見出し画像

【祝・あたしンち30周年】コミック既存21巻好きなエピソード紹介

あたしンち』という漫画をご存じだろうか。

新聞連載から始まり、単行本化・アニメ化・劇場アニメ化を経て、今年は連載開始から30周年の年に当たる。

私は雑誌・小説・新書・ビジネス書(?)・エッセイなど文字だけの本を読むのは非常に好きだ。しかし、漫画だけは改善されつつあるが、まだ苦手意識は抜けていない。
理由としては、顔の判別がつけられず、よくわからない人が出てくると立ち止まってしまうからだ。小説は顔を思い浮かべなくていいのでその人のやったことだけ覚えておけばいいけれど、姿形が確立されている漫画ではそうもいかない。やったことを覚えていても顔がわからないと「この人誰だっけ・・?」と記憶が変な方向にリセットされ、過去を振り返る作業が発生し、前に進まなくなってしまう。普段あまりにも狭い人間関係で生きているので、名前・姿・やったこと・主人公との関係性を覚えることに難しさを感じてしまうのだ。情けない・・・。
引っ越しを重ねるにつれて毎回漫画を断捨離していき、とうとう今は1種類になった。その1種類が『あたしンち』だ。
今回はそんな『あたしンち』の既存単行本全21巻から好きなエピソードを紹介していきたいと思う。

本題に入る前に・・・本作のメインキャラクターであるタチバナ一家の簡単な紹介をしたい。
・かなり大雑把で底抜けに明るい母(声優は渡辺久美子さん)
・寡黙だけれどもクセの強い父(緒方賢一さん)
・ズボラだけど不器用ながらも全力で今を楽しむ高校2年生の長女・みかん(折笠富美子さん)
・繊細で多感な時期を送っている比較的常識人の中学2年生の長男・ユズヒコ(阪口大助さん)
一家を取り巻く人物の日常生活が描かれており
1巻につき31個の小話と1つの長編が収録されている。

1巻:No.8 みかんが試食販売のアルバイトをする

1巻は30年前なので全く絵のテイストが違うのでまずそこから面白いし、『あたしンち』と言えば・・の定番エピソードがふんだんに盛り込まれている。
その中で私が好きなのは、みかんが部活の合宿費用を稼ぐために試食販売のアルバイトをする話だ。
試食販売の経験があるので、頭の中でスラスラと言いたいワードは出てくるのにいざ店頭に立つと緊張して声が小さくなるところに共感。
興味ありそうにみている人に声をかけられずなかなか苦戦している中で、人当たりの良さそうなご婦人が興味を持って買ってくれるのだが、その時に発
した一言にクスリとしてしまう。

アニメでは漫画よりも描写や追加設定が多くなり、母がみかんの様子を見に来ているのだが、母のみかんを思いやる良いお母さん像と母の個性的なキャラクターが入り混じり、ほんの少しだけほろっと温かい気持ちになる、
労働でお金をいただくことの尊さを再認識することもできるのでこの話が好きだ。


2巻:No.19 停電時での家族の会話

個人的に2巻の表紙の色合いが可愛くてお気に入り。
お気に入りエピソードはある日突然停電したタチバナ家。真夏なので涼しいところに避難しようということで隣町のファミレスまで暗い道を歩きながら繰り広げられる家族の会話が素敵だ。

漫画は全編(おまけを除く21巻すべての本編)23コマで起承転結をつけなければならないので、よくわからないまま話が終わりそうと心配になってしまいそうになるが、杞憂に終わる。

