自宅映画鑑賞感想文(mixi救出)Part3

アンダーワールド2 エボリューション 

前作よりアクションもCGもグロシーンもお色気もパワーアップ!
したとたん、大味になったというか、ありがちになったというか……。
まあ、よくある話です。 

もっとも、
アクションが少なく、つなぎの場面が長過ぎた前作に比べれば、
娯楽作品としてはこちらの方が単純に楽しめます。
前作よりグレードが数段上がったCGの狼男や吸血鬼はかっこいいし、
金をかけたなりのド派手なアクションは見応えがあります。
しかし、この作品世界における狼男の地位の低さはなんだろう。
前作にはまだ知性のある狼男もいたけど、今回はなんか、
どいつもこいつもゾンビと同じレベル。

それと、これだけ暴力と兵器と怪物と大好き、という雰囲気丸出し映画
だというのに、途中のお色気シーンがどうしてあんなやる気無い感じだったのか。
あんなチープなイメージ映像みたいなら、いっそ無くてもいいのに。


ファンタスティック・フォー[超能力ユニット]

基本的にアメコミヒーローのデザインが苦手な私にとって、ピッタリタイツを着込んだだけのそこそこ美形3人に岩石男という組み合わせはもはや論外、というほどでしたが、期待値0で見始めてみたらそれがどうして、なかなかに面白い。 

 物語としてはヒーローの活躍物語ではなく、異常な事態に巻き込まれた人が自分を肯定していく、いわばヒーローになるまでの物語で、物語がそれなりに丁寧に描かれています。
 こと、見せ場のシーンの演出の細かさは感心モノで、とにかく派手であればいいんだろ的なド派手な映像の垂れ流しではなく、橋の上のドタバタなどは、必要な映像を必要な程度に控えて、テンポと段取りで的確に見せてくれます。スノボやモトクロスパフォーマンスの場面などはいかにも派手なシーン目当てで押し込んだ感がありますが、CGでありえねー大げさにしてしまう部分と、あくまでスタントアクションで引きつける部分を明確にしている辺りも、「ちゃんとしている」映画という感じがしました。
 この映画の影の主役、災難を一手に引きうけた感のある岩石男君ですが、CGを多用しているのに、映画全体を通して「着ぐるみ感」で統一されています。だからちっとも固そうに見えない(笑)。着ぐるみだからこそ持つ哀愁(屋上ショーのへたれきった怪獣の着ぐるみに感じるアレです)が岩石男の役割にぴったりで、指輪がつかめないシーンなどが実に効果的な感じがします。まさに岩石そのもの、みたいな表現も、このレベルでのCGならいくらでもできたでしょうに、あえてそれをしなかったのだろう、そのセンスも素敵です。
 メッセージ性に走りすぎた「バットマン(ダークナイト)」や「スパイダーマン」より、王道の娯楽ヒーローものを丁寧に再現して見せた、この映画にこそ、学ぶモノは多い気がするのですが。


蟲師 (通常版)

 配役が理想的、風景が素敵、美術も的確、CGの使い方も自然。最後まで見れば物語もしっかりしている。本来であれば理想的な映画のはずなのに、なぜこうも見ていて退屈なのか。全部見終わるまで、途中3回の挫折を必要としました。聞き取りづらいセリフや、子役の演技が……、とかケチをつけるべき箇所はあるのですが、映画全体に、むしろ積極的につまらなくしようとしている意志すら感じます。
「マンガ原作でアニメ監督がCGを散々使った映画でも、日本の美とか表現して、本格的評論に値する映画を撮ることが出来るんだ!」と言った、正統派映画に対する必要以上のコンプレックスみたいなものが、この映画の足かせになっている……ように思うのは気のせいなのかなあ。
 自分の過去を思い出し、廃人のようになったギンコが、人を治すことで自分の再生される、というところはもう少し丁寧に描いても良かったと思う。その一方で、ぬいとギンコが再会するラストの下りは、全体的に説明不足な感じ。「あれっ、これでラスト?」と思った人、他にいるでしょう?


トランスポーター 

お得意のカーアクションから始まって、「レオン」ばりの少女との逃走劇、ハリウッド映画のような派手な銃撃戦からの自宅爆破、カンフー映画のごとき悪党どもを一網打尽のアクション、挙げ句の果てにはジャパニーズバラエティの真骨頂たる、ぬるぬるローションプロレスまで持ち込んだ(?)まさによりどりみどりの内容です、つまらないわけがない。これだけいろいろ要素を取り込むと映画全体の雰囲気がバラバラでグダグダになりそうなものだが、割と層でもないのが、上品なおフランスならではなんザマスか。舞台になっている土地の風景が素敵なのも一因なんだろうなあ。主人公はクールでニヒルで女性に優しい、まさに主人公のような主人公なのですが、ホントにただそれだけ、という感じがします。続編でより掘り下げられるのでしょうか。


アンダーワールド 

吸血鬼と狼男が、機関銃を乱射しながら抗争を続けている、しかも主人公はクールできれーなおねーさんだ、というそのシチュエーションだけでもう星3つ。映画全体で言うと、冒頭の地下鉄駅での乱射ドンパチをしのぐシビれるシーンがとうとう最後まで無かったという印象や、アクション場面がそもそも少なく映画を長々と感じさせる点など、不満はあるのですが、作品内の世界観や銃器アクションに対するこだわりなど、見るべき部分の多い映画です。狼男の変身後のCGやクライマックスの2対1アクションは、一昔前の映画だとしても、大した技術を使っているようには見えず、それこそライダー映画でも十分パクれるレベルのように思えるのですが、それでも魅力的で、つくづく映画というのは「見せ方」なのだなあ、と思います。予算に制限のあるアクション映画のお手本、という意味で星一つ追加。


G.I.ジョー 

 良いも悪いもないというか(苦笑)。ハリウッド製の、頭を使わないで楽しめるアクション活劇ってどんなんだっけ、と人に問われれば、こんなもんだよね、と指を指すのに最適な映画です。
 昔、アニメでやっていたアニメのGIジョーで覚えているのが、甲高い声で「コ~ブラ~!」と叫ぶ適役の忍者だけなので、それがちゃんと出ていたのが嬉しかったです。
 映画としての一番の見所が、パリを舞台にしたドタバタ部分で、クライマックスの戦闘シーン部分は若干、不満でした。主人公が深海高速艇的な乗り物で大暴れ、なのですが、あまりにCG的というか、ゲーム画面的と言うか…。
 話は露骨過ぎるほどに続編を意識した作りになっているのですが、今のところアナウンスが無いですよね。(アニメだのドラマですでにあるのだとしたらすみません)評判が悪くて続編が作れなかった……、というパターンではないことを願います。


スピード・レーサー 

これ、映画館で見た人は大変だったんじゃないですかね?とにかくまあギラギラテカテカの原色でサイケな色彩の画面で描かれる、高速複雑運動する奇々怪々のデザインのカーチェイス。気分悪くなる人もいたのではないでしょうか。アニメを実写化する、という目的を明らかに間違った方法で実行した映画ではないか、とは思うのですが、作った側にもその自覚があったのか、とにかくクライマックスの盛り上げ方の強引さは相当なモノで、「いいよもう分かったから!」と、なだめたくなるような心境になってしまいました。個人的には吹き替え版で見た方が楽しめると思います。いよいよアニメっぽくなるので。


サンダーバード

実際はサンダーバードをゲストにしたワンパク大冒険!的な映画です。ハリウッドCGで再現されたメカや基地描写はなかなかのもので、我が国のウルトラシリーズの防衛隊も、これくらいはやってくれないものかと羨ましいことしきり。割と楽しめる内容だったのですが、とにかくサンダーバードのレギュラーがやたらと弱く、見せ場たる2号の発進シーンが悪人に乗っ取られたときだけ、という有様なので、オリジナルファンには納得できない映画でしょうねえ……。それと、執事役の人が、なんかトルシェに時々見えるのは私だけでしょうか。


カンフー少女

アイドル映画……なのかなあ。とにかくこれだけ豪快に安っぽい映画を久しぶりに見ました。鳥の着ぐるみに至っては、もはや気持ちがいいくらい。日本映画でもこれぐらいのレベルは今もないとは言いませんが、堂々とこれを海外に持ち出す度胸がすごい……いや、邦画でも「これを海外配給するなんて正気か?」という映画はあるなあ……。
主人公の美人さんを含め、アクションはしっかりこなしているのですが、ところどころで変に細かくカットを刻んだり、カメラぶれをさせたり、照明の明滅をしたりと、せっかくのアクションを見にくくしているのが残念です。それと、一人、話に絡まる必然性がまるでないのにアクションに参加していたおデブさんがいるのですが、あれは大物俳優の見せ場かなんかだったんですか?


