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「白菜ウィーク」前編(ちょっと大きめなうつわで白菜)


1. ちょっと大きめなうつわのススメ

白菜がとてもおいしい季節。おまけに格安。勝手に「白菜エヴリディ」と名づけて白菜をむさぼり楽しむことにした。スイカ割り気分で大きな白菜をざぐぐと割るのは爽快だ。たまには豪快につくって豪快に盛るのもいい。

ひとつの食材でさまざまなメニューをつくり、自作のうつわ(今回は大きめなうつわ)に盛って、課題を見つめる実験をこっそりするのが好き。

結果はいつもこう。うつわは「広場」どんなものに盛ったって失敗なんてない。広場では歌っても踊ってもいい。ひとり哀しみ空を見上げてもいい、読書に夢中になってもいい。そこに失敗なんてない。公共というルールだけ守りさえすれば。

写真: 白菜と春菊の手羽先スープ柚子たっぷり添え(月曜日/浅土鍋)

ひとりでもふたりでも、10人でも、ちょっと大きなうつわに食べ物が盛られるしあわせ感はこの上ない。ここでは、割烹やヌーベルキュイジーヌ的な余白の美を求めているわけではなく、気持ちの上での余裕の美。

ひとつは、日常使いとして、肩の力をぬくために、どんな結果になったって、包容力ある大きなうつわにたまには盛ろうよというススメ。(個人のとりわけ皿など小さなうつわのススメは別途)

もうひとつは、大皿や大鉢に盛ることで、日常の料理でもパーティ料理になりうるというススメ

写真:白菜とホタルイカのパスタ(木曜日/大鉢)


2. 柔軟な心をはぐくむ道具であれば

個展では毎日大勢のお客さまに直に会って、うつわや食についてたくさん話す。「このうつわには何を入れたらよいでしょう」と問われることも多いし、逆に「こんなものを乗せたいです」と夢を語るかたもいらっしゃる。まことに楽しい時間。レシピに食材の分量(何人分)は書いてあっても、どんなボリュームで仕上がるのか三次元で想像ができなかったりするとも聞く。子どもの心を失うなかれ。ひとまわり大きなバケツを持ってたら、とにかくうれしかったあの気持ち。「わー!いっぱい!」「あれ、これしかない?」ひとまわり大きなうつわを持っていれば、どうなったっていい。

つくり手とつかい手との境目はない。量産プロダクトでない作家のうつわのたのしみは、こんなところにもある。みんなで考えて、あれやこれやおいしい話題づくりになるうつわであれば。

うつわに対してもっと自由になろう。無難なうつわを選ぼうとしないで欲しい。型にはめず、柔軟な心をはぐくむ道具であればと願っている。

3. 白菜エヴリディ(器づくり人としての備忘録)

ヘッダー写真の「白菜ロースト生ハムはさみポーチドエッグのせ(日曜日/大皿)」は、たいへんおいしくペロリと白菜を大量消費でき、人が集まるときにもケーキのような注目度。白菜に生ハムをはさみフライパンで焼き目をつけた白菜にオリジナルドレッシングとパルミジャーノチーズをすりおろし、ポーチドエッグをのせたもの。ぜひ白菜がお安い時期に。

【1st week】

月: 白菜の手羽先スープ柚子添え(深土鍋)
火: 白菜のあんこう鍋(浅土鍋)
火: 白菜柚子サラダ(大皿)
水: 八宝菜(大皿)
木: 八宝菜湯麺ラーメン(大鉢)
木: 白菜とホタルイカのパスタ(大鉢)
金: 白菜と豚肉ミルフィーユ(浅土鍋)
土: 白菜春菊塩こんぶサラダ(中鉢)
日: 白菜ローストポーチドエッグのせ(大皿)

【2nd week】

月: 白菜とベーコンオイスター炒め(大皿)
火: カップ焼きそばに白菜の炒め物(中皿)
水: 白菜のレモンポタージュ(深土鍋)
木: 白菜と豆腐の鍋(浅土鍋)
金: 白菜のおみそ汁(深土鍋)

(後編につづく)

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