この話はたった23コマにこの場面に参加しているような気分になり、そこからオチに落とし込むのがずば抜けて優れているなと感じる。

昔も良かったけれど、やはり今は今で文明が発展し暮らしやすくなっていることを実感させてくれる1話。


3巻:No.23 新しいものを取り入れた話

母が新しいクッションを買い、ようやくボロボロになっていた前のものを捨てた。その時の家族の反応を描いた話だ。
新しいものって肌に馴染むまでに時間がかかる・・・というあるあるから一家のエピソードに繋げられる着眼点がすごい。
4人家族なので2対2、1対3、4対0・・と議論の際に対立する構図はたった3パターン。その中でも『あたしンち』で描かれることが多い1対3の構図の原点がこの作品だと思っている。
アニメでは漫画になかった追加設定がいいスパイスになっているので、漫画だけではなくアニメでも楽しい作品になっているのも推しポイントだ。


4巻:No.11 辞書選びの話、No.14 いつの日か箱

4巻は私にとっては好きな話が1番多く収録されているので好きなエピソードを1つに絞れない・・・!
No.11はみかんが学校で普段使っている辞書は何か?という話になった際、先生が勧めるような定番の辞書ではないものを挙げて周囲を驚かせている話だ。

タチバナ一家にいると母や父があまりにも変わっているため、一見みかんは没個性のように見えるが、外に出ればみかんが圧倒的に変わった存在になるのが面白い。
時折無神経なことを言って周りを落胆させている描写もあるけれど、全く悪気や裏表がなく思ったことを素直に言語化できているので、なんか憎めない愛されキャラになってしまうのがみかんのいいところだ。
それが存分に詰まったエピソードがNo.11だと私は思う。

みかんがその辞書を使っているのが「匂い」で、私も辞書の匂いを気にしたことがなかったので、この話を読んだ後学校の近くの大型書店に行って片っ端から匂いを嗅いだような・・・私の中ではいい匂いだと感じたのが『明鏡国語辞典』だった。引っ越しの荷物整理で国語辞書を手放してし待って今は手元にないが、電子辞書が解禁されて国語辞典を持ち運ばなくても良くなった時にも匂いが好きでずっと使っていたことを思い出した。

そんな感じで私の生活に大きな影響を与えているエピソードが4巻に多く詰まっている。迷いに迷ったNo.14の話もそうだ。
父が結婚式の引き出物でいただいたものを母も使わずどうしようかと悩んでいたところ、みかんが引き取り、「いつの日か箱」に入れていく話だ。
この箱には今は使わないけど、将来一人暮らしをした時に使いそうなものを溜め込んで入れている。主に母が使っていなかった可愛いものやみかんが一目惚れして衝動買いしてしまったものが多い。
私もこの話を見てすぐに「いつの日か箱」を作った。1人暮らしを初めてこの箱を解禁した時の感動は今でも忘れられない。あまり使っているものはないけれども(苦笑)、未来を見据えて何かを準備することが好きだったなと懐かしい気持ちを思い出させてくれた。

実はもう2話好きな話があって、それはどちらもユズヒコのクラスメイトの話だ。
みかんとは別ベクトルで変わっている女の子のクラスメイトがいる(名前は石田)。本当に変わっているためクラスでは誰も近付いてこない。そんな中でユズヒコと、ユズヒコの友達代表格・藤野と、同じクラスにいたら有り難すぎるニュートラルな存在の女の子・須藤ちゃんが石田の様子を面白おかしく観察しつつも、引いたりせずにきちんとコミュニケーションをとっている姿に心を打たれる。
学生時代からユズヒコ・藤野・須藤ちゃんはいい人だな〜と思っていたけど、改めて石田絡みの話を読むと、この友情関係に泣きそうになってしまう。
中学生は1番男女の境目や女子同士の派閥体制が果敢になっていく年頃だが、そんな状態を嘲笑うような関係性が眩しい。


5巻:No.21 夏休みの目標決め

これは本当にあるある〜!すぎて心が痛くなる(笑)
夏休み初日、みかんは目標を立てて、1日あたりのノルマを算出し、取り掛かろうとしていた(例:映画30本鑑賞→1日あたり0.6本)
しかし結局ゴロゴロしてるだけで、なんだかやる気が・・・となっている自分を奮い立たせるが、同じく夏休みのユズヒコや母を見てダラダラ生活に引き戻される話だ。
ここまで共感できる設定も珍しい。1日あたりのノルマを出して、「これだけやれば楽勝じゃん!」となるのに、1日できないと一瞬で心折れてしまう(苦笑)
その目標を達成してどうなりたいかがわからないと何もできないことを痛感した。