天使と悪魔 

サービス精神の権化というか、なんというか。サスペンスでミステリーでアクションも足しちゃって、しかも蘊蓄てんこもりで観光地案内をやっちゃうぞー!という、これをつまらないなどと抜かす奴がいるならここに出てこい、と言わんばかりの映画ですね……。ついでに言うなら、あちこちのツッコミどころにも、それぐらい別に良いだろ!と言わんばかりです。おそらく、映画の舞台に実際に住んでいる方にすれば「そんなわけないだろ」という部分だらけの気配は強くします(苦笑)。

最後のああっ!というどんでん返しは、強引な印象もありますが、伏線はちゃんと張っているので個人的にはオッケー。ただ、これもまたサービスの一環なのか、グロテスクな場面がこの映画を観たがる客層に対して強すぎる印象があります。

それにしても、観光地をあっちこっち行ったり来たりしている場面を観ているウチに、なんだか二時間サスペンスドラマを観ているような気持ちになってしまいました。吹き替え版で観たのですが、どうせなら吹き替えの声を船越栄一郎と片平なぎさにしてくれれば、もっと楽しめたのに(笑)。


チェンジリング

 この作品での大きな魅力である「昔のアメリカ」。それが、どれくらい忠実に再現されているのか。実写と見分けがつかないCGや、こだわった気配を感じさせる時代考証、経年劣化したフィルムを想起させながら見づらさを伴わない画像処理と、「過去の世界」を印象付けるには申し分ない映像なのですが、実際にアメリカ人にとってもそうなのかが気になるところ。「三丁目の夕日」の評価は日本人以外(それも、ある年代以上の)には難しい、というのと同じですね。  「三丁目の夕日」は完全にファンタジーで、登場人物の演技もそれに準じたものでしたが、こちらは至ってシリアスな内容で、俳優さんの演技もリアルなものでしたので、(こと殺人犯役の人の演技は、「こんなんが隣にいると思うだけで耐えられない」という不快感を伝えきっていて凄かったと思います)、もし背景に「嘘っぽい」という印象をもたれたらそれだけで台無しになってしまう作品です。ただ、外国人が観たら誰が観ても「昔のアメリカ」そのものにしか見えませんし、大変に評判に良い作品であると言うことは、アメリカ人から観ても、その再現度は高いモノなのでしょう。  少し善人と悪人の区別が明確すぎて、やや物語的過ぎる印象はありますが、実話だからこその恐怖を感じる作品です。


カムイ外伝

とにかく悪い評判ばかり耳に届いていたこの作品。実際に観てみると確かにきびしい。
 確かに、ラスト30分の荒っぽい展開と、お粗末なCGシーンは観ていて辛いモノがありました。素人にも難しいのだろうな、と思わせる場面のCGがひどいのであればともかく、単に「大海原の光景」という、CGじゃなくてもなんとかなったろうに、と思わせる場面も不自然なのだからなんとも同情しにくい。
 そもそも、白土三平の世界観に南国の景色って、あまり似合っていないと思うんだけど、どうして物語の後半の舞台をそこにしたんでしょうかね。物語前半の貧しい村の場面はまではそれほど悪くなく、作られたセットも大した物だったので、けっこう楽しんで観ていたのですが。
 星3つはやや甘め。後半一時間だけなら間違いなく一つ減らします。


MW‐ムウ‐ 

実際は内容で、どうしても許せない、残念な箇所があるので、
星を一つ減らしたいところなのですが、
他の方の評価が総じて悪いようなので、
応援する意味で満点つけました。

これ、面白いですよ。
最近観た邦画では飛び抜けて面白かった。
まあ普段観ている映画のチョイスに問題があるのかも知れませんが。

無論、ツッコミどころはたくさんありますし、
予算がねえ……という箇所もありますが、
「マンガを原作にして、ちょっとアクションやサスペンス要素でハリウッド映画も意識してみました」という最近の邦画の中では、映画としての完成度としてはかなり高いと思います。

主役の玉木さんが良いですねえ。
この人、悪役をやると似合うと思ってたけど、ホントにぴったり。
松ケンの「L」に匹敵する存在感だと思います。
「結城美知夫」対「L」で映画作って欲しいくらい。

在日米軍をこれだけ物語に絡めたのって、珍しいんじゃないですかね。
しかも一応、飛行機とヘリ飛ばして、新宿上空で一暴れって凄いと思う。
いろいろとチャチな点は観てればそりゃありますけど、
それそさっぴいても、よくやったなあと思います。

また、海外ロケも有効に使われています。
冒頭の追いかけっこは、
20分以上も使うほど重要なシーンでもないでしょうに(笑)。
地元の名所をふんだんにもりこんだ宣伝シーンですが、
「日本国内の都市部ロケじゃ制約だらけで、この程度のドタバタだって撮れやしない!ハリウッド映画なんかでも常道なのに!」
というシーンを堂々とやれることに、監督他一同が大喜びなのが伺えて微笑ましいです。

最初に書いた、「許せない場面」というのは、
終盤に子供達に持たせた風船。
なんであれに「全く意味を持たせなかった」のだろう?
風船を持った子供達を従えるビジュアルだけ求めたのかなあ。
せめて「あの風船にはMWの化学式が書かれた紙が結わえられていて、それが子供が離すと同時に空へ放たれ、ラストで何処かの見知らぬ、同じように世界の破滅を願う誰かの手に届く……」みたいな意味を持たせて欲しかった。


地球が静止する日 

知識無しで言うのですが、原作は古典SF小説かなにかなのでしょうか?
あれだけレトロなデザインの一つ目の巨人を出しているのだから、
おそらくそうなんだろうと思うのだけど……。
ずいぶんと正々堂々とこれだけ「ありがち」な話をやり通したものだなあと言うのが正直な感想。
とにかく、この手の話はこういう感じで話が進んでいくのだろう、という予想から一歩も外に出ないまま話が進んでいくので、一体どこで気分を盛り上げたらいいのか分からないまま話が終わる。見せ場のしたかったはずのカタストロフシーンも、ハリウッド映画の割には力が入ってない。世界各国の映像がちょいちょい入る割には、派手な崩壊シーンはほとんどアメリカ国内ってのも、そのへんなんか昔の東宝特撮っぽいとも言えるかも。

特筆すべきなのは、ヒロインの義理の息子の性格の悪さ(苦笑)。単にワガママ、というのではなくて、物語の展開に都合が良いように態度をコロコロ変える有様で、ストーリーのご都合主義を一気に引き受けている悪辣さ。こういう手口でこれだけ強引に子役を使う映画を観たのは、初代ガメラの俊夫少年以来です。


イノセンスの情景 Animated Clips

近所のブックオフで105円(苦笑)。
シングルCD並か。
映画のサントラも持っているのですが、
この値段ならそら買います。

え、と思ったのは、画質がずいぶん悪く見えること。
DVDつったって、もう少し画質良いよね普通は、と思うのですが?
圧縮率が高いとかなんとか理由があるのか?
それとも気のせい?

それにして改めて観ると、
つくづくやりすぎな映像だと思う。
観ていて肩が凝るほどの偏執的な書き込み。
ここまでやると、むしろ書いている途中で、
「こんなんまでしちゃったら、かえって世間受けしないんだろうなー」
とか、やっている方達は気づいていたんじゃなかろうか、
という気がする。
だけどここまでとことんやらせてもらえるのも、それはそれで嬉しかったのかも知れないけど。


ターミネーター4

 国内公開時に「4」と付けたのは失敗だったと思います。「SALVATION」と付け足したタイトルの方が、内容に即してる。
 世界観こそちゃんと繋がっているものの、映画の質としては今までのシリーズとは別物ですね。このあたりが難しいところで、今までの作品を踏襲していたのではマンネリになる(実際、3は映画の質的に2をなぞっただけだったし)。しかしこうやって一新してしまうと、従来のファンが期待していたモノと違う、とガッカリもされかねない。一方で一般客には、今までのシリーズの知識がないと分かりづらい部分が邪魔っ気で、作品を楽しめない……。シリーズ物の辛さがモロに出ている作品という気がしました。無理矢理にも程があるシュワちゃんの出番(しかもド定番の素っ裸だ)が、この映画を象徴している気がします。
 個人的には、モノアイっぽい巨大ロボットの大暴れっぷりを、もう少し観たかった。


閉ざされた森 

 黒沢映画「羅生門」の、ケレン味を思いっきり強くして、それと引き替えに映像的美学を丸ごと引っこ抜いたらこんな感じかな? という映画。
 ガイジンさんの顔の区別ができないタイプの私としては、途中でストーリーを把握できなくなって大混乱。ミステリーとして謎を追うテンポがとても優れているので、ハラハラドキドキはするのですが、このままちゃんと理解できないのはイヤなので、もう一度最初から見直さないとダメかな……と、思っていたら、ラストを観てその気が無くなった(笑)。
 いや、悪いラストじゃないです! っていうかこのラスト以外だと後味を悪くするしかないし、いい終わり方だと思うのですが、何故、台無し感がするのだろう(苦笑)。
 一つ思ったのは、最近の邦画、ことテレビタイアップ側面の強い映画で、映画の雰囲気をラストに流れる主題歌がメチャクチャにするパターンって時折、見かけるのですが、洋画にもたまにあるんだなあ、と始めて思った。そのタイミングでHip-Hopって……。


