_FH000015_-_コピー

ワカンタンカからの贈り物

小さなガラス瓶や小箱を集めるのが好きでした。リミットがあるのに何を入れるか考えて何時間も眺めるのが好きでした。

箱から野太い声がして毛布にくるまった男が出てきて言いました。「むやみやたらにあけるな、光が入ってきて眠れないじゃないか」と。ああ、ふたは眠らせるためにあるのねと思いしずかにふたをしめましたが、数日経った朝バサバサと箱をあけようとする音と「ワカンタンカ ワカンタンカ…」とくりかえす声が聴こえてきました。

あの男の声だとすぐにわかりました。「ワカッタカ アケンカイ」と言ってるのかしらという勝手な解釈と、晴れた明るい朝だし起こしてもよろしいだろうと、しずかにふたをあけました。

そこに毛布の男はいませんでした。そのかわり美しい羽と稲妻色にひかるガラスビーズがこぼれんばかりに入っていました。

ビーズをつまもうとすると、爪にもひっかからないほど小さくてパラパラ床に落ちてしまい慌てふためいていると、「富を貯め込むことはおやめなさい」という声が聴こえました。あの毛布の男の声です。「富なんかないのよ」と散らばるビーズを泣きながらあわてて拾っていると、「人はありあまる富にこそ“すべてを失った”とウソをつくイキモノだ」と深い息を男ははきました。

男はつづけて「星までなにも存在しない空間こそ豊かであるぅぅ…」と眠りそうな声で言いながら、最後に「ワカンタンカ」と言い残し…あら、どこ?と空を探すと、大きな鷲が大地と月の間に飛んでいくのが見えました。

写真:友人からの贈り物

あまりにも素敵な贈り物をいただいたので「ワカンタンカの贈り物」というショートストーリーを書き下ろし公開しました。

「ワカン・タンカ」とは大いなる神秘であり、偶像崇拝でもなくひとつの力だと読み聞きました。そして「ワカン・タンカ」はこの世のありとあらゆるものに宿っていると。数年前にママ友(ラコタ族の妻であった)がある宴で「すべてを共有できたことに感謝」というような意味でスー族の歌をうたってくれたのを思い出しました。このストーリーの声のモデルです。もちろんアカペラで、手のひらで膝やテーブルを太鼓のように叩き太くうねりある声でした。そして父からのメメントモリ。


(作家からのメッセージより)

今回贈った鷹の羽はオオノスリという種類でRed Tail Hawk と近似種です。 Red Tail Hawk はインディアンが大切に崇めてるワシと同等に崇拝されてる鷹です。 そもそもそんな彼等の羽根は贈られるものであって、必要な者に必要なタイミングでその人の元に来るものだと思っています。 自分の踏襲してるビーズワークはsioux族(Lakota)や他のplains indianですが、この間のライトニングも豊かさであると説明した通り。そして周りの赤の細工。赤は生命力であったり聖なる色であったりするのですが、被せたイメージで釜の火の色も併せたかったのです。(ホントは高温だから白色に近い黄色とかオレンジなんだろうけどw) 色々な伝統的な意味合いも重要ではあると思いますが、それプラス、ギフトする人への思いやりや相手に対する気持ち。 それが重要ではないかと思います。 それはインディアンのみならず日本人も全ての世界の人々が心の真ん中に持つべきものだと思います。 ちょいと無駄に壮大になりましたが(笑)そんなメモ紙位な気持ちを自分なりに羽根と共に添えました。 そんなトコです。

すてきな贈り物をありがとう
Coccioroino コッチョリーノ地球のかけらより

文中写真:「たからもの 展」(陶箱)より 全てCocciorino作

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?