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2019.06.01 FC東京 vs 大分トリニータ@味の素スタジアム ~”天才”が告げる、「試練の時、来たれり!」~

前節、川崎フロンターレ相手にJ1強豪チームの力を見せつけられ、1-0という得点差以上の敗戦を喫した大分トリニータ。この日の相手は現在首位のFC東京。強固な守備、高速のサイドアタック、強力なFW陣。そして何より、今期本格的な覚醒を果たした天才、久保建英の活躍により、極めて完成度の高いチームとして、前節に初黒星となったものの、ここまで躍進を果たしています。まさに日本の首都、花の都大東京のチームに相応しい…と言いたいところですが、何も恐れることはありません。

だってFC東京のホームの最寄駅(飛田給)ってこんなんだし!

東京ってもがっつり田舎じゃん!

こういうのは大切。

FC東京名物、試合開始前の「You never walk alone」斉唱。相手ながら勇壮でカッコいい場面ですが、歌うには大変な歌だよなあ、といつも思う…。

FC東京は、大分ユース出身の東、森重の二人が先発出場。湘南戦時の梅崎司の時はほとんど拍手のみだった大分サポ、この二人に対しては拍手と愛あるブーイング入り混じり。今日は気合いが違います。

これまたFC東京の名物、選手入場時の「踊る人形」。ドロンパくん登場まではFC東京のマスコットといえば彼らでした。

さて試合です。この日、大分はかなり大胆な布陣変更に打って出ました。普段であれば右サイドで大分の攻撃の起点を担う松本怜を左に配置。普段は左の星を右に回します。その理由は明白。久保建英対策以外にありえません。大分がポゼッションを取るときは松本がボールを保持する時間が長くなるので、当然、付近のFC東京の選手はそのマークに向かわざるを得なくなります。久保にその役割を負わせ、彼をゴールから遠ざけ、攻撃に使うパワーを弱らせる…。

おそらくあったであろう、そのような意図は、彼のズバ抜けた能力により、呆気なく破綻をきたします。大分は試合開始直後こそゴールに向かう場面があったものの、次第に東京優位の展開を余儀なくされます。2年目を迎えた長谷川健太監督の東京は守備の完成度が高く、大分対策の定番である、最終ラインに向けたハイプレスはかわすことができても、中盤での相手を潰す連携のとれた守備、さらに自陣でがっしりと固めるブロック守備に、大分攻撃陣は大苦戦します。

外から見た印象ですが、FC東京は伝統的に、サイドアタッカーと強靭なFWをメインとした攻撃を得意としています。これは選手と戦術がハマるとスピーディで効率的な攻撃となるのですが、逆に前線中央に置く司令塔の不在は、アタッキングエリアでの選手不足という事態を招き、攻撃の迫力不足と、それが故に相手にポゼッションを過剰に譲り渡す悪癖が顔を出します。FC東京も長年、色々と試行錯誤していたようですが、その解決策はなかなか見当たらず、どん底の時期は、日本屈指のゲームメーカーである中島翔哉すら全くその能力を発揮できず、なぜか司令塔タイプではないアタッカータイプの東慶悟が運動量頼りで中盤の役割を全部請け負うような形で、相手のカウンターに必死で食らいついて味方ゴール目の前まで戻った挙句にオウンゴールやらかすという、一体このチームは何をやってるんだ?という時期もありました。

しかしこの日のFC東京はそのアタッキングエリアを、飛び抜けたスピードを誇る永井、優れたフィジカルで威力を発揮するオリヴェイラ、そして抜群の技術を持つ久保建英、この3人が、いかに素早く通過してその先のゴールに迫るか、それをこぞって競争するかのような攻撃を見せつけます。

策の甲斐なく、久保くんに振り回される大分の左サイド。そして久保くんを狙い続けるカメラマンの砲列。久保くんの鮮やかな切り返し一発で、マークで並走していた松本怜が吹っ飛ぶように転倒するシーンは衝撃的で、大分サポーターから悲鳴が上がりました。