交響詩篇エウレカセブン ポケットが虹でいっぱい 

 レントンとエウレカのイチャイチャぶりには、つくづくもううんざり(笑)。テレビシリーズを映画化する場合は、総集編か後日談が多い中、登場人物と世界観を組み替えて、新しい物語を作る、というこの方法は魅力的で、やくやってくれたと思うのですが、テレビシリーズと大きく印象の変わった人物(しかも悪い方に)もいらっしゃるようなので、そちらのファンがこれで納得できたのか、というのは気になります。それと、ロボットをいきなり、ゆるキャラに置き換えてしまう、というのはアリなんですかね。リアルロボット世代としては、ロボットってもっとハードでメカニカルなものだ、という思いこみがあるので、戦っている途中に「ミュウミュウ」とか鳴き出されると、なんかガッカリ。
 それと、細かい部分で言うと、最後の方の場面で、「大津波に一般人が飲み込まれる」描写があるのですが、必要だったのかな? ソレのおかげで、何か見終わった後にスッキリ出来なかった。
 終始、作画は見事の一言に尽きる作品です。「ちょっとエヴァの影響が……」という箇所には、ある程度、目をつぶらないといけないんでしょうね。そういうタイミングの作品でしたから。


THE 4TH KIND フォース・カインド

 ブレアウィッチ以降、最近ではパラノーマルなんたらで使われた一人称疑似ドキュメンタリーとは別のやり口を思いついたな、という映画。「実際の映像」とやらを押し込んだ、疑似再現ドキュメントとでもいうべきスタイルで、ある意味、ブレアウィッチより反則度が高め。この手法が今後も踏襲されるとしたら、「実際にあったと主張するうさん臭いホラーチックな証拠映像」とやらの発掘が必要となるわけで、そんなんがゴロゴロ見つかるようじゃ嫌だなあ。説得力も薄れるだろうし。
 とか偉そうなことを言いつつ、テレビ予告でも使われていた例のビデオ映像の場面はスゲー怖かったです。思わず飛び上がってしまった。


252 生存者あり

ツッコミ部分をいちいち指摘するなら、
おそらく映画の上映時間の最低でも倍以上の時間を必要とする、
ある意味で大作(笑)。
ただ、登場人物も物語も直球一本勝負の
ベタベタ王道路線なのがむしろ幸いで、
よおし、最後まで付き合ってやるか!
という気持ちにはしてくれます。
要するに「ツッコミを楽しむ映画」というレベルで
ギリギリ踏みとどまっているので、
「ツッコもうと気持ちにすらさせない映画」にはなっていません。

気になった点が二つ。
かなりしっかりと「屍体」を出しているのが意外でした。
地下鉄構内で激流に振り回された屍体が
ああも原形をとどめているのはただの冗談ですが、
かといってリアルに破片となった屍体などおけるはずもないですし。
映画で描写が現実に即していけばいくほど、アクション映画等における「屍体の描写(とくに大量死)」をどうするのか、という問題は増す一方です。
そして何より、屍体をあまり画面に頻出させると、物語の終わりをハッピーエンドにしたところで、観ている側がすっきりできないという根本的な問題もあるわけです。

そしてもう一つの気になるところは……。
あの子役さん、なんだってあんな昭和40年代みたいな髪型にさせたの?


イノセンス

序盤のたるい展開に絶えきれず、途中で挫折していたのですが、再チャレンジ。すると、中盤から後半にかけては素直に楽しめました。とくに終盤は意外なほどに正当な娯楽映画的な盛り上げかたで、かえって「らしくない」と思わせるほど。素子の出番も原作の引用もファンサービス的だし。
 複雑怪奇難解至極と言われるこの映画ですが、物語自体はそう難しいものではなく、そのあまりにもったいぶった語り口がそう思わせていることは間違いありません。そこがオシイさんのキモであり、常日頃「いいからもっと単純に楽しませてくれないかな」と言われ続ける所以なのでしょう。
 しかし引用だらけのもったいぶったセリフが終始やりとりされるのはさすがに閉口しました。独特の台詞回しが魅力の押井作品ですが、この作品に関してはさすがにやりすぎ、という気がします。例によって聞き取りづらいし。


20世紀少年 <最終章> ぼくらの旗 

この物語のバラバラっぷりは、果たして原作のせいなのか、あるいは映画にするときに無理があったのか……。たぶん両方。とにかく終始、世界観が全く定まっていない。
 なんとか話をまとめようとはしているものの、どうやらこの場面は、この設定は飛ばすわけにはいかない、という部分を(ソレが如何に映像化したときに無理があるかを考えず)いちいち律儀に拾い上げているらしく、無理のある場面を矛盾したまま手も加えず繋ぎ止めて、最後まで話を続けた感じ。
 登場人物の交通整理すら持てあます有様でけっきょく、何が言いたいのかも、どの場面を見せたいのかもわからないまま、話が終わってしまったように思います。結局のところ、「空想」というより妄想であり、「科学」の片鱗すら感じられず、「冒険」というには魅力に乏しい「映画」ではなかったでしょうか。

最後のトモダチの正体に関しては、確かにちょっと意外、とは思いましたが、果たしてそこで語られるありがちなトラウマ物語に、この長々とした話のテーマを見いだしていいものか。「Monster」もそうだったけど、その程度にトラウマで大量殺人しでかされても困るし、ましては同情してもらいたがるなどとは。


20世紀少年<第2章> 最後の希望 

このあたりから原作では読んでいない箇所にさしかかり、ちょっと面白くなってきた感じがしました。友民党とかともだちランドとか毒ガスによるテロだとか、深読みするとけっこう危険な所をギリギリまで絡めて終幕まで……いけば凄い話になったかもしれないですが、さすがにそれは無理だったか。はたして「ともだち」は一体誰なのか、という伏線があちこちに出てきますが、それに伴って登場人物がやたらに増えてしまい、その一方でメインであったはずの6人の物語における存在価値の比重がひどくばらつきだし、物語の平衡が狂いだしているので、これは修正できるのかな、と思っていましたが……。


攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX Solid State Society

まず何より、話を詰め込みすぎ。
前作から数年後、的な物語で、レギュラー陣の立場や心情の変化などに時間を大きく割かなくていけない上に、かなり大きく複数のテーマを含んだ事件を対立軸に持ち込んでいるものだから、こと後半は説明の応酬みたいな感じ。むしろテレビシリーズの編集版のような前二作のスペシャルの方が押し込めていないように感じる。
この作品自体が、「イノセンス」と対をなす意図でつくられた作品、というのは分かるけど、途中で原作版や押井版を連想するシーンがちょくちょく入ってくるってどうなんだろう。ファンは喜ぶのかなあ。このシリーズならではの、おお、と感心するシーンをもっと観たいと思うのですが。


機動戦士ガンダムUC(ユニコーン) 1 

モビルスーツの描写に関しては文句なし。ハッタリパースで誤魔化すことなく、「めぐりあい宇宙」以来のガンダム特有の宇宙機動のカッコよさを充分わきまえた上で、各モビルスーツの性能的特徴までも、その動きで表現していたりするところが嬉しい。人物描写に関しては、表情が皆、固いかなあ、とちょっと思う。安彦さんが監修しないで安彦キャラを演出させるのって難しいんですよね。もっともアニメ化するにあたって安彦さんの絵を他の方がリライトしたそうですが。
しかし、あまりストーリーは進んでいませんが、大丈夫なのかな?


