続編を作っても楽しめそうな展開…ではなさそうなのだよね。


機動戦士ガンダム THE ORIGIN IV 

CGの使うタイミングが未だにイマイチ不満なんだけど…作りがいよいよこなれてきた、というか、メリハリがついてきた印象があります。生真面目に原作のマンガを追っかけるだけだったのに、アニメならでは見どころが増えてきたというか。個人的に面白かったのが、ララァのキャラクター。今の所、神秘性とかあまりなく、単に田舎者の少女、という感じなのが、いかにも安彦色という感じ。シャアも仇討ちの計画の最中とはいえ、地球をエンジョイしている感じが、まだ若さを残しているというか。いよいよ話の本格的に絡み始めたアムロの方も、無気力ではあるが、中に反骨心の気配を感じるような、いい出だしなので、リメイク発表はまさに朗報、なのですが、先は長いな…


フルメタル・ジャケット 

「あれ?何でこのDVD日本語吹き替えがないの?」という疑問が開始五分でわかってしまうファックな言葉の機関銃。身もふたも人権も良識もない軍隊の残酷な内実をあけすけに描き出したキューブリックの狂気の世界。でも、日本人が見たら「うわあ…これまんま俺の職場じゃん…」と思ってしまう可能性も高いので、日曜の夜とか連休最終日に見てはいけません。とにかく救いも何もない物語ですが、もう嫌だと途中で再生を止めるようなスキを一切与えない、映画としては完璧に近い仕上がりです。残酷な物語を、映画のテンポとリズムだけでブラックユーモアに変色させる技量は見事というほかありません。


バイオハザードIII 

第二作が仮面ライダーだなこりゃ、と思って見ていたら、3はキカイダーだったでござるの巻。ギルの笛の音で動きを止める人造人間ミラジョボビッチ。この時点でゾンビよりミラたんのがよっぽどモンスターになってしまっているのものだから、ストーリーの盛り上げようが無くなってきているのが苦しいところで、続編作品の袋小路が大きく口を開けています。2と3の間にあったはずの、世界規模のカタストロフを省いたのは予算の為でしょうか。まあワールドウォーZ辺りがぴったり治りそうだけど(苦笑)


ポケモン・ザ・ムービーXY&Z ボルケニオンと機巧のマギアナ 

良かれ悪かれ、無難に収まっているというか…。映画として欠点はないのですが、これといった見所もないような。対象年齢を考えれば、ストーリーを必要以上にこだわる必要はないのかもしれませんが、ポケモンという一大ブランドだし、予算もかけてもらってるんだから、これはイイ!というシーンをもうちょっと見たかった。ハツラツとした声でえげつないことをやる王子があっさり改心しちゃうあたりはまあ仕方ないにせよ、からくりの街とかトラウマ持ちポケモン達の集う高原とか、ビジュアルイメージは面白いのに、それがストーリーやアクションに全く絡んでいないとか、色々物足りない部分が目につきます。で、電磁パルスの鎖って、けっきょくなんだったの?


劇場版 名探偵コナン 天空の難破船 

ネット記事でコナン映画No,1!と書かれていたのであっさり飛びついて見ました(苦笑)なるほど話のまとまりが大変よろしくて、テンポもイイので、飽きさせないストーリーで、映画として良くできてます。ただ、小さいお友達に向けてのサービス過剰なのか、真犯人がどう考えてもこいつしかいないだろ、という人物設定でいきなり登場してしまったのはご愛嬌。コナン映画としてはアクションが大人しめで、クライマックスで大爆発も無いので、え、ここでお終い?とちょっと肩透かし気味だった印象もあります。


盟友、本多猪四郎相手に、「俺、実は特撮もちょっとやって見たいんだよねー」「え、マジ?でも君が円谷でやってもらうわけにもいかないじゃん」「えー、ダメなの?」「あ、そういや俺、スピルバークに挨拶されたことあるから、連絡取ってみようか?」「イイね!」という会話は絶対全くなかったことは間違い無いのですが、作品全体に仄かに東方特撮臭を感じるのは私だけですか。オムニバスの内容が本当にバラバラでつながりがなく、正直ちょっと意味わかんないですというの混ざっているのですが、最後まで見ると言語化しにくい開放感を味わえる、ちょっと感想に困る映画です。黒澤監督はロジカルの権化みたいな人、という印象があったのですが、ちょっとその印象を変える映画でした。土着性描写から始まって富士山大爆破とか視覚化放射能とか人間の荒廃からの希望…やっぱり文脈が正当怪獣映画っぽいんですよ!黒澤さんゴジラ撮りたかったんですよ!

すんません、感想というより妄想だなこれは。


心が叫びたがってるんだ。 

青春映画、というのは下手すればSFアクションやホラー映画よりもリアリティから縁遠い内容であったりすることもあるわけで、この映画もまさしく夢物語。こんなに理解ある良い仲間に囲まれた学生生活なんてないよな!嘘だよな!有りえないよ!もしもこんな素敵な学生生活がいたら、自分の青春時代は一体…!と終始身悶えしながらも、とても楽しく見てしまいました。地方都市秩父の平凡な風景を、主張し過ぎないリアリティで書き込んだ背景こそが、この映画の土台骨で、どう見てもファンタジーでしかない物語を、見事に現実に貼り付けています。

しかし、恋愛映画としてみると、話の結びがいささか雑では?


仮面ライダーJ

上映当時、これの小説版を読んだ記憶があります。いかにも上原正三さんらしい因縁話やヒーローの苦悩を織り込んだコッテリ味の内容だったと記憶しているのですが、映画にはその欠片もないですね(苦笑)。ZOやハカイダーと同様、雨宮監督の美意識溢れる造形が映画最大の魅力かと思いますが、他2作に比べるとやや見所に乏しいか。最大の特徴である巨大化アクションも、ウルトラにない魅力があるかというとそうでもないですし…。むしろ巨大化なんぞしてしまったばかりに、以降のライダー大集合映画でことごとく、ウドの大木扱いをさせられてしまう運命を辿るJさんが気の毒で(笑)


劇場版 名探偵コナン 純黒の悪夢(ナイトメア)

ジャイアンが劇場版になるといい人になる症候群はつとに有名ですが、コナンは劇場版になると人間の範囲外になるシンドロームもなかなかに重症ですね。いつかの映画では一人で雪崩止めてたし、今回もまあスーパーヒーロ並みのことをやってます。ミステリーという側面のほとんどない、サスペンスアクションなのですが、それがむしろ良かったです。冒頭のアクションなどは独特のつんのめるようなテンポのカット割りが印象的でした。いつの間にやら増えに増えた準レギュラークラスの登場人物の中でも、おそらく人気の高い二人なのでしょう、アムロな人とシャアな人の絡みが見所で、蘭姉ちゃんや小五郎おっちゃんは今回はちょい役も良いところですが、そのように下手に八方美人に見せ場を振るより、そういう感じに割り切った方が、映画としては正解だと思います。


機動戦士ガンダム THE ORIGIN III 

1、2に比べて原作に追加した要素が多く、また、物語も戦争の気配が濃くなり、展開的にはいよいよ面白くなっているのですが、それと同時にあちこちの矛盾点もどんどん増している一方、というのが残念であります。拙速な宇宙移民政策のせいで個人認証が疎かになっている、というのであれば例のキャスバルとアズナブルの入れ替えも成り立つかなあ、と好意的に捉えたとしても、ラストの部分でアムロがサイド7に入るときには指紋認証の描写があったり…(サイド7が軍事基地化しているから厳格化してるだけ?)一介の高校生に突き止められるくらいならそもそも破綻してるよね、とか…。
それと、モビルスーツのCG化は、だいぶ慣れましたが、今からでも爆発や噴煙を手書きに戻してくれないか、というのは叶わぬ願いなのでしょうね…


ファンタスティック・フォー:銀河の危機

前作がアメコミ原作の映画で一番、ってくらい好きだったので、すごい期待して見たのですが、ちょっと期待通りとはいかなかったかな…。ストーリーのベクトルがすっきりしてなくて、いかにも敵役、という感じで映されているシルバーサーファーの立場が複雑だったり、ヒーローより個人の生活を大切に思うヒロインの葛藤が随分と強調されていたり(そして案の定、最後にはあっさりと気持ちを切り変えちゃう)、結局は前作の悪役が再登場するのだけど行動がめちゃくちゃだったりと、全体にバランスが悪い。アクションシーンも、途中の観覧車バトルは見応えあったけど、他はあまり印象に残らなかったなあ…。最近製作された奴は、随分と評判が悪かったけど、これよりダメなの?


