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とりもどせるものならば

ひさしぶりに焦げた。
やっぱり、さんまの親なのか。

こちら「さんまのようにおよぐな」

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われた土鍋

代休なんだかでだらだらしてたさんまの青春が、明日撮影予定だった新作土鍋をわった。わたしは焦げながら、おとな泣きした。


「焼きそば屋も失敗するはずだ」なんて言ってしまった。失敗を失敗で攻撃するのは、さんまの親としていけないとおもうが、仕方のないことだと思えなかった。


撮影は延期だ。
ギャラリーに謝り「なんとかしましょう」と言っていただくが、焦げた煙臭は消えないまま、まよなかも工房で取り戻している。

写真「こころの目でみること」おめんちゃん


ケルトの暦

「渋谷ハロウィンいかがですかー?」というラジオの叫びで、そうかハロウィンかぁと、2年前、文字起こししたケルト研究家 鶴岡