自宅映画鑑賞感想文(mixi救出)Part2

藁の楯 わらのたて

藤原竜也という人は、ぶっ壊れた演技をする若手イケメン俳優という立ち位置の人だったと思うんだけど、そのままけっこう年をとってしまいましたね。もちろん、実力あってのことなのですが、どこまで続ける気なんだろう。映画のストーリーは、ちょっと前に全く同じようなプロットをハリウッドでやってたよね、というのが真っ先の感想。困ったもので話の展開は雑というところも共通してますが、アクションに関しては大差がついてます。もうちょっと頑張ってほしかった。しかし、本邦らしい見せ場が登場人物がそれぞれの感情を見せるウエットなシーン。こと、クライマックス手前、主人公と藤原くんがぶつかり合うシーンは見ごたえありました。



探偵物語 

松田優作の探偵物語ったら、黒帽子にサングラスのアレちゃうんかい!すっかり騙されてしまいましたが、この映画の見所はなんと言っても薬師丸ひろ子。どーだ昭和という時代はこんなに良い時代だったんだぞ、と今のアイドルヲタの皆様に誇りたいこの内容。今見ても十分にかわいく清純派な薬師丸ひろ子が体当たりで演じるキワドイ場面の数々。昔はこういう映画を売りだし中のアイドルを主役に添えて作ったものですが、今のアイドルだとNGなんでしょうかね。伊達男を演じていない松田優作を始めてみたのですが、これはこれでスゴくカッコイイ。


武士の一分 

なんで終始おしゃれ髭なの。ご存じチョンマゲサラリーマン哀歌こと藤沢周平小説を一般庶民から最も遠い極星キムタクが演じるとどうなるか?そら映画としては悪かないけど無理はあるよね、という象徴が、髭の不自然さに現れているような気がします。いやこの映画に関してキムタクの演技に問題は一切ないですが。
山田洋次が作った時代劇だなあ、と思ったのは、庶民の生活感を出す描写としては申し分ないのですが、時代劇、としてみると、なんか薄いというか、ディテールが浅いという印象があります。これは直近で『必死剣 鳥刺し』を見たせいもあるのでしょう。比較すると明確に差があります。


劇場版 名探偵コナン 絶海の探偵 

コナン映画ではずいぶんと地味な印象がします。劇場に見に行ったお子様は退屈しちゃったんじゃないかな? しかしポリティカルアクションとしてなかなか雰囲気が出ていて、作品全体に緊迫感があって、見応えはあります。犯人捜しがストーリーの興味の中心からずれている印象はありますが、プロットもしっかりしています。原作が福井晴敏だったりしませんよね?
 自衛隊全面協力ということですが、作中で描写されている海自の皆さんの行動がが、けっこう問題アリで、良いのかこれ?と思ってしまう事請け合い。きっと普段留守がちの自分のお子さんに、自分の職場を格好良く書いてもらいたいから協力したのだろうに(苦笑)。


必死剣鳥刺し 

残り20分くらいまで、いっさいチャンバラなし。そこまで何が書かれているか?それはもう江戸時代のブラック企業に勤める社畜サラリーマンの悲哀が存分に。これは藤沢周平原作ですよね?そうに違いないよこのウンザリした感じ!ただ、本格時代劇の真骨頂と言うべき丹念な描写の積み重ねで、それほど退屈感はありません。これだけ溜めて溜めて最後、さあどうなる?という期待を静かに引き寄せる、こういう展開は今は受けないかも知れませんが、たまにはこういう映画も見たい。で、肝心クライマックスですが、見応えはありますが、演じられる殺陣のリアリズムと演出の配合比がちょっと微妙かな、と。ここまで引っ張ったんだから、多少は尺を取らないと!という躊躇が垣間見られます。そう思うと、やっぱ黒沢明の用心棒って凄いなあ、とか思ってしまいます。それと、私はスタッフロールが流れた時点で早送りにしたので気づかないところでしたが、この映画にああいうテンションの歌、なんで無理矢理使うかなあ。


劇場版 TIGER & BUNNY -The Beginning- 

シリーズ本編を見ていないので、感想を述べる立場としてはアンフェアになりますが、よく言えば、往年のタツノコアニメっぽい作品。バタ臭い絵柄とベタなキャラクター&ストーリー。万人受けする娯楽の定番の組み合わせでありますし、あからさまに海外ウケを意識している作品ですので、正攻法な作りだと思います。ただまあ、これだけの表現が出来るってのに、そんな話しか書けないの?そんな在り来たりで良いの?と思ってしまったのが正直なトコ。きれいな作画ときれいなCGと万人受けするキャラを書くだけで満足している不甲斐なさ。まさかスポンサー企業に申し訳ないから、毒のある内容は書けないと遠慮したわけでもあるまいに。


仮面ライダー×仮面ライダー ウィザード&フォーゼ MOVIE大戦アルティメイタム ディレクターズカット版 

普段、映画はハリウッドアクションを時々見るくらいという程度で、ライダーなんてヲタでもないのに見ないよ、という平均的な方々に、是非とも見ていただきたい映画です。するとどうなるか?この先5年、ライダーなんて見なくてもいいや、と思うこと請け合いです(笑)。子供向けにしては長すぎる上映時間みっちりに詰め込んだアクションシーンは胸焼け必至。しかし間違いなく、現時点でのライダーアクション、いや日本映画のアクションの最先端を知ることが出来る映画です。冒頭のカワイイお姉さん(誰?)のキレキレアクションや、ライダー教師とイナズマン生徒の下町大爆走アクションチェイスなどは、いずれもライダー姿でないだけに、アクションのレベルがよく分かる。ハリウッドや香港の影響丸出しという批判を、カット割りのテンポや構図のセンス等にこだわり、見応えを追求することで撥ね除けようという強烈な意思を感じます。三部構成になっているので、一気に見ずに、三日かけて見るぐらいがちょうど良いくらいかも知れないです(苦笑)。最後のCGアクションのクライマックスがしょぼく見えるのは、まあ、ハリウッドでも時々あるし……。


海賊戦隊ゴーカイジャーVS宇宙刑事ギャバン THE MOVIE

俳優冥利に尽きる、ってもんだろうなあ。当時ギャバンを演じていた俳優さん大プッシュの映画。今の戦隊やライダーには間違っても選ばれない、昭和臭全開の濃いご面相と演技で終始、映画を引っ張っていきます。お年を重ねているにもかかわらずアクションの切れも見事で、若い戦隊メンバー諸君が良い手本として見ていたらいいなあ、と思ったり。現代でも十分通じるクールなデザインのヒーロー姿と、主題歌に象徴される熱血丸出しなホットな世界観のギャップが、ギャバンの魅力だと再認識させる映画です。


フェイス/オフ 

荒っぽいけどスタイリッシュ、というこの監督さんのアクションがハリウッドムービーで楽しめる、それこそファンには貴重なこの映画。リアリティなんてはなから考えてもいない外連味溢れる展開と演出はこの人ならではの魅力に溢れています。ただしまあ、ちょっと長いよね。入れ替わった刑事と悪人の日常描写などは、ちょっとユーモラスな場面なんか加えて、視聴者に楽しんでもらおうと張り切っているのが窺えるのですが、アクション映画はテンポが命。それと、いくらなんでも花火使い過ぎだろ、とは思った。鉄砲が放たれる度に着弾箇所に、バラエティ番組で出川あたりがあついよあついよーって悶えてるのとおんなじような火花が上がるのを見ると、どうしてもにやけてしまって気が削がれる(苦笑)。


ファイナル・デッドサーキット 

さすがにここまで来るとマンネリになってきていますが、それは借りる側を承知の上。「どうせまたこのパターン」というパターンを如何に楽しむか、ハッキリ言えば、「今度はこのキャラか、いったいどんな殺され方をするんだろ? ワクワク」みたいな楽しみ方が出来るかどうか、以外に見所はないですよね。
今回も派手に人が死んでいくわけですが、前作と比べてCGの予算規模が透けて見える描写が目立った気がします。どちらかと言うとこの映画は、中盤の散髪屋のように、ジワジワとした死に持って行くパターンの方が楽しみ、という人の方が多いのじゃないかなあ、と思っていたのですが、まあ派手にどかーんどかーんと死んでいく方がやっぱりウケるのかな。あと、今回は今までと比べて、死体を露骨に見せつける場面が多かったような。その辺が嫌でした。


おおかみこどもの雨と雪 

 たとえば、アクション映画やサスペンス映画、ホラー映画では、多少のご都合主義は許されます。しかし、こういう日常描写、しかも育児という、人が日々つないでいる世界に触れた作品でそれを強く出してしまうと、やはり反発する意見が増えてしまうのは避けられないことなのでしょう。「そんな都合の良くいかないよ、現実は……」と、育児中の母親、特にシングルマザーの方はこれを見て思うに違いありません。しかし、それをやったから間違い、というのではなく、むしろ、ご都合主義をねじふせるほど、アニメの魅力を存分に引き出した描写を重ねることで生まれる説得力、というものに賭けてみたのでしょう。
 実際、この映画を見て、もう二度と見ない、と思った人より、またテレビでやっていたら目を通してしまう人の方が大多数だと思います。見終えた後の理屈抜きの健全な充実感こそがこの映画の魅力であり、「子供を育てることは、いかなるアクションやサスペンスを上回る冒険なのだ」と、このご都合主義の物語は逆説的に訴えている、という印象すらあります。庇いすぎでしょうか。
 おおかみにんげん、の設定がなさ過ぎる、というのが、個人的には一番の不満でした。


ファイナル・デッドコースター

原点回帰というか、1の続編、という部分が色濃く出ている内容で良かったです。テイストが違った2作目は違う監督さんだったらしい?正直鑑賞していて、1作目の画面を見続けられない怖さは無かったのですが、それはこっちが慣れてしまったからで、仮にこの3作目から1作目を見たら、相当物足りなく感じることでしょう。人気が出て予算が付いたぶん、気合いの入った虐殺シーンがてんこもりで、イケイケドンドンなスプラッター展開が楽しめます。ただ、人体がバシャーン!って弾けるパターンばかりが目立つのが気になるところ。


ダークナイト ライジング

 このシリーズ、ヒーロー映画に今までにない深い意味を込めて描かれた、なんて褒められ方をよくされていますが、正直どうなのかなあ。深い意味とかメッセージ性とかが具体的に何を指すのか知らないけど、少なくても日本では鉄腕アトムの頃からそういうのは込められていたと思うんだけど。むしろ、意味ありげに重たい描写を見せつけたいがゆえに、アクション映画やヒーロー映画としての魅力がどんどんなくなっていく感じ。クライマックスでは、悪人とバットマンが殴り合うわけですが、その周りでは無数のフツーの警官とゴロツキが大乱闘。その乱闘が同じレベルってどうなの?これなら正直、最近のライダーや戦隊ヒーローが大集合で暴れ回る映画のクライマックスの方が燃えるよ!
 特に後半は色々とアラだらけの展開で、それはまあアクション映画、ヒーロー映画であれば多少は見逃しもするんですが、とにかくこの映画、「ウチは他のヒーローものと違いますから、高尚な映画目指してるんで」臭が強くてそれが出来ない。「こんな深い内容なんだから、下品な重箱つつきは止めてくれる?」って感じでカンに障る。
 それとさあ、これは日本人だからなんだけど、都会的でシャープなイメージのバットマンに、どうしてまたしてもインチキっぽい東洋趣味を入れ込んでくるかね?1作目でそこにウンザリして、2作目ではそれがなくて一安心してたのに。バットマンが使うメカがイチイチごついのも、イメージ違うんだよなあ。

 一つだけ褒めたいところは、敵のマスク男の描写は好き。前作のジョーカーといい、適役の魅力だけはありますこのシリーズ。ただ、キャットウーマンのデザインは、ティム・バートン版の方が良いよね…。


シャーロック・ホームズ シャドウ ゲーム

小説のイギリス紳士のイメージを持っている人はもちろん、空からこぼれたストーリーがポストに届いちゃう人でさえも、自分のホームズ像が試されてしまうこのシリーズ。割り切ればちゃんと面白いアクション映画です。ええミステリーではないですよ。推理なんでとんでもない!実際、ホームズというよりルパンな感じだし、古き良きブリティシュを舞台にしたファンタジーな世界観は、ちょっとハリポタっぽい。ラストの舞台、ものすごい大瀑布の上に城のような建物!という無茶な舞台も「ラストは滝」というホームズのお約束をこの世界観に旨く組み込んだ象徴と言えましょう。しかし、しかし、モリアーティが本格的な悪役なのに違和感を感じ、トッドとスマイリーがいないとか思って見ちゃう私は私で、正当ホームズファンからは怒られてしまうのでしょう。


ジョーズ 

今更ながら、じっくりと全編を見たのは初めてです。「オープン・ウォーター」は2まで見てるんですが(笑)。当時の特撮技術でも、これだけアラを晒さないで緊迫感を煽れるあたり、さすが名作。アラを見て見ぬふりをしてくれる心優しい日本の特撮マニアがいないエンターティメントの本場アメリカで鍛え抜かれたスピリバーク監督の気合いが窺えます。物語の前半後半で全くテイストがずいぶんと違うのが気になるところですが、これは予算配分ゆえなのでしょうね。この展開ならば壊すのが船一台で済むわけですから。しかしこの映画、バカなやつはトコトンバカなのが、いかにもスリラー映画ですね。エッチすることしか考えてない若者とか、安全より観光客減の事しか考えてない地元民とか…。このあたり、後に類型化した人物ばかり、と後に非難されるスピルバークの片鱗が窺えますが、ひねくれ漁師さんと一度は心を通わせて歌を歌ったりしながらも、極限の現場で…という描写は良いと思います。


パッチギ! 