マトリックス レボリューションズ 

今度は戦争だ! という訳で、前作までのケレン味アクションから、今回はパワーローダー大活躍のSF戦争アクションが主体になっています。しかしクライマックスがいきなり車田正美になってしまうのは何故だ!(笑)SFとしてのストーリーは拗れる一方で、はっきり言って一般のお客はストーリーを追っかける必要はないよ、ただ要するに大量量産品のメガネの黒服をやつければハッピーエンドって展開だよ!と割り切らせようとしてか、スミス君の悪逆非道っぷりが強調されているあたりはご愛嬌。世界観の完遂という意味では目的を成し遂げたシリーズですが、内容がマニア向けに先鋭化しすぎて、作品の印象がどんどん狭苦しくなっていった感もあります。


ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士

主人公の秘密が前回で明らかになり、今回はその上で裁判と追跡者を切り抜けて主人公がサヴァイブできるか?という完結編。不利に立たされた主人公の裁判を切り抜ける手段が、イマイチリアルではない感じだし、一方で2からさんざんに引っ張ってきた追跡者との最終決戦が割りとあっさり目(ハリウッドならもっとド派手に建物爆発くらいはさせるでしょうに!)だし、ちょっと物足りない感じもあります。しかし、主人公がそれぞれの土壇場で一発逆転をかます場面はやったぜ!と見ていて痛快ですし、やっぱりこういうのが見たくてここまで見てきた!と思わせるものでしたので、満足感は十分の映画でした。


マトリックス リローデッド

「1が凄かったでしょ? だからこれも見に来たんでしょ? ってことはこういうのを見たかったんでしょ???」と言わんばかりの、ハッタリ全開オラオラのアクションをふんだんに持ち込んだ、続編として直球を投げ込んできた姿勢が気持ちいい作品です。しかし、作品のストーリーは割りと混みいった内容のSFもので、そこを説明するパートが、アクションと全く絡めることができず、アクション→説明→アクションみたいなぶつ切りになっているような感じで、映画全体の流れを悪くしているように思います。今、改めて見ると「日曜朝のテレ朝か?」と思ってしまうような部分も見えるアクションですが、それが逆に、この映画が現在のアクションに与えた影響の強さを意味していますね。


バイオハザードIV アフターライフ 

「続編モノの袋小路」にどっぷりとハマっている典型例、という印象。ストーリーを追っかけるので精一杯になってしまい、一本の映画として見せ場を作りつつ、なお続く続編に向けて、適度に謎を残しつつ、盛り上がりを含んで…というバランス調整に腐心するあまり、人気を博し、続編を作らせるまでに持っていたはずの、ストーリー本来のダイナミクスが失われた中で必死に出口を探しているような内容。その意味では、映画のストーリーとリンクしていますね(苦笑)。特に続編に次ぐ続編で強さにインフレを起こしすぎてお前もう人間じゃねんだろレベルになってしまった主人公の強さ調整が作中で行われているあたり、いかにも苦しい。このシリーズ自体が、かつての姿を留めないほど堕落、腐敗したゾンビ映画にならないよう、以降の奮起が望まれます。


生きる

「ジジイのストーカーが主人公じゃねえか」なんて言ってはいけません今の若い人。まあそう言いたくなるほどに主人公役の志村喬さんの存在感が圧倒的なわけで、あの視線の破壊力がおそらく見た人すべての網膜から離れないのも分かるのですが。物語としてはむしろ地味な話なのに、全く退屈しないのが凄いというか、今の視点から見ても、というより今だからこそより引き立つ、黒澤さんのトリッキーな構成の新鮮さゆえでしょう。主人公が死んだ、という場面の唐突さとか、あれだけ重要な役割を演じだ登場人物が終盤いっさい顔を出さないとか、思い切った割り切りの凄まじさが、クロサワ映画にほぼ共通する(個人的には)最大の魅力です。王道ではないんですよね、映画としては。というか王道になるには次ぐべき後継者が誰もいなかったということか。しかしこの時期の日本というか東京というのは、映画にすると絵になる光景だったのだなあ。町並みと車の形状の、今見るとカッコいいこと。


ミレニアム2 火と戯れる女 

1の主人公が私史上ベスト3に入る映画ヒロインだったので、この続編作品も期待大!しながら見てみると、なんか主人公のビジュアルがまるで違う?何故?と思ったら、このシリーズはハリウッド版と現地版があるらしく、私が好きだった1はハリウッド版だったみたい。2のヒロインもカッコいいし、物語も引き込む魅力のあって、映画としては面白いですが、2にして早くもヒロインの過去に迫る内容に向かったのは、少し個人的には残念。どうしてもトラウマ過去話に向かうと、話のスケールが狭くなっちゃうので、2くらいはもっとシンプルなサスペンス・アクション全開のエピソードでやって欲しかった。


サイコ 

サスペンスというジャンルの映像技術の進歩は著しく、流石に今の目から見れば安っぽく見える部分は目立ちますが、それでも見ていて退屈しないのは、カットのテンポの良さと、凝った構図の配分の巧みさですね。単純に脚本の出来もいいので、これをこのまま何も変えずにリメイクしたくなった監督の気持ちもよくわかります。まあやったところでまず評価されることはないですが。しかしヒッチコックさんは鳥に対して悪意がありますね。


ザ・レイド 

とにかくまあ痛そうな映画!なんでもインドネシアの映画らしいですが、安っぽさはいっさいない終始行き着く間のない本格アクション、それも容赦無いゴリゴリの殺し合い系です。ストーリーが展開していくに従って、銃撃戦から武器使用、そして徒手空拳と、アクションの質が変わっていくあたりも「分かっているな!」という感じで燃えます!まあさすがに素手同士のアクションは「段取り」が透けて見えてしまいますが、それにしても見応え十分。警官による悪党の巣であるマンションへの突入作戦、というワンシークエンスだけで突っ走っているのも、アクションの密度を高めているので大変よろしい。アジア発のアクションムービーの当たりを引くと、必要以上に嬉しくなりますし、応援したくなりますね。これの続編もあるらしいけど、面白いのかな?


メイズ・ランナー2:砂漠の迷宮 

なんていうか…、B級映画と割り切っているのは別に悪くもなんともないのですが、ストーリーもキャラクターもチープなのに、下手に金はかけてCGを作っているものだから、「まあ良く出来ていますよね」としか言いようのない、特に見どころのない絵が続く、すなわちB級ならではのこだわりとか工夫も感じられない、ただひたすらに「それなり」の映画、という印象。1がクローズド・シチュエーションだったのが一変、2はゾンビものという切り替えはまあ、全く魅力のなかった1の路線を下手に続けるよりはマシだったと言えるかもしれませんが、かといって面白くなっているとはとても言えない。そもそもシリーズ化するほどこの物語に固定ファンっているのか? というところからして大いに疑問なのですが、よほど原作(多分あるのでしょう)が人気あるのか…そしてそのファンがこの映画に満足しているのか…どうにも納得出来ないシリーズになってます。


ミュータント・タートルズ

レッドやブルーのキャラが、日本の戦隊物と比べるとずいぶん違うなあと思わせる中、やっぱりイエローはこうでなきゃ! と思わせるミケランジェロが可愛くてたまりません。トランスフォーマーシリーズはイマイチしっくりこない私ですが、こちらはすっかり楽しめました。中盤の雪山なだれ落ちアクションはなかなかの見せ場。勘違い感激しい忍者のイメージや、カッコ良さとは程遠いデザインから、日本での人気はイマイチのアメリカンヒーローですが、見てて楽しいヒーローという点ではダントツなので、今後もシリーズが盛り上がっていけばいいなあと思っています。今年の夏の次回作は、タイミングが悪かったね…。


ウルフマン 

ちょっとネタバレします。
以前、超チープな海外の狼男映画を見たことがあります。狼男が着ぐるみで、要するにアーティストのman in theナンチャラみたいな感じのやつですが、それが月夜に群れで襲いかかってくる場面は、(全身着ぐるみなんでモタモタなんですが)ワクワクしてしまうんですよ。それにひきかえ、CGメインのこの狼男の魅力のなさは何としたことか。てゆーか何でこんなブサイク面の狼男にデザインした?狼ってより猿人だよねこれ!もっと狼に寄せて見てもいいじゃん!そして悪役の狼男は人間の時が肥満体だから、変身後もチューバッカみたいで丸っこくて微妙にカワイイし(オッサンだけど)! 複雑な感情を表現するのに狼面は不利だけど、この映画も狼になった後はただ暴れるだけなので(そこは美点だと思いますが)、もっとどうにかならなかったのか。殺戮シーンはなかなかにグロなので苦手な人は要注意。


ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦! ベリアル銀河帝国 

あまりにアニメ的な作劇やキャラクター造形に、舞台に地球が一切出なけらば地球人が一人も出ない内容、ゼロ以外ウルトラ兄弟の見せ場がほとんど存在しない展開(まあテレビシリーズ主役経験のないゼロを引き立てるためですが)、大胆なアレンジとキャラクター設定で登場する往年の円谷ヒーローたち。と、いささかファンの拒否反応を呼び起こす要素が多すぎるこの作品。個人的にも上滑り感のするストーリー展開と、子供向け作品にありがちな出ずっぱりな子役(演技の達者なお子さんなのですが…)が見ていてちょっと厳しかった。しかし、ヒーローものとしては極めてスケールの大きい、今時の日本では珍しいスペースオペラであり、それにふさわしいダイナミックな映像を、限られた予算で、しかも子供向けに頑張って描き出している姿勢は感心しましたし、大画面の劇場を強く意識した映像はワクワクさせられる部分も多かったです。ラスボス怪獣もかっこいいし。悪役ウルトラと正統派恐竜型怪獣の融合ですよ!あと、個人的にすごく良かったのは、邦画はラストシーンのロケでがっかりすることが多いのですが、この映画はそこがすごく良かったです。撮り方が良かったのかなあ、何処で撮ったんだろ。ロケにお金かけられる余裕なんてないから、そんな遠くでないはずなのに。