6巻:No.17 バスの時刻との格闘

これも個人的にはあるある〜と叫びたくなる。
母はバス停で待つ時間が嫌いで、乗ろうと思っているバスのギリギリの時間まで何か作業をするが、うまくはまらずどんどん出発時刻が遅くなっていくという話だ。
明確なオチはないけれど、おそらく母は遅刻をしているだろう。
私もバス停や駅で待つのが嫌いでなるべくギリギリまで作業をしてしまう。しかも間に合わないからといって走ったりせず、次にしよう・・・とどんどん出発時刻を遅らせてしまう最低の性質を持っているので母の一連の動きは共感しかできない。
もうこれは治すことを諦め(苦笑)、集合時刻を1時間早く脳内で設定し、保険をかけるようにしている。
たまに失敗してしまうが、遅刻の回数は一時期に比べると減ったかなと思う。


7巻:No.8 ユズヒコと藤野の友情、No.25 母が大袈裟

7巻もお気に入りのエピソードが多く、また1つに絞れなかったため2つ紹介。
1つ目は藤野(ユズヒコのクラスメイト)が鼻血を出してしまった時の話だ。休み時間に鼻血が出てしまい、ユズヒコの初動ミスもあって(?)授業開始までに鼻血が止まらず、藤野は始業の礼ができなかった。
それを見た先生(この話でしか出てこない先生のため名前はなし)が藤野をからかい、ユズヒコが一緒に保健室につきそうという話だ。
起承転結のようなオチはこちらもない。先生や周りのクラスメイトのからかい方が妙にリアルで胸糞悪くなる。
しかし、ユズヒコはそれを見過ごさず、リーダー格のような振る舞いで周りを黙らせるわけではなく、そっと藤野に寄り添うのが印象的だ。
いつも2人はふざけ合っているが、こういう時の絆の強さに心打たれる。
ユズヒコの繊細ゆえの優しさが見える話でお気に入りだ。

もう1つは打って変わってネタ要素が強い。みかんの動きを母が大袈裟に実演して悪い(?)曲を直そうとする話だ。
文字だと面白さを伝えきれないが、母の演じるみかんの描写が極端すぎて、どんなに疲れていてもこの描写だけで笑うことができる。ほっこりしたエピソードも多いけれど、たまにネタに全力で振り切るところがあるのが『あたしンち』の強みだと考えている。


8巻:N0.20 生活水準

8巻はファン人気の高そうなエピソードである「おかずの法則」(No.24)が入っているが、私はこっちを推したい。

みかんの友人のひとり・理央はお金持ちで高校生でヴィトンの財布を持っているこたり、家の味噌汁の味が美味しいと思ったらいつもより20円高いお味噌を使っていたり。ちょっとお金を出せば心が豊かになるのではないかと考えたみかんは母に提案をするものの、その返しとオチが絶妙。

幼少期はみかんやユズヒコと同じ反応をしていたけれど、歳をとってからみると母の言うこともわからんでもないなと思う。
この話に似たようなものが9巻のNo.1のエピソードでも描かれている。
(9巻と8巻ではオチが表裏一体になっていて面白い)

いわゆる「安かろう悪かろう」な商品を我慢して使うくらいなら、少しお金を出しても好きなものを買う、というのは私の現在のポリシーとして根強く残っている。
8巻〜10巻は特に今の私を構成するルーツのような話が多いことに読み返して気づいた。


9巻:No.3 イケてない日、イケてる日

9巻と10巻は好きなエピソードが多い。

No.19のみかんと、クラスメイトのしみちゃんとの友情回やNo.24のクシャミ回はネタとして面白い。
No.21のみかん幼少期回は切ない気持ちになる。経験したことはないけれど、この経験をしていたら辛いよな・・・と言う気持ちとオチ方のギャップが美しい。

