マガジンのカバー画像

まいにち土鍋

246
「365日の土鍋コッチョリーノ」 蒸す、炊く、煮る、焼く...などの調理法と土鍋サイズを記すだけの質素な日記。レシピは別にしたためているので、いつの日か有効活用できればいいな。
運営しているクリエイター

2022年3月の記事一覧

花わさびのごはん ほんの少しの刺激で活きる風味 #まいにち土鍋

工房の片付けとともに、すきまの時間を見つけて制作もつづけているのだが、土はいつも想定外の刺激をくれる。これだけ長い日々つくりつづけてきたので、心から手に指令が行き渡ってしまうのだ。まいにちは、ほんの少しでいいから刺激が欲しい。欲ばってはいけないと思うし、特別なものでなくていい。 ごはんに和える花わさびのおひたし − ポイントはダブルの刺激 − 清流には白い小さな花がプチッと咲き始めた。花わさび(葉わさび)には、若々しい根っこ(わさび)がついている。すりおろして蕎麦をすすっ

空豆ミントのスープとタイムマシーン #まいにち土鍋

庭一面にカラスノエンドウがぐんぐん伸びて、こぼれ種で芽を出したミントやレモンバームがわさわさしてきた。このころ春の豆がおいしい季節になる。そろそろ恒例の空豆のスープをつくる季節だ。 どれをつくろうかな 過去のブログ記事「空豆とトマトのズッパ」(2018年)を読み返したり、そこから飛んでスープ作家の有賀薫さんとズッペリアに行った日のおいしいブログ記事「イタリア・ズッパ研究」(2018年)を読み返したり。 今回は空豆、ジャガイモ、そしてミントも入れてペースト状にして水分で伸

酢味噌にて野カンゾウのサラダと動物会議 #まいにち土鍋

野カンゾウのサラダ 昨日のスープには野カンゾウの茎をパラパラと。茎はシャキシャキした食感と噛むとにじむ甘さがおいしいので、加熱せずに熱いスープにふやけるくらいがちょうどいい。 さて、茎より上の葉の部分。 こちらはよく洗ってザワっと土鍋に盛りつけただけ。山菜特有の苦味がないので生食で、酢味噌をつくって和えるだけ。「料理してがんばったぞ」というまいにちより、もっともっと野生味を記憶する人間になりたいと思っている。せっかく生きるこの地の生命力を感じたい。 言葉だけでは変わら

ジャガイモの雪どけスープと野カンゾウのトッピング #まいにち土鍋

野カンゾウ。雪どけの里山に現れた山菜。夏になると山野や小川沿いにオレンジ色の花が咲く。とある道の駅で雪どけ後に現れた新芽を分けて売ってくださっていたので、今年の春はなにをつくろうと、腕をめくった。 山菜の中では珍しく灰汁がない種なので、生でいただくことに。ただ野草や山菜は軽んじてはいけない。きれいな葉なので心配無用だろうが、蛭がいないか注意してねと昔どこかで聞いた記憶が耳に残っているので、付け根の白い茎を切って、重なる葉部分をよく洗い流す。その白い茎は特に甘くて美味しいので

早い朝の玄米炊飯とおかかのおむすび #まいにち土鍋

朝ごはん用のおむすびと、夜帰ってきたらチャーハンにするために玄米3合。寝る前にお米を洗ってボウルに水を張って浸水する。玄米はしっかり浸水することだけがコツ。 水切りした米を土鍋に入れ750ccの水、塩をひとつまみ。中火〜強火で沸騰5分くらいさせたら、極弱火にして43分(玄米時間)。最後3分ほど強火にして鍋底に溜まった湿気を蒸発させる。10分蓋を閉めたまま蒸らす。その後ふんわりかき立てて完成。 本日の炊飯は家人。土鍋炊飯は、アウトドアでの飯盒炊爨みたいな感じなので、大人も子

レモンパスタと草臥 #まいにち土鍋

「夏がなつかしいわよね」と、こぼれ落ちそうなほどのレモンをエプロンで抱えてたあのイタリアの冬。窓は冬と春のあいだの光だった。このレシピ、誰が教えてくれたんだったけな。20年以上も前だと思う。あの時も、レモンをぎゅぅっと絞ることに集中してた。夏を思い出して、泣きそうなくらい切なくなったことは覚えている。 レモンクリームパスタ パスタを茹でながらレモンソースの準備! ああ草臥れた。直感的に簡単でもいいから自分でつくったもの食べなきゃなと思うことがある。倉庫の引っ越し。クルマ

おにぎり土鍋イン!ミニ土鍋をつくった本当の理由 #まいにち土鍋

コッチョリーノのミニ土鍋は約1合炊ける。 中くらいのおむすびが2つくらい入るし、三角おむすびが尖っていても蓋が閉まる。朝むすんで蓋を閉めておけば、ラップ要らずでお昼においしく食べられる。土が呼吸しているので蒸れたりもしないのだ。お試しあれ。 ⁂ さて、約15年ほど前、なぜこのサイズをつくろうと思ったか。 ママレンジをご存知だろうか。 子どものころ憧れたオモチャ。おもちゃのレンジ台(電熱コイル)と、ミニサイズのフライパンのセット。そのアリスインワンダーランド的な小さな世界