あと、多くの方が思ったであろうことが一つ。
「レッドマンがこの映画に出ていたら、ベリアルも瞬殺だよね」


東京無国籍少女

前半の女子高生の繊細で残酷な世界の描写の重苦しさ、みずみずしさは、まるで途切れることのないようなピアノの音楽とともにとても印象的ですが、これをあのオッサンが撮っていると想像するとぶち壊しになります(笑)。学園生活の日常が少しずつ崩れて行くミステリアスな展開も、まあ押井のやるこったから、まあ最後はあんな感じになるんだろ?と想像をされた方はそれがだいたいまあ当たりでして、故に押井ファンにはただただまどろっこしいだけになりがちな作品という気もします。でもまあ、押井ファン以外は見てないよね、これ(苦笑)。
もっとも印象的だったシーンはクライマックスの女子高生アクションでなく、途中のセリフ「私が何をしたっていうの」「何もしねえからムカついてるんだろ」という場面でした。濃厚なメッセージの気配を感じる作品ですが、受け取るか受け取らないかはあなた次第というそっけなさが、いかにも押井作品。


どですかでん 

黒澤明のカラー作品デビュー作…だったと記憶してます。確かに画面上に色彩を強く意識した場面が散見し、色々試行錯誤している印象ですが、どこか迷いがあるような。とにかく貧乏な人たちだらけで、卑屈な人、卑劣な人、それでも健気に生きる人と様々な人間模様。それがカラー画面に似合っているかというと…。「戦後復興期のような貧乏物語」が、まさに「絵に描いたような貧乏」と化し、リアリティを失って行く、まさにその渦中の時期の映画という印象です。山田洋次であれば、叔母の男にこき使われる女子や、自分と血の繋がっていない(だろう)沢山の子を面倒見る男などに重点を傾けるのかなあ、とか想像してしまいますが、全てのキャラクターをフラットに描いているのが黒澤監督らしいとか思います。


メイズ・ランナー

一本の映画でこれはダメでしょう。スターウォーズや指輪物語やバックトウザフューチャーみたいな続編が既定路線の映画でさえ、最初の一本で最低限見せるべき部分は見せてますよ。これ、作中で提示されている謎をひとっつも解いていないまま次回に続くですよ。テレビシリーズの第1話なら許しもしますが、通常1800円払ってみる映画ですよ?しかも続編前提って、観客の知識に入っていないよねこの映画?そんなに原作が有名とか超大作とかでもないよね?私が知らないだけ? 

内容もちょっと、と思うのが、「あ、こいつとこいつは死ぬな」というのが予想できて、その通りに死ぬのが嫌ですね。話を盛り上げるためのキャラクター配置というのがあからさま過ぎて、とにかく物語が浅い。その死ぬ場面もおざなりな上、展開上無理やりだったりもするし…。
 繰り返しになりますが、謎は何一つわからないまま続編なのですが、金を払うんなら絶対に見ないです。ただまあ、テレビ録画で続編も録ってるのでいずれ見てはみるでしょうが…。今んとこはひたすら、製作者の姿勢が不愉快ですね。


ルパン三世 (実写版)

「かっこいい」映画というのは、無理している、とか努力している、とかを見透かされてしまうとダメだと思うんですよ。世界各国でロケして回ったり、外国人俳優をふんだんに起用したり、激しいカット割りとカメラブレブレ回したり(これもう相当時代遅れだと思うんだけど…)ハリウッドスパイアクションあたりを強く意識しているし、それなりに見せ場を作っているのですが、全体的にサル真似というか「都会に出て精一杯キメようとしている田舎者」感が凄いんですよ。役者さんは役者さんで、あの強烈な原作のイメージを再現しつつ、実写として無理のないギリギリのラインを見極めようと悪戦苦闘しているのが透けて見えるし…。ルパン一味と行動を共にするゲストキャラがやたら多くて、それが正直邪魔っけなのですが、これもいろいろ都合があって、というのが見え隠れするのが辛いとこ。せめて一番目立つキャラが男でなくゲストヒロインだったら、テレビスペシャルや映画でもありがちだし、そこまで不自然にならなかったのに、とは思いました。


奇跡 

小学生の低学年と高学年の見えている世界の違い、というのがちゃんと表現されているのが良いな、と思います。まだ世界に守られているような低学年の子は、日差しもクリアな福岡に、世界が少しずつ自分とズレてきている高学年の子は、晴れていても火山灰で薄く霞むような鹿児島に、という落差を映像で見せているあたりもさすがだなあ、と。いや実際の鹿児島が年中こうではないでしょうが、演出として。主人公の二人、特にお兄ちゃんが「見ていて不愉快ではないブサイク」なのがいいですね。少年、こと小学生くらいを主役にした映画で、主役の子がジャニーズJr.みたいなイケメンだと見る気にならないんですよ。それはもう小さな大人って感じで。もっともごく稀に、「これは主役にしちゃいけないタイプのブサイク」を主役にした少年映画もあるのですが、具体例な言いませんw その一方で女の子はちょっとませた世界にいる美少女、というのも大切ですね。手の届かない世界にいる感じが良い。ただろくでなしの父親があそこまでイケメンである必要は全くないw 遺伝なめとんのかw 


劇場版 ウルトラマンギンガS 決戦!ウルトラ10勇士!! 

昭和のウルトラ兄弟の面々に比べて、イマイチ再会の機会が少ない平成の主役ウルトラが一堂に会してのお祭り映画。なのですが、あまりこう言う場面に慣れていないのか、はたまた三部作のティガ、ダイナ、ガイアの以外のメンツはほぼ初対面同士ということもあってか(いやまあぶっちゃけちゃえば当時の俳優さんで呼べたのが一人だけ、という実情もあって)、お互いの絡みはほとんどない、余所余所しさの漂う部分は本当に残念。顔の広さでは群を抜いているメビウスがもうちょっと頑張れば結果も違ったろうが何しろ俳優さんが…なので前に出られず、ゼロは自分がやりたいことやってるだけだし、コスモスは優しすぎて積極的に声をかけられない感じだしw 同窓会の幹事役って大切だよなあ、と思う映画でした。ん?


悪い奴ほどよく眠る 

人によって映画の見所って違うと思うのですが、私個人としては構図に興味持つ部分がちょっと強いんですね。んで、黒沢明作品って、そこがやっぱり凄いんですよ。見栄えのする構図、というだけでなく、作品の意図に沿った論理的な構図、役者の演技をリードする構図。その最適解の選定が見事すぎるといえばいいのでしょうか。それに感心していると、いつの間にか展開される物語にズブズブに引き込まれる。これが映画体験だなあ、と改めて思い知らされます。ラストの締めくくり方も凄いですよね。黒沢作品の省略の美学って本当にかっこいい。
 オマケにいうと、作中に出てくる「軍需工場の爆撃跡」は当時に本当に残っていた場所なんですかね?戦後それなりに経っているのだから、セットなのかなあ。強烈に印象的な場所ですね。それと、作中に出てくる自動車が、現代の車よりよほど近未来感出してるのがなんか凄い(笑) 


ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー MovieNEX 

なんだか、渡辺信一郎作品みたいじゃんかよ!いやこっちが大元なのかな?
コメディとシリアスの配合比では、思ったよりはかなりシリアス。 性格の悪いアライグマとか、終始半裸のマッチョおっさんとか混ざってるチームなのに!それもテーマはやはりアメリカというか、「失われた家族への思い」だったりするのがなんつーか、この顔ぶれでそれやるの?という感じなんですが、でも結構、良かったです。裏切り合い罵り合い欲望にまっしぐらのまま宇宙を駆け巡る!字幕版で見ましたが、人選次第では吹き替え版も面白いかも。 


ワイルド・スピード SKY MISSION 

えーとこの人たちって一体何だったっけ、走り屋だよね?内容がもうトムクルーズのアレとかブルースウィルスのアレとかと区別つかないんだけどそれでいいのかまあ派手だからいいや。CMでも散々映し出された空から自動車発車!(実際落下)の場面はまあド派手ですがそれはほんの一部で、作品の中盤にも届いてないあたりなのが豪快。予告で見せ場出し過ぎという映画あるあるを一蹴する姿勢が良いですね。御察しの通りツッコミを言えばきりがない内容で、お前らほんとは何回死んでんねんと言いたくたる場面の連続ですが、外連味たっぷりのアクションシリーズとしては現在最先端と言って良いでしょう。
ラストシーンが、亡くなられた役者さんへの追悼シーンなのですが、これが実に絵になっているのが羨ましいですね。走行する2台の自動車からあの景観のロングに広がっていくカメラワーク。日本じゃ無理だなあ…。
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ターミネーター:新起動/ジェニシス 

前半は、今までの作品の見どころをばらしてコラージュして貼り付け、その真ん中にタイムパラドックスをミステリーっぽく据え付ける、みたいなちょっと面白い構成。で、後半は、今までより能力が高い、というのがはっきりわかる敵と、このシリーズお馴染みの大逆転、敵が味方になり、そしてまた味方が…という展開をまとめてうまく織り込んだ感じ。続編映画の構成としてはずいぶんと練っていて、そこはとても感心しました。しかし、アクション映画としてみると、これぞ、という見どころがあったかというと…「1」「2」が今も傑作として評価されているのは、まさにそこだけに、まずそこを超えなくちゃ、という気はします。練りすぎていて、展開がたるく感じる部分もしばしば。


