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ちょっとブレイク「未来を想う青春まるごと蕪スープ」

一品あればいいよ、一汁でいいよ、シンプルでいいよ、ふりかけでいいよ、つくるよ。手どころか目が離せない在宅工房で仕事しているので、食べに行こうよよりうれしい言葉なのだ。みんな忙しいとわかっているからこそ、感謝でいっぱいだ。

くわえて、どろんと旅に出るので、まるごと家からいなくなる母さんだが、そうだ母さんと呼ばれたことはない。家族はみな名前で呼びあっている。幼児期に「ぼくのことを◯◯くんと呼ぶからあなたもタマくん」と、なるほどと思うことを言われた。それからわたしも、はと気づき彼を「◯◯」と名前で呼び、彼もわたしの名前をシンプルに呼ぶようになった。

1歳の誕生日も2歳も、たぶん3歳も展覧会でいなかった。旅に出てしまいまるごといないから、彼らは当たり前に家のことをする。むしろタマよりうまいと思っている。幼小中高すべて給食がなかったので毎日もってゆくお弁当も、朝食もなんとなくつくれる人がつくった。徹夜明けな人につくられるより健全であろう。大学生になったら自立も当然、あげ膳すえ膳はわが家ではご法度。

昨晩、髪をふりみだすわたしにもうすぐ20の青春がつくってくれた蕪のスープ。青春まるごとしみ込んだスープだ。幼小のころから農業と調理、そして食べるということを関連づけた学びを与えてくれた学校に感謝したい。弟子は師の、子は親の料理のちょっとしたところを、まねる。

だれがどうして、これ以上のスープをつくれるというのか。多めにつくってくれたスープをあたためる朝に彼らの未来を想う。

写真の土鍋も出ます!
展示即売なのでご了承ください。

我妻珠美 ・五十嵐貴子 うつわ展
「食を楽しむ」
2019.05.22(水)-28(火)
新宿高島屋 10F 暮らしの工芸



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