母の謎に説得力のある格言・『人生は皿まわし』が登場するNo.17は抑必見・・・!有名な話はお弁当や日々のご飯のおかずの珍レパートリーが多いけれど、食が絡まない話で他の話にも通じる母の根幹である理論に触れることで母の人間性を知ることができる話だ。
幼少期はこの理論をユズヒコと同様に「疲れる人生観」と思っていた。
けれど、歳を重ねると確かに人生は皿まわしのようにひとつのことに集中できる機会は稀で、ずっといろんな皿をまわし続けることが求められるよな・・・・と共感できるので不思議だ。思考が母に近づいてきているな(苦笑)

この強打者(?)を抑えて9巻ベストエピソードに選びたいのは、みかんの視点から描かれるイケている日とイケてない日を対比して描かれている話だ。
日常を丁寧に過ごす大切さを教えてくれる。そして、みかんの豊かな感受性を忘れずに生きていきたいと思う。

全く関係ないが、みかんの通っている高校は制服がないため
9巻の表紙はファン的には永久保存版と言っても過言ではないだろう。


10巻:No.3 みかんの良い日、No.15 学校をサボる、No.17 日記を始める

エピソードを1個選ぶために全巻読み返したけれど、10巻が1番個人的にはオススメ。2つにすら絞れず3つにしてしまった。

No.3は9巻であげた最も好きなエピソードに近い話だ。
9巻はみかん自身の考え方の部分が強いけれど、10巻は誰が読んでもほっこりする。常に余裕を持って笑顔でいることを心がけ、目先の利益とか関係なく最新情報を提供したり、困っている人がいたら丁寧に手を差し伸べることのできる人物になりたいと心から思った。
みかんに優しくしてくれた皆さんに拍手を送りたくなる。

No.15は個人的には学生時代にやりたかったことをビジュアル化してくれた話。
天気が良すぎる日に「学校に行くのもったいない・・」とみかんと、みかんの親友・しみちゃんとの会話から本当にサボる話だ。
しみちゃんがサボりをしみじみ楽しむのもわかるし、みかんがサボりに集中できていない状況もよくわかる(苦笑)
本当に一緒にサボってくれる友人がいるのは素直に羨ましい。行動に移すフットワークの軽さも真似したい。
毎日サボるのはいかがなものかと思うけれど、「たまには息抜きしても良いんじゃない」とそっと背中を押してくれる。

No.17は私の現在のライフワークである・日記を始めて続けようと思ったきっかけになる話だ。
幼少期に友達(?)が「はじめて喋ったのが去年の今日」と言っており、日記の凄さを知るみかん。
そこで翌日(中途半端な日)から日記を始めたけど中途半端な日付スタートで挫折。その後元日スタートでカッコいいノートを用意したけど挫折。などなど日記始めたてのあるあるが詰まったエピソードになっている。

私は過去に去年の今日こうだった、6年前の今日はああだったという話をしたら、感心を通り越して気味悪がられた苦い記憶を思い出した(苦笑)


11巻:No.21夏バテ

今の季節にはそぐわないけれど、完全にギャグに振り切った回。
特に何かを学ぶ要素はない(苦笑)
強いて言うなら「暑すぎる夏は人を狂わせる」と言うことだろうか。
読んでいてクスクス笑える話だ。

今まで触れなかったけれども、この巻末の長編エピソードも印象深い。
ユズヒコの昔の友人との別れ方でしんみりさを残しつつギャグ要素がマシマシで後味すっきりするのはあたしンちならではの物語の構成だと思う。