アサルトガールズ 

伊豆大島でロケされた荒涼とした風景とか、
美術衣装含めた主人公の女性3人の凛々しい姿とか
アクション及びそこにに至るまでのシークエンスや武器の描写など、
観るべき場所はあるのですが、
全編を通しての感想としては、
押井ファン以外はとくに観なくても……という映画。

アクションシーン優先で短く編集すれば、
どなたでも楽しめる作品にもなったんじゃないかなあ。


大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE 

円谷のアイデンティティたるミニチュアワークを放棄した時点で、
どんなに頑張っても否定されることを覚悟しながら、
それでもできるとこまで頑張ってみた映画。
現時点で日本映画でこれほどワイヤー+CGアクションに徹した映画があったろうか。
とにかくウルトラキャラをカッコよくアクションさせたいんだ!
ヒーローはかっこよくあらねば!
という情熱が溢れています。

ストーリー的には全く意味のないダイナの出番とか、
あまりにお約束過ぎるレイの暴走とか、
いささかファンサービスが過ぎたところもありますが、
アクションに徹した面白さは充分あります。
ここまで頑張った映画が、興行成績であのライダー映画に遠く及ばないのは理不尽の極みだと思うのですがどうでしょう。

それにしても、テレビ放送時期が一年しか変わらない
メビウスとマックスで、どうしてこんなに扱いに差が出来ちゃったのかなあ。


劇場版 仮面ライダーディケイド オールライダー対大ショッカー

私自身は、ライダー派ではなくウルトラ派なので、毎週日曜日も観てないのですが、さすがに昭和ライダーも含めて全員集合、となると興味も沸いて観てみました。 

 正直な感想を言うと……
「ライダーファンのみなさん、これで満足できるの?」

 ライダーって今、ウルトラより全然儲けているはずなのに、全員集合のお祭りムービーでこの予算のかかってなさげな内容ってどうなのさ。そもそも、ライダー同士が戦うことに抵抗が無さ過ぎるし、ディケイドとディエンド(だったか?)が、先輩のライダーをアイテムみたいに使うのも、凄く抵抗がある。カードバトル世代、というか、ポケモン世代以降のお子様には、そういうの無いのかなあ。
 Gacktのシーンとラストの顔見せ二人で帳尻あわせたけど、とにかく全員出せばいんだろ、的な、愛情を感じられない映画です。敵に向けてはもうギャグキャラにしちゃってますしね。


彼岸島 スタンダード・エディション

ストーリーも美術もアクションもCGも全部ひどいんだけど、
全く持って論外なのが登場人物の扱い。
なんで友達を裏切った奴が生き残る?
裏切られた友達だけがゾンビになって殺される?
ホラー映画の最低限のルールを破る理由が分からない。

定石を破ることでなにか意図があったのかもしれないけど、
それがさっぱり見えない。
そもそも話全体が孤島ホラーやゾンビアクションの安直なパッチワークなのに、そこだけ定石を破っても意味なんか無いと思う。
原作がどうなっているのか知らないけど、制作者の良心を疑う内容。


カイジ 人生逆転ゲーム

あのコテコテの画風と世界観を、童顔の藤原クン主役でどうやって映画にするんだろか、と思ったが、単純な娯楽作としては、このキャスティングで良かったのかな、と思います。世界観厳守でホントに疲れたオヤジや薄汚いチンピラみたいな役者さんばかりだったら、確かに見ようと思わないし。
話としては穴だらけ。最後の逆転劇も、「そうだったのか!」と思わせるには全然工夫が足りてないから、満足な映画とは言えませんが、見て損をした、というほどでもない感じ。レンタルなら、だけど。

サマーウォーズ

 現代的な、電脳世界と現実がリンクしていく中で、家族と伝統の絆が、世界を繋ぎ止める、なんて文章にしてしまうと、なんかえらい恥ずかしい物語。
 前作の「時かけ」の印象が「なんとなく藤子Fっぽい」というものでしたが、今回はコロコロやボンボン(嗚呼懐かしい)定番の、ホビーバトルものの延長にある作品って感じがします。ワタシの世代で言うなら、草食系男子が主役の「ゲームセンターあらし」ですかね。「そのとき、あらしは地球とひとつになった!」っていう回を、妙に思い出すんですよ。……読んでいる方々はついていけないですね、すみません。
 それにしても、ここで描写されている「田舎」は不自然ですよね。登場するのはあくまで親族だけで、隣近所が無く、祖母は国家中枢にも顔が利くほどの権力者でありながら、普段は無力……。
 ぶっちゃけ、ここで描写されている一家って、皇族のメタファーなんじゃないかって勘ぐりもしてしまうんですが。だとすると、この作品、けっこう面白い深読みができるかも。


パラノーマル・アクティビティ

ブレアウィッチ以降に乱発された、低予算の疑似ドキュメンタリー。
その中で、何でこの作品がかくも話題になったのか正直、謎。
特に目新しくもなく、散漫さは隠しきれず、不自然な点は目立つし……。

「低予算の割にはそれなりにまとまっている」
程度の出来の映画を、
「低予算の枠を超えて面白い!」
という言葉にすり替えて宣伝して設けようという、
広告会社の意図を感じます。
まあそれに乗っかって、こうして見てしまう自分も悪いのですが。

それにしたって、嘘でも
「ホントにあった話」的扱いにしたいんだったら、
エンディングを二つ、作っちゃダメだろ、と思うんですが?


ヤッターマン 実写版 

ここまでやってくれたら、文句は言えないなあ、という出来です。とにかく原作のギャグで思いつくのは全部実写にしてみました!という力業を成立させた時点で、勝ち、というべき作品でしょう。確実に続編は不可能、と思わせるほどギャグを埋め込んでいるので、逆に妙な感動があります。たとえそちらに力を入れすぎるあまり映画全体のテンポが歪もうとも。
タイムボカンシリーズというもの自体がそうなのですが、悪役3人こそが話の中心であり、正義に味方役というのは添え物でしかないというのが、この映画ではロコツに出てしまっていているようです。キャスティング深田恭子に非難囂々だったのもその証明なのでしょうが、結果、3人に関しては文句なしに拍手です。よくぞやりきりました。一方、主人公側の二人は……、まあ、こんなもんか。
マンガの実写化、ことギャグマンガは際立って難しいようですが、これは成功の部類に含めるべき作品ではないでしょうか。


マリと子犬の物語 

テレビ視聴になります。
映画公開時の、テレビでの宣伝番組を観たとき、
それだけで涙流してました(苦笑)。

実際に本編を観てみると、
全体的に実話としてのリアリティは薄められて、
ファンタジー色の強い作品だな、という印象でした。
だからなのか、期待ほどは泣けなかったなあ。

際立って良かったのが、犬の演技。
カット構成が上手いというのを差し引いても、
何故ここまで?という動きや表情をしています。
正直、犬の演技に人の演技や脚本がついて行けてないとさえ思いました。

女の子役の子役さんは、泣きの演技が上手く、
被災地でのマリとの別れのシーンなどは見事なのですが、
その上手さを映画全体で利用しすぎ、という印象はあります。
男の子役が後半で、父親に感情をぶつける場面などもそうですが、
全般的に説明過多の場面やセリフが多く、
道徳の教科書的な香りを強めているのが残念です。

その一方で、地震が発生するまでの村の描写が乏しく、
山古志という土地の良さを、
印象付ける場面が乏しかったのも残念でした。
少なくても主人公の子供二人と、他の村人や村の子供との交流は、
もう少し描写してほしかったなあ、と思います。

他に個人的に好きだったのは、
崩壊した家の中で孫を抱えて涙を流すおじいちゃんの場面や、
自衛隊ヘリの飛行シーン。
特に後者は、自衛隊広報が大ハリキリなのがよく分かる(苦笑)。
凝ったカットが目立ちました。


ソウ4 

一応、前3作は観ているのですが、だいぶ前のことなんで……。これまでのあらすじ、登場人物をちゃんと頭に入れてから観ないと駄目な映画です。これだけシリーズが続くとドンデン返しにビックリ!の妙味を味わう、ソリッドシチュエーションとしての魅力はさすがに薄れてしまっていますね。ただただグロでエグい殺し方の見本市みたいな印象です。個人的に過去のトラウマ話は好きではないので、「ジグゾウが何故、狂気の殺人者となったのか?」が証されるみたいな内容はいらなかったな、とも思うのですが。
 それにしても、改めて言うことではないのですが、冒頭、あれだけグログロな解剖シーンであれだけ明確に頭ン中だのはらわただの撮しといて、ジグゾウの股間だけはボカシが入っているというのは、なんか、映像倫理の矛盾を感じます。


GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊2.0

新作カット云々、というより、人形遣いが南雲隊長になってる! 

という方がよっぽどビックリだったんじゃないでしょうか、皆さん?
確かに前回のもっさりとした太い男声より雰囲気は良くなったとは
思うのですが、
バトーと少佐と人形遣いの三角関係を思うと、
やはり男性の方が収まりは良かったのじゃないかなあと思います。
まあ、性のどうのこうのというレベルは超えちゃっているような内容だから、
気にしなければしないのでしょうが。

新作カットと旧カットは、不揃いにならないようにかなり手を加えていますが、
そもそも少佐がセルになったりCGになったりしちゃうわけで、
完全に馴染んでいるとは言い難いですが、密度は高まった印象はあります。

バイオハザード

 これ、年齢制限どれくらいの映画でしたっけ……。
 エレベーターだのレーザースライスだの、とにかく序盤のグロ殺戮場面は、何度見てもキツい。主人公が「ウオオー!」とか言ってゾンビ犬相手に三角蹴りカマす辺りからは、素直にアクションとして楽しめるのですが。
 とにかくどんだけ人が死のうがなんだろうが、余韻など残すことすら許さない。この圧倒的なテンポの良さがこのシリーズ(3まだ見てませんが)の魅力だと思います。ゲームとの共通項は設定くらいなもので、とにかく映画としての面白さに徹した、その潔さがまた良いのでしょう。あっぱれなエログロナンセンス映画だと思います。