焼きカレーの誘惑 #まいにち土鍋

翌日にも残したい料理第一位は、カレーかな。 味の染みたおでん、冷めると煮こごるブリの煮物、甘辛煮に変身させる唐揚げなどまいにちの美味にはたくさんあるものの、翌日のカレーは誘惑が激しい。 直火にかけられるコッチョリーノのグラタン皿にカレーを入れて焼くように温める。ほどよく水分が飛んでさらにコクが出る。炊いた玄米をよそってそのままもう少し。ご飯からパチパチという音がしたら、焦げますよの合図。ご飯を一回スプーンでかきたててもう一回パチパチ。食べるときは、やけどしそうなくらい熱々な

雪とセイロとおむすびと #まいにち土鍋

ミニミニ土鍋コッチョリーノに合う小さなセイロに入るおむすびを冷凍しておく。土鍋に水を入れ沸騰させる。あっという間に沸騰するので、ひとくちだけごはんが欲しい時に便利。セイロ下のお湯は洗い物に使えばいい。 壊れて以来、我が家には電子レンジがない。炊飯器も使っていない。(陶芸窯で電力消費するので節電の意にはならない) もう2年くらい経つが不便はない。それらは時間と楽をいただくタイムバンクのようなもので、真の時間とは、長さではないし、借りられるものでもない。満ちる時間をまいにち懸

ヨーグルトとロールケーキのパフェ #まいにち土鍋

ああどうしてもロールケーキが食べたい。 子どものころから醤油の手焼き煎餅か缶に入った柿の種が好きで、ケーキを欲すことが少なくケーキに疎いオトナになってしまった。 数年前、銀座で子とアート鑑賞した後、ちょっとお茶する?と言いかけたものの、ああこの子はもうオトナの階段のぼってるから本音でいいわよねと思って「ねえ、ケーキセットよりおでんやさんで一杯のんで帰ろ」と言った。わたしはそんな不完全な言動をとる母だ。 もちろんおでん種前のカウンター席を希望した。大根、はんぺん、こんにゃ

春のおこぼれとシーフードマリネ炒飯 #まいにち土鍋

信濃屋のシーフードマリネがおいしい。 少しだけ残して翌日どうすると思う? ①シーフードをみじん切りにしておく。 ②みじん切りタマネギを炒める。 ③溶いたタマゴにマリネの汁を混ぜる。 土鍋に油を敷き②を炒め、③を流し込みチャチャチャと炒めたら冷やごはんを加えカラッとするまで炒め、最後に①を入れて塩胡椒で味を整える。シーフードの出汁がきいた炒飯のできあがり。 まいにちには、恩恵として享受する豊かになれるおこぼれがある。 のりこぼし 子どものころから今も初詣に赴くお不動さ

春はあけぼのむすび #まいにち土鍋

「好きなおむすびの具は?」から始めるディスカッションが好きだ。緊張をほぐすために行う手法にまんまと乗ってお腹を空かせるような性格だ。 桜を見ながら、海の風を仰ぎながら、山の上で青い空を浴びながら、遠足のビニールシートの上に座りながら食べるおにぎりは妙味だ。 とにかくぼんやりする瞬間がまいにちあるといい。 春はあけぼの、いや春はおにぎりなのだ。 昨日は、次の道についてお知らせしたら、SNS各所からたくさんの激励をいただいた。激励じゃないな、もっと嬉しいニュアンスなのにうま

紅白うさぎと卒業と休業とそして展覧会 #まいにち土鍋

コッチョリーノブログで陶芸活動の休止を告知した。陶芸活動を一時的に休止し、窯の新調を機に大がかりな試みを決意したのだ。 学生時代からミラノ弟子時代を経て36年が過ぎ去り、東京に独立工房を持ってから22年。苦行はたくさんあったけれど、最終的には、仕事と暮らしが両立した賑やかな「道」がうしろにずっと見える。 同日、奇しくも我が子が同じ美大を卒業した。卒業にあたっては「道」をつくることは楽しいということを伝えたい。そして「道草」を贈ろうと思う。 休止前の区切りとして、長く続け

紫色を美しく残すには?紅菜苔のチャーハン #まいにち土鍋

紅菜苔とは、茎が紫色の菜の花。加熱すると水溶性であるアントシアニンが溶け出し紫色から緑色に、あるいはチャーハンの米が黒っぽく染まってしまう。そこで下ごしらえを。 鍋に7分目の水を入れ沸騰させたら大さじ3くらいの酢を入れて湯がく。茎は1〜2分、花は30秒くらい。アントシアニンの流出を半分くらい止められて紫色が残る。味噌漬けニンニクと米を炒め、塩で味つけし、最後に下ごしらえした紅菜苔をさっと炒め和える。 昨日もせっせと荷物を大型倉庫に運んだのだが、今回は自家用車カングーでなく