12巻:No.15 母のおにぎり

たまに存在する母とみかんのやり取りでほっこりする回の代表格。
母のおにぎりが美味しかったことをふと思い出し、自分でも作ってみろウトするけど・・・?と言う流れだ。

みかんの年齢から遠ざかり、母の年齢に徐々に近づきつつあるけれど、いまだに私も自力でおにぎりを作ってもイマイチなものが出来上がる。
コンビニや専門店のおにぎりも美味しいが、母のおにぎりは確かに妙に美味しいんだよなあ・・・。
私も母から師事を受けてみようかなと思い直した1話だった。


13巻:No.30 母、さみしい

母がユズヒコに対してはなんだかんだ甘いという場面は、たくさん描かれている。その中でも最上級に甘いなと思うのがこの話。
みかんや父に甘えられる(?)とイライラしているけど、ユズヒコには特別な感情を抱いていてそれがストレートに出ていてクスッとしてしまう。

この話を読んで母の気持ちが少しわかるようになってきたのも、また、私が母の年齢に近づいている現実を突きつけられるような気持ちになる。


14巻:No.30 褒め言葉の受け取り方

1番愛着がないのは14巻。好きなエピソードを探すのに苦労した。
ユズヒコのクラスメイトの女子・石田と似たような(漫画では同じ顔にしか見えないw)顔の従姉妹が容姿に自信を持っている様子を見て、石田が褒め言葉に対して過剰になっていることを、同じくユズヒコのクラスメイトである須藤ちゃんに謝る話だ。

『自己肯定感』というワードがその時は存在していなかったけれど、今風に言えば、「間違いなく自己肯定感が高い方が生きやすい」とメッセージになりそうだ。

石田が周りのクラスメイトを驚かせている立場にいつもはあるので、石田がまともに見える姿は新鮮だ。その作画も面白い。


15巻:No.23 ドーナツブーム

母の友達の水島さんがドーナツにハマっていると言う話をしたら、別日で友人たちが4人集まったときに全員ドーナツを持参して溢れかえってしまう話だ。
・・文字にすると非常につまらなくなってしまう文才のなさを嘆いている。

何気なく放った一言をみんなが覚えていて、みんなが用意しよう!と思ってくれる優しい世界に感動する。それと同時に、あまりにいろんなところで強く布教すると大事故にもなるので程々の会話量の大切さを実感する、そんな話だった。


16巻:No.22 メールのやり取り

この話はタチバナ一家が誰も言葉を発しない珍しい回。(みかんが申し訳程度に1コマだけ登場)
みかんの部活の後輩・新田が彼氏とのメールのやり取りで悶々としている話だ。まず、登場する携帯の形から懐かしく、既読のつかないメールで返信が遅いと「あの言い方で良かったのか・・・」と反省会を始めてしまうのはすごくよくわかるなあ!といわゆる(?)エモさ大爆発回。

今は良くも悪くも既読機能がついている連絡手段が主流になっているため、返信がないことに対して悶々とすることは少ない。
恋の駆け引きのようなこともする間もないくらい、スピードが求められている時代だ。この話はSNSが中学生時代から当たり前に使われている世代にはわかりにくいだろう。
本話の甘酸っぱさがわかる年代に生まれたことを誇りに思った。


17巻:No.16 母のテレパシー回

前巻に引き続き、1番好きな話は携帯絡みだ。
みかんが携帯にメールで念押ししたにも関わらず、母は携帯を見ていなくて頼まれごとを忘れたことからこの話は始まる。
確かに携帯は便利だ。便利というより今は持っていて当たり前なのであまり「便利」という感想は持たないか(苦笑)しかもついつい携帯と呼んでしまうけれど、携帯ってもう死語なのでは・・・?😂😂

携帯(スマホ)で想い出が簡単に見返すことができるため、写真や動画を撮ることに集中して自分の五感で楽しむことを忘れていたり、人の話を携帯(スマホ)でメモをしていて声色のトーンやどんな表情をしていたのか思い出せなかったり、何かを待つ時にも「携帯(スマホ)を見る」なんて選択肢がその場の雰囲気やまだかな〜といったワクワク感を味わっていたっけ・・・。
私自身の問題でもあるような気がするけれど、携帯(スマホ)に頼りすぎて本当に大切な何かを忘れているなということを思い出してくれる名作だ。
「音楽プレイヤーがなければ歌えば良い」という母の考えにはハッとさせられた・・・。確かにそうだ!😂