嫌なご時世になったものでして、この映画を素晴らしい!とか讃えたら、ネトウヨとか言う方々に絡まれたりするんでしょうか? 娯楽映画として、青春映画として、素直に楽しみましょうよ。本当に良い作品じゃないですか。映画のストーリー展開もさることながら、文句なしに凄いな! と思ったのは、当時の世界観の再現性の高さ。日本映画で昭和時代のような「一昔前」を舞台にすると、必ずどこかボロが出る、というか、不自然な構図や繰り返しの背景、時代NGだけど見逃して!的なシーンが必ず出てしまうものですが、この映画ではほぼ皆無でした。歴史を重んじる町、京都という町を舞台にしたからこそ可能だった、と言えるかもしれませんが、それでもここまで成功した映画は見たことありません。世界観がガッチリ構築されているからこそ、登場人物がことごとく高校生に見えなくとも、それがギャグにはならないわけです。


サイレントヒル

ゲーム原作で面白いホラー!というと、真っ先に思い浮かぶのがバイオハザードなわけですが(いや映画版はもはやホラーぢゃねえという気もしますが)、それの二番煎じを狙った……わけではないのでしょうがこの作品。白い灰が降りしきる無人の町、というロケーションは大変ホラーっぽい雰囲気があって良かったのですが、ドギツイCG多用したサスペンスシーンとの落差が大きく、それを魅力と捉えるか(制作者側は明らかにそれを意図していますが)、なんか台無し、と捉えるかで、作品の評価は分かれる気がします。このストーリーなら、ああいうデザインの怪物はちょっと浮いている、という気がしますが、それを出してこそのゲーム原作なわけですし……。ゲームの世界観と、この映画の監督の意図が、微妙に噛み合っていない印象がありました。


デッドコースター 

さすがは2作目。作品全体から「手慣れた」感が漂って、サクサクと手際良く人が死んでいきます。「予算も付いたし、爆破は派手に行くぜ!」という感じも微笑ましい。この映画の見所である「こう死ぬと見せかけて、実はこうでした!」展開は前半に特に著しいのですが、ちょっとやり過ぎというか、前フリで手間をかけ過ぎた割にはあっさり終わるね、という印象もありました。実際のところ、一番「死に方」に「あっ!それは読めなかった!」と驚かせたのは、もしかすると一番あっさり死んだとある人物だったように思います。それにしても「伝染する死」とか「不可避な死」とかの要素を見ると、「リング」や「デスノート」を思い浮かべてしまうのですが、その影響は……ないよね。


劇場版 仮面ライダー響鬼と7人の戦鬼 ディレクターズ・カット版 

平成ライダーの映画は、こだわりの世界観が印象強い内容が多く、コンセプトは面白い物が多いのですが、映像としてみると、如何せん、全体的に雑な感じがするものが多いです。予算もあるし、何より、テレビと同時並行で作られる以上、時間的制約もあるのでしょう。ところどころ、力が入っているな!というシーンはあるのですが、だるい場面はただ平凡なバストショットと表情アップの羅列で、ロケ地のもう見飽きた感も加わり、面白さが漏れ出してしまっています。
 なんでもこの響鬼という作品に関しては、平成ライダーの中でも際立って紆余曲折があった作品らしく、(それも番組企画時から放送途中まで終止)いろいろな話が本やコメントから伝わってきますが、際立った個性はやはり魅力なので、一度、じっくりと手間をかけた映像を見たいなあと思わせる、私のとっては唯一の平成ライダーなんですけどね。


バトルシップ 

 あーなるほど、それで日本人起用したわけね……。それが映画を見終わった後の感想。この内容だと日本での興行収入望めないなあ、だったら日本人を脇役で活躍させちゃえばいいじゃん! という見事なアメリカ的合理主義。「パールハーバー」で学んだ教訓を見事に生かしています。孫子だの何だのってむしろ中国ぢゃね? なんてことはおかまい無しですが。
 加えて、中途半端にフィールドオムドリームズ的な、古き良きアメリカ万歳な展開を持ち込んで、お孫さん連れのおじいさんも安心だ、という万全対策。みんなの力を合わせた正義のアメリカ軍は無敵なのさ! という明朗な展開で、結果として、宇宙人弱すぎ。宇宙船モロ過ぎ。あらゆる場面でマーケティングを意識した場面展開が垣間見えて、むしろその為に話にしまりがなくなってしまっている印象。宇宙船のデザインは好きなんだけどなあ……。

 あ、そうそう、さすがアメリカと思った点がもう一つ。冒頭のサッカーの描写が酷すぎ。


ファイナル・デスティネーション 

 久しぶりにドッキリ系ホラーに負けました。この場合の負けの判定は、「怖さに耐えきれず、5倍速再生のまま観賞してしまった」ことを指します。これやると怖さが半減してくれるので大助かり! って映画鑑賞として邪道過ぎる。お詫びを込めての星4つ。

 登場人物の「殺され方」にひたすら拘った映画で、「これを前フリで見せておくと、こうやって死ぬかと思ったでしょ? 実はこうでした!」って感じの裏切りが見所です。いわゆる「低予算で大ヒット系」なのでしょう、ショッキングシーン以外の場面は地味極まりないですが、90分台のテンポのいい展開なので全く気になりません。
 ただ、登場人物の皆さんに、あまりにも花が無いなあ……。だからかえって親近感っつかリアリティ出るのかもしれませんが、美男美女が出ない洋画って、こうも画面の魅力が消えるかね?


帰ってきた侍戦隊シンケンジャー 特別幕 

本編全く見ていないので、中身の感想を言っても仕方ないです。つうか、一見さんお断りですね。ほぼ100パーセント純粋にファンサービスのみを目的とした、ほとんど同人的ノリの作品です。強いて言うと、予算が劇場版ほど余裕が無い割には、敵怪人の造形が凝ってるなあ、とか、巨大ロボット戦に力を入れているなあ、くらい。(しかし巨大ロボのデザインはひどいな……)

この作品の価値は「この作品が作られたこと」、これに尽きると思います。この主演メンバーの皆さんは本当に仲が良いらしく、最近になって、新作が製作されることが発表されてましたね。しかも主演メンバーの働きかけで。一年周期で入れ替わる戦隊物は、どうしても作品としても出演者側にとっても「使い捨て」されている印象が強くなってしまうのですが、こういう動きが生まれるのは良いことだと思います。


スターシップ・トゥルーパーズ インベイジョン 

 いわゆる「ピクサー」型の、「動くぬいぐるみ」タイプのCGアニメだったら分かるのですが、この手の「まるで実写のような」CGアニメって、どの程度メリットがあって、どの程度の需要があるんですかね。しかもこういう世界観でこういうアクションだったら、ドキドキ感でゲームに勝てっこないでしょうに。
 とりあえずこの映画を見る限り、最大のメリットは「メカがかっこいい」という点になるでしょうか。重火器のぶっぱなし、マズルフラッシュのバリバリ感とか後半出てくるパワードギアの装甲騎兵っぷりとかは確かにカッコ良かったです。
 しかしなあ、人物……。動きが人形みたい、とは言いません。個人的に、CG美形って駄目なんですよ。やたら頭身高くてやたら目鼻立ちが整っている面々。やたら歯並びが良い人々(苦笑)。まあどんなに美形だろうが不細工だろうが演技力もギャラもおんなじわけですし、だったら美形ばかりを使いたくなるのも分かりますけど。それに、どんな役柄でも文句もでない訳で、だから安心してどいつもこいつも殺せるわけだよね揺れるハートって勢いで登場人物死んでいきます、この話。


007/スカイフォール 

 実は正面切って007を見たのって始めてかもしんない。そんな奴が映画を語るな!という神様からのバチがあたったのかもしれませんが、まあー初心者向けではない映画でした。内容が面白いツマラナイ、ではなく、007初心者が絶対最初に見てはいけない映画です。
 007ったら、国際的巨大陰謀に立ち向かう、が基本じゃないですか? この映画はそうでなく、007の上司のオバはんへの個人的復讐に巻き込まれた、ってだけの内容なんですよね。そこから007のルーツに話が向かう、という、トコトン個人に集約していくパターン。だからクライマックスもなんか、周りに何も無いど田舎で近所のオッサンとボロ屋敷で立ち回る、という展開。しょぼいよ!冒頭であれだけ派手なアクションやっといて!(まあスパイが町中であんな派手なことしてどする、とは思いましたけど)
 007の出生の秘密が、今、明かされる……とか、そんな感じで盛り上がるべき映画なのかなあ。しかし、ヒーロー、ヒロインの過去って、皆さん、そんなに興味あるんですかね? その手の話で、あまり満足したことって無いって気がするんだよなあ。


るろうに剣心

テレビ試聴なので、本来は感想買いちゃ駄目ですよね。30分ぐらいカットされてたみたいだし。それなりにヒットした作品なのだから、そんな無体な真似しなくてもいいだろうに。ジブリならともかく、デスノートとかだってそんなことはしてなかったんじゃなかったっけ?
 特別、減点をつける場面はなかったように思います。キャラクターの配役もストーリーの組み直しも手際よく、一番肝心な剣劇シーンもかなりカッコ良かったと思います。「腰溜め」とか「踏ん張り」にこだわりがあって、ワイヤーアクションの欠点をほぼ消しているところは感心しました。(牙突に関してはちょっとアレですが)カット割りが激し過ぎるとか、描写がちょっと残酷とかという意見もありましょうが、そこは「このキャラは違う!」と同じ手合いの、個人の好みのレベルでしょうね。(実は私も、剣心だけがどーも違和感あるのですが、別に何が悪いってわけじゃないんですよね……)
 いまだに外れもあるマンガ原作映画ですが、最近は「原作ファンを落胆させない」レベルの作品が増えてきたように思います。これからは原作以上の呼び声がかかるような作品が出来れば良いなあ、というのは贅沢ですかね。るろ剣なんて時代劇なわけですから、普段はマンガを見たい層を呼び寄せるにはもってこいなわけですし。


ワイルド・スピード MEGA MAX 

 規格としては大失敗の気配漂う3D映画の影響なのでしょうか。昨今のハリウッドアクションには一時期、盛大に蔓延した悪癖、「カメラぶれぶれ臨場感攻撃」は一段落した印象があります(酔っちゃうもの……)。その一方で、「画面側にドキューンと物が迫ってくる強調コンボ」は増加している傾向があるような。
 この映画もその通りで(3D上映したのかは知りませんが……)、恐ろしいテンポのカット割りでたたみかける「ふっとび映像」の連続で、自動車って、こんな軽々としたものなの?という勢いで吹っ飛び、爆発し、しかし主人公達は不死身です。
 映画見てて疑問だったのは、「ワイルドスピード」って、こんな内容だったっけ?ということ。ワイルドスピードっつうより、「ミニミニ大作戦(2003)」の続編という感じなのですが、思えば2と3だって内容、全然違った気もするし、このシリーズはこれで良いのでしょう。カーアクション限定にせず、冒頭で列車強盗、続いてはスラム街スタントと、趣向を変えてきたのも当然アリ。ハリウッドお約束の「ワルそなヤツは大体友達」的、友情大集結展開も良いのですが、やや詰め込み過ぎでテンポを狂わせた感もあります。まあ、続編やる気マンマンなので、レギュラー増やしたかったのでしょうが。


ドラゴン・タトゥーの女

 ヒロインに惚れた!いやあ、今まで映画見てきた中で、トップクラスに惚れました。ええ、歪んでいます、私(笑)。そら勿論、実際に近くにいたら、真っ先に逃げ出しますが、キャラクターとして、これほど魅力的なヒロインは滅多に見ないです。不幸な境遇で暮らし、クールでミステリアスでデンジャラス。強く圧倒的な才能を持ち、孤高の精神を持ちながら、理解者を常に求めている儚さを隠し持ち……、そして何より、エッチシーンも全力投球(Yeah!)。変態男がヒロインに無体な真似をした時には、どんな気合いの入ったお仕置きシーンが待ち構えているのか、というので、もうドキドキ(♡)
 これ以上書くと、私の人格が疑われるので、ややネタばれでありますが、映画の中身について。実は、サスペンスとしての展開はラスト20分くらい前に終わってしまい、そこから、主人公のある行動が書かれます。正直、ちょっと中身が理解できないで見てたせいもあって、例えば邦画では、こういう展開はあまりしないんじゃないかなーと見ながら思い、「この手のキャラクターを主人公にした場合、日本映画であれば絶対にやってしまうラスト」は、この映画には無いのかな、と少し安心していたのですが……やはりそうするんですか。そのオチは万国共通っすか。あの本邦の国民的長寿映画同様、異端の人間の末路はやはり……。
 幸せになって欲しいんだよ、私の惚れた女なんだからっっ!


アンダーワールド 覚醒

 冒頭見た時に驚いて思ったのは、なにその「デビルマン展開」(笑)。前回までのどこか現代的でないゴシックな世界観から一転、中途半端に現代性を帯びて、しかも孤高で凛々しいヒロインがいつの間にやらお母さんになってって。これって一体誰得展開?と思わずにいられないのですが、今後も続編をやろうってんなら、やりやすい展開に持っていったなあ、という気はします。
 低予算でもスタイリッシュなアクション、という第一作のインパクトはもはや望むべくもないですが、今回の目玉が、巨大化した狼男との対格差バトル、というのはガッカリかなあ。ジャンプ的展開を洋画に求めるつもりないし(苦笑)。ただ、ヒロインの旦那の役立たずぶりは、まさしくヤムチャに匹敵しますね。


ホワイトアウト 

年齢制限がかかっていましたが、内容はオーソドックスなサスペンス。ただし、やたらめったら死体の描写がエグいです。そこだけは正直、正視出来ないレベル。何だってそんなにこだわったのか。吹雪で閉ざされる直前の、南極観測基地。いわば究極の「雪山山荘」なわけですが、謎解きという視点ではそれほどのものでも……という感じでしたねえ。「おいおい、幾ら何でもこの展開で犯人がそいつでした、はないよね?」というガッカリ一番手はかろうじて躱したものの……、というくらい。伏線とかはちゃんと張っているし、悪かないんですが、犯人との攻防のシーンとかも込みで、もうちょっと盛り上げようがあったんじゃないか?と思わずにいられない映画でした。


TEKKEN -鉄拳- 

映画のランクで、A級とかB級とかありますが、こういう作品は、どの辺になるんですかねえ……。日本のゲームが元ネタでなければ、絶対に劇場公開はされなかったでしょう。せいぜいちょっと品揃えの良いレンタル屋の足下に並んでいるような感じの映画です。アクション映画コーナーの左下あたり(笑)。
まあ最初から身の丈を知った上で、チープなりの楽しさを求めている映画ではあるのですが、あれだけ個性的なキャラクター揃いのあのゲームで、登場人物、こんなもんで良いのかな?とは思いますよね。ゲームにそれほど興味の無い私が持っている、数少ないゲームなのに。メインで使っているクマ出ないし。一番の見所は、ヒロインの金髪ねーちゃんがやたら美形で、コスチュームが適度にエッチなことですかね。しかしそれも、後半は隠れてしまうとは何事か。


インビジブル 

 ストーリーだけをなぞると、ただのエログロ映画じゃねえか、だったらもっとエロ場面増やせや、とか、主人公がとんでもなくヤな奴なのは悪役だから仕方ねえっちゃそうだが、だからといってヒロインの彼女やその恋人もなんだかアレな感じだし、そもそも登場人物がそろいも揃ってエロで馬鹿っぽくね!? とか、言いたいことが積もりに積もるこの映画。どうもそういうのが売りの監督さんなのだそうです。うわあきっと監督って、この映画の登場人物まんまの性格なんだろうなあ、お近づきになりたくないわあー。
 もっとも、それだけでは映画監督にはなれないわけで、この映画でも一つの確固たる決め事があって、それが徹頭徹尾貫かれているからこそ、ただのエログロ映画でないわけで。「透明人間」の映像的表現に対する執着が凄いです。「透明人間が物を食べた時に、食べ物が透明になるタイミング」とか、「透明人間が火傷した場合、炭化した皮膚は発色するが、その皮膚が剥落した時、本体は透明に戻る」とか、そういうルールまで決めて、きっちり守っている。エログロに加えて細かいコダワリを持った監督さん? いやあ、ますます近づきたくないタイプー!