TAXI NY

 フランス映画のご存じシリーズのハリウッドリメイクものです。正直、リメイクされて何処がパワーアップしたでもなく、バリバリのハリウッドカーアクションの中では大人しい部類のアクション。元映画のストーリーが進むに連れてどんどんヒドく、いや悪のりを強めるドタバタナンセンスや下品よりの小エロも薄目で、ほどよくまとめて作ったなという印象でしょうか。
 個人的に大いに気に入ったのは、主人公のタクシー運転手をあまり美人とは言えない女性に変更した点!こーゆー人をど真ん中に据えた映画って久しぶりに見た。
「見てくれは不細工だけどキップの良い姉御肌の女性が、極悪美少女強盗軍団をやっつける!」
 このフレーズに「おお!」と思う人は必見ですし、そうでない人にとっても、決して退屈はしない映画だと思います。

追記。
やっぱり他の人のレビューに書かれてたか。
主題歌がビヨンセで、主人公が和製ビヨンセ、というネタ……。 


大決戦!超ウルトラ8兄弟 (通常版) 

ファンサービスに徹する余り、
映画の面白さを削ぎ落としたという、
若干、矛盾した映画という印象。

前作より見せ場たる戦闘シーンは少なめで(こと前半)
特撮技術的にもレベルアップはそれほど目立たぬまま、
劇場大画面ではあまりにキビシイ水準のCG大決戦へと流れていきます。
予算の限界のあるのでしょうが、
映像的魅力はそれほどありません。

にも関わらず、この映画に価値があるのは、
登場する人物の徹底した書き込み。
往年のファンを喜ばせるべく、シリーズの俳優さんを使い、
シリーズ中の設定を可能な限りくみ上げ、
それを駆使して物語を練り上げた、
いわば究極と言っていい「ウルトラ同窓会」。
物語の終盤、赤い靴の少女が、「アレ」を伴って登場したときには
正直、やられました。

とにかくファンを喜ばせるためだけ、前向きなようで後ろ向きな、
空虚なお祭りムービーという評価もできると思いますが、
人が「同窓会」に明日以降を生きる活力が与えられるコトがある以上、
この作品にもまた、価値があると思います。

現在上映中のライダー大集合のコンセプトとは、
ちょうど真逆の映画なのかも知れませんね。


オールド・ボーイ 

しまった!
オチを見抜けなかった!
振り返れば、かなり分かり易いヒントだったのに!
悔しい!

以下、若干ネタばれです。
そもそもの発端である、ある「不道徳行為」、
確かにいけないことだけど、
そこまで罪悪感感じることかなあ、と思いますが、
ネットでの悪口で女優さんが自殺しちゃう国民性を考えると、
リアリティがあるのかも知れません。

ワンカット長回しでのアクションシーンなど、
見所もあちこちありますが、
それにしても、序盤の、
「ちょい太目の気の良いよっぱらいおじさん」が、
その後の主人公と同一人物とはとても思えない。
それと、金髪の人が殺された理由が、分からないなあ。

上映時間を2時間を切ってくれれば、星もう一つ。
この手の映画は、短くスパッと終わらせるほうがカッコいいと思う。 


20世紀少年 第1章 終わりの始まり

テレビ放送で見ました。
何の予備知識もなく、全くの先入観なしでこの映画を見たら、
かなりもたついているというか、じれったい展開なのではないかと。
原作を頑張って、よく映画の流れの中に押し込んだもんだと思うけど、
クライマックス以外に見せ場が少なすぎないか?

空港爆破のシーンのチープさも含め、
コンビニ炎上シーンや大人数のモブを強調するのは、
一般映画ならともかく、
大作をうたっているわりには、安っぽい。

クライマックスの血のおおみそかシーンも、
頑張っているんだけど、
CG場面と俳優の演技の絡みが分断されていて、
CGの方がイメージ映像みたいに見えちゃう。

でも、次回も見たい、とは思ったかな。
最終的な評価はやはり、全部見てからになるでしょう。

あと、ラーメンを食べるシーンで、
湯気をずいぶんと強調していたのは、
(そしてその合成がひどくお粗末だったのは)
何故?


河童のクゥと夏休み

なんとも落ち着かない気持ちにさせる作品というか……。

この作品を象徴するように思えるのが、
主人公のクゥと男の子のセリフまわし。
お互いが話す、
「純朴な田舎の訛りの混ざったセリフ」と、
「いかにもイマドキの小学生が日常で使っていそうなセリフ」。
とてもリアルに感じる場面も若干あるものの、
耐え難いほど嘘くさく聞こえる場面が大半に思えて、
どうにも居心地が悪い。

物語の内容はかなり重たく、
子供に語って見せるべきラインをどこまでにするか、
最後まで迷っているような印象があります。
ラストに関しても、これはやっぱりどこか誤魔化してるよなあ、
という気持ちは拭えませんでした。

画面中の水の描写は見事の一言に尽きました。
最近のジブリ作品がすっかり放棄しちゃったけど、
こういう自然描写のリアルを追求する作品は続けて欲しいものです。


時をかける少女 

なんとなく、筒井康隆ではなく、
藤子F原作なのでは、といった印象を持ってしまうような世界。

携帯電話なぞ出ていますが、
基本、作品全体が昭和の香り。
主人公の女の子のあまりにもノーテンキぷりがそう思わせるのでしょうか。
ここまで深刻さ、とか影とかを感じさせない女子高生を
(それでいてコギャル的な下品さもいささかも含まない)
今更、真っ正面から書く作品を作るひとがいようとは。
そしてそれが大ヒットしようとは。

タイムリープなんぞより、主人公のキャラクターの方が、
今の世ではよっぽどファンタジーだと思うのですが。


劇場版 仮面ライダー電王 俺,誕生!ファイナル・カット

テレビシリーズ一つも見てないので、 

出だし、全然分からないでいたのですが、
見終わってみると充分に満足。

一つの映画としてとても良くできていると思います。
見せ場立て続けで停滞するところが一つもなく、
しかし物語はちゃんと織り込ませていました。
詰め込みすぎ、になる一歩手前のバランス感覚が絶妙です。

登場人物の配置と演技がとてもマッチしている作品で、
テレビが終わっても映画が続けられるほどの人気を博したのも分かります。
ただ、登場するライダーやイマジンなる怪人のデザインはどれもこれも
好みではないですが。


映画2112年ドラえもん誕生/ドラミちゃん 青いストローハット/ウメ星デンカ 宇宙の果てからパンパロパン!

ウメ星デンカのみの感想になります。
30分で、テレビシリーズの下敷きなしで人物紹介から始めろといったら、
こうするしかないよなあ、という事情は分かるのですが……

だったらやらないでくれよ。

人物が過剰なまでにキビキビと動くのが一番の取り柄ですが、
それすらも基本、演出的には全く無意味。
藤子Fの生活ギャグ作品中、最もナンセンス寄り原作の魅力は
片鱗すら残っていません。
原作中、最も印象的と言って良い「王様の誕生日」のエピソードを
わずか5分足らずの大幅ダイジェストで無理矢理押し込む所行には、
正直、怒りを禁じ得ません。
少なくても、藤子Fの作品を尊敬している人が立てた企画じゃないですね、
この作品。


TAXi(4)

これ、一体誰が主役やねん。
署長やん。
もう完全にタクシーのカーアクションはほったらかしで、
お馴染みになった面々のドタバタ劇がメインになっています。
ほとんど悪ふざけと言っていいレベルに達しているので、
こんなん見ていられるか、と思う人もかなりいそう。

ただ、主人公二人の変わらぬ友情と、
少しずつの成長が、織り込まれているのが、
とても好ましく思えました。
それと冒頭のフットボールシーンが格好良くて好き。


仮面ライダーアギト PROJECT G4 ディレクターズ・カット版

これ、どう見ても要潤主役だよなあと思っていたら、 

DVDのパッケージがモロにそうなっている。

平成ライダーで時々鼻につく、とげとげしい描写が、
どうしても馴染めない私ですが、
(この場合、前半での男の子と女の子の荒んだ行動や、
一般人を思いつきで拉致してしまう女性自衛隊員とか)
メッセージ性が高く、話の流れも良く、
映画としての完成度はかなり高い作品だと思います。

クライマックスで、要潤が叫ぶセリフは、
本人がその場で言ったそうです。
脚本家は陳腐だと嫌っていたようですが、
やはり最高に格好いいなあと思う。
このシーンだけで☆一つ増し。


仮面ライダーZO

まれに見る内容の薄いストーリーで、
(まあ、時間的制限もあったのでしょうが)
基本、雨宮監督のアクの強いデザインとアクションを
堪能すべき作品です。

実際、見所はそれなりにあって、
けっこう金のかかっているアクションも目立ちます。
ああやはりバブルの頃の作品なのだなあと思っていたら、
他の映画のセットの使い回しとかもしていたそうで。

基本的に「コスチューム」「プロテクター」を前提にしている
平成ライダーのデザインが好きではない私としては、
この前後の生物的デザインのライダーが一番好みに近いのですが、
この方向性でまた新作、作ってもらえないのですかね。


バットマン ビギンズ

続編である「ダークナイト」が公開時に妙に持ち上げられていて
(個人的にはもう一つという感想だったのですが)
その割にはこのビギンズは扱いが地味だった気がするなあ、
と当時思っておりました。
(気のせいでしょうか?)