バケモノの子

この作品のケチをつけるとして、真っ先に思いつくのって、「キャラが類型的」「展開がありきたり」「ハッピーエンドの満漢全席」「主人公リア獣になりすぎだろいい加減にしろ」あたりでしょうが、これって、例えばハリウッドムービーやピクサーアニメなんかも大抵そうなんですよね。日本人、ことに口うるさいヲタクの人種は、アニメ偏差値がやたら高くなってしまっているから、細田作品の平均的なグレードの高さに反応せず、ただストーリー部分の分かりやすさに拒否反応を示してしまう傾向があるように思います。作品を見た後に大抵の人が感じるであろう「心地よさ」、その適度な捕まえ方の巧みさを見落としていると、細田作品の正確な感想は書けないんじゃないかなあ、と思っているのですが。 

 だから、この作品に関しての個人的不満点は、異世界の魅力の乏しさですね。地中海?っぽい建物や市場(相手役の家はオリエンタルでしたが)、それがすり鉢状になっているそこに闘技場があるだけ、といった感じの世界の狭さが、あまり好きではなかったです。


機動戦士ガンダム THE ORIGIN II 

最近何かと肩身がせまいファースト原理主義者の教典…と言いたいところですが、結構、オリジン否定派も多いようで色々ややこしい世の中です。しかし「ろくにモビルスーツも出てこない。出たところでちょっと微妙なCG。延々とシケたメロドラマ見せられて何が楽しい」と酷い言われようをされるとさすがに面白くない。これはこれで「本来のガンダム」なんだよ!複雑で重厚で繊細な世界観と人間関係の描写、それをロボットアニメという玩具販促番組で、安彦さんの圧倒的画力と富野さんの天才的演出の技量で書き出して見せたのがガンダムだったの!まあ本放送の時は幼稚園児だったから木の枝でビームサーベルチャンバラをやってた程度だったけどね!


Garm Wars: The Last Druid

劇場で見ました。映画としては面白いです。 

ストーリー展開は順調でアクションは見応えがあり、
「眠くなる押井映画」ではなかったです。
ただ、この映画を悲願のように言っていたのを知っているだけに、
これで本当に満足なのかな?とは思いました。
予算の関係もあるのでしょうが、映像のスケールが内容について行っていない
印象が。
セットとロケとCGの質感が全く不揃いのままほったらかしなのはもうちょっとなんとかならんかったのか。
あの悪名高い攻殻機動隊ver2.0をやった人だから、その辺は全く頓着しないのかねえ。


真夏の方程式 

個人の好みなのですが、日本のミステリー映画が面白くなるコツは、いかに「二時間サスペンス臭」を消すことができるか、にかかっているか、だと思っています。その視線からすれば、いかにベタベタした感情劇から論理的行動であるべきトリック殺人を解き放てるかであると。「真夏の海、少年との出会い」などというノスタルジックの代名詞をメインに据えてしまうと、それはまあ、難しいかな。いや、やりようはあったはずだ! そもそもこの作品に関して言うと、トリックがあまりにも……ので、そちらを楽しむしかない、というのが実際。ほんとに原作もこのトリックだったの?


容疑者Xの献身 

原作小説を読んだ時は、失礼ながら「これ、大真面目に書いたバカトリックだよね?」と思ったものですが、こうして映像化すると、実に見栄えのするプロットだと感心しました。小説と映画では、どうしても見ている側のプロットの把握量に差が生ずるわけで、大掛かりでハッタリが効いた上で、適度に緻密さがあるこのトリックが、映像化にはピッタリだったのでしょう。海外でも評価される原作だけに、映像化は日本映画の腕の見せ所。福山雅治主演のキャラクタードラマの側面が強くなったドラマの延長であるのは当然で、演技達者の方が揃っていたので、そこに不満はありません(レギュラーだった品川がほとんど出なかったのは何故なのかと思いましたが…)。問題は、やはり演出が二時間サスペンス的というか、ベタッとした部分が目立つのが趣味に合わないなあ。イヤな奴がさっさと殺されてくれたのは良かったけど。


映画ドラえもん 新・のび太の大魔境 ~ペコと5人の探検隊~ 

わさびドラになって以降のリメイク版映画は、原作や前作になかった要素を足して見所としていた印象ですが、今回は、如何に「原作の魅力を忠実に映像化することができるか」という点に細心の注意を払った内容だと思います。原作との主な変更点は、冒頭部の短縮化と、巨神像のアクション場面の増加(内部のチャンバラ含む)で、他はほぼ原作ママ。しかし原作の魅力を過不足なく表現しようとする誠意に溢れています。だからこそ、これでどうしても不満を感じてしまうのは、もはや個人の問題になってしまうのだろうな、と。僕らの世代であれば子供の頃に9割方が見ている、とさえ思うレベルの原作です。思い入れをもって読む、そのテンポは人それぞれで、映画の進むテンポと全く揃うことは無いんだろうな、と思わずにいれらません。
 実はこの映画の最大の原作との変更点は、前述の二つではなく、あのクライマックス、「なんだよ、また一緒になっちゃった」とジャイアンが呻くシーンの直前のあそこだと思いますが、それをするの正しいと思うかどうか、そこで皆さんは判断することになるのかもしれません。


ダイ・ハード4.0 

これの次にやったやつが、「もうこれダイハードじゃないよね」という内容だったので、もうこれもダメな感じかな?と思っていましたが、見てみると、ギリギリというか、まあここまでがダイハードだよね?という印象でした。この映画、舞台がアメリカ全土レベルなんですよね。今までのダイハードって、ニューヨーク(でしたよね…)都市一つの中に収まる規模だったじゃないですか。一刑事、が大暴れするレベルって、それくらいが適当だと思うんですよ。そこから広がってあちこちいいちゃうと、ちょっともう不良中年刑事にやらせる範囲じゃないという感じが。アクション映画としては十分楽しめる映画ですが、続編もの特有の無理があちこち出ているなあ、というのが感想。


ポリス・ストーリー3 

ハッタリ上等!のジャッキー映画で、金の使い方も覚えましたぜ!という時期に当たるのか、終盤のアクションの見ごたえっぷりは文句無しです。列車だのヘリコだの、ハリウッドでは見飽きたパターンも、香港の全力アクションの大雑把あふれるアクションの魅力は持ち得ません。ただしストーリーのメリハリって大事だよね?などという余計なことまで覚えてしまったらしく、前半に見せ場をケチっている感じなのが残念。前半はコントタッチの描写が目立つのですが、ジャッキーらの演技頼りで、お笑い部分にはお金をかけない、という判断があったようで残念です。まして映画全体が香港映画なりに洗練され安っぽい猥雑さがきている分、むしろコントの部分のキレが落ちてる印象があります。構成なんて考えずに、とにかく徹頭徹尾アクションですっ飛ばしてくれていいのに。


ダイバージェント 

近未来の強化された管理社会の解放を目指す、ディストピアもの。物語の展開のテンポは良いし、見せ場もいくつもあるのですが、どうも全体、退屈感が漂うのは、映画の背景のつまらなさが原因じゃないかなあと思うわけです。舞台に近未来感がまるでない、やや廃墟感が漂う都市で、周囲を壁で囲まれていてその外は荒野、みたいな設定。日本で言ったら寂れた地方都市みたいな場所でどんなに近未来だ言っても、やっぱりなんかつまらない。それとこの映画、選ばれた階層が4つのカテゴリーに分類されて、そのいずれにも含まれない人間が下層社会を形成しているのですが、その人たちはほぼ終始、物語に絡みません。こういう映画って、そういう立場の人間が立ち上がってこそ意味があるんじゃね?


トランセンデンス 

ネタバレ含みます。

途中、どう考えたってオーバーテクノロジーが過ぎる描写が始まっちゃったり、幾つかのツッコミどころが残ってしまったのが残念ですが、全体を通しては満足できる映画でした。こういう展開だと「けっきょくお前はどっちなんだ」とどれだけ視聴者を迷わせられるか、という部分が重要だと思うんですが、そこはキッチリやりきっているのが、好感を持てます。もっとも私は映画を見終えるまで、主役がジョニーデップと気づかなかった(!)ので、そうと知ってたら、「あーじゃあこいつが悪役になるオチはないかなあー」と思ってしまったかもしれません。


ロボコップ (リブート版)

ダークナイトとか猿の惑星の悪い部分を見習いすぎたかのように、面白くないんですよ、ヒーロー映画としては。とにかくテーマががっつり全面に出ている映画で、アクションシーンは正直、これなら邦画でも戦えるよね?というレベル。いや金もCGも金かかっているんだろうけど、印象にはほとんど残りません。せっかく色黒くしてデザインカッコ良くしてんのに。もっとも、デザイン良くしたら動きもスムーズになっちゃて、あのウイーンウイーンのレベル高いコント芸みたいな動きがほとんど無くなっちゃったのは残念かも。でも逆に、アクション映画という視点を外して、テーマを表現する映画という意味では、かなりまとめ方としては手際良くできているとは思うんだけど…別にそういうの見たいわけじゃないんだよね、このタイトルに。