ランボー

いささか不適切な表現になるのかも知れませんが、最初のランボーって、「人類のエゴが生み出した悲劇のモンスター映画」の系統だったんですね。2や3がゴリゴリのヒーロー映画なのになんなのこの違い!と思いますが、最初、人類市民と敵対する怪物だったキャラクターが、エピソードを重ねるに連れて正義の味方化するのは、ゴジラも辿った道ではありますか。寡黙でふて腐れたような、呆然としているのような態度で、ただギョロ目を巡らせるだけの異形の雰囲気プンプンのこのランボーは、この一作目だけの魅力ですね。
 追跡アクションとして大変面白い内容なのですが、最初に繰り広げられる(と言っても映画開始からはけっこう経過してますが)警察署内での立ち回りは、明らかに香港アクションの影響を受けているのですが、かなーりもっさりしている感じ。


ニック・オブ・タイム

そもそもストーリーの大前提に、かなり無理がある映画ではありますが、それを許せない! というこだわりさえ無ければ、存分にハラハラドキドキを味わえる映画です。この手の展開は、ハッピーエンドでなければ許されない質のものですが、そうと分かっていても、大丈夫かな、助かるのかな、と視聴者にのめりこませてしまう腕前のある映画だと思います。この映画でも残念ながら死人はでるのですが、その殺人の場面の使い方がバツグンで、物語を引き締めているだけでなく、結果として、ストーリーを盛り上げる為だけにバンバン人が死ぬ、というサスペンス映画の悪質な展開を阻止しています。映画の上映時間と、物語の展開がほぼ一緒という、「24」のハシリみたいな映画ですが、それは言われて始めて気がついた(笑)。
 しかしこの映画の悪人男女二人は本当に悪人で、それもまたこの映画の魅力です。


ライアーゲーム -再生- 

ドラマ本編は見ていないですが映画は前作も観ました。この映画の何より良い所は、「自分で決めたルールを、最後まで守っている」という点ですね。ミステリーやソリッドシチュエーションの作品、特にマンガや小説原作の場合、映画化に当たって、映像的見栄えを優先したり、または映像での説明の煩雑さを避けるあまり、途中からルールを放棄する作品って多いんですけど、この映画ではそれをしていない。それだけで個人的には高得点です。エンディングの余りの大団円っぷりを嫌う人は嫌うのでしょうが、そこはそれ、娯楽作品ですし。後味ってのがあるし。
 店舗が早すぎる印象がありますが、あれより遅くしてしまうと、きっと、勘のいい人はアラを見つけてしまうんだろうなあ。あれがおかしいとか、あれに何故気づかない、とか……。それと、この映画が非難されているとしたら、きっとヒロインの性格の面倒臭さが嫌がられて、という向きもあろうかと推測するのですが、前回ヒロインとハッキリ区別したのは良いことだと思うので、許してあげても良いと思います。性格難ありで容貌もいまいちアレなヒロインってアリか!とか、決して言ってはいけません。(いや実は全然知らない女優さんですが、ひょっとしてこれは大勢の人から怒られますか?)


パニック・ルーム

怨霊に取り付かれた部屋、みたいなのと思っていたら、内容、全然違いました(苦笑)。不幸な境遇の一家と悪人の攻防戦、みたいな感じ。最後まで観ないと気が済まない、というストーリー展開ですが、見終わったら必ず不満点が多々上がる、という感想。ツッコミ場所は多くモヤモヤ感は残りますが、落としどころとしては妥当な展開という、映画としては一番、褒めづらい完成度ではないでしょうか(苦笑)。個人的にこの映画で一番、評価したいのは悪人の一人。とにかくクズというか、人間としてのしょうもなさが凄いです。サスペンスやミステリーではありがちな、小物のエゴイストですが、ここまで人を苛つかせる使えない人間も珍しい(笑)皆さんのご想像通り途中で……なのですが、場面としては視聴者を凍り付かせるべき場面なのに、おそらく誰もが喝采を贈ってしまうでしょう。


探偵はBARにいる

 演技者として大泉洋という人を見ると、やはり映画俳優というより舞台役者なのかなあ、と。演技でどうしても、オーバーアクションというか、不自然なタメや大袈裟な動きが目立つところがあって、どうしてもそこに引っかかりを覚えます。いやもちろん、下手ではないし、堂々主役を張れる演技力だとは思うのですが……、主役がある種の型に乗っ取った演技をしている、というのと、ストーリー展開がウェットな事もあって、ハードボイルドな探偵物語というより、やや火サス(テレ朝絡みだから土曜ワイドか?)風味が強いかな?というのが映画全体の印象でした。強く強調はしていないものの、札幌の観光名所をとりあえず押さえたロケ選定もそれを後押ししてる感が。
 しかしクライマックスの小雪さんの演技、あれはあの表情で正解なんでしょうか……?


パブリック・エネミーズ 

うーん。久しぶりに自分の守備範囲外の映画を観てしまった。アクション映画、と思ってみたけど、ちょっと自分の趣味ではなくて……。だから星採点は参考にしないで下さい、という意味での中間点。時代の流れに棹を差して生きる、美学を持った義賊の物語……と言えばいいのか。古き良きアメリカのクールな悪党の格好良さに惹かれる方は是非、という映画です。が、よほど好きな人にとっても、ちょっと長過ぎ。2時間半かける内容ではない、というのは断言できます。


シャーロック・ホームズ

多分、同じこと考えた人、大勢いると思うけど……、やっぱ思いました。これ、ホームズっつうより、ルパン三世だよなあ、と。だって不二子ちゃんいるし。基本ドタバタアクションだし。謎はあくまでストーリーの牽引役で、謎解きという観点はほぼありません。ワーナー映画でさえこうなんだから、そらコナンの映画だってマトモな謎解きなんかやらなくなるわなあ。アクション映画として割り切ると、ちゃんと面白い映画です。続編も見たくなったし。


アウトレイジ 

これはさすがに映画だなあ、というか。物語に説明が一切加えないままで語りきれる、というだけでもやっぱり凄い、というか。人物の造形がハッキリしていて、全員悪役なんだけどそれぞれのキャラクターが明確で、ある意味、美少女ばっか何十人も出して、それをいちいちキャラ分けしてる昨今の萌えアニメのよう、とさえ言える(苦笑)。キタノ自分萌えの悪役キャラを並べた箱庭ムービー? ただし萌えアニメと違うのは、キャラクターの配置と存在が自然であること。物語で最低必要な登場人物であり、個性の強い俳優さんが俳優としてではなく、「そのような人物」として、まるで実際に存在するような立ち方で、画面に立って、展開に身を任せている。だからやっぱり、これはさすがに映画だなあ、と思った次第です。残虐場面に目がいきがちですが、これよりエグイ映画はいくらでもあるし、残虐場面をことさら売りにしてドギツクしている印象はありません。必要だから、というレベルだと思います。


エアフォース・ワン 

最初にあれ? と思ったのが、大統領専用機が飛び立った後の、全景ショット。なんか絵が不自然だな……と思ったのだが気のせいか、とその時は思ったのですが、見続けるうちにハッキリとしてきたことがあります。正直、この映画、CGのセンスが悪い……。いやもちろん、一昔前の映画ですから、当時の技術での限界、という部分もあるでしょう。しかしそれにしても、CGで作り上げた絵、というのが明らかにダサい。飛行機やミサイルの質感や移動感、etc……。おそらくこの監督さんはCGではなく、実際のスタントアクションが本領の人なのでしょう。狭い機内という限定された場所でのアイデアたっぷりのアクションシーンと次々展開する盛り上がりバッチリのストーリーからもそれは伺えます。アメリカの正義万歳、という物語ではあるのでしょうが、単純にそう言い切るにはちょっと引っかかる場面も多く、監督さんのそういう部分でのスタンスもちょっと気になります。


X-MEN:ファイナル ディシジョン 

物語の総まとめ、ということで、次から次へと物語が展開していきます。前作から間を開いているならば、観る前に復習をしておいた方が無難かも。「実は最強の能力を持ったXマンはこの人物で、それが真の力に目覚めると同時に悪の心が芽生える」、という展開で、聖闘士星矢でそんな展開あったなーとか思い出したりしながら観ました。シリーズファイナルである以上それも当然、なのかも知れないですが、メインキャラクターの消されっぷりが唐突で、なんだかんだでまだこのあと見せ場あんでしょ?と思っていてもそのままだったりします。クライマックスも、最後はこの人物を救ってめでたしめでたしがハリウッドだよね、とか思っていたのですが……。しかし、エンディングはやっぱり今時のハリウッド。どうしても続編を匂わせないと終わらせては貰えないのか。


テルマエ・ロマエ 

今のご時世、フジテレビの悪口を書くと、如何にもネット住民だ!と思わせそうで嫌ですが(変な時代ですよね……)、フジテレビが絡んだ映画がことごとく嫌いな私。踊る大走査線ですらダメだったくらいですから。フジテレビ映画に共通する「ゴマカシ臭」、大袈裟な音楽やスロー画面連発や強引な展開の人々の連携などで無理矢理に物語を盛り上げるあの感じ(そんなん日本映画はどこもそうじゃん! と思われる方がほとんどでしょうが、何故かフジ映画は特に鼻につく気がします、個人的相性の問題なのでしょうが……)が薄くて(無くはないです)開き直り気味のギャグが終止、映画を引っ張っているからでしょう。原作の力に負うところ大にせよ、原作の魅力を充分に引き出す、ことギャグに関しては、それなりに難しいことだと思うので、それを達成させたことは、やはり評価すべきことだと思います。しかし、妻を寝取った相手がそのままニコニコとエンディングまで顔を出すのは、受け入れていいもんなんでしょうか?


X-MEN 

アメコミ映画で製作者の苦悩が伺える部分に、映画全体のタッチを、どこまでリアルに持っていくか?というバランス配分があると思っています。リアルにしてハードなメッセージ性を強くして…という方向で成功したのがダークナイトあたりでしょうし、荒唐無稽で軽めのノリでも面白いな!と思ったファンタスティック・フォーもあります。逆に無駄に重くしすぎてヒーロー映画の痛快さを損ねたり、ノー天気過ぎて楽しめなかった作品もあり。
 その点のバランスにおいて、この作品はとてもよく出来てるな!と思ったのが一番の感想でした。前半部分は回想シーンや雪景色などトーンを抑えた画面で重たい雰囲気をつくりつつ、次第にヒーローっぽい派手な戦闘シーンやSF的スペクタルシーンを重ねて行っています。自分たちと異なるものに対する差別がかなりハッキリとテーマとして前に出ている作品ですが、娯楽作品としての満足感はしっかりと抑えています。

 アクションに関しては今見ても十分楽しめるのですが、この頃のハリウッドはワイヤーアクションにまだ慣れていなかったのか、カメレオン男の動きはちょっとアレですね。


ランボー3 怒りのアフガン

あまりいい評判は聞かない3作目。村上龍さんの小説の中でもケチつけられていた覚えがあります。ただ、前作までにあった反戦のメッセージ性が無くなり、ただの無鉄砲アクションに成り下がった、という評価とはちょっと違う感想。だってそもそも前作だって、そんなにメッセージ性あった気がしないし(苦笑)。
 人気シリーズになっただけに予算も増えて、今回はど派手にダイナミックなアクションで押すぞ!ということになったのでしょう。パノラマティックな戦闘シーンがてんこ盛りで、それを優先するがあまりストーリーが雑になったのは否めません。ただ、個人的にそれより残念に思ったのは、話の進展に合わせてアクションシーンの質、量とも盛り上がっていくのがアクション映画の理想であり、それをほぼ達成していたのが前作であったと思うのですが、この作品に関しては、それが出来なかった感じがします。具体的にいうなら、個人的に一番身を乗り出してみたシーンは、中盤のヘリによるアフガン人虐殺のシーンで、それ以降のシーンも見ごたえはあるものの、それを上回らなかった印象なんですよね。
 作品全体からラストサムライやダンスウィズウィルプスのような、アメリカ白人万歳な空気が若干、立ち込めているのも、この作品が嫌われる一因なのかもしれません。


仮面ライダー×スーパー戦隊 スーパーヒーロー大戦 

ライダーと戦隊全員出すって条件で、マトモな映画なんか撮れっこねえだろ!と誰もが思う中、よくぞここまで健闘したと、関係者を労いたくなる作品です。おそらくそーとー悩んだ末に出した答えが、まさかのディエンド主役。いやあ、ディケィド観てないけどカッコいいですディエンド。あまりにも雑魚雑魚やられる往年の主役ヒーローの醜態に加えて、クライマックスのどんでん返しの安っぽさが許せない人は許せないでしょうが、そこにいたるまでのディエンドの描写はかなりしっかりとしています。行動を共にする、ゴーカイジャーのブルーや、(本人役登場なのにあっけなくやられた)オーズのヒロインとの交流もいいなあ、と。以前観たライダー大集合の映画は中盤にひどい中だるみ感があったりしましたが、これはアクションと役者の演技のつなぎもバランス良く、退屈するところの無い、映画としてのバランスもなかなかだと思います。それと、最近のヒーロー役の俳優さんは、やっぱり演技もお上手で、剣だの銃だののアイテムのカッコいい取り回しが堂に入ってて感心しました。個人的には、ラストでブルーの人がレッドを一発ぶんなぐる、位の場面は必要だったんじゃないか?と思うので、そこで星一つ減らし。


