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旅する土鍋 リトアニア⑧ 「ウジュピュス共和国の憲法と作家」

昨日の建国記念日、ふと先日訪れたリトアニアのウジュピュス共和国のことを思い出したので記録に残しておこう。

ウジュピュス共和国

1997年4月1日(エイプリルフール)、リトアニアからの独立を宣言した国(国連否認可)であり、独自の憲法・大統領・国旗を持っているという非常にユーモアあるエリア。

あくまでもリトアニアとは仲良く暮らしながらの極小独立国家(そういう冗談国家)。ある晴れた日、パスポートなしで旧市街から川を渡ってウジュピュス(川むこうという意味)を訪ねた。

20数ヶ国の言語で書かれた憲法が掲げてある。昨年2018年ついに日本語版も追加された。掲げられてまだ新しいそれはピカピカ。そこで写真を撮っている日本人には一人も出会わなかったが、それぞれの国の言葉で書かれた憲法を前に、喜んで記念写真を撮る人々をみて、ひとときの平和をみる。

イヌネコが尊重されていたり、小さくて大きな幸せが書いてある。「21.誰にも人間の小ささと大きさを分かる権利がある」とか「39. 勝つな」「40.やり返すな」も好きだな。

作家と対話する国

15世紀ごろ労働者や職人たちが住み始めた場所だったそうで。現在はアーティストがたくさん住んでいるエリアとなっている。

陶芸工房を訪ねたり、オーガニックオイル作家と話したり、小さなアート展を見て回ったり。高らかに笑う陶芸作家からは、集めている鳥笛を買った。明るくふるまってくれているけれど、この作家さん人見知りだとわかる。自分がそうだからこそわかる。制作したらパッケージつくってディスプレイして、お客さんと対面して説明して。作家という仕事は、不得意でもやらなければならないことがたくさんある。

作家と話をして作品を買うことは「モノを得る」だけでない喜びがあるのだ。

オイル作家さんは「日本に私のオイルが旅するのね!」と喜んでくれ、ハグしあった。純粋さが残る観光地が少なくなったいま、熱いものが湧き上がる共和国であった。

さて、会期が迫った新宿高島屋での展示即売会では、休憩以外は基本的に作品に寄り添って、人見知りでも笑って立っていると思うので、ぜひ対話して作品をご覧いただける機会になれば。


2人展のおしらせ

我妻珠美 ・五十嵐貴子 うつわ展
「食を楽しむ」
2019.05.22(水)-28(火)
新宿高島屋 10F 暮らしの工芸

我妻珠美:休憩以外は基本的に毎日在店


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