トランスフォーマー/ロストエイジ 

何処をどう面白く思えばいいのか、ちょっと分からない映画になってしまっています。いまどき、こりゃスゲーCGだ!と喜ぶ人なんていないわけだし、いかに演出で引き立たせなきゃいけないのに、なんか締まりのないストーリーをなぞるように「こういう展開なら、じゃあこういう絵作りでいいよね」程度の印象で、全体を通して散漫。まあそれだって、邦画より全然CGレベル高いんだから、文句言うな!と言えば黙るしかないんだけど。だけど、こういう映画相手だったら、内容次第で勝負に持っていけるかもしれないよ、「進撃の巨人」だって!(旬ネタ)ぶっちゃけた話、もう蛇足臭がハンパないんだけど、人気があるから止められない、という部分はあるのかなあ。このシリーズ中国でバカ受けと聞いたことがある上で、この映画後半は中国(観光地メイン)の舞台だし。


イントゥ・ザ・ストーム 

一人称画面が多用されているけど、パラノーマル某やクローバー某みたいに徹底している訳ではなく、肝心な部分はあっさり通常画面にしているのがなんとも中途半端。映画全体も、パニック映画ではありながらキャラクターが絞られすぎている感じで、広がりがない。どうやらそれぞれの事情に迫って、家族愛とかそういう部分を書き込みたかったのか、後半は感動場面を強調しています。昨今の巨大竜巻やタイフーンで、甚大な被害が繰り返されるアメリカ、悲しみに打ちひしがれながら、しかし明日への希望を捨てない……。そういうメッセージを見ていただきたい、そういう気持ちもあるのだろうか……、そんな気持ちを絶妙にコケさせるラストは一体なんなのか(苦笑)。嫌いじゃないけどね。


猿の惑星:新世紀(ライジング) 

ダークナイトシリーズにも通じる、居心地の悪さがある映画だというのが全体を通じての感想です。「俺はSFXで深刻なテーマを書いているんだ」という自意識過剰が透けて見える、というか……。重い主題で書いているというのを言い訳に、ストーリー展開はベタなままで良いのか。キャラクターはありがちのままで良いのか。もうどこまでが実写なのか確かめる気にもなれないCGは、それだけで見所と評価して良いのか。「高い制作費をかけて作る映画の取扱説明書」に忠実に則った映画という印象と、異なる種族との共存は可能か、という命題との不釣り合い。初代の映画にはあった、それこそ野生の猿のごとき野心が欠けた映画だと思います。


るろうに剣心 伝説の最期編 

どうしても不満は残る内容なので、評価が下がってしまうのは仕方ないですが、それにしたって出来が悪いわけでは決してないですよ。原作との変更点が多く、登場人物も多すぎるので、処理が大変だったりで、アラは目立ちます。福山の場面長すぎとか十本刀空気とか、よってたかって卑怯じゃんとか、敬礼オチはもういいよとか。ただし、物語の根幹に関しては、個人的にはむしろ原作よりキッチリ通している印象があります。剣心と真実とアオシの三人の、過去の清算の対比が強調されていて、(そのあおりでソウジなどの書き込みは浅くなってしまいましたが)「拭いきれぬ罪を経て、なおいかに人は生きるべきか」というテーマがしっかりと浮かび上がっているので、本格的な映画となった評価すべきではないでしょうか。欠点はあれど、星5つをつけるに値する映画だと思いました。今まで日本映画を海外配給する時って「恥ずかしいなあ」という気持ちが付きまとったものですが、これなら堂々と見せることができる、と思います。しかし、そうなるとやはり深刻なのは、時代劇のロケ地不足。別の場所のはずなのに同じ所で撮影している場面が散見されるのは、仕方ないのですがやはり残念。


るろうに剣心 京都大火編

ここまでやってまだ文句あるならもう邦画は見ちゃダメだよ、というくらい頑張ってます。アクション映画として十分レベルは高いです。不思議なモノで前作の時には、原作と比べて違和感を感じたものですが、今作に関してはそれもあまり感じず、俳優さんが役に馴染んできたなあ、と感心しました。今回から登場した俳優さんも負けず劣らずハマリ役そろいで、それぞれの原作の得意技のイメージをうまく実写のアクションに落とし込んでいます。操のアクションに特にびっくりしたのですが、あの人はアクション俳優なのでしょうか?


フライトナイト2

ハリウッド映画ばっか観てっと、どんどん邦画に自信が無くなっていくから、たまにはこういうのも見ないと…ってつもりで見たんじゃない!(苦笑)。「安っぽくてありきたり」の模範解答例のお色気混じりのアクションホラー。こういうのがお好きな人もいるのでしょうが、そうでない人は、何かの片手間で見ないと…ちょっと時間が勿体無い…かも。日本では禁止レベルのビカビカの光の明滅もありますのでご注意。



ものすごくうるさくて、ありえないほど近い

こういう映画を邦画で見ない…のではないのか、自分が見ないだけかなあ。アメリカ映画で子供主役の映画、「スタンドバイミー」とか「マイフレンドメモリー」とかと、邦画で描かれている子供って、なんかちょっと違いますよね。子供というものに対する日米の認識の違いとかまあ色々あるんでしょう。ただ、最近は邦画の子供の演技力も上がっていると思うのですが、それでも大抵、子供をメインに据えた邦画にリアリティを感じることってほとんどないんですよね。いややっぱり、リアリティある子供の世界を描いた邦画を避けているだけかなのかなあ。自分の近くにいる子供が残酷な世界で苦しんでいるとこなんか見たくないですもん。
 映画の感想から離れた独り言になってしまいました。9.11で父を亡くした子供が、父親を失った意味を知る為に、大人の世界へと冒険に旅発つ物語。人の善意が子供を絶望から救い出すその過程を、アメリカ映画とは思えぬほど(だから私の映画の選定がおかしい故の偏見だそれは)静かな描写で描き出すいい映画です。しかしこのお子さん、とうとう終始、同級生とか友人とか、そうした関係がいっさいないままです。大人との関係だけで終わってしまっては、この子の自立はまだ先だ、と思うんですけどどうなんですかね。明らかに友達を作りにくい性格をしている(アスペルガー症候群気味、と描写されている)だけに、そこまで描いてしまうとリアリティに欠ける、と判断したのであれば、そこはまさにアメリカ的だなあ、とか思ってしまいます。邦画なら間違い無く、ラストで友達の輪の中に走って行ってラスト、にしますもん。


ダイヤルMを廻せ ! 

そこをスクリーンプロセスにする必要ってあるの?という場面が多々あるというのは置いておくとして(ロケとセット撮影の画面の不統一感を消したかった…のでしょうかね)、脚本が完璧に過ぎるとしか言いようがない。映画でここまで精密なミステリーって見たことないですよ。これ原作の小説みたいのってあるんですかね。映画でミステリーをやる上での限界というか、これ以上複雑だと説明だらけになるとか見ている側が分からないとかのギリギリを見抜いていると言えば良いのか…。けっこう凝った演出とかカメラワークもあるんですけど、脚本から逆算したような、あえて見せびらかさない感じで、隅の隅まで計算ずく、といった緻密な印象。まあ不朽の名作ですよね。むしろ完璧すぎてかえって可愛くないという印象さえある映画です。


探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点 

前回よりコメディ感が、特にアクション部分に増している印象。そこで好みが分かれるかも。個人的にはこっちの方が好きかなあ。主役がなにしろ大泉さんなんだから、ドタバタしてた方がおもしろいでしょう。スキージャンプ台とか路面電車とか直売所激突からの坂転落のカーアクションとか、アクションの舞台のハッタリの効かせ具合が良いです。むしろ、そうしたコメディタッチと、反原発活動の政治家が登場するアンバランスさが、この映画の印象を悪くしている気がします。相棒じゃないんだから、変に政治問題とか絡める必要ないんじゃないかなあ、このシリーズに。

こちら葛飾区亀有公園前派出所 THE MOVIE ~勝どき橋を封鎖せよ!

こち亀でさえ無ければ…それを言っちゃおしまいなんだけど。こち亀でさえ無ければ、けっこういい映画ですよ。ラストとか本当に感動したよ俺は。「踊る大捜査線のモロ二番煎じだけど人情味を追加要素にしてみた警察ドラマ」とすれば、それなりの水準だと思う。ただねえ、これ、こち亀だから……。香取くんの頑張りが痛々しいよお。これ、ラサール石井でやってみれば、そうとうしっくりしたんじゃないかなあ。何しろ敵役があの人なわけなんだし。せっかくの映画なんだし、もうちょっと都内ロケでのドタバタアクションをやって欲しかった。


ねらわれた学園(アニメ版) 

あえて例えるなら、「昭和の少女マンガ」かなあ。あまりに過剰で外連味あふれる世界描写。終始空の色をマトモに描いていないような大胆な色彩感覚。世界全てがLED発光しているような煌びやかさ。背景や人物作画に凝りに凝っている割には、あからさまにパースが狂っている場面も多いし、正直いうと、力技すぎるというか、度が過ぎて……ちょっと下品。
原作を読んでいませんが、おそらくそうとうSF設定が書かれているはずですが、その部分を思いっきりばっさり切り落としているようです。その説明で展開が重くなるのが嫌だったのでしょう、確信犯的に「雰囲気を楽しむ映画」にしています。携帯電話をストーリーの中心に持ち込んだあたり、現代に合わせている努力はしていますが、キャラクターの立ち居振る舞いが古いままなので、(ヒロインのあまりに昭和チックなツンデレが、ねえ……)どうもしっくりこない。とにかく何から何まで近寄りがたい世界観の映画です。


翠星のガルガンティア ~めぐる航路、遥か~ 前編 

ストーリーはさておき、この作品で感心してしまうのは背景の作画。よくもここまで、という書き込みは世界観を存分に表現しているのですが、正直、見ていてクラクラきます。いわゆるハイビジョンになって以降、色彩や露出などの部分でアニメはどこまで表現すべきなのか、という問いに、まだ結論を出していない印象があります。そもそもハイビジョン映像自体が人間の実際の視界に比べて不自然に明確すぎる世界だという事実がある以上、アニメはどちらに近寄るべきか?宮崎作品がハウル以降、書き込みに対する先鋭化を放棄したように、その見極めは絶えず作品ごとに考慮する必要があると思います。
……っていうか、これだけ背景作画やメカなどの設定がここまでリアル志向であると、美少女まみれの登場人物の(服装を含めた)不自然さが極まってしまうのだけど、そこはまあ言うだけ野暮ですか。
ところでこのアニメ、「ザブングルっぽい」という評価に興味を持って見たんですけど、個人的は「ガリアン」のが近いなあと思いました。主人公と主役ロボの関係は「レイズナー」っぽいし、高橋路線?