宇宙戦艦ヤマト 2199 (1)

ヤマト世代の人が見て、満足できるレベルなのかどうかは判断しかねますが、文句無しに面白い、と言い切るには難しい印象でした。昔の作品をリメイクする時、どの程度まで過去の作品を踏襲すべきか、というバランスはやはり難しいもので、今の時代から観るとちょっと……と思いつつ、しかし往年のファンが求めているのはこういうトコなんだろな、と少し無理して納得せざるを得ない、という箇所が散見されます。映像、演出的にも、現代最先端のレベルとは行ってない感じで、その辺も、わざとアナログっぽくしてるのかどうなのか、イチイチ迷ってしまい、作品に入りきれないような……いやこれは下衆の勘ぐりをしている自分が悪いのか。物語のテンポは良いので、続けてみていくと面白くなっていくんじゃないかな?という期待はできます。登場人物の出し方とかも群像劇を描こう、という意思を感じますし。


ランボー 怒りの脱出 

感想も何も、というか(苦笑)。ランボーが怒りに身を震わせながらの脱出劇、ってタイトル通りやないけ、というか(笑)。話としてはほぼ香港映画か昭和ライダーの体で、とにかくアクションを楽しみましょう!という映画ですよね。実際楽しいし!上映時間のコンパクトさも良いですし!観ていれば、後に散々パクられてパロられる見覚えのあるシーンがゴロゴロ。それだけ当時はインパクトのある場面が多く込められていた映画なのでしょう。CGと綿密なセッティングで計算の上で作られる昨今のアクション映画に対して、勢いと肉体で作り上げていた往年の体育界系アクション映画は、やはり現代でも元気のもとになり得ると思います。


マイノリティ・リポート

ミステリーとして、よく考えられているプロットがあるんです。「未来の殺害現場をあらかじめ透視することができる世の中で、どのようにすれば殺人を犯すことができるのか?」という。それに対する、それなりに納得できる解答も映画の中で出している。ただ、映画の流れからすれば、それよりも追いつ追われつのサスペンスを優先している感じです。それはそれで面白いのですが、違う切り口でも撮れたなあ、この映画……という印象はありました。映画のコンセプトからしても分かる通りに、ディテールに凝るタイプの監督さんらしく、チョイ役を(主人公のドタバタに巻き込まれる系)の描写をやたら生き生きと撮ってます。そういうの部分が好きです。あれは便利だな!と思わせる乗用車の描写も、ちゃんとアクションに取り込んでいる辺りもナイス。


映画ドラえもん のび太と奇跡の島 ~アニマル アドベンチャー

 コンセプトは分かるんですよ。子供へ伝えたいことがちゃんと明確にされている映画ですし、色々と考えている。作画は相当なレベルですし、動きの演出も良いし、CGでの質感表現も面白い。(ギラギラ過ぎる自然表現は好みではないですが……)。
 しかし、見終えた後のこの寂しさはどうしたことか。これが「コナン」だとか「ポケモン」とか「アンパンマン」だったらこれでも良いと思うのですけど、これはドラえもんであり、藤子F作品なのだと思うと、やはり寂しい。この作品に携わっている人は、藤子Fを尊重してる人たちであって、その世界観を引き継ごうとしている人たちだと思っています。その結果がこれ、というのはやはりちょっと違うかな、と。ヒミツ道具のセレクトとか、セリフのハシバシに、藤子Fに対する知識が込められていますが、それはただのマニアとかヲタクの手口であって、そんなことより、藤子Fのキャラクターの動かし方をもう少し見直して欲しい。登場人物がほぼ「理念の配置」でしかない作品は、藤子F作品には相応しくないです。
 冒頭、パパの子供時代が昭和50年代初頭になっているのを暗示している場面があります。これは私の子供時代であり、新作のドラえもんが全ての学年紙に掲載されていた、まさにリアルタイムで「ドラえもんと一緒に育った」世代です。この映画を作っている人たちも、この世代の人たちだとしたら、もう少し、自分達と遊んでいたドラえもんの本当の姿を思い出して欲しいなあ、と思ったりします。それとももう、もっと下の世代になってんのかなあ……。


未来世紀ブラジル 

 見る前の印象は、「この作品について語れば映画通!と思われがちな映画。見てみると成る程成る程、色々と言ってみたくなる映画です。いわゆる「作家性」というのが強烈に出ている映画で、世界観の表現に映像のすべてが注がれている、という印象で、アクが非常に強い。視聴者にインパクトを衝撃を!という意思が徹頭徹尾貫かれていて、見応えがある反面、見てて疲れるのも確か。その強引なまでの「立て続け」感が、この映画の前に観ていた、大晦日の「笑ってはいけない」に重なるなあ、とか言ったら怒られますかね。
 ここからはネタばれになりますが、オチがいわゆる「バットエンディングの夢オチ」。個人的には一番嫌いなタイプですが、この映画に関しては、そうあらねばならない、というベクトルのもとストーリー全体がコントロールされていたので、むしろ良かったです。あの巨大な円筒空間は、何なんでしょうね。当時ではCGではないと思うのですが、強く印象に残ります。きっと監督も、あのロケ(だと思うんだけど)を見つけた時は喜んだんじゃないでしょうか。


ベスト・キッド (ジャッキー・チェン版)

オリジナル版は見ていないのですが、旭日旗を巻いた白人少年のイメージが強くて、ホーム・アローン的なコメディ映画かと思っていました。実際にこのリメイク版を見てみると、けっこうしっかりとした少年の成長物語で、小学校高学年あたりの、ヒリヒリとした感覚を呼び覚ましてくれる、とてもいい映画でした。チェンが思い出に涙する場面でドレ君が手を差し伸べる場面や、ドレ君とヒロインの家族との和解の場面などは、良質な子供向けの作品には必要でありがながら世の映画では抜けていることも多い、大切な質の場面という気がします。物語の要所要所はやはりファンタジーで、おそらく中国人が見たら苦笑してしまうようなカンチガイ場面も目立ちます。こと、中国観光名所を挟みすぎるところなぞは、明らかに減点対象。しかしそれを埋めてあまりある、登場人物の魅力といったら!ハリウッドの子役って、どんだけレベル高いんだよ、と唸ること間違いなし。子役のジンクスに陥ることなく、ドレ君には真っ当に成長してもらいたいものです。ちょっと意外だったのが、「指切りげんまん」をドレ君が知っていたのに、中国人のヒロイン少女が知らなかった場面。あれ、起源は何処なの?


トータル・リコール

今見るとまさに、ブラウン管の画面がやたらに懐かしく見える、古き良き特撮映画。特撮のレベルが、CGが本格的に導入される直前の時代のそれで、日本特撮がその段階で踏みとどまっていた期間が長かったこともあり、妙に一昔前の日本特撮ヒーローを思い起こします。そこにシラケちゃうとツライでしょうが、映画としてはテンポもよく、アクションまたアクション!二転三転するストーリーに魅力的な退廃的SF世界、十分に今でも楽しめる映画です。ラストでシュワちゃんがキスするのは、「トゥルーライズ」もそうだった気がしますが、あれは核爆発をバックにしてたし、これは火星の山のてっぺん。マトモな場所でキスしてないなあ、シュワちゃん。


日本沈没

モブや実在の軍機の使い方の贅沢さに、まだまだ日本映画界に活気が残っていた時代の映画らしく、大作感のようなものは感じます。そして何より登場人物の濃いこと濃いこと(苦笑)。そんな面々のキャラクターを、あくまでシークエンスを優先させて動かせる手法は(これは本来、大作映画の条件だと思うのですが…)、今ではやりにくいようです。草食系男子の代表といわれるクサナギ君が大活躍の自己犠牲で日本を救っちゃうリメイク版は、まさにその象徴でありましょう。また、この映画では市井の人々というのが物語の前面にまるで出ない、というのも最近ではあまり見ない感じ(リメイク版では逃げ回る家族が前面に出てましたよね)。最も、この辺は単に尺の関係かも。テレビドラマ版もあるようなので、そちらに委ねたのかな。実際、ダイジェスト感の強い内容です。特撮場面も期待値ほど多くはなく、印象に残る特撮場面もそれほどありませんでした。強いて言うなら、ゴジラ映画では封じられた、特撮による残酷場面がかなり強く使われていたくらいでしょうか。東京をあれだけ派手に壊しといて、大阪はなんでそんなアッサリやねん!という怒りの声が聞こえてきそうです。


アンストッパブル

実際にあった事件を元にして作っただけに、ドキュメントタッチで進行していくのですが、後半はいかにもハリウッドらしい英雄讃歌大爆発。まあ実際に被害を最小限に留めようと努力された実在の人がいるのでしょうし、その人への賛意も込められているとすればそれはそれで良いのでしょう。それより疑問に思ったのは、この映画を撮影するにあたって、実際に事故現場を使用したのだとしたら、よくもまあ鉄道会社が許可したものだ、という点と、途中、主人公達が支線に入って避難した後、貨物部分を切り離して追走を始めた部分、伏線部分ならそれも可能だと思うけど、支線だと切り離しても貨物部分をどかせないのじゃないか……?という部分。支線とはまた違うのかな?鉄ちゃんの方に教えて頂きたい。


RED/レッド 

アメコミ調の世界観で、ケレンとハッタリだらけのアクションで、その辺は場面転換時のアイキャッチのようなダサい演出(としか思えない……)あたりで痛切に感じますが、登場人物が全身タイツのマスク野郎じゃなく、年金暮らしのヤモメ爺さんにした、というのが最大のポイント。しょぼくれて侘しい年寄りの暮らしを恍けたユーモアにしている部分がかなり面白いです。ハリウッドのアクション映画としてはあまり聞かないタイプ(だと思う)の、あえて安っぽくしたようなすっとぼけたBGMが多く、その辺りも妙に馴染みやすい世界観を演出している気がします。序盤の主人公と猿ぐつわのヒロインとの会話なんて、日本のコントみたいに思いました。これは褒めているのですが、オチの部分はちょっとさすがに安過ぎるかな(苦笑)。


仮面ライダーW(ダブル) FOREVER AtoZ/運命のガイアメモリ ディレクターズカット版

昔は良かった意見で恐縮ですが、平成ライダーの初期の頃の映画は、映画として物語を語ろう、という意思で統一されていたように思います。最近のはどうも、物語というよりお祭り的要素が強くなっていくばかりで、ファンサービスとしては間違っていないのかもしれませんが、ちょっと納得しかねるというか……。まあ、あまりにも付け足し過ぎるオーズの出番に、文句言うのも大人げないか。ストーリーというかテーマというか、物語の芯の部分は割とハッキリ見えるのですが、それを構成する映像に対する気配りに乏しいというと伝わりますでしょうか。おそらく、テレビ版と平行しているから、スケジュールキツいんでしょうね。映画としてみるには、全体的に雑です。


赤ずきん 

童話の赤ずきんをいじり倒して作った、ダークファンタジーミステリー。特撮のレベルは最近のアメリカ映画では中の下、という感じですが、そこは大して気にならなりません。注目は「誰がオオカミなのか?」という犯人探し。これが意外とよく出来てました。ミステリ定石の範疇なので、当てられる人は当てると思いますが、私はまんまと引っかかった。分かってみると伏線もちゃんとしているので、見た後の満足感はなかなかのものでした。これ、横溝世界の日本版にリメイクして欲しいな……。


デイブレイカー

かなりマニアックな設定のバンパイア映画。日本なら美形男と萌え女にすればアニメでやれるかな、という言うくらいのマニアな世界観が、こうして堂々と一般向けに映画に出来てしまうアメリカ凄い。設定はよく考えられているけどいざ物語にするとやはり無理が出てしまう(人間の血液がそこまで減るまでバンパイア社会が普通に機能し過ぎだろ、とかね)ところはご愛嬌で、映像で世界観を壊さないように、画面の統一などに腐心しているのは好感が持てました。


世界侵略:ロサンゼルス決戦 

昔のテレビドラマ、「コンバット」とかってこんなノリだったのかな?と思わせる映画、とにかく男の中の男は兵隊にあり!というマッチョ映画。昔ならナチスでも日本兵でもベトコンでもソビエト野郎でも良かったのだけど、今はその辺の連中からも金を集めないといけないハリウッド映画なので、CG宇宙人にしてしまいました、という感じでしょうか?しかし自由の国アメリカ、個人主義の国アメリカなのに、兵隊さんを主役にするとどうして、日本のサラリーマンのような悲哀を感じさせるのでしょう?ラストなんて、本当に24時間働けますか?の社畜じゃん?とか思ってしまう、会社でうまく行ってない40代の人間の感想。


アンノウン

感想を一言で言うなら、「ああ、そっちか!」でした。途中までは、さあどれだけ文句を言ってやろうか、という考えが頭を巡るほどに納得がいかない点が多々あったものの、物語がクライマックスに差し掛かったところで明かされる衝撃の事実! その一発で、その大半がとりあえず納得のベクトルに向かってしまう、これぞ「力技」。その的確な使い方にまんまとやられました。かといって、その一点だけでこの作品を名作とするのには、若干…抵抗が…。具体的に書くと全てネタバレになるので、ここでは控えますが、あえて一言選んで言うのなら、「主人公、回想シーンで浮かぶ場面が情事シーンばっかってどれだけエロいんだよ。アンタの人生ならもっと他に浮かべるべきことが(以下略)」