私の親が最新のものはすぐに買うミーハー気質のため
折り畳み携帯を持つのが同級生と比べて早く、ある時期は折り畳みの携帯やスライド型の携帯を持っている人が多い中でiPhone3GS(令和6年に出てくるワードではないw)を買ってもらっていた。
ゆえにスマホ含む携帯を持っている時期が長く、早い段階から利用の域を超え依存するようになっていたかもしれない。
最近は携帯(スマホ、と何故文章でも打てないのか😂)をあまり見ないようにしているが・・気を引き締めていないとスマホ内の娯楽やベンチな機能に甘えすぎてしまうので改善していきたい。

18巻:No.16 エネルギーの源

世相を反映している話は多数あるが、1番わかりやすいのはこれではないだろうか。
東日本大震災があった直後の登校日(※具体的な日付が書いているわけではないので私の推測)のみかんとしみちゃんの会話だ。

時代変化のスピードが速いだけではなく、自然災害でも大きく日常は変わっる危険性にはらまれている昨今。
本当に自分にとって必要なことは何気ないことかも・・と気づかせてくれる。
なんでも話すことのできるみかんとしみちゃんの関係性は自分が年を重ねるごとに素敵だとしみじみしてしまう。
あたしンちの登場人物で実際に会ってみたいのはダントツでしみちゃ
んだ。


19巻:No.3 上がったり下がったり

あたしンちの面白さのベースは、家では母対みかんの構図であっても、外に出たらタチバナ家の常識は世間からズレていることに気付くことだと思っている。
そんな中で、この話は母とみかんの親和性が個人的には最も高い話に見えるため、好きな1話に選んだ。
これまでも(紹介こそしていないけれど)母とみかんはやっぱり親子で似ているんだな〜と感じるエピソードはあったけれど、それはどこかで折れてお互いが認め合っているだけだった。
この話は認め合っているわけではないのにそれぞれに置かれた状況で正反対のようで同じことを考えているというのが芸術点高い。
さらに、メッセージも共感を生みやすいように感じる。


20巻:No.24 小さな夢を叶える回

父がいないときに父の苦手な食べ物のメロンを食べたユズヒコが、あまりのおいしさにメロンを少ないお小遣いから購入してひとりで食べる話。
起承転結全てこの一言でまとめることができるくらい、シンプルな回だ。

8巻の個人的ベストエピソード・生活水準回にも少し通じるが、私は今持っているものよりも足りない部分に目がいきがちだ。昔に比べれば使うことのできるお金は増えたのに、もっと余力のある生活をしている人を見るとマイナスな気分になってしまうことがよくある。
ないものねだりをして、「ある」ものへの配慮(?)が足りていないことを痛感した。
限りある資源で好きなものを買った時の尊さを忘れていたなあ・・・。
集めることに執着してしまったり、雑誌やSNS等で弱みにつけ込まれて(※私の感じ方の問題)「これ買わないといけない」と自分を変な方向に追い込んだり・・・。
この話が描かれた時代よりも物価高と手取り収入の上がるスピードに大きな差が出ているということを抜きにしても、お金の大切さや何かを買うときの初心について思い出させてくれるのでとても好きな話の1つ。

ネガティブなことを言うと、17巻以降は作者のメッセージを無理矢理キャラクターに言わせている・・?と感じる場面が増えてくる。
もちろんそれに心救われるものもあるけれど、純粋なあたしンちの面白さから少し外れてしまっている話が目立つ中で、こちらは作者のメッセージ性とあたしンち本来の面白さが良い形でミックスしているように感じた。