今回、初めてこちらを見てみて、
ああ、道理で、と納得するところがチラホラ。

なにしろ、なかなかバットマンが出てこない。
上映後1時間経過して、やっとの登場となります。
それまで主人公、変身もせず何をやってるかというと、
ヒマラヤの山中に何故か忍者が修行している寺があって、
そこで修行したり裏切りにあったりしています。
この勘違いアジア観は確かに日本人にはつらいわ。

後半はなかなか怒濤の展開と派手派手なアクションで、見応え充分。
元は取り返した気持ちにはさせてもらえます。
が、途中で怪人を中ボスで出しておきながら、
最後にアクションする相手が普通の人間なのはどうなのでしょう。
あと、次回への伏線が、あまりに露骨過ぎ。


X-ファイル ザ・ムービー〈劇場版〉

お金はかかっているのは分かるのだけど、なんか全編通して地味。 

考えてみれば主人公がごく普通の一般人、
それも理系人間ともなれば派手なアクションは
世界観を壊してしまうでしょうし。
かつ、今後もどんどん続けていくテレビシリーズだけに、
謎を解き明かしてしまうわけにもいかず。
結果、
大騒ぎこそしたものの、何にも分からず仕舞いになるものだから、
見終わったあとの肩すかし感は拭えません。
テレビシリーズを見ていなくても、楽しめる内容と言えば言えますが、
テレビシリーズファンでなかれば、数あるサスペンスアクション映画で、あえてこれを選ぶ必要な無いかなあ、という気もします。


ハウルの動く城

なんとなく久しぶりに全編通して見ました。最初に見た時の印象は、とにかく掴みづらい印象のストーリーだなあ、ということ。今回見直してもその感想は変わらず。「千と千尋」が少女の成長物語だったのに対して、こちらは「家族(血が繋がっていなくとも)の再生」が主題なのかなあ、と思うがそれもちょっと違うよな。主人公とその周囲の人達のみであまりにも物語が進展していて、全般に閉鎖的な印象を感じるところもあります。とにかく何度見ても引っかかるのが、主人公の母親の態度。娘を罠に嵌めといてゴメンネで済ませて、その後は出番も無し、というのはどうなんだ?


スピード 

公開当時は、低予算でこれだけ迫力あるアクション映画は素晴らしい!
みたいに言われていた記憶がありましたが、改めて見てみると、低予算でもなんでもねえよ(苦笑)。日本でこれだけ予算かけて映画なんて滅多にとれねえよ。ただ、一つのシチュエーションを徹底することで、見ている人を引っ張り続けるその技量は見習うべきところが多く(それだけに、もっと徹底的にバスの暴走シーンで撮り切っちゃえば良かったのに、とも思います。ラストで地下鉄に舞台を換えずとも)、予算の限られた日本映画でも見習うべき所は多い映画だな、とは思いました。しかし、その後、恐ろしくそのへん勘違いした邦画が乱発したようなしないよな……。


ラッシュアワー3 プレミアム・エディション

以前、途中まで見て投げ出したのを、改めて全編通して見ました。途中で投げ出した時には、こんなにジャッキーのアクションが無いジャッキーの映画が面白いか!?という印象だったのですが、改めて見返してみると、決して少ないわけではなかったです。ただやはり、印象に薄いのは、アクションのシチュエーションがいずれもお約束、というよりむしろネタ切れ、という領域にさしかかったモノが多く、しかもキレが悪い為ではないかと。ジャッキーも歳には勝てないのかなあ、という寂しい気持ちが沸いてきてしまうのもどうかと。クライマックスのエッフェル塔でのアクションは、「カウボーイブバップ劇場版」に「カリオストロの城」が少し混ざったような、と思ってしまったヲタクの方は他にいませんか。


茄子 スーツケースの渡り鳥

アニメ版どうでしょうとの噂を先行して聞いておりましたが、なるほど、藤やんのインパクト強し。単純に映画として観るなら、ストーリーが全体に散漫に過ぎる印象があって(こと、登場人物同士のカラミが雑過ぎる感じ)、ジブリレベルの高作画に追いついていない印象なのですが、やはり、どうでしょうファンの身としてはニヤリとしながら観てしまいます。
 それと、やはり気になるのは、ウルトラマンですねえ。なにせ78だもん。


立喰師列伝 通常版

押井守という人がどんな人で、どんな映像を撮ってきたか。もしもそれを一切知らないで見た人がいたら、どんな感想を持つのか。確実に肯定的な感想は出てこないような気がする(苦笑)。そんな映画です。個人的に一番面白く感じたのは、途中幾度か紹介される、実際の戦後事件師。事件のセレクトがあまりに独自の視点で、それゆえに視聴者が、押井さんが戦後をどのように観てきたのか、を理解するいい引っかかりになっているように思います。昼間の忙しい時間帯にダブルマック100個、注文。人生が完全に煮詰まったらやってみようかなという自分の中のテロ感情に気づきました。


小さき勇者たち~ガメラ~ スペシャル・エディション
(DVD)2009年05月24日 12:02

まれに見る、「評価をされにくい」傑作なのではないかと。
予算諸々の事情からすれば、これ以上は望むべくもないほど、
良くできる映画だと言って良いと思います。
ロケ地の選定も良いし、群衆シーンの取り方も上手い。
巨大造形のガメラの出来も使い方もなかなか。
瓦礫の場面も大した物ですし、
肝心の怪獣決戦のシーンも、日中の場面としては、
現時点で怪獣映画のベストになるのではないか、と思わせます。

ただ、「怪獣映画」としては、物足りなさはどうしてもありますし、
「ジュブナイル映画」としては、「怪獣」が出てきた時点で、
もう受け付けない、という人が多数なのでしょう。

せっかく良くできた映画なのに、視聴者層が狭くなりすぎているようで、
実にもったいない。
しかし、このレベルの怪獣映画を、継続的に作って欲しいというのは、
切実な願いです。

しかし、最近の子役さんは、本当に演技が上手いですね。 


ザ・リング

ええ、凄く面白かったけど?
皆さんの評価、悪いんですねー。

中古で200円で買えたんですけど、
昔見た、日本版の物語をほとんど忘れていたのが良かったのかなあ。

展開が凄く良いと思います。
中だるみなしでテンポ良く物語が進むので、
それが返って怪談っぽさを無くしてしまうから、
嫌う人が多いのかも。

だけど、映画としたら、
テンポが良い方が楽しめるに決まってるじゃないですか!

で、リングと言ったらコレ、という
「ブラウン管からこんにちわ」シーン。
日本版で見たときは、正直「大爆笑」でした。
ハリウッド版でどうするか、興味深く見ていましたが、
「出た後なのに平面的・画像ブレ」をするカットなどの工夫に、
苦労が忍ばれました。


REC/レック 

この手の疑似フィクションムービーというのは、映画を見たというより、
アトラクションを体験した、という気持ちになりますね。
内容は一言、
「主人公がマンションの住民が続々ゾンビ化する事態に巻き込まれる」
以外に説明しようがありません。

「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」以降、
数を重ねるに連れ手法を洗練されて、
「無編集のように見せつつ、展開を派手に盛り上げる演出」
というのが上達していて、
上手くやってるなあ、と思う場面は多いのですが、
本質的にこういった努力って間違ってないか?
と思うのも事実です。

この手のリアルさって、どこまで追求すべきなんでしょうかね?