GANTZ PERFECT ANSWER

残念な点はあります。全体的にストーリーはとっ散らかっている印象ですし、敵が前作よりビジュアル的に弱い。個性豊かな敵キャラがインパクトを与えた前作に比べて、今回は役者さんのみ(しかも二役ばかり)。衝撃のラスト、も消化不良な感じ。しかし、それを差し引いても、よくやった、と褒めてあげたいこの映画。アクション映画としてやりたいことが明確にあって、それをある程度達成した映画に思うからです。何より、国産アクションで、これほど背景にこだわった映画を見たことがありません。火薬使うから採石場、観光誘致の名所ロケという悪しき伝統を完全にとっぱらった、必然性と画面効果を持ち合わせた舞台。やや地下鉄使いすぎという気もしますが、走行車内のアクションはかなりのもの。トータルでアクションシーンは、これなら文句は出ないだろうという水準だと思います。CGもそりゃハリウッド大作と比べれば小ぶりでありますが、破綻も不自然もほとんどありません。アクションだけではなく、主人公とヒロインのラブトークも、長い坂道の上の踏切という、なかなか気の利いたロケ地を見つけていたり、こだわっているのが分かります。(もしかして、ドラマとかでの定番ロケ地なのかも知れませんが…)そういうこだわりの演出があちこちにあるので、実はこの映画、冒頭からアクションシーンまでかなり長いのですが、それを感じさせません。演技上手の役者さん揃いだから、という理由もあるのかも。個人的には、日本のアクション映画、マンガ原作の映画の、一つの基準点になりうる前後作だと思います。


ソラニン

製作者の頑張りは伝わってきます。原作の雰囲気を捉えていますし、まとめかたも妥当だと思います。が…全体の感想としては、「こんなもんだろうな」止まり。ごく個人的なことを言わせてもらうなら、原作で最も好きなシーンでもあるメイコとビリーが号泣するシーン。映画でもとても大事に撮っています。「この条件の厳しい長尺シーンを良くやりとげたものだな!」と感心してしまうのですが、このシーンは感情を押し殺していた登場人物が、堪えきれずに剥き出しにする場面。しかし画面からは、何とかこのカットを成功させよう!という役者さんやカメラマンの緊張感がビリビリ伝わって来てしまい、むしろ感情を抑え込んでいる画になっている印象。そういう「ちょっと違うんだよな」的な部分がどうしても目につきます。主演の女優さんは、物語の必要上とはいえ冒頭であれれ?と思うほどに疲れた表情を見せているあたり、プロ意識を見せていますが、クライマックスの歌う場面は、まさかのモノローグ挿み。その歌唱力はいろいろ言われていたようですが、CD化もされていないので、完全フルコーラスで聞く機会は存在しないという残念な結果を、ご本人はどのようにお考えなのでしょうか。


ATOM 

死屍累々の趣きさえある日本原作のハリウッド映画ですが、その中では健闘した印象です。キャラクターデザインも、これなら納得できるかな、というライン。かなり真面目に原作を読み込んでくれたようで、そのせいでけっこう重たい話。作品設定もいわゆる「手塚的未来」ではなく、負の面の目立つ未来世界なので、尚更という部分も。明らかに「ATOM」だけでなく、「AKIRA」が混ざっていますね(笑)。ピクサー映画として見ると、無難にまとまっている半面、見どころに欠けるというか、「カンフーパンダ」や「ウォーリー」を見たときに感じた「ああ、こりゃすごい!」というポイントがないなあ、という気がしました。原作の重苦しい部分を処理し終えたのだから、続編では痛快活劇に持っていけると思うのですが、需要あるかな。


機動戦士ガンダムUC [Mobile Suit Gundam UC] 4 

3話目まではそれほど目立たなかった「ダイジェスト感」が、ここに来て大爆発した印象。小説を読んでない人にとっては、「謎の大怪獣に乗ってる色黒の姉ちゃんはけっきょく何なの?」と思われたのはないでしょうか。「続きはwebで」ならぬ「物語の詳細は小説で」と言わんばかりの飛ばしっぷり。それだけに、話が全体に軽くなり、それに起因して、登場人物の台詞の上滑りっぷりが目につきます。主人公が後半に乱発する「青年の主張」台詞などはかなりの気恥ずかしさ。しかし、そうしたことは大した問題ではないのかもしれません。この巻の見せ所は紛れもなく「動くMS博物館」であり、わざわざガンダムの映像を追っかけている人からすれば、ぶっちゃけた話「ええい物語はいい! MSを映せ、MSの活躍ぶりを!」というのが本音だったりしますし。それにしても、これだけのあざとさを持ってマイナーMSを出した割には、バンダイからキット化されたのが意外と少ない気がします。「ええいバンダイめ、何をしとるか!」と叫びたくもなろうもの。最後に、細かいところで恐縮ですが、いわゆる「非美形キャラ」のアゴのフォルムがどうにも気になります。なんで全員ああも下ぶくれになっているのか。


るろうに剣心 新京都編 前編 焔の獄 

るろ剣の映像化で面白いのは、作画の人によって、登場人物の顔が大きく変わることだと思っています。単純に好みもあるし、物語のトーンに合わせて、という場合もありますが、時には少年漫画的であったり少女マンガ向けだったり、劇画調、あるいは写実的に大きく偏ったりと、様々な剣心が現れました。今回の作品はやや左右に広がったタレ目で顎が鋭角に尖った印象があります。今時の少女マンガのトレンドなのでしょうか。全体的には落ち着いたトーンで物語は進むのですが、映像の色調がやたらギラギラしているように思います。ストーリーは明らかに容量不足で、説明的台詞がやたら多く、一方で登場人物の心情を込めた、タメの聞いた場面はけっこうあるので、結果、アクションシーンが減らされているような気も。トータルで、少年ジャンプの原作アニメにしては血沸き肉踊る感が乏しいですが、今時のキャラと作画レベルの剣心に会えると期待している女性ファンには喜ばしい出来なのかもしれません。


映画ドラえもん 新・のび太と鉄人兵団~はばたけ 天使たち~

前回の映画版の出来も良かったので、再映画化でどのような変化をつけてくるか、そこがポイントになると思っていたのですが、スタッフの出した答えは、新キャラクター投入による原作のディテールの組み換えだったようです。これによって生じたメリットデメリットはかなり大きく、それをどう評価するかで、この映画の価値が決まると思います。まず間違いなくプラスになっている点は、原作では後半に存在感の薄くなるザンダクロスの救済効果でしょう。巨大ロボットアクションとして見応えのある場面を序盤から見せていたザンダクロスなので、クライマックスまで見せ場が続いたのは嬉しい限り。一方で、ミクラスはほぼ完全に消されてしまったり、原作、前作での印象深いシーンに(しずかちゃんとリルルの交流シーンやのび太がリルルに銃を向けるシーン等)に、ピッポが絡んでくるので、リルルとのび太達の結びつきが若干、弱くなった印象もあります。個人的には歌のシーンも多すぎて、リズムを崩してるように感じましたし。ただ、ピッポとのび太が夕焼けの湖畔で話すシーンや、映画のラストシーンでのピッポなど、印象に残るシーンも生み出しているので、トータルではプラスかな、と思います。


月に囚われた男 

こういう映画が見たかったのよ!SF映画って、こういうことでしょ!え、違うの?と思わずにはいられない、まさに正調SF映画。ちまたにSFと名がつく映画は数あれど、こういうニュアンスの映画って昨今、ほとんどありませんよね。っつうか、「SF」と「映画」の間に「アクション」という言葉を挟まない映画がほとんどないのか。逆に言うなら、この映画が今時に突然、製作され上映されたのが不思議な気もする。よく企画が通ったものだ。登場人物が極端に少ないとは言え、それほど低予算でもなさそうだしなあ。40台半ばのSFマニアの人に受けそう。きっと嬉々とした表情であちこちとアラ探しをするんじゃなかろうか。


テルマ&ルイーズ

個人的には苦手な世界観で、苦手なストーリーだったのですが、それでもこの映画は凄いなあ、と半ば圧倒される思いで見ました。とにかく映像のコントロール能力が尋常じゃない。キャラクターの生かし方、ストーリーの適度なテンポ、展開の大なリズムを、全て画面の構成によって成立させている、これこそ本来の映画の役割なはずですが、なかなか出来ることじゃない。そういったことをやってのけている映画だと思います。自分で映画を撮りたい、と思っている人は見ておくて良い映画だと思いますが、リドリースコットさんと言えば私でも知っている映画の巨匠ですから、他にも見るべき映画はたくさんありそうだし、そもそもそういう人は言わずとも見るか……。


RONIN 

それほど昔の映画ではないはずなのに、重厚な雰囲気の画面。かといって重苦しいわけではなく物語の展開はスマートで、細かい演出も効いている、なかなか雰囲気のいい映画です。冒頭、最初に出てくる車がボロボロのタイプ2というだけでこの映画のセンスの良さが分かる!というのは個人的趣味過ぎますか。裏切りとアクションに満ちた波乱のストーリーですが、やたら観光名所がクローズアップされたり、カーアクションの場面での、それまでの雰囲気大無しな勢いのはっちゃけぶりなど、やや下世話に感じるファンサービスが、ちょっと気になるところ。


ペイチェック 消された記憶

発想が面白いな、と思います。アクション映画の「御都合主義」を合理化してみるとどんな映画になるのか? みたいなアイデアが最初に浮かんで作られた映画なのでは、と想像しますが、実際はどうなのでしょう。テンポよく楽しめる映画なのですが、どうにも苦しいなー、と思ったのは、クライマックスの大立ち回りを演じる研究所のセット。いかにもアクション用に作りました!というのが見え見えで、まるで遊園地のアトラクション(苦笑)。そもそも最初の登場場面から、床が見えないほどにドライアイス炊きまくり。そんな研究所がどこにある(笑)。途中のロケメインで撮られたアクションは見応えたっぷりだったのに、クライマックスがこんな嘘くさいセットのアクションだったので、これにはややガッガリ。


GANTZ (二宮和也、松山ケンイチ 出演) 

見たのはテレビでの編集版ですが、これは面白かったです。原作のマンガを読んでいないので、どこまで原作の力か分かりませんが、国産アクション映画としては、最高水準の出来と言っていいと思います。とかく国産の、CGやワイヤーアクションを駆使した、「ハリウッドっぽい」アクション映画を評価する時は、どうしても「俺は好きだけど」といった案配の、「目を瞑らないと行けない」部分が多々あるのですが、この作品はそれがあまりない。(完全に無いとは言いませんが……)また、ロケを多用している上に、その選択が大胆で、「へー、ここで撮影できたんだ」みたいな場所が、しかもちゃんと場面に相応しい選択がなされている。展開も良くて、ラスボスの登場までの段取りなどは(こいつがラスボスじゃなかったんか!)なかなか魅せてくれますし、ラスボスの外見をそれにするとはなかなかに大胆な……と思わせて文句なし。こうなると、録画していてまだ見ていない続編も楽しみだけど……期待して良いんだよね?


劇場版 名探偵コナン 沈黙の15分(クォーター)

一体、この映画のなにを見せ場にしたいのか……。それが見えない娯楽映画というのはいかがなものでしょうか。多少の強引さ、トンデモさを見逃すにしても、この散漫な展開の脚本で、まさか謎解きミステリとしてのコナンは求めていないでしょうが、かといってサスペンスにしての魅力も乏しく、アクションというには見せ場が少な過ぎる(冒頭の地下鉄爆破の場面はなかなか見れるアクションだと思うのですが、反面、肝心のクライマックスのアクションはイマイチな印象)。明らかに脚本家にやる気が欠けていると言わざるを得ません。おそらくえらい人から「今、旬のネタだから、「地下鉄」と「雪山」(加えてダムに沈む村)をネタに盛り込んで!」という発注が来て、「はいはい分かりました」と言われるがままにこしらえた台本なのでしょう。当時、時の人だった例の人の出演もその一環に違いありません。今度の映画では、Jリーガーがこぞって出演するらしいですが、そんなネタでいつまでも見続けてくれるほど、子供も甘くないですよ。


インベージョン 

入れ替わり系ゾンビ(エイリアンでもクローンでも可)物の見本、例題のような映画です。うんうん、そういう展開だよね、やっぱり! と思わせる反面、意外な展開、衝撃のラスト! みたいのを期待する人には向いてないかも。でも、意外性を狙うあまりに破綻した映画を見るにつけ、こうして正々堂々王道展開をする映画はやっぱり必要だなあ、とつくづく思います。ちょっと場面の繋ぎの部分の強引さが気になりましたが……。アクションを売りにする映画ではないのですが、クライマックスの人間山盛りカーアクションはなかなかの見せ場でした。


L.A.CONFIDENTIAL

これは面白かったです。派手なアクション!爆発!というノリの映画でないのに楽しめたというのはそれだけ話が面白かったからです。真の黒幕が判明する瞬間の場面では、「えええ!」と思いましたし、その黒幕の招待を主人公(の一人)が見抜く場面などはゾクッときました。登場人物が類型的ながら物語を構成するにあたって極めて的確に配置されているのが分かります。久しぶりに本格的なサスペンス映画を見たなあ、という気持ちになりました。それにしても、アメリカ映画でも「一昔前の時代」を舞台にした作品というのをけっこう見ますが、「三丁目の夕日」みたいな昔を懐かしむ、というのより、サスペンスタッチのやつが多い気がします。松本清張の世界、的な感覚なんでしょうか。


デス・ルーム 

おれはB級ホラーが好きだ! という人以外は評価をつけようが無い内容と言うか……、こういうテイストが好きなんでしょ?こういうノリがダメなら最初からきちんとしたホラーを見なさいよ! というか……。そんな感じの映画です。一言で言うなら「お色気たっぷりの情緒ゼロの怪談百物語」です。出だしのおっぱいの話がいかにも!という話なので、これを楽しめるようでしたらそれ以降も見ればよいのではないでしょうか。日本を舞台にした話もあります。ロケ地は……伊豆かな?


