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ちょっとブレイク「春のうつわ」レシピをよむ

うつわに物語があるのだから

料理の物語も読みたいと思うようになったのはいつごろからだろう。

料理は好きだし、一人暮らしや海外生活の経験からか、食材や道具は代用品を考えるクセもついた。つくるのに困ることもなかったので、レシピをわざわざ見ながらつくったり、料理教室に行ったこともなかった。それが一転したのはいつごろかな。

伝えたい想いがあるのだから

料理教室もレシピ本も、物語を読み解きたい。上手につくる方法でなく、その人が伝えたいことを。それがわかればまたつくりたくなる。一過性なブームに終わらない。

料理家である友人さわこと彼女の母である堀江ひろ子さんは、青空のように心広くポジティブで自由思考であるが、料理教室では「最初はレシピ通りにつくってみて!」「めんどうでも最初はきっちり計量してみて!」と情願こめた顔をする。そして「だって一番おいしい味を一番簡単に伝えたいんだもの~!」とお茶目にあははと笑う。「おいしい味がわかればアレンジしてもいいよ」と、やっぱり笑顔で。一番おいしい家庭の味を、最もシンプルに伝えたいという彼女らの伝承物語は、深い海のように豊かな心にさせてくれる。

そして彼女らは小さな声で「わたしたちの舞台裏にはコーセーさん(レシピ本を公正するために料理をつくる人)やヨーセーさん(番組の料理を妖精のように手伝ってくれる人)がいるのよ」と教えてくれた。

翻訳家である松岡和子さんの記事(一部有料)や、なかしましおさんのツイートを目にして、そんなことを思い出した。

日常を飾りたいのだから

現在は、イタリアの知人が書いた野草と料理の本、ポーランドで買ったレシピの物語をゆっくり読み解いている。ここにも、共有伝播すべき物語がつまっている。

世界にあふれる日常の料理。絵画や映画のような料理を、額縁であるような「うつわ」で飾りたい。

写真の料理:堀江家のある日の晩ごはん(試作品)とコッチョリーノうつわ

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