ブラックサイト

ネット社会の風刺をサスペンスに置き換える、その着眼点は良かったと思いますが、逆に言うとそれだけ、という内容だったと思います。展開も人物像も総じて大味で、主人公と犯人の行き詰まる駆け引き、みたいなのはほとんどありません。映画や小説でネットやウィルス、ハッキングとかの類で、
「それはさすがに嘘だろ無理あるだろ」という場面はよく見かけますが、この作品にもまた然り。この映画の場合、まさにパソコン、ネット世界が主題に置かれているわけなので、そこで無理をやられてしまうと、さすがに醒めるものがありました。


ギララの逆襲 洞爺湖サミット危機一発

この監督さん、「怪獣映画」はそれなりに好きなのかも知れませんが、「怪獣」には興味ないんでしょうね。要するに「怪獣映画」のフォーマットを利用した「陳腐がウリの風刺映画」です。期待していなかったとはいえ、特撮のレベルが、最近のウルトラテレビシリーズを大幅に下回るとは思わなかった。確かに予算もろくに無く、あえてそれを逆手に、低予算怪獣映画のチープさを表に出して、笑いに持っていこうという意図なのでしょう。しかしそこを如何に工夫して、怪獣の迫力を出すかという点にこそ、日本特撮に神髄があるのでは、と思う自分としては、仮にも映画を撮るだけの予算を貰った以上、安易におちゃらけに逃げずその限界に挑む誠意は欲しかったというのが正直な感想です。
 内容に関して、ちょっと深読みしたくなったのは、「ギララを太古から祀っている村人」。場所が洞爺湖、北海道ということは、この村人はアイヌ民族の隠喩なのかなあ。


ミスト

「宇宙戦争」「ハプニング」「クローバーフィールド」、そしてコレと、なんつーか展開がよく似ている作品を、このところ立て続けに観ました。その中で、個人的には一番楽しんで観ることが出来ました。展開のテンポの良さが際立って良いのが理由でしょう。間延びしている時間が無く、映像も分かりやすく無駄が無く、地味にも過剰にも成らず。「フツーの人がフツーに求める恐怖映画の怖さ」のレベルをよく分かっている映画だと思います。
(ただし、クリーチャーのグロさは若干キツく感じる方も多いかと)
 ただし、ラストで星一つ減らし。あのラストは駄目だ!いわゆる「ありがちなラスト」の中で一番選んだじゃ駄目なやつだ!ラストをアンハッピーにするなとは言いませんが、「誰もが真っ先に思い浮かぶアンハッピー」というのは、ただ後味を悪くするだけで、あえてアンハッピーにする価値、というものを持てないので、やっちゃいけないことだと、僕は思っているのですが。


ウィッカーマン

 土着的なホラーって好きです。因習の村的な。パッケージに張られた仰々しいアオリ文と、写真のインパクトにほとんど衝動買いでした。まして「官能ホラー」と書いてあった日にゃあウッシッシ。
 内容はというと、まさにカルト・ムービー。散漫で平凡な印象の画面を、じわじわと不安にさせる展開とベタベタなオイロケで、ギリギリ退屈になることを踏み留まりつつ話は進行していきます。
 クライマックス、紹介文にもあった「予想外の展開!」はまさに予想外の予想通りでしたがほっとした顔、それでもエンディングの、独特の切迫感は強く印象に残りました。これ、ニコラスケイジ主演でリメイクしたらしいですが、散々の出来映えだったようです。そうだろうなあ。いっそ日本を舞台にリメイクして欲しい。ちょっと予算多めのポルノ映画ならなおよし。


相棒シリーズ 鑑識・米沢守の事件簿 

本編劇場版に比べると、話のまとまりは良かったように思います。しかし、それもとらえ方によっては、話が小さかったから、とも言えるわけで。率直な感想を言うなら、「これはせいぜい、テレビスペシャルで良かったんじゃないのかな?」という感じですね。六角さんという、どう見ても主人公にはなれない人をあえて劇場版の真表に立たせた度胸と、同じスピンオフものである「交渉人ナントカ」よりはマシかな、という点を評価しての星3つです。あと、これはごく個人的な感情なんですが、六角さんの「相棒」とした登場した人物の人間性が、徹頭徹尾、私の苦手なタイプでした。 


ハプニング

ストーリー的には「宇宙戦争」と割と似ています。ただ予算はグッと控えめでしょう。しかし、見てて怖くなると言ったらこっちの方がそうとうに高め。淡々とした描写の上手さが光ります。最後のオチにがっかり、という人は多いでしょうが、こういう展開の話の「ガッカリしない」終わらせ方、というのは、もはや存在しないと思います。「うんうん、まあそうだろうな」、と納得するのが大人というものでは。

ところで、パッケージは大都会をバックにしたイラストが使われていますが、内容は大半が田舎で展開されるので、ちょっとイメージが違うのでご注意。 


COWBOY BEBOP 天国の扉

決してつまらない映画ではないです。むしろ面白いのですが、「テレビがあそこまでのレベルなのに」と思ってしまうのが、大体の人の率直な感想ではないでしょうか。テレビで語り尽くしたのか、あるいは映画だけ観る人に向けての誠意の意味か、あえてメインキャラクターの内面を掘り下げない内容にしたために、ストーリー的には盛り上がりが乏しい。テレビでは予算的に限界があってやれなかったことをやろうとしたのでしょう、作画演出は本当に見事なのですが、1カット1カットを丁寧に見せすぎようとしているのでテンポが良くない。もう一回、じっくり時間をかけて作ってみて欲しかったなあ、と今にして思います。



メン・イン・ブラック

この頃はまだ、ハリウッドがCGをきちんと小道具として使っていた時代だったんですね。わざと作品全体にチープさを残しているあたりにも、まだまだ余裕があったのだなあ、と思わせてくれます。今は「凄いCG」こそが目的化してしまい、押しつけんばかりの余裕無き「リアル」さに辟易するようになってしまいました。もっとも、それはこの作品を作った当時には、まだまだ新しい「CG」という技術に対応した、新しい「アイデア」を即して産み出していく勢いがあった、ということなのでしょう。この作品にすでに「懐かしさ」を感じさせるほどの技術革新の凄まじい現状なんて、それこそ宇宙人の仕業ではないかと思ってしまいます。


エイリアンVS.プレデター 

「マジンガー対デビルマン」みたいなキワモノ企画だから、きっと最初から最後までドタバタ血まみれアクションなのかと思ってみましたが、前半、けっこうじらします。モンスター物の王道のストーリーで、悪い展開ではないのですが、欲にまみれた大都会でも閉鎖的な山里でもなく、周りに人のいない南極、しかもその地下深くで暴れられてもちょっとイマイチ、という気がしました。まあ、登場人物は呆れるほどにあっさり殺されていくわけですが。
 本家の「エイリアン」も「プレデター」も観たことないのですが、この映画を観る限りだと、けっこうプレデターって良いヤツぢゃん。見た目も日本特撮を彷彿とさせる着ぐるみテイストなので気に入りました。お近づきにはなりたくないけど。


バイオハザードII アポカリプス

 ゾンビものというのは基本的にサバイバルホラーがストーリーの基本になるものですが、この作品はその要素をきれいに捨て去っています。むしろゾンビを戦闘員、アンブレラ社をショッカーに置き換えたアクションヒーロー、いやヒロインものとして成立しています。テーマ性やメッセージ性を、あくまでアクションを盛り上げるための装飾とわりきった構成は、「ダークナイト」あたりと好対照な気もしますが、私はむしろコッチの方が好きだなあ。


ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT

 豪快にカンチガイしまくりのNIPPON。そこを楽しむ映画なんですね? と誰もが納得してしまう大笑いっぷり。とりあえず日本人役がちゃんと日本語を話せない有様の映画を真面目に観るのも文句を言うのも野暮ってもんです。 
 前作もそうでしたが、例え無理矢理でもラストで主人公が勝つ車をアメ車にしてしまうところに、御時世と絡んでアメリカという国に対して切なさを感じてしまうのは私だけでしょうか。
「ホントは勝てないの分かってるけどさあ、攻めて映画ぐらいは……」というアメリカ自動車関係の方々のため息が聞こえてくるようです。
 ドリフトって日本独特の技術だったんですね。


アタゴオルは猫の森

原作のかなりなファンですので、正直、採点は辛めです。そもそも、音楽が米米の人ってだけでもう私の中では大減点です。イメージ違う!日本ではまだまだ珍しいフルCGのアニメですが、しかし、まだまだ「実写」でも「セルアニメ」でもない「CGアニメ」ならではの演出、というのが欠けているなあ、という感想はあります。全体的に「ゲームのCG場面を長くつなげただけ」だったり「キャラが良く動くのを見せつけたい為だけのミュージカル」みたいな場面が散見されるのやはり気になります。映画としてはとても良くできていると思いますし、この出来の割に世間の評価が低すぎないかとさえ観た後に思いましたので星4つにしました。ただ、やっぱり、ちょっと原作ファンとしては、ガッカリなところがあるんだよなあ……。


死にぞこないの青

 実際に子役を使って、イジメを題材にして、一般公開するのだとしたら、こういう話にせざるを得ないよな。という範疇に、ぴったり収まった内容の話です。すなわちホラーの文脈を利用した少年の成長物語。物語を締めくくるメデタシメデタシ感は、ホラーというよりむしろファンタジー。現実のイジメの方が、よほどホラーチックだと言えるでしょう。
 ただまあ、これはこれで充分楽しめる話だと思います。クライマックスでホラーヒロインが告げる、この物語のメインの台詞には、けっこう心打たれるものもありました。
 それと最後の最後にどんでん返しが一つあるのですが、不必要だとは思いませんが、特別驚きもしないという感じ(苦笑)。


カンフー・パンダ 

 この作品に関して、ストーリーの浅薄さや矛盾点を指摘するのはあまり意味がないように思えます。とにかく強調すべきは、フルCGアニメがかくも完全に「映画」として成立するようになったという事実であり、人を強く魅了するに足る「表現」を獲得していたという認識こそではないかと、そう思うわけであります。
 まあ要するに、私が今までこの手のアメリカ製CGアニメを全く見ていなかった、というだけの話なのですが。
 ただハリウッドのCGフル活用のアクション娯楽作が、ひたすら実写に近づけんという方向性で、陥るべくして陥った表現方法の泥沼でもだえている中、こうも軽やかに物語を語ろうとするこのアニメのパワーは素晴らしいと言うほかにありません。