先制点は前半30分。オフサイドぎりぎりでボールを受けた久保建英がマーク二人を引きつけて完全フリーの室屋にパス。彼のあげたクロスに橋本がヘディングで合わせます。

そして38分。中盤で大分のパスをインターセプトした久保建英がドリブルを開始、ペナルティエリアまで一気に運び、そのままシュート!DFの足を弾いてゴールへと突き刺さります。

祝福される久保くん。

ハーフタイム。アウエー側に挨拶に来たドロンパくん、器用に電動ローラースケート?を乗り回し、スタッフにイタズラ。

後半58分、大分は星に変えて後藤優介、島川に変えてティティパンを投入。より攻撃的布陣を組みます。それから間もない59分。後方からのロビングを受けたオナイウ阿道が一旦小塚に戻し再び受けると、反転して一気にシュート!強いゴロとなって抜群のコースを駆けたボールがゴール左ネットに転がり込み一点差。俄然、大分の反撃ムードは高まります。

しかし東京の守備は硬いまま。松本や広島、清水といった徹底したブロック守備に苦しめられ続けている大分はその解決策を見出せぬまま、川崎戦に続き、J1トップクラスのパスワークと技術に苦しめられる現実を見せつけられます。この日は曇りの中、時々陽が顔をのぞかせるという天気だったのですが、蒸し暑く感じる陽気で、体力の消耗も激しい試合となりました。途中、FC東京のDFの選手が接触で激しく痛めてプレーが中断される場面があったのですが、その間、敵味方ほぼ全員が給水の為にピッチから離れ、誰も近寄ることのないまま延々とグラウンドで一人悶えているという、大変に気の毒な一幕も。

迎えたロスタイム。残された時間で、なんとかもうワンチャンス…その大分の期待を、またしても天才が無残にも打ち破ります。最後方から攻撃を組み立てようとボールを前に押し出そうとしたところを久保建英がカット。パスワークに参加していて前に出ていたGKをあっさりと置き去りにし、ゴールへゆっくりとしたゴロのシュート。絶望を感じさせる長い間を置いて、駄目押しの3点目が決まります。

久保くんのヒーローインタビューに湧き上がるFC東京サポーター。

落胆の色を隠せない選手を、激励の声で出迎える大分サポーター。

大分はここに来て初の連敗。首位との差も開き、中位のチームに迫られる苦しい結果となりました。負傷者が増えてきており、出場を続けている選手に疲労の気配が感じられる中、ここで踏ん張りきれるか、重要な時期を迎えたようです。代表ウィークを挟む1週間、ここでチームを立て直し、次も実力派チームの名古屋戦、ビックネーム揃いの神戸戦、そしていよいよその次は、大分ホームでの浦和レッズ戦です。

大分にとって、勝負の6月が始まりました。

それはそれとして、

今回のスタグルコーナー!

スタジアム横の広場に設けられた、「赤青パーク」なるフードコーナーからサルサドック。パンが本格的でめっちゃ美味しいやつでした。

アウエー席近くに出店していた、どて煮の3点盛り。ほろほろのつくねと味の染みた焼き鳥と牛すじ。

試合終了後は、調布在住の大学時代の後輩ご夫婦と、食事をする機会を設けてもらいました。FC東京を応援するご夫婦、この日は当然ホーム側で御観戦。お二人のご機嫌な様子が胸に痛い。

後ろで観戦していた男の子が終始、「なんで大分のキーパーはあんなに前に出ているの?あんなの見たことない!」と感嘆していたとのこと。

それはね、大分サポーターも常々驚いているし、そしてかなりドキドキもしているんだよ…

調布駅前の新名物。街灯を利用した影絵ですが、よくできますね。

更新は不定期ですので、気長に待っていただけると幸いです。Jリーグのサポーターの方はどこのチームでも大歓迎。煽り合いではなくゆるいノリで楽しめたらいいなと思っています。