平成ライダー対昭和ライダー 仮面ライダー大戦 feat.スーパー戦隊 

すっかり恒例になった全員集合ライダー映画。ライダーも怪人もぞろぞろと出さなきゃならないし、それぞれに見せ場も作らなきゃならないし、挙句に戦隊ゲストもお願いね!なんて言われてマトモな映画なぞ出来るか!という逆ギレの妥協点を楽しむシリーズになりましたが、今回はそれに平成vs昭和で戦え!なんていう注文までついちゃいました。今回は半ば開き直って、ゲスト俳優で来てくれた人にググッとクローズアップして、他の皆さんは今回はご遠慮ください、みたいな比重でクリアしてます。話題になったマルチエンディングは本当に蛇足で、別にどーでもいいやって感じですが、ボツエンド収録はセル版のみ!レンタル版には無しよ!という商売に十分貢献しているみたいです。しかし、この映画の不満点は、せっかく来てくれたゲスト俳優同士の絡みが、もうちょっと欲しかったなあ、という部分。平成側はそれなりにあるんですが、昭和側で1号とXが生身で顔も合わせないというのはガッカリ。ライダー映画は撮影スケジュールが厳しいのが透けて見えるのが困ったもので、ロケ地ももうちょっと見栄えがする場所を選ぼうよ、と思う部分がそこそこにあります。いやもう採石場とか岩場の海岸は伝統の地なんでしょうけどさ。


機動戦士ガンダム THE ORIGIN I 

劇場鑑賞しました。劇場で限定版ブルーレイ売っているとか言ってた気がするんですが、無かったのは売り切れだったのか勘違いだったのか。あちらこちらで公開されている冒頭8分間の映像、あれが正直好きになれない人たちも多いでしょうし、実際私もそうなのですが、全編通してみて、一番違和感があったのがあそこだから、大丈夫です!多分!
原作漫画を読んだ方はわかっているでしょうが、今回のパートは「ガンダム」の「第一話」でなければとても映像化してもらえないような地味な話です。劇場には子供連れもけっこういたのですが、お子さんこれで楽しめたかな?多分親は楽しめたろうけど(笑)。基本政争劇が中心の、ドキュメントじみたストーリーなので、昭和っぽいギャグタッチとか、クライマックスのタンクの大暴れとの食いあわせは、決して良いとは言えません。(監督の今西さんがユーモア向けじゃないってのもあるのかなあ……、ネットで書かれていたけど、バイファムを作った08小隊の神田さんが御存命なら……)ただし、そういうのも含めて、いかにも安彦さんだなあ、と思わせるものがあります。ガンダムファンにはやはり賛否両論が出るのは仕方ないですが、富野さんと安彦さんが書いたからには、そのガンダムはやはり「正解」でしかあり得ません。いや、レコンギスタに関しては何も言いませんが(苦笑)
最後にもう一度作画について。やはり3DCGに関しては、OPもそうですが、MSを含めた機械をそうするのは仕方ないとして、爆発光とか煙とかは、手書きに戻してくれないかなあ。あと、馬もダメ!人物作画は相当なレベルですが、最近の安彦さん特有の口元のタッチうに苦戦しているようで、ときどき崩れているように思います。


機動戦士ガンダムUC [MOBILE SUIT GUNDAM UC] 7

原作になる小説のラストがそもそも、あまり映像向きではなかったので、アニメではどうやってくるかなあ、と思っていたのですが、登場するモビルスーツを派手にする、という以外はあまりいじって来ませんでした。まあ仕方ないのかも知れませんが、やはり何だか妙竹林な宗教がかった展開になってしまったのはやっぱりちょっと違和感があります。まあファーストガンダムも、ララァとの交流のあたりではよくわかんないイメージカットとかバンバン入れてたので、ガンダムの許容範囲に収まっているといえばそうかも知れません。この作品の一番の肝は、こと主人公あたりが乱発する弁論大会「青年の主張」的な奴を、どれだけ許容できるかにかかっているので、そこを恥ずかしいとか(笑)とか思ってしまうと、あとは現代最高レベルの作画でどこまでもカッコよく動き回るMSを楽しむしか無くなってしまいます。個人的には歴代宇宙世紀作品で、一番印象として近いのはZZって気がしますね。ミリタリーとしての側面が希薄で、主人公周辺の狭い世界で物語が回っている感じ。MSでZZ系がやたら多いのも、そう思わせる要因ですけど。
それはそうと、どうしてもこれだけは言いたい!この作品のキャラクターデザイン、上手な人が書いてるんですけど、否イケメン系、特にガランシェールの面々みたいなゴツイ系の人たちの顔の輪郭がどうしても好きになれません!独特の下膨れが気になって気になって、どうしてこんなに気になるかと自分でも不思議だったのですが、最近、その顔の輪郭が「魁!男塾」そっくりだと気づいてしまいました。そうなるともうダメで、アルベルト君が穏やかに叔母を諭す名場面も、空に微笑みを浮かべて描かれた松尾にしか見えなくなりました。もうシリアスにガンダムUCは見られない……。


風立ちぬ

例えば、プロットに分解したならば、 理想的な構成の映画には程遠いと言えると思います。 

恋愛映画、として捉えるならば、 ことヒロインの行ったり来たりのせわしなさは、気になりますし。

しかし、ならばどうすれば良かったのか、といえば、
これがまったく浮かばない。
この作品は最初から最後まで画面の構成が凄まじくて、
足したり引いたり、という箇所が見つかりません。
例えとしては最低の部類になりますが、
黒澤映画の全盛期のような隙のなさがありながら、
黒澤映画のように硬い手応えではなく、穏やかな雰囲気に満ちている。
何度も見返すべき映画とは、こういう映画だと思います。

あれほどのモブシーンを書きこんでおきながら、
かつての宮崎駿作品のような、満ち溢れる生命力は露出していない。
BGMもガヤを絞れるだけ絞って、日常感の表現だけに落とし込んでいる。

日本国内、それも東京を中心にしておきながら、抜けの効いた背景を多用している。
それも作画密度を上げて、開放感は潰しておくことで、
戦前の日本の空気感を演出することに差し向ける。

驚くほどの手間を全て、かつての日本を自然体に再現することに特化させた
手腕だけでも、どれだけ学ぶべき点があるのかと。
逆に言うならば、かつての時代を再現するということに、
どれだけの労力が必要とされるのか、という事実。
本当の日本、をフィルム状で現出させることで、
その上に広がる空にゼロ戦を飛ばすことで、
監督の言う「戦記マニアからゼロ戦を取り戻す」という試みは達したのでしょう。

もちろん、それだけが目的の映画ではないでしょうが、
これを引退の花道にするにはふさわしい仕上がりで、
しかしこれで引退するにはあまりに惜しい監督の作品であることは間違いありません。

最後に、アンノさんの声ですが……。
私は途中で慣れました(苦笑)。
もっとも、声優のアイドル化に強い不満を持つ私でさえ、
最初は何とかしてくれ、と思って観てましたけどね。


ダイ・アナザー・デイ 

寅さんと並ぶ映画界のシリーズ物、007。
共通しているのは、「哀愁を帯びた男らしさ」を求める映画といったところですか。
007に求められるのは要するに、如何に007というキャラクターを魅力的に描くか、
その一点に尽きると言って過言ではありません。

一昔前の映画ですが、
ハリウッドでCGが多用されるようになって、
アクションがインフレを起こし始めた時期の作品なのかなあ。
とにかくハデハデで大げさで大雑把なアクションが目について、
しかも、画面がイヤーなタイミングで古びているので、
今見ると、
全体的にコメディじゃねえのかこれ、みたいな温度になっています。
(一番ダサイ、と思うタイミングの一昔前ってありますよね)
荒唐無稽の針が振りきれてしまっているので、
その中で如何に007がかっこよく振舞おうとしても、
どこか滑稽な感じがしてしまいます。
スマートでオシャレでウィットに富んだジョークも、
ちょっと前に流行ったお笑い芸人のネタのような。

大衆映画である以上、流行に丸乗っかりした映画もありだと思いますし、
007のようなロングシリーズではソレを行うことで、
映画の流行の変遷を知ることができるので、
こうした作りは決して間違いではないのでしょう。
ただ、この作品が007シリーズの中で傑作であるかといえば、
多分、そうではないんじゃないかな、と。

ところで、寅さんと007の最大の違いといえば、
惚れた(惚れられた)女を抱くかどうかというところ。
シリーズ全てを通して、とうとう女性を抱くことを潔しとしなかった寅さんに対して、
007は躊躇なし。
この映画でも2.5人(一人はCG上なので)と枕を共にする007。
私は寅さんを応援するぞ!
リア充と007は爆発しろ!
がんばれスペクター!