 ただまあ、ストーリーへのつっこみは無意味と言いながら、この展開であるならば、ラストに悪役のその後はどうなったのか、はチラリとでも見せておくべきではないのかなあ、という疑問は残りましたが。


エクスクロス 魔境伝説

 主役の片方がスズキアミであったことを、エンディングテロップで初めて知りました。この映画の最大の衝撃シーンだったかも(笑)。頑張ってるんですねアミーゴ。
 映画の内容は、原作の突っ走ったストーリー展開と、ほとんどドタバタに近いアクションを割と上手にくみ取っているかな、という印象で途中まで見ていました。ただ、クライマックスの場面が大きく変更されていて、原作の「一体誰を何を信じればいいのか?」という盛り上がり方は消されて、いかにも映画的な大騒ぎアクション主体になっていました。
 これはこれで手段の一つなのでしょうが、個人的には少し「台無し」感がありましたね。


アフタースクール

 個人的には「キサラギ」と比較したくなる作品。伏線や展開の妙に関してはほぼ互角ですが、見終わった後のカタルシスはこちらが上かなという印象です。(キサラギは最後まで笑える、という方向での満足感ですね)
 とにかく途中、「えええっ!」と思わせる場面が表れて、そこからは一気の展開。ついていくのがやや大変ですが、「それでこそ!」とガッツポーズしたくなるような物語だと思います。
 問題点、というわけではないのですが、家族みんなで、というにはオイロケ方面の描写が目立つのと、ラストで、そこまで大泉を二枚目方向に持って行くのはどうなのかな、という点がちょっと疑問だったので、星一つ減らして「キサラギ」と並んで星4つ。


キサラギ

ストーリーの奇抜さと、演出の巧みさと、俳優の選出の妙で、最後まで息抜くことなく面白く突っ走ることに成功した良い映画です。出演料以外は何処にも金をかけていない作りなので、テレビドラマでいいじゃん!、とか思わなくもないですが、この作品より遙かにお金を使っておきながら、その内容たるや……という作品も多いですしねえ。
 これは一緒に見た友人との共通見解なのでうすが、この映画を推理作品として見ると、とにかく伏線の張り方の上手い話なのですが、ただ一点だけ、かなり大切な伏線を張り損ねています。それだけが残念だったので星一つ減らし。


ゲゲゲの鬼太郎 (実写版)

内容に関してはまさにファミリー向け、といった案配。ただ、出ている俳優さんがけっこうな大物も含めて、生き生きとやっていて、それなりにハマっているので、素直に楽しめる映画だと思います。こういう、以前ならキワモノと言ってもいい映画でも、しっかり演技力がある人が真面目に演じるようになってきたんですかね。だとしたら、ここ数年の、ほとんど死屍累々というべき惨状だった有名マンガの実写化の今後に、わずかでも期待が持てるというものですが……。


日本沈没 (リメイク版)

とにかく最高に嫌だったのが、クライマックスでいきなり流れるちゃっちいJ-POP!あれが致命的にこの映画を安っぽくしてますね。ストーリーに関しては敢えて語りませんが、物語を展開させる場面をほとんど役者さんの演技と台詞に任せっきりで、時々トクサツのカタストロフシーンを挟み込む、という肉離れを起こしたようなテンポで進行していくのは、予算とセンスがどうしても不足がちの日本トクサツの悪い癖。だけど、下町人情丸出しの人々が逃げまどう場面に、うっかりすると涙さえ流しかねないほど感情移入してしまう、見ているこちらも、日本人の悪癖を持ち合わせているので、最後まで見てしまうんですよねえ。


宇宙戦争

見る前に絶対するべきことは、「ストーリーはどうでもいいんだ」と口に出して3回唱えることです。「謎の巨大兵器に襲われ逃げまどう」、そのシチュエーションを映像化する。その一点だけを追い求めた映画であり、その特殊撮影技術を満喫する為だけの映画です。そう思えば文句のつけようがない完成度。漫画家のゆうきまさみはこの映画を、「ようやくスピルバーグがゴジラを撮ったのじゃないか!」と言っていましたが、だったらそのまんま怪獣にしちゃえばもっと良かったのに、なんだってあんなバッククランの重機動メカを選んでしまったのか。


クローバーフィールド/HAKAISHA 

疑似ドキュメンタリーというには、あまりに物語的に都合良く構成されすぎていて、その点では白けます。疑似ドキュメンタリーというよりも、現場一人称視点の画像、といった方が近い感じ。ただ昨今の怪獣映画が放棄した、「臨場感」というものを外連味強く強調した映画と考えると良い試みだと思いますし、十分面白い映画ではないでしょうか。私はアメリカ人が想像する怪獣のデザインが全くダメなので、なかなかその姿が見えなかったのも良かったです。クライマックスで一番ハッキリ見えたとき、やっぱりガッカリしましたもん(苦笑)。
日本製の怪獣デザインでこれ、やってくれないかなあ。それと、やっぱりエンディングテーマのあざとさと言ったらもう(笑)。ここまで堂々とパクると、オマージュとか言って許されるわけですね。


どろろ

レンタルで借りた直後に地上波放送、やっちゃいました(泣)。日本のトクサツを「ちゃちい」と一蹴する人、俳優がコドモ相手に熱演をする姿を「イタイ」と見捨てるタイプの人でなければ、十分に面白い作品だと思う。アクションシーンもボロが見えようが委細かまわず、とにかくワクワクするテンポを貫いているので、単純な面白さはあるし、なにより主演の二人が役にまじめに取り組んでいるのが良い。最後は話をきれいにまとめすぎようとした感もあるけど、子供が見るという前提では仕方がないのかな?いかにも続編がありそうな終わり方だが、一年経っても音沙汰ないというのは、やはり……。


アイ・アム・レジェンド 

 いろいろツッコみところはあるにせよ、最後にはそれなりの満足感を与えてくれるのが、ハリウッド映画だと思って見続けていました。いたのですが……。
 私、そんなに映画を見るほうではありませんが、今まで見たハリウッド映画で間違いなく、ストーリー的には最低の内容でした。悪口は建設的ではないのであまり言いたくはないですが、これは正直、脚本が酷い。このレベルの映画で、ボブ・マーリィを引っ張り出してもらいたくないなあ。
 見所は前半に集中していて、廃墟と化した摩天楼のCGと健気な主人公の愛犬の名演。あれだけ見事に廃墟を描きながら、どうして後半ゾロゾロでてくるゾンビのCGのレベルがあの有様なんだろう?


マクロス ゼロ 

 テレビ録画していたのを一気見しました。マクロスは世代的には初代がドンぴしゃですが、見ていませんでした。大嫌いだったもので。今まで人類をロボットで救っていた主人公は、「正義」や「友情」や「努力」「根性」を力にしていたのに、このアニメでは「恋愛」が全てになっていたのが許せなくて。「なんじゃこの軟弱アニメは!」と一人怒っていた小学生。いまでは99%のアニメがそうなっておりますが。
 この作品もご多分に漏れず、作品世界の背景の説明もあっさりと済ませた後で、初っぱなニヒルぶった主人公が恋におちると恋人の為ならどこまでもの熱血野郎に激変、後は主人公近辺の恋愛模様描写にどんどん話が絞り込まれて、そのオマケのように世界滅亡の危機が迫っていきます。他のマクロスシリーズと違って話が南の小島近辺のみで終始していることで、話の範囲のみみっちさが倍増している印象。
 正直ストーリーに関しては、主人公とロイがそれぞれ撃墜経由の密林デートを始めた段階で放棄したのですが、その一方で作画は素晴らしいの一言。最近のアニメは多くは見ていませんが、CG作画のロボットアクションでは今までで一番良かった。綺麗でカッコいい。CGではない作画もレベル高いし。画だけも充分見る価値有ります。


ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序 

友人から劇場で見た方が絶対いいよ!と勧められていたのですがすっぽかしたまま……。DVDで始めて見てその理由が分かりました。とてもとてもとても凄い書き込みをしているようなのですが、小さな画面ではその凄さがちっとも伝わってこない(泣)。まして我が家の友達からのお下がり旧型15インチ液晶では(ちょっとでも画面を斜めから見るともう見えない・号泣)。ハイビジョン大画面テレビを持っている人じゃないとこの映画の価値は分からないんじゃないでしょうか。一番心躍ったのは次回映画予告だけという有様の私が星を減らすのも恐縮なので星5つ。あ、でも、いかにも渋々使いました、という感じの宇多田ヒカルの歌がうきまくっていたのは減点かなあ。

更新は不定期ですので、気長に待っていただけると幸いです。Jリーグのサポーターの方はどこのチームでも大歓迎。煽り合いではなくゆるいノリで楽しめたらいいなと思っています。