「旅する土鍋 リトアニア①」世界でおなじように手を動かしている喜びを分かち合いたいだけなのかもしれない

イタリアを大土鍋とまわる自己のプロジェクトは、ときに研究の旅にも出る。これまでに、どれだけの陶芸家と握手をかわしてきただろう。

その国の新聞にひとつひとつ包まれた器と真っ黒になった手。梱包をといて器をひとつずつ台に並べてゆく疲れた笑顔。かたい粘土をさわる無骨な指。乾いた唇としゃがれる声。流通でない言葉のネックレス。

40代以上の職人とはなかなか英語が通じない。けれど単語によって伊語(ラテン系)に似ていたり、もちろん英語(ゲルマン系)にもちろん通ずるので、粘土や焼成温度については、なんとなく通じ合える。

知りたいことがあるわけではない。世界でおなじように手を動かしている喜びを分かち合いたいだけなのかもしれない。

その手が共通と知るとき、孤独から解き放され、己につばさが生えているのか背中をさする。

帰国して数時間たった朝。買ってきた職人の魂のカケラを並べながら温めたバナナミルクスープをからだに流す。ユダヤ人街で売っていた天使ダミエルの白くて大きな翼を買ってくればよかったかなと思いだしている。

#旅する土鍋 #食 #リトアニア

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tamamiazuma

書く陶芸家。7年のイタリア修行を経て帰国後アトリエCocciorino設立。2013年ライターわらじ職ぬいで陶芸一本、土鍋を持ちあるきイタリア周遊「旅する土鍋」プロジェクト同時期よりスタート。WEB: tamamiazuma.com

旅 中東欧

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コメント2件

ダミエルのつばさ!!!
ベルリンから落として行ったのかもしれません。
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