ジャンゴ 繋がれざる者 

ひっさびさに2時間半サイズの映画見たよ、疲れたよ。 

しかし、一気に見ることができたんだから、面白い映画でした。
さすがタランティーノと言えば私でさえ知っている映画界の巨匠。

ゴリゴリの暴力描写の並ぶ、
アフリカ系人種を主人公に据えた西部劇。
サングラスをワイルドに決めたイケメンアフリカ系が主役となれば、
スタイリッシュにクールに決めるぜ、となりがちですが、
タランティーノ映画はそうじゃないのがいいと思ってます。
泥臭い「ダサかっこいい」ところが良いよね、っと。

特にそう思うのが、劇中歌のセレクトと使い方ですねー。
オープニングの歌と画面なんて、ベッタベタもいいところだけど、やはりそこがイイ。
こういう恥ずかしげもない歌の使い方をしてビシっと決める映画って、
最近、あまり見ない気がします。
邦画だと、タイアップの都合もあって、クライマックスに大音響で
J-ポップが流れだしたりするけど、
あれは大抵、ハズしてますね……。


北北西に進路を取れ

いい年こいて、映画のレビューもぼちぼち書いてんのに、
今更、初めて観てますこの映画。
もう何を書いても語りつくされているでしょうこの映画なので、
あえて多く書かない(笑)
語れば語るほどボロが出そうだし。

映像、とくにスクリーンプロセスを見ればそりゃ昔の映画だと
思いますが、テンポに関しては今の映画と大差ないのが、
センスというものかなあ。
古典映画で2時間オーバーったら、普通途中でウンザリしてきますよ。
それがほとんどないってのはやっぱりすごい。
ヒロインが今観ても美人ってのも何気にすごい(笑)。

サスペンスの謎要素の引きの強さとか、物語展開の盛り上がり配置の妙とか、
画面構成の巧みさとか、
見習うところだらけの映画ですねさすがに。
いや見習ってなにすんだ、って話ですが。


クロユリ団地 

ホラー映画ではなく、アイドル映画としてみるべき映画で、それだったらホラーのお約束であるシャワーシーンを何故やらない! とかそういう部分で不満を述べるべき映画です。怖さを演出しようと頑張る、色とりどりの照明のバツグンな安っぽさが、昭和風情の団地の光景と相まって、夏まつりのお化け屋敷みたいなチープさが全編を通しておりますので、そこを楽しまないと損です。しかし、この主演の女優さんって、元AKBの人でしたよね。だったら、もうちょっと可愛くとれたのでは…、いやクオリティが元々こんなもの…ああ!


ルパン三世vs名探偵コナン THE MOVIE

前作のテレビスペシャルがなかなか面白かったので、楽しみにしていたのですが、かなりガッカリしたのが正直な感想。お互いのキャラクターが絡みあうオトボケシーンが目立つのですが、あまり面白くない上に、話のテンポを遅らせていて、話が盛り上がらない感じ。なんでルパンなりコナン単体の映画ではあれだけのど派手なアクションをさせるのに、見せ場の乏しいこんな地味な展開にしてしまうのか。キャラクターの動きも全体的に硬くて、特にルパン作画のゲストキャラは直立しっぱなしみたいな感じ。なんとなくの印象ですけど、製作者の何処かの誰かが、「またやるの?」としぶしぶやってたんじゃないか、みたいな空気を感じる、なんかダラダラした映画です。


チョコレート・ファイター 

あの日本人俳優を使っているくらいなのだから、日本向けを強く意識した映画であるはずなのに、なんだってこんなに日本で上映しにくい映画にしてしまったのか。主人公が知的障害にして、アクション舞台に生肉工場を選んだりして、エグい描写もあちこちに…。まあ、昨今の日本の表現が狭まり過ぎている、という気もしますが。主人公の女の子はフツーにしてると、とても素朴でかわいい子ですが、アクションの容赦なしっぷりはなかなかのもの。正直、アクションのレベルはアジアアクションスターのレベルと比べると物足りない気がします。足技メインの動きにレパートリーが少なく、動きも単調な部分もあって、ちょっと間延びしている印象もあるのですが、それでもクライマックスの雑居ビル外壁のアクションは圧巻です。これホントにノーCGノーワイヤーでやってるとしたら凄いと言うより怖い。実際、香港アクションものに習って、エンディングでNG集を流すのですが、これがもおホントにエグくて、私は正視できませんでした。今後も楽しんで観る事ができるよう、是非、職場での安全管理は徹底していただきたい。


ウルヴァリン:SAMURAI 

外国映画で日本を撮ってもらう時、日本のありのままの姿を正確に撮ってもらいたいか、それとも思いっきり勘違いしたままやっちゃってもらいたいか。もちろん映画の内容によるわけですが、そのどっちも面白くなる可能性があるわけで。「こんなの日本ぢゃねえ」というのを批判するのでなく、そこも含めていかに楽しむか。そこが問われる映画です。色々と微妙な部分は多々あるにせよ、選び抜いた日本のロケ地は見事に有効活用されていて、実在する日本の風景でのビル屋上や屋根伝いのアクションはなかなかの見所。特に白眉なのは、なんと言っても、新幹線(モドキ)の屋根でのアクション!セットとCGメインの場面ですが、ここは必見!逆に言うと、クライマックスのアクションが月並み止まりだったかなあ、という気がします。最近のハリウッドアクションのクライマックスに有り勝ちの、CG建物内ドタバタに持っていちゃって、かえってスケール感が減っちゃってるパターン。どうせ日本でロケしてんだから、いつもの採石場でも使って派手に爆発とかさせてしまえば良かったのに。無理か。


ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日 

ハイビジョン高画質の世の中になって、もちろん画面がキレイになるのは大歓迎ですが、それが必ずしもメリットだけとは言えないような…、とちょっと考えてしまったこの映画。作中に繰り広げられる幻想的なシーン。その作為的なまでの美しさは、演出の範囲内なので大歓迎なのですが、画面の隅から隅までバッチリピントの合った画面の不自然さは、ちょっと引っかかります。「この世のものとも思えない美しい瞬間」は、この世に存在すると思えますが、「この世のものとも思えない美しい瞬間を、実際にはあり得ない形で撮影」されてしまうと、映画全体が嘘くさくなってしまいます。まあアクションとかなら気にならない事ですし、劇場の大画面では、ピントの外れた場所を少しでも減らさないと観づらいという事情もあるのですが。しかし、動物のCGは、もうホントに本物かどうか区別かつかないレベルですねえ。やつれた表現も自由自在ですか。


テッド 

アメリカB級映画のお下品っぷりというのはもうホントにトコトン下品で、こればかりは日本映画のほうがマシじゃねえかと思うのですが、そこを乗り越えすれば良い映画で、恐るべきことにちょっと私は泣けてしまいました。いや自分でもビックリ。40代独身ヲタ系プア充には身につまされる内容だったからでしょうか。詳しく書くと長くなりますが、藤子Fの短編、「劇画・オバQ」の真逆の内容、という印象があります。有名人吹き替えはあれこれ言われますが、個人的には大好きなので、有吉テッドは文句なしに楽しめました。翻訳家さんの悪ノリもまた楽しい(笑)。「くまもんの方が良かった!」とは確かに言ってはいけない台詞だ(苦笑)。


レザボア・ドッグス 

タランティーノ版「羅生門」?いや違うな。冒頭のしょーもない会話にはうんざりでしたが、ストーリーが走り出してからは話にグイグイ引き込まれて、久々に映画らしい映画を観た、という気持ちになりました。曰くつきの男達、謎が謎を呼ぶ展開、そして明かされる衝撃の事実!……こう書くと、なんてまあありきたりな、となってしまいますが、それはこちらの筆力不足というもので、確実に面白い映画です。しかし未だに理解できないのは、アメリカ映画の「銀行強盗ジャンル」という存在。アメリカにはそこまで銀行強盗が一般ビジネス化してた時代ってあんの?