シャッター アイランド 

 またこの系統のオチか。いや、多少のヒネリは効かせているけど、もう正直このパターンは勘弁してほしいなあ。まだ観ていない人はすみませんが、私は声を大にして言いたい!
「みんなやってることじゃん、と言えばそうでしょうが、「アクロイド殺人事件」「そして誰もいなくなった」「オリエント急行殺人事件」の系統のラストって、基本、反則なんだからね! 最近、映画でそういうの、やたらと見るよ!」
 最近のハリウッド映画では珍しいくらい、俳優を真正面から捉えたカットのような、オーソドックスな構図を多用した、正々堂々っぽい映像をしていたので、これは王道の謎解きが楽しめるかな、と勝手に期待していた私が悪いのか。謎解きに真面目、という点では、最近の邦画の方がちゃんとしている気がするなあ。


トランスポーター3 

スパイもの、必殺仕事人もの(そんなジャンル呼称はないですが)として、おなじみとなりつつあるこの作品、個人的には今までで一番良かったですね。シリーズもので「最新作が一番面白い」というのは、実はとっても貴重なのではないでしょうか。大抵は「1」至上主義が蔓延ってしまうのがシリーズの悲しい性ですから。限定された状況でのアクション、が醸し出すべきスリル感は、お手本たる「スピード」にはだいぶ及びませんが、アクションのテンポや配分が申し分ない感じです。ストーリーもアクションもお色気もまさにB級のお手本で、「M:Iシリーズ」のようなハリウッドものと比べて突っ込みどころが多く残されているのも愛嬌というものです。(自転車アクションのシーンの顔の隠しっぷりとか……ね)
 ところで今回のヒロイン。生意気な跳ねっ返り娘なのですが、パサついた印象のショートに全面のそばかす、派手な不良メイクという「不細工の記号」をまとった美人女優、というのが気になりました。日本のドラマでも、役柄上はブサイクでなくてはいけないのに、重要な役柄(場合によっては主役)であるが為に、誰が見ても美人な女優が、ブサイクの記号的なメイクと衣装で、ちょっとガサツな感じの演技を、無理してやっていたりするが、そういうのは世の東西を問わずにあるものなのですね。


東のエデン 劇場版II Paradise Lost

あえてサービス的な盛り上がる場面を作らない。あえて明確な敵を設定しない。あえてアニメ的な展開を排除する。それに挑んだ意欲は評価しますし、今時、これほど商業性を無視して(タイアップのグッズ展開などほとんど出来ない)、強烈にテーマを前面に出したオリジナルストーリーのアニメは貴重なので、応援したい気持ちはあるのです。ただ、正直な感想としては、面白くない。伏線の回収に追われた展開のたどたどしさやストーリーをなぞる(説明する)人形の域を脱しきれないキャラクター達。地に足がついていない、理屈オンリーで捻りすぎたセリフの数々。
 こういう比較論は下劣だと自覚しながら言わせてもらうなら、富野さんとか押井さんみたいな、自分の妄想(イデオロギーと言ってもいいですが)を相手に押し付けるだけの強引な腕力が、全く不足しているのではないか、という気がします。あの人たちにはエンターティナーを魅せる能力があって、その隙間に毒としての自分の主張を潜り込ませつつのし上がってきたのであって、娯楽性をあえて裏にまわしてまで自分の主張を全面に出すやり方は、そうそう成功するものではないのではないでしょうか。
 ところで途中、地下道で脱出するシーンで「唾棄すべき団塊世代の遺産を使って我々が逃げ延びる」云々といったセリフがありましたが、現役世代が敵としているのが団塊世代、全共闘世代だというのなら今アラフォー世代の我々は何なんでしょうかね(苦笑)。そもそも相手にすらしてもらってないのかなあ現役に。寂しいなあ。


東のエデン 劇場版I The King of Eden 

 友人がテレビシリーズを見終えて曰く、「これ、劇場版の予告編じゃねえ?」。で、公開されたこの映画はどう見たって「完結編への予告映画」。テレビで放送されたシリーズ物を、最後に映画に持ってって小銭を稼ぐ手段を悪とは言いませんが、そこに至る過程を楽しませる努力は欠かさないでほしいものです。
 印象に残ったのは、大学を卒業した面々が独力で会社を作ったこと。登場人物が社会人になるマンガというのはままありますが、大抵は平社員とか下積み仕事から始まり、日々の労働の苦労を描写するのが大半で、企業を興す展開のものでも、ボロ倉庫を借りた、みたいな貧乏描写を欠かさないのが常だったのですが、こじゃれたビジネスビルの一室で、年上を雇ってという展開は、極めて現代的だなあ、という印象。ただ、この映画を見ているであろう、そして監督が呼びかけているであろうニート世代、引きこもり世代の視聴者は、これを見て、「ああ、なんだかんだ言ってこいつらは自分らで会社作れるくらいのスキルもってるもんな、俺たちと違って」といった感じで共感しなくなってしまうのではないかなあ、と思いました。少なくても私ならそう思う(苦笑)。


トランスポーター2 

しまった! 年末に鑑賞して、感想を書くのをサボって今日まで経ってしまったら、内容をちっとも思い出せない! とまあ、後には何も残らないようなスカッとサッパリな痛快アクションだったことは間違いなし。ただ、見た直後には、1より面白かったなー、という印象があったような。あ、あと、4ツボタンが点いたi-podが使われていて、懐かしい!と思った記憶がある(笑)。3はちゃんと感想書こう。


インタビュー・ウィズ・シリアルキラー

この手の、実際の事件をサスペンス映画として仕立てた映画は、最近では「チェンジリング」と「ゾディアッグ」と見たのですが、この二本が、地味な画面だけど実はけっこう金を使っている映画だったのに対して、これは多分、そんなに金がかかっておらず、単に地味な感じ。勿論、金がかかっていようがいまいが面白ければ良いのですが、内容がちょっと変わっているというか、冒頭に始まった事件が、途中からどんどん脇に寄せられていって、そのまま戻ってこない(苦笑)。最後にオマケ程度に、「そっちの事件も解決しましたよ」とほぼナレーション処理という有様。なんだってこんな構成にしたのかなあ。


SPACE BATTLESHIP ヤマト 

力作だとは思いますし、見るべき場面もあります。仮に劇場で1800円払っても、悔やむことは無かったでしょう。ただ、褒めるには抵抗の強い作品であることは事実です。私の場合、特に引っかかったのが、「艦隊戦の描写が少なすぎ」という点と、「SF考証が貧弱すぎる」という2点。これはこの映画の見所の根幹部に直結しているところなので、そこが弱いと厳しい。「幾ら何でもイスカンダル近過ぎ」とか「終盤での古代の演説が自己犠牲賛美どころか特攻賛美になっちゃってる」とかもどうかとは思いますが、これはツッコミどころ、として保留できますが、ヤマトが敵艦隊と正面切って戦う場面がほとんどなく、いかに逃げ仰せるか、がメインの行動になってしまっては映画の見せ場はどこなの?と思わずに入られません。また「普段は地球上並みの1G環境で、戦闘中の横90ロールで大騒ぎになる大和の船内重力環境はどうなってんだ」というのは、まあ原作もそうだから、と許せなくもないのですが、宇宙空間での戦闘で「敵艦との距離60Km!」とか言わせちゃったり敵戦闘機を鹵獲したはいいが中から兵隊が出てきて大騒ぎになった挙げ句、発信器まで使われて敵の接近を許してあわてて捨ててしまうなんて行動をしてしまっては、SF映画の醍醐味であるはずの疑似リアルも台無しです。CGの大和の描写、コスモタイガーの戦闘シーン、そしてビックリ仰天のアナライザーと、CG部分はハリウッドと違い、かなり正統な東宝特撮の延長としての完成度は持っていたと思うので、もう少しなんとかならんかったのかなあ、と思う部分は大きいです。


インセプション

そもそも疑問なのが、「アクション映画を撮りたい人が、なんだってこんなややこしい設定の映画を撮ろうと思ったのだろう?」ということ。もしかしたら、「あらかじめ夢オチと分かっている展開で、どれだけ視聴者をドキドキさせられるかな?」とでも思ったのだろうか。幾重にも重なるアクションはシークエンスが異なりどれもこれも凝った映像なんだけど、あまりにもあれもこれも過ぎて、凄いと思う以前に入り込むことが出来なかったのが正直な感想。ただ、主人公と妻の過去に関してはああなるほど、というか、こういう世界観の話であれば、そういう悲劇は説得力あるよな、と思いながら見ることが出来ました。それにしてもつくづく、ワタナベケンさんの「不敵な笑み」は、本当にワールドクラスだなあ、と。どうせならもうちょっとアクションやってほしかった。


エアベンダー 

 最初に言っておきたいのは、CGの使い方に関してだけは、今まで見た映画の中でベストと言えるくらい好き。いかにもこのシーンでCG挟みますよ、というカット繋ぎもせず、低予算ごまかしのアップでもなければゴージャスを見せつける押しつけロングでもない、風景込みの標準サイズでの長回し画面でも自然体に挟み込むCGがとにかく素敵。この画面にこだわった監督は本当に素晴らしいし、巨大戦艦群や氷の城といった世界観紹介ビジュアルも見事。
 なのに何故、こんなにつまらなく感じてしまうのだろう?映像を見るだけと割り切ったとしても、全部見るのに3回も挫折してしまうこの魅力の無さは、何?主人公の男の子も、適度にイモっぽい容姿と奇麗な発声、アクション込みで文句無しの演技と良いとこばかりなのに。
 舞台がイヌイットや東南アジア、東アジアを連想させる、アジア系人種の土地が多いのに、中心にいるのはことごとく白人、というのが癇に障る人もいるやもしれませんが、そんなん言ってたら日本の特撮、観れませんしねえ。


ソルト

とにかくテンポがよろしいアクション映画。主人公に疑いをもたれた場面からはノンストップで話が進みますが、落ち着きの無いドタバタアクションとまではいかず、息を呑んで見守る、という程度の間は保っている、そのタイミングがとても良かったです。これくらいボロボロになってもなお凛々しいヒロイン、邦画でも見たいなあ。


サブウェイ123 激突 

 以前、邦画で、地下鉄をネタにした犯人と交渉人の駆け引きのサスペンス映画を見たことがあります(分かる人は多いはず)。それがまあホント、つまらなくてつまらなくて、まさかあれよりつまらないってこたあないだろう、と思って見始めたのですが、これもなんか微妙というか。
 見終わっての素直な感想を言うなら、「結局、監督は何が書きたかったの?」ということ。当然サスペンス映画として全編を通して事件の展開を書いているのですが、ここが見せ所、とかこれが伝えたいこと、というのがまるで見えてこない。いきなり共感を始める主人公と犯人、唐突に自己犠牲で死んでいく元兵士の乗客、お約束として無理矢理に挟んだとしか思えないカーアクション(っつか破壊)、ここで泣かなきゃ行けないのか?と疑問に思うタイミングでの夫婦の会話シーン、等等、ラストの犯人との対峙に至るまで全てが散漫というか、流れがぶつ切りな感じ。脚本か演出か監督かそもそも配給会社にか、明らかに何処かで全くやる気がない人が挟まっていたとしか思えない。それでもこれだけ大掛かりにロケができちゃんだからいいよなあ、アメリカ。


パーフェクト・ゲッタウェイ

ちょっとカンのいい人であればOPのキャストロール部分でオチが読めちゃうサスペンス。トータルで見ると辻褄があってるような気もするし、ちょっと不自然な場所が多くね?という気もするし。おそらく、きっちりと映画の構造を確認するタイプの方が見たら、相当に突っ込み部分が多いんじゃないかという気がします。(私は基本、雰囲気でなんとなく分かればいいやという程度なので……)作っている側も謎の部分だけで入場料を取ろうとは思っていなかったらしく、全貌が明らかになってからのドタバタの時間が長いのはきっとサービスのつもりなんでしょう。そこでいきなり「24」ばりの妙なカット割りの場面があって思わず苦笑。追いかけっこの場面だったので「24」というより「逃走中」みたいで。それにしても、ハワイってこんな所だっけ?


SUPER 8/スーパーエイト 

 映画の前半が面白く感じるかどうか、で評価の決まる作品だと思います。「スタンドバイミー」を思わせる夏の日の少年物語と、古典的怪獣映画の如きじわじわと一部を見せるもったいぶらし場面の組み合わせが、私は大変に気に入って、これは面白いと見ていたのですが、一緒に劇場に行った友人は「前半が退屈」とのことでした。
 美形じゃないが愛嬌のある主人公、単純なジャイアンキャラでも無いおデブなど子役さんも魅力があって、ことヒロイン役の子は美少女で演技もうまく、途中で攫われて出番が減ったのはそれだけで脚本ミスと思わせるほど。
 後半は派手なアクションシーン満載の、まさにハリウッド映画になる訳ですが、それで誤摩化して話は一気に雑になります。宇宙人がストーリー上のご都合主義の引き受け担当になっていて、その場の展開で善になったり悪になったり。もっとも人類側の悪人と思われていた軍人さんも命がけで子供たちを助けようとするなど、基本は子供に見せる映画として性善説にのっとった物語を意図しているようなのですが、だったら、助けたとたんあっさり殺されるような登場人物並びに場面を作っていけません。


ロフト. 

 ミステリーとしてよく出来ています。話の構成も凝っているし、徐々に明かされていく謎のテンポもいいし、ラストで明かされる全容も納得できますし。ただなんか褒めたくないのは、出てくる登場人物、特にメインの男性の大半が馬鹿で好色で変態だっちゅうところ。お色気混じりのサスペンスムービーなんですから、変態や好色キャラが出てくるのはむしろ歓迎なのですが、ここで出てくるのはどいつもこいつも生々しい、ストレスを抱えた中年男性の鬱屈した変態で、キャラクターとしての魅力を感じさせないのばかり。もちろん、むしろそれを意図しているのは間違いないですから、文句を言うべきどころか、その演技演出を褒めなくてはいけないところなのですが、まあ感情移入のしずらいことしずらいこと。せめてラストのラスト、主人公(さて、この主人公とは結局誰のことなのか?というのも謎にできるのだから、やはり面白い映画ではあります)はそこは断って終わり、にしろよ!何処まで女好きだらけなんだよ!


