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土鍋で秋を炊く② サンマごはんに耳をすませば「3つの土鍋ごちそうサウンド」


耳をすませば「ごちそうさまサウンド1」

土鍋の蓋をあけるとき、ゴロゴロンと蓋と本体がすりあう土の音が好き。あの音は、金属の調理器具にはない、ひとつめの『土鍋のごちそうサウンド』

旅する土鍋は、深く根っこをおろし、目をつむり深く息を吸い、土着を楽しみ、考える。

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土鍋で炊く秋刀魚ごはん

秋刀魚が食卓にあがったら手を合わせるように喜び、頭から尾まで食べ、きれいに削がれた背骨だけが皿に残る。焼いた秋刀魚にかぼすを絞るだけで充分なのだが、人数分の秋刀魚がないときに、土鍋で秋刀魚ごはんをつくる。

通常は玄米食だが、魚の香りを引き立たせるために白米にする。苦みある秋刀魚の内臓と骨から出る旨味こそが好物なので、秋刀魚は丸ごと。分量の水にペロンと昆布と生姜を入れるほかは、出汁に味をつけず、代わりに秋刀魚に塩をすりこみ30分ほど置き、焼いて焦げ目をつけてから炊き込む。

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耳をすませば「ごちそうさまサウンド2」

土鍋に耳を近づけると、ふたつめの『土鍋ごちそうサウンド』が聴こえはじめる。ふつふつという米が炊ける音。

最後に3分ほど強火にすると、みっつめの『土鍋ごちそうサウンド』が土鍋底からぱちぱちと小さな音を立てはじめる。サッと火を消す。土鍋の余熱でおこげができるのだ。10~15分ほど蓋をして蒸らせば、ふっくら完成。

とんでもぜいたくな秋がやってきた。

*追記* 秋刀魚ごはんには山椒がぴったり。

写真:3合土鍋  


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