ワールド・ウォーZ 

ゾンビマニアには評判よろしくない、走るゾンビ系。ゾンビ映画ならではのヒリヒリした恐怖を掻き消してしまうその雑っぷりを、ある意味最大限に発揮したのがこの映画でしょうか。とにかくゾンビの肉体の扱いの粗末さの描写が良い。自分の体がどーなろうが知ったこっちゃないそのパワフルなゾンビの疾走っぷりには感心しました。見ろ、人がゴミのようだ!…まあそれよりも雑なのが、ストーリーの扱いなんですがね(苦笑)。なかなか見所のある行き当たりばったりっぷりで、登場人物の知能もゾンビなみじゃん、とか思うこと請け合いです。


ダイ・ハード / ラスト・デイ 

やっぱり、放射能のところはね……。無神経だ不謹慎だ、という理屈以前に、やっぱり、まだまだ娯楽映画なんだから、まあそんな大雑把なすっとぼけもありだよね!という程に気持ちを切りかえられないですねえ。映画に罪はないですけど。映画としては、なんかダイハードっぽくないなあ、と。息子が出てきたから、というより、舞台がアメリカ大都会でないからですね。休暇中でも不運なマクレーン!というくらいだし、番外編みたいに感じましたが、今後はこの路線で行くのかな?
個人的には「観にくい」映画でした。急かしすぎるカット割と、臨場感煽り過ぎのブレ画面。加えて、「緻密すぎるCG描写」が加わった感があります。映像の破綻はないにせよ、あまりにクリア過ぎて返って嘘くさい絵が目立ちまして、生身の人間感がなくて、むしろマーベラスヒーローものみたい。画面がやや暗めで硬い印象なのもキツカッタ。


アフター・アース

親子の絆、息子の成長を描く物語…なんですよ。いやでもこの話、SFである必要性ってある?SF設定としてはそうとうありがち、というか底が浅そうというか(その割にはビジュアル設定はかなり凝ってるんですが)。しかも後半の展開は無理もありすぎだしSF感ぶち壊し感もありますし、西洋的解釈の東洋趣味、「悟り(ゴーストと作品中で言ってますが)」万能展開も、日本人からするとちょっと厳しいかも(主人公たる息子の名前が「キタイ」ってのもきっとそういう事なんでしょう)。頼りない外見の若い息子役の熱演が最大の見所ですが、正直、作品世界に入り込みずらい作品なので、必死で救難信号を挙げようとするその姿が、ケータイのアンテナが立たずに右往左往している高校生にしか見えず、なんとも苦笑。


16ブロック 

なんと言ってもナゾナゾが良いな、と(笑)。ダイハードの不死身ぷりハンパないウィリスおじさんと違い、草臥れて哀愁漂う老刑事役ではありますが、事件のエスカレートっぷりが激しすぎて、結局、大差ねえじゃねえか、という方向に行ったのはちょっと残念。作品世界に適したサイズのアクション、というのを踏み越えた映画って時々ありますよね。小悪党と落ちぶれ刑事の逃避行、その掛け合いと葛藤、そして明かされる衝撃の事実。見ごたえのある映画でありますが、ちょっとなんか物足りないと感じて、ダイハードをお替りしたくなる人も多いかも。


サロゲート 

SFでサスペンスでアクションで、全部をコンパクトにまとめた良い映画だと思います。作品世界の狭さが気になると言えばそうですが、短編SFの世界観ってこんな感じだし、サクサクと小気味よく進んでいくストーリーは好感が持てます。よく見るとアクションやCGもかなり手間とお金がかかっているのですが、ストーリーからはみ出すこと無く、展開の必然性に乗っ取っているのも好感。とくに予定の無い週末に、こういう90分映画はうってつけですね。


WHO AM I? フー・アム・アイ? 

とにかくクライマックスが!高所恐怖症には見ているだけでツライ!途中のアクションシーンで「ワイヤー吹っ飛び」が有ったくらいだから、ここでも安全ヒモCG消しは使われているのかなあ、でも使われていない感じだよなあ、いやいっそ使われてると思わないと見られないくらい、何もそんなとこでと思わせるドタバタをやってますジャッキー。初期作品に比べれば、アクションの密度は下がっている感はありますが、それでもアクションの見せ場はどれも絶品です。世界各地を巡ってロケ、軍用ヘリなど飛ばしモノやモブを大量に駆使してのシーン、大作感丸出しの贅沢な映画ですが、やや間が長い印象。テレ東がいつもの鬼編集を駆使して1時間ちょいの長さに切り詰めてお昼にやってたら最高に面白い映画になりそう。


エクスペンダブルズ 

アクション俳優の同窓会映画。アクション映画好きで、出演俳優の経歴を知っているほど面白い、という感じの映画みたい。アクションの内容としてはそこそこ凄い、っていうくらいかなあ。いやCGより生身アクションを優先しているから派手さがないだけで十分凄いし、面白い、と言えるのかも知れません。見る人間の「アクション映画偏差値」が試される映画、という印象。多分わたしは40未満くらい。


エンド・オブ・ホワイトハウス 

日本で言うたら国会議事堂ですからね。実際にロケするにも限度があるでしょうし、CGとセットと別ロケ地で、どれだけ嘘がバレないか?ご当地アメリカ人でも、嘘くさくないように撮れているのだとしたら大したものです。ただし、そちらに予算を裂き過ぎたのでもありますまいが、話としては後半に行くにかけて失速していく印象。一番映像的に盛り上がるのが、テロリストがホワイトハウスに進入するドンパチまわりで、そこからは、それなりのアクションが続く、っていう感じ。
とにかくまあ人が死ぬ死ぬな映画で、死ぬ場面がそれなりに血バシャだったりキツ目の描写なので、ちょっと見ていて疲れます。

ほぼ同時期に、「ホワイトハウス、ダウン」という映画もやってたみたいなので、そちらも見たいかな。あ、そちらはエメリッヒなんだ…そうかあ…。

ところでこういう北朝鮮悪役映画って、韓国の人たちってどういう反応するのかな?


TSUBAKI SANJURO(織田裕二版)

ヒッチコックの作品でも、確かあったかと思いますが、いわゆる名作の「コピーアンドペースト」映画。まあ間違いなく映画ファンには暴言浴びせられますし、そもそも存在意義が問われるパターンの映画です。とくに映画ファンというわけでもなく、かつての名作なんかみないけど、あの俳優さんが出ているならみたい!というライトユーザーに対して、かつての傑作に興味を持つきっかけになれば、というような意味あいがあるのでしょうか。元が娯楽に徹した脚本として過不足ない出来なので、予備知識なくとも、いやむしろ無い方が楽しめる映画な感じがします。しかし……噂には聞いていましたが、クライマックスのあの場面、本当に変更しているんですね。あの映画をリメイクする、と聞いて、あの場面をさしかえる、と判断した監督の理由を聞いてみたい。あそこを撮りたいからこそ、リメイクしたいと思うんじゃ無いの?とか私は思うんですけどね。


マン・オブ・スティール 

テレビ視聴なので前半部、見逃している部分もあるので、レビューを書くにはアンフェアですが、まあそれでも大体、話は分かります。要するにこれ、ドラゴンボールのサイヤ人エピソードだよね(笑)レボリューションなんかより、よっぽど原作に忠実ぢゃん(苦笑)。いやもちろん冗談ですが、スーパーマンたちが飛び立つ描写が、やたら舞空術っぽく見えるし、戦闘シーンが凄く鳥山明監修っぽい印象なのは何故だろう。
それにしても、やたら高層ビルが壊れる映画です。主人公がおつとめになる新聞社の皆さんがビルの倒壊に巻き込まれそうになる描写もあったりして、誰が見ても9.11を思い出さずにはいられない感じ。日本ではまだ、おおっぴらに津波を娯楽として描写するのはためらわれる気配ってあると思うのですが(それは正しいことだと思うますが)、こういうのって解禁されるには、どういうきっかけが必要なんでしょうね。


借りぐらしのアリエッティ 

丁寧な人、の作品にありがちな弱点として、破綻無くこじんまりとしてしまいがちな点がありますが、この作品はまさにその典型ではないでしょうか。背景作画に関しては、これ以上望めない、というレベルであるがゆえに、その緻密さに作品世界が押し込められてしまっているような、若干の息苦しさを感じてしまいます。「小さな視点から見た物語」という点では、ガンバの冒険という大傑作もありますし、ドラえもんにも幾つもの優れたエピソードがあるので、比較してしまうと、描写の丁寧さ、だけではどうも分が悪い感じ。お手伝いさんのトラブルメイカーっぷりは面白かったので、もう少し主人公の男の子を取っつきやすいキャラクターにするとか、インパクトある外見の割には大した見せ場の無かったガキ大将小人くんをもう少し何とかするとか、もうちょっと何とかならんかったかなあ、という不満がどうしても残ってしまう作品でした。


THE NEXT GENERATION パトレイバー/第2章 

さすがの押井信者でも、これを人に薦めるようなわけにはいかない。作品全体を通して、「悪ふざけ」感が強すぎる。大抵の人は不愉快に感じるだろう、これは。作っている側が意図しているのはコメディなんだろうけど、どこか勘違いしているというか。ちょくちょく挟むパロディがとにかくちゃちくて、どうせこれを見てるような人種は、こういうの好きなんでしょ?的なバカにした意図が透けて見える。もうちょっと真面目にストーリーを見せてくれないと、来年の劇場版まで付き合ってくれる人、いなくなってしまうだろうに。これを見せられたあと、第三章の劇場公開の集客が気になる。


THE NEXT GENERATION パトレイバー/第1章 

押井信者の自分だからなんとか我慢できる、としか言いようがない(苦笑)。出撃シークエンスの描写、登場人物の造形などには、いかにも、な押井節でワクワクする部分もないではないですが、全体を通してみるとねえ。とりあえず、ご覧になった全ての方に、これいらねえよな、というシーンが幾つも思い浮かぶでしょうから、それを抹消すれば、それなりの内容になりますから…、いやダメか。けっこう予算はかけているらしいですが、CGのレベルは平成ライダーレベルで、もう少し頑張ってほしかった。

更新は不定期ですので、気長に待っていただけると幸いです。Jリーグのサポーターの方はどこのチームでも大歓迎。煽り合いではなくゆるいノリで楽しめたらいいなと思っています。