ゴシカ 

若干、ネタばれぎみです。
 話のあちこちが雑というか、なんというか。粗が目立つし、伏線なしで飛躍も目立つ。なんで黒江さんが酷い目に会う必要性があるのかとか、亡霊のサポートがなんだってそんな中途半端?(独房あっさり開けられるのに)とか、主人公の旦那が……というは唐突過ぎだろ、とか。まあ確かになんであっさりと殺される旦那役にそんなインパクト強い外見の俳優さん持ってきたかな、とは思ったけど……。それを伏線と言い張る気か。
 クライマックス、真の悪人が実は……でした、というのは、実は視聴者が真っ先に考える順位で言うと2番目の人。そっちで来たか!という裏をかかれた気持ちにはなれましたが、正直「そっちにしちゃうと、盛り上がり、ちょっと弱くね?」とも思いました。一番目にすればしたで「お約束過ぎ」と文句を言ってしまうことは間違いないので、まあ痛し痒しではありますが。


レギオン

 出だし都会での謎の男と悪魔っぽい連中のバトル。永井豪原作?とか思ってしまいますが、ああっと言う間に田舎の(というか周囲は荒野)オンボロレストハウスに場面は変わり、話はほぼそこで進展します。これはもう予算制限のある洋画のお約束。「話のスケールのデカさの割には映像や展開がショボい」というのは邦画の(特に特撮系)半ば宿命で、そこを好意的解釈プラス見て見ぬ振りでやり過ごすのが常ですが、洋画でそれをする義理はないというのが個人的見解。天使のトップ二人がガチで戦ってボロ家一つ壊せないってなんだよ。
 見所は手変え品変え襲ってくる悪魔と、あ、こいつ死ぬなと思わせる行動をして忠実に死んでいく傍役の皆様たちですね。ADVか?と思わせるほどにフラグに忠実なので、ある意味、安心感すら感じます。加えてもう一つ忠実に守ったお約束として、クライマックスで逃げる主人公たちが高いところへ逃げていくのもありましたが、それにしても高すぎる(笑)。


アート・オブ・ウォー2 

東洋趣味の殺し屋物語。東洋趣味の書かれ方が、ちょっと日本人をイラッとさせる感じですが、(日本なんだか中国なんだか……というレベル)気にしなければ面白いお話だと思います。真犯人がソイツというのは、全ての人が予想するトップ3に必ず入るパターンではありますが、話のシメの付け方が個人的に好みでした。


アマルフィ 女神の報酬 

決してツマラナイ映画ではないです、一気に見ました。ただ、邦画の枠を超えた全編海外ロケで金を大きく使った割には、全体的に安っぽく見えるのが辛いところ。風景が海外になったことで、ロコツに洋画と比較されてしまうからなのか。それに加えて、配役が極めてイメージそのまま配置の、典型的な「火サスキャスティング」。とくに娘が誘拐された母親役の人の演技が、まさに「火サス対応」のそれなので、いよいよ安っぽし。演技が出来る登場人物ほぼ全員が物語中で何らかの役割を持つ点(出演料削減?)や、主題歌を歌うサラ何とかさんがやたら登場するのも、ちょっとケチくさい。それでも平均に演出過剰が目立つフジテレビ絡みの映画の中では落ち着いている方の映画だと思います。


ユージュアル・サスペクツ

完全なネタばれで済みません。 

今、この映画を検索かけたら、真っ先に「『アクロイド殺し』を下敷きにしたという計算された脚本」という一文が。そう紹介しちゃったらもう中身丸出しぢゃないですか!……まあ、そういう映画です。
 もっとも話の目的が「犯人(カイザーソゼ)は誰だ?」という方向なのだと分かった時点で、めぼしい人物はほぼ限られている、というパターンのミステリーなので、「意外な犯人」という逆転劇よりも、犯人が明かされるまでの盛り上げ方の妙を楽しむべき映画なのだと思います。確かに凝った脚本なので。


ゾディアック ディレクターズカット 

実在の事件を映画にする時の難しさというのは、どの程度映画を盛り上げるのに必要な脚色を加えるかのさじ加減だと思います。少ないと盛り上がらないし、加えすぎると嘘くさいし。この映画ではその辺でちょっと気になるところが幾つかありました。特に主人公が一人でとある重要参考人に会いにいく場面は、凄く演出的に盛り上げながら……という展開でしたし。映画として見るならラストに向けての重大な伏線では?と思うところがけっこうそのままだったりして、でもそれが実際の事件でそうなんだから!と言われちゃうから反論できない、というちょっと煮え切らない思いが残る映画でした。ただ良いなあと思ったのがCGの使い方。OPの車窓からして絶対CGのはずなのですが、そうと気づかせない自然な使い方で、一昔前の風景を違和感なく再現しています。まだまだ金を使ったCGをどーんと自慢げに見せたがる邦画が、いずれこうなってくれるとうれしいのですが。


サウンド・オブ・サイレンス (特別編)

一家三人、それぞれ別の場所で大ピンチ、というあっちこっちな展開に工夫を感じます。けっこう出だしは謎だらけなのですが、分かってしまうと単純な話で、謎はあくまで「話の掴み」として割り切っている感じですね。気になる点はというと、そもそも「少女の父親」は、なぜそんな裏切りをしたのか、ということを全く述べていない点(ある意味、悪役より悪いよね……)と、クライマックスの逆転劇が、あまりにも上手く行き過ぎなので、まるでドリフの大オチみたいと爆笑してしまった点でしょうか。それにしても、精神を病んだ少女の演技はとてもお上手だったんですが、この役者さんは実際はお幾つなのでしょう。有名な方なのかな?


ブラッドレイン

 これ、なんかの続編なんすか?と、見ながら首を傾げてしまったほどに、おいてけぼりの出だし。まあ、吸血鬼ものですよ、中世ものですよ、という予備知識くらいはあらかじめお持ちなんでしょお客さん、みたいな感じなんでしょうか。
 この手の物語のお約束みたいなキャラだらけ(いっつも椅子に座りっぱなしの敵の親玉」とか、「魔力でハーレムを作るデブの悪役」とかね……)の中、「魔力で吸血鬼になり人間の敵になったが、さらに自分が吸血鬼のトップになろうと目論んでいる元城主と、その父から離れ抵抗組織の一兵士として戦う娘」というキャスティングのキャラがちょっと注目だったのですが、わりと雑な扱いでした。
 主人公は作品中ただ一人、中世という時代をそーとー無視したお色気丸出しのコスチュームで、これはもう水戸黄門におけるかげろうお銀のレベル。けっこう一般映画としては濃いめのエッチシーンもやってのけて、ラストもそうくるか!という行動をする破天荒。どうやら続編があるらしいのですが、あの場面からどう展開させるのかは、ちょっと気になる。


バンコック・デンジャラス 

 バンコックってなんだと思ったらバンコクのことか。だったら最初からバンコクとタイトルにすれば良いのに。
 アメリカ人にとって、アジア人にありがちな「人情話」っていうのは興味ある題材なのでしょうか。冷酷な殺人者なはずの主人公が使い捨てにするはずだったチンピラや、偶然出会った障害を持つ少女に仏心を抱く、というベタな展開が、バンコクの舞台によく似合います。似合わないのはインパクト大なニコラスのデカ長フェイスだけですね。
 作品の流れからすればあきらかにはっちゃけ過ぎだろ、と言いたくなる水上マーケットを舞台にしたドタバタが一番の見せ場。ここのアクションは見応えありました。


ターミナル・ベロシティ

 江戸っ子が「てやんでいべらぼうめ」と喧嘩を売ってくるとか、大阪人が「もうかりまっか」と挨拶してくるなんてことが実際にあり得ないように、「こんなイカしたナイスガイなアメリカ人がホンマにおるかいな」というツッコミをしないではいられない主人公に、まず最初にドギモを抜かれます。
 しかし面白い!とにかく疾風怒濤のストーリー展開に、CGを習得する前の豪快なハリウッドアクションが立て続け!全くコイツは最高じゃないか、ええお前もそう思うだろハニー!(思わず感想もこんな口調になってしまいます)久しぶりにアクション映画で血湧き肉踊る、という体験をしました。
 ちなみにこの映画、CSの吹き替えで見たのですが、この映画は多分、吹き替えの方がおすすめです。主人公のイカしたジョークは、字幕よりセリフで聞いた方が楽しめると思いますので。


コーリング

アメリカ人、というかキリスト教というか、人の死に関わるファンタジーやサスペンスで、時々わけわかんねえな、という気持ちになることがあります。この映画にしても、「死んだ奥さんが心残りにしたことを主人に伝えようとしている」という物語が、なんだってサスペンス、しかもややホラーがちな表現になってしまうのか。旦那が奥さんに恨まれているんならともかく、愛しているのにどうして怖い物語になってしまうのか。そこからして分からない。映画としては、ちょっと気の利いた伏線があったりして悪くないんですけどね。
この映画で注目すべき点は、終盤に登場する飛行機のパイロット兼ガイドのアンちゃんですかね。お前、ストーリー的には完全に脇役のはずなのに、活躍し過ぎだろ(笑)。


インシテミル 7日間のデス・ゲーム 

小説ですらもはや行き詰まった感のある「そして誰もいなくなった」パターンを何故映画でやろうとしたのか。最初から勝ち目の無い勝負ではないか。この手のパターンで重要なのは、謎解きの前にどれだけミスリードで見ている側をかき回すかなのですが、それが全く出来てない。主人公がわめく「推理が雑過ぎるって言ってるんだよ!」通りな展開で、また昔のミステリの意匠も持ち込みも中途半端。しかも最悪なのが、「登場人物が、俳優のイメージ通りのキャラクターでしかない」点で、「キャスティングだけで、大体ストーリ-展開が読めてしまう」という、2時間サスペンス的傾向で、これらは全て、ミステリファンからもっとも嫌われる類いの欠点です。
 サスペンスの映像としてみると、けっこう上手な演出もあり(この辺は監督さんの得意分野なのでしょう)、それが苦しいストーリー展開でもハラハラドキドキ感をなんとか保っているのですが、所々で「安っ!」な部分が透けて見えるのが苦しいところ。「館の周囲が特撮ヒーローが出そうな荒野」とか「ガードとかいうロボットの動きが(笑)」とか。


機動戦士ガンダムUC(ユニコーン) 2 

 久しぶりの宇宙世紀もののガンダムシリーズに、どこまで期待すれば良いのか、そこが問題なわけです。作画も演出も、充分レベルの高いものだとは思うのですが、どうしても「もうちょっとなんとかならんかなあ……」という思いが抜けません。今回で言えば気に入らなかったのが、ビームマグナムの発砲描写とか(銃の先端に丸い玉が出来るというのは、ZZのオマージュなのでしょうが、なんでわざわざあのダサイ演出をやるのか)とか、フロンタルの髪型とか(なにあのモミアゲ)とか。
 それに、最近のアニメではまだマシな方だと思いますが、いわゆる「美形キャラ」と比べて「そうでないキャラ」の表情に魅力を感じません。「ミライさんですら魅力的な表情で描かれる」のが安彦キャラの最大の魅力ではないでしょうか。美形キャラや萌えキャラだけ上手く書けていればそれで満足、といったアニメーター、引いては今の視聴者の傾向を見せつけられるようで、とても残念に思います。

 あ。良かったところも上げておきます。ネェルアーガマの弾幕描写が新鮮。パラオの町並みや協会の描写、かっこいいBGM。


ボーン・アルティメイタム 

 しまった、これが2作目と思って見てしまった。というわけで、スプレマシーをすっ飛ばしています。でもまあ、大体内容はわかるもんですが。
 1作目からずいぶんと印象が変わっておりまして、全体的にハードになった感じです。1作目でところどころで挟まれていたユーモアみたいなものはあまりなく、その分、追いつ追われつの攻防戦の緊迫感が増しています。その辺りは一長一短なのでしょうが、困ったのが演出の変化。昨今のアクションの流行を取り入れたのでしょう、「やたらと強調されるカメラぶれ」と、「前のめり気味なテンポで細かく刻まれたカット」という、私の苦手な画面になってしまい、見るのに疲れました。
 それにしても、この映画は最初から3部作で考えられていたのでしょうかね、面白い反面、際立った特徴のある映画という気はあまりしないので、そこまでやれる自信がどこにあったのか、というのが気になります。


劇場版 名探偵コナン 漆黒の追跡者 

 コナンをミステリーとして解釈するなら、大きなメリットがありまして、「実写や映画だと荒唐無稽すぎてギャグになってしまう」トリックや展開を、大真面目に織り込むことが出来る、というのがあるはずです。例えばダイニングメッセージにしても、「だったらそもそも犯人の名前を残せばいいだろ」というツッコミをどうかわすのか、という所から推理小説は考えないといけないのが現状ですが、コナンであればその必要はなく、心置きなく「ナゾナゾ」や「パズル」としての謎をふんだんに盛り込めるはずなのです。
 なのですが…、今まで見てきたコナン映画でその点で満足できるのがあまり見られないのは(テレビでやってるのを時々見るくらいですけど)、「子供にはあまり難しい謎や伏線にはついていけない」というコナンならではのデメリット故なのでしょうか。だったら子供向けとはおおよそ思えない麻雀牌などを使って、解けるとも思えない、そもそも解く必然性があまり感じられない謎を中心に据えたのか。
 その一方で、もう一つの大きな謎として描かれた「刑事に変装した犯人」の謎解きに関してはひどくアッサリしたもので、さっさとラストの活劇シーンへと移行してしまいます。今回の映画は登場人物もほぼオールスターと言えるほどに多く、ファンサービス感の強い内容という感じなのですが、一番のファンサービスは、しっかりとした謎で見る人を引き込む、しっかりとしたミステリーとしての物語なのではないか、と思う訳なのですが。


デス・レース

 いきなりの冒頭のナレーションと説明が、「この映画はアタマを使って見てはいけないおバカ映画ですよー」と宣言しているようなものなので、ツッコミを入れる方が負けです。とにかくハチャメチャなカーアクションを堪能して、悪党どもが死んで行くのを楽しみましょう。
 映画の内容を語るような映画ではないのですが、とかく羨ましいのが映画を撮ったロケ地。まさかアレ全部セットではないでしょうから、あんな雰囲気満点の廃工場なのかなんなのか、そういうものがあって、しかも爆破三昧の撮影許可も下りちゃうのでしょう。凄いなあアメリカ。


ボーン・アイデンティティー 

 正統なスパイもの、というか「抜け忍もの」といった感じの映画です。内容は普通に面白いのですが、個人的な不満が幾つか。話自体は荒唐無稽ですが、落ち着いたトーンの画面や必要以上に派手にしない演出で、リアリズム寄りに意識を向けている傾向のある映画です。にもかかわらず、あのスナイパーの描写のお粗末さはなんでしょう。ライフルの望遠スコープがほとんどぶれてない上に、主人公が移動するとあんなに動かすって。しかもけっこう思わせぶりに主人公を追っていながら弱っちいという。
 それと、以下は出来不出来とは関係ない部分ですが、私はこの映画を吹き替え版で見ました。声優さんの上手い下手とは関係なく、「吹き替えに向いてない映画」というのはあるもので、この映画はまさにその典型でした。吹き替えが全く馴染まないばかりか、人を殴ったりする場面の音までが吊られるように嘘くさくなってしまい、どうにも映画に入って行けませんでした。吹き替え専門CSで見た自分が悪いのですが。
 さらにもう一つ、自分が悪いことを言わせてもらうなら、ヒロインの顔が……。女優の顎が割れてるって、どうも……。


逃亡者 

 王道、という表現が思い浮かぶ、まさに面白いサスペンスってこういうのだよね、と言いたくなる映画。わざわざレンタルで借りたり、DVDを買ったりとかはしないけど、テレビでやっていたらやっぱり見てしまう、みたいな、そんな出来……という表現は失礼ですかね?
 アメリカ映画だけに邦画ではなかなかできない豪勢なロケ撮影こそしていますが、派手な爆発だの炎上だのは、冒頭の列車脱線シーンくらい。なのに最後まで引きつけられる緊張感のある追いつ追われつのストーリーは魅力そのもの。
 不満と言えば「黒幕」がそいつだというのは、ちょっと捻りが足らないのでは、という点と、あまりにも使えない暗殺者。そんな目立つ外見的特徴を持った暗殺者おるかいな、という突っ込みから始まって、公共の場でそんな派手な立ち回りをする暗殺者ってどないやねん、という展開で、あげくの果てに、クソ弱いという(苦笑)。
 なお、mixiという公共の場で、これを書くことは自分の無知をさらすようで、ひいては、自分のレビューの信憑性を疑われるという意味でアレなのですが、追いかける方の刑事の俳優さんの名前が、見ている間、ずっと思い浮かばず、最後まで頭の中で「この人だけだっけ……」と思いながら見てました……。


ボーン・コレクター

ちょっとネタばれ気味ですみません。

 ミステリーやサスペンスのジャンルで、登場人物のキャラクターを優先させるか、ストーリーを優先させるかというのは、難しい問題だと思います。キャラクターを魅力的に書くとどうしても物語が破綻しやすく、その逆もまた然りなわけで、そのさじ加減で映画の印象や出来というのは大きく左右されるものだと。
 この映画はとてもキャラが魅力的で、安楽椅子探偵と助手のミステリの定石を十分にひねった主人公とヒロイン、そしてその脇を固める個性的な面々と、まさに見所満載のキャラクター大集合といった案配だったのですが、やはりストーリーに関しては雑と言うしかありません。
 提示される謎は現代捜査ではどう考えても何時まで経っても解けないレベルの謎ではないという点でリアリティの意味でも不満(たかが3ピースのパズルであんなに手こずるってなに?)であれば、謎を解いたところで犯人が分かる仕掛けにもなっていない(お前を試す為だ!なんて理由で納得できますかいな)という意味でミステリ的にも不満という。あくまでキャラとストーリーを転がす為の雰囲気作りでしかない謎というのは、やはり納得がいかない。

 それと、これは映画の出来不出来とは関係なく、完全に個人の好みとしてですが、絶対に殺しては行けない人物を殺しているので、それだけでも大減点です。どーせこんなリアリティのない映画なんだから、ラストシーンで包帯姿で登場したっていいじゃないか!あれだけ主人公に尽くしていたのに!そのハッピーエンドには、断じて納得できないぞ。


メメント 

 倒置法、と言えばいいんでしょうか。最初に物語のラストシーンを見せて、なぜ、そういうことになったのか、という経緯を巻き戻して行く形で見せて行くという、かなりトリッキーな手法の映画です。
 正直、一回見ただけで全容を把握するのは難しいと思うので、拘る方は何度は見直すことになると思いますが、おおかたの部分は分かるようになっています。そのへんのさじ加減はよく出来た映画だと思います。そもそも、話がかなり暗い内容なので、何度も見るのはかなり苦痛になりそうなので、おそらく僕は二度と見ません(苦笑)。


ゲーム

 しばらく前に「パッセンジャーズ」を見て、このオチをやっていいんか!と思ったものですが、この映画のオチもそれに負けず劣らずの反則オチ。っていうか、モノを作る人間として、そのオチに手を出すのはどうなんだ。良心は痛まないのか、と問いただしたくなる類いのオチです。ある意味、押井守なんぞは、ある信念を持ってこの手のオチを使うことがありますが、この映画にはそれも感じられず、ただ安易に、映画をまとめる為のテクニックとして、使っています。オチが駄目でも途中が楽しめれば、という場合もありますが、別にこれと言った見所があったわけでもないし……。
 繰り返しになりますが、このオチは目的の為ににそれなりの覚悟を持って「手段として」使用することがようやく許される類いのものであり、このオチを効果的に演出することで自分の映画製作のテクニックを見せつけるといった、このオチそのものを「目的」としてしまうのは、やはり言語道断だと思います。
 こういう手を使われると、見終わった後の「時間の無駄」感が普通につまらなかった映画の1,5倍、強く感じられるので、はなはだ不愉快。


ライアーゲーム ザ・ファイナルステージ

 マンガ原作の映画、あるいはテレビシリーズの劇場版といった映画で、逆転につぐ逆転、衝撃のラスト!みたいなことをうたう映画で、成功した印象の映画ってあまり無いように思いますが、これは充分、楽しめました。
 何が良いって、展開に破綻がほぼ見られないところが良いです。無理のある展開を強引なテンポで誤摩化したり、大したことない謎や逆転を、大げさな演出で押し付けたり、という映画が目立つ中、この映画も演出は大げさですが、それはあくまで全体を通して平均的な「味」であり、「限定された状況」で構築されたルールは、ストーリーを通してしっかりと遵守されています。それが偉い。
 一般向けに作られた映画である以上、あの「ゲームのルール」が提示された時点で、最後の勝負がああなることは予想されるし、いよいよ明かされるライアーゲームの真の正体!というのはやや肩すかし感があったのではないかと思うのですが(原作マンガおよびテレビシリーズを見てないので何とも言えませんが)、ここまで渾身のハラハラドキドキを見せてくれた以上、そこに拘るのは映画単体として蛇足となるので、あっさりと済ませたのは正解だったように思います。
 エンディングもホラーやサスペンスにありがちな、嫌みな「引き」を利用した奇麗な終わり方で好きです。逆に言えば、これで完全にラスト、と宣言したようなもので、これで続編をやっちゃったらガッカリだなあ、と思うのですが、さてどうなるんでしょう。


ICHI

 はるかさんをそれはそれはキレーに、強く、そして健気に表現することは成功していますし、よほど庄内地方の皆さんが協力してくれたのでしょう、風景もとても奇麗で、この映画を製作するにあたって最低限の目標は達していると思います。が、逆に言うとそれどまりになってしまったのかなあ、と。
 私は映画を見るにあたって、「あれだけ人を切ってはるかさんの刀だけ血糊がつかない」とか、「時代劇のラストシーンが果樹園のど真ん中ってどうなの」と言った突っ込みは、「まあそれはそれ」として許容すべき範疇だと思うのですが、冒頭から綾波的無表情に徹していたはるかさんが、初めて感情を露にする重要なシーンでの、JIN大沢さんの台詞は聞き捨てなりません。
「お前のように人を見捨てはできない」って、お前助けてもらってんぢゃん!
 この不自然な台詞は、話の流れや登場人物の感情の推移を明らかに乱したもので、作品の説得力を一気に失う瑕疵であり、映画の価値をおとしめる類いの突っ込みどころであると思う訳です。
 それと悪人どもの衣装が、作品の世界観からして、ギリギリアウトと思うほどにケバケバしいのもどうかと。


キック・アス 

徹頭徹尾、けばけばしいと言うか、キツいと言うか、アメリカ独特のブラックで下品な場面連続の映画です。全国ロードショーとはいかないのも当然。ただし映画の骨格はしっかりしていて、展開のテンポも良いので、最後まで一気に楽しめる映画です。小学生の女の子(とその父親)がバッタバッタと血飛沫あげつつ悪人どもを皆殺しにするという内容に拒否感を示さない感性が必要で、かつ尋常ではない強さのフラッシュシーンがあるので、つくづく人を選びますが、一見の価値はあります。


ラスト・ブラッド

つまり、原作をオリエンタル趣味のバンパイアムービーという解釈をしたようで、アンダーワールドとかの亜流的な仕上がりになっています。原作を実写にトレースした場面は、それなりに丁寧に撮られていますし、70年代米軍基地周辺の日本は、どうみても本物には見えませんが、舞台上の記号配置としてはかなりよく出来ていて、かなり興味を持って作り込まれているのが分かります。アクションシーンはかなり荒っぽく、こと、この映画独特の血飛沫表現はあまり好きではないですが、見応えはあります。何しろ、どこから見ても可愛いセーラ服のお嬢さんが日本刀振り回して血まみれになって戦っているシーンに魅力を感じないわけがありません。同行する基地指令の娘との友情描写も良かったです。


ドラゴンボール EVOLUTION 

 やる気が感じられないなあ。そもそもこの内容だと、監督が、原作のどこを気に入って映画を制作したのかが全く分からない。映画のどこを見渡しても、「ああ、原作のここを映像化したかったのか」と納得できる場面が見当たらないんですよね。大猿も神龍もなんかしょぼいし。あれだけ魅力あふれるビジュアルイメージだらけの原作の、監督はどこに目を付けたんだろう?ヤムチャの役立たずっぷりか?
 最後まで見ると、どうも外部からのいろいろな圧力にめげて、やる気をなくしたんじゃないか、という疑惑を抱かないでも無い。ずいぶんとでっかくテロップで「少年ジャンプ」と表示されるのもそうだし、なんだか変な使われ方をしているアユの曲もそうだし……。
 続編があるようなエンディングだったけど、これはさすがにないのでは。


劇場版 超・仮面ライダー電王&ディケイド NEOジェネレーションズ 鬼ヶ島の戦艦 

テレビシリーズを見ていないのですが、電王という作品は、つくづく、キャラクターの交通整理が上手いなあと思います。登場人物だらけでそれぞれに見せ場が必要になる劇場作品、その中で完結したストーリーも、劇場版ならではの見せ場も入れ込まなくてはいけない。その難題を職人技とも言うべき手際の良さでクリアしています。よく出来たイベントの仕掛けの妙ですね。なんにせよ、キャラクターを大切にしている作品は好きですが、一方で、この作品でも垣間みれる、ディケイドの歴代ライダーに対する扱いの悪さと言ったら……。まあ、この映画ではディケイド自体の扱いもアレですけど。そもそも、テレビシリーズの電王とディケイドって同じ監督さんなんですか?


イーグル・アイ

アオリ文とすれば「現代のネット監視社会の恐怖」だとかつけたくなるのでしょうが、内容的には古典そのものの「機械達の反乱」もので、相当、荒唐無稽です。現代の世相を鋭くついたサスペンス、としてはなく、単純にアクションを楽しみましょう。
 舞台を次々と変えつつ立て続けのアクションシーンは、かなり見応えがあります。CGをなるべく使わないこだわりが良く、きちんと車を壊して、水に沈めて、派手に爆発させているのが嬉しいですね。いかにも最近の映画らしく、カットが短く、カメラを激しくブレさせていますが、それほど画面酔いをしなかったのは、ブレ方さえもコントロールしているからでしょうか。「カメラぶれを魅力的に演出に取り込む技術」というのは、ハリウッド映画のみが極端に進歩している印象があるのですが、せっかくのアクションシーンはじっくりと見たい、という需要はけっこう多いと思うのだけど……。


パッセンジャーズ 特別版

レンタルビデオのあるある。借りてきて「あれ?なんか想像していたのと内容が違うぞ、こんなだと知っていたら借りなかったのに……」という展開。私にとって、まさにこの作品がそうでした。良い悪い以前に趣味の埒外なので、評価はするべきではないのですが、ラストについてだけ一言。映画をそれほど見ていない私ですが、この作品と同じオチの映画を、私は2つ知っています。私には「反則」としか思えないこのオチが、定番ジャンルとして成立しているのですかね、あちらの国では。


ゴースト・ドッグ 

かつて、ここまで感想を書くのが難しい作品があっただろうか。
一言で言うと、変な映画。
全編を通して、滑稽な哀しさ、という雰囲気に満ちているような……。

大柄で太めで、穏やかだけどなんだかいつも泣きそうな顔をしている、
主人公のその印象が、そのまま作品のすべてを満たしているというか。

一昔前の映画だとしてもやや長くしすぎている場面とか、
いまいちな演出シーンとかもあるし、
途中で主人公が見せる剣舞に、
明らかにカンフーアクションが混ざっているとか、
気になる場面もあるのだけど、
最後まで一気に見てしまい、
見終わった後の独特の感情が一日経っても消えない。
優しい癒しの映画のような、カラカラに乾燥した無常の物語のような……。

とにかく、この映画ならでは、という味がある映画だとは思う。
そしてその味が、とても私は好きらしい。


魁!!男塾

 原作の、良い言葉で言う荒唐無稽、ぶっちゃけて言えばくだらなさを、スクリーンで表現する為、あえてやる気のないような映画にしたのか、実際に最初からやる気が無かったのか……。判断に迷うような作品。
 物語の序盤、主人公の百太郎が二号生を相手に男塾の校庭で大乱闘、という場面で、思い切りブランコだか滑り台だかが背景に収まっている。男塾なのに!ロケ地が木造校舎の小学校だからなのだが、カメラの位置でいくらでもごまかせるはずなのに、むしろその方向にカメラを向けているのを、開き直っているというか、フザケていると言うか……、終止、そんな感じの映画。
 微妙な配役のキャストも見所で、まるで大はずれ、という役柄の人もいれば、まさにピッタリ!という人もいて、その落差をむしろ楽しみましょう。虎丸役に、ヘキサゴンのおばかタレントの人だったりして、なんだ普通にしゃべれんぢゃんとか思っていたら、FLYING KIDSのボーカルの人が出演していて、腰が抜けるほど驚いた。



更新は不定期ですので、気長に待っていただけると幸いです。Jリーグのサポーターの方はどこのチームでも大歓迎。煽り合いではなくゆるいノリで楽しめたらいいなと思っています。