21巻:No.20 ドス黒感情の吐き出し、No.32 石田と須藤ちゃんの友情

21巻も選べないため2つ。
1個はみかんの部活の友達・理央が偉業を達成した時の話だ。グータラしている自分とは対象的に努力を重ねていた理央に対して、おめでとうと素直に喜べないみかん。
自分が昨日まで真面目に(?)作っていたものも降らないと感じてしまうくらい、現実で格の違いを見せつけられると落ち込むのは非常にわかる・・!
その後後輩の新田と話していたら新田も同じような感情を持っていたけれど・・・!?と言う流れでオチにつながる。

私がみかん側の人間(※みかんに失礼)なのでみかんの気持ちが痛いくらい理解できてしまう。
人との比較を気にせず、過去の自分を超えてベストを尽くしていこう!!と口では簡単に言えるけど、実際に行動は伴わないよねえ・・・。

もう1つはあたしンちには珍しいくらいの感動作。
口下手な石田が須藤ちゃんに感謝を伝える回だ。3巻の初登場から強烈なインパクトを残していた石田が素直になっている姿には心打たれる。
こんな友人が欲しかった・・・こんな青春時代を過ごしたかった・・と泣けてくる1話。

私の考える『あたしンち』の魅力3選

シンプルで読みやすい

最近の漫画は絵が綺麗で話も複雑で考察のしがいがある。作品としては非常にレベルが高くて魅力的に感じる。それに比べると絵も話もシンプル。もしかしたら陳腐に感じてしまうかもしれない(笑)

良い言い方をすれば、頭を使わず、全く気負わず読み進めることができるので感情を大きく揺さぶられることはないと言っても良いだろう。だからこそちょっとしたスキマ時間の癒し系ツールとして活用ができる。
私も休職期間中初期からだを動かすのが億劫になり気持ちもどうしようもないくらい塞ぎ込んでいた。
そんな時でも手を伸ばすことができたのは『あたしンち』の漫画とYouTubeだった。

大きな感情に揺さぶりはないけど、クスッと笑えてじんわり心を温かくしてくれる本作は偉大だ。


ファンタジー要素がない(どこまでも日常生活に寄り添っている)

寝ている時にみた夢の話・・はあるけれど、ほぼ100%誰の身にも起こりそうな親近感のある出来事ばかりだ。(※今の時代では考えられない・・・みたいな事案は多め)
なので設定を確認したり、考察を進める必要は全くない。

非現実的な話の方こそダイナミックな表現ができて、登場人物の立ち位置に共感してその世界に没入しやすく、感動も大きいのはよくわかる。
それに比べると本当にどれも現実の生き写しかのようなリアリティがありすぎる話題でゲンナリしてしまうかもしれない。しかし、自分の考えとは全く違う目線で物事を見ている作中の人物にハッとさせられたり、漫画内で共感できた時の嬉しさは何度味わっても良い気持ちになることができる。
これは『あたしンち』の強みだろう。

家族を含む人間関係の素晴らしさを実感できる

推しエピソードでも複数挙げたようにひとりで完結する話は少ない。
誰かとのやり取りから導かれる結論に笑いや小さな感動が詰まっている。
わかりやすい徹底した悪役がいないので、殺伐とした雰囲気にもならない。
登場人物全員と仲良くなりたいし、会ってみたい。

私自身の家族構成が父・母・自分・弟なので
立場の同じみかんに比較的共感しやすいのかもしれない。
ユズヒコに対する態度もみかんに近しいものが挙げたらキリがないくらい(苦笑)
なのでユズヒコ目線でみかんが批判されているのを見ると「こんなふうに見えていたのか・・」と恥ずかしさと驚きが多くある。


読み初めの頃はみかんユズヒコの子供側の目線で見ていたのが
いつからか母の気持ちもわかるようになってきて年齢を感じる。
中のキャラクターは年をとっていないのに、作品に触れ合う時期によって捉え方が変わるのは長く続く作品の特権だと思う。

あー!!!新作が本当に楽しみになってきた!!!
『あたしンち』と出会うことができて良かった!



この記事が参加している募集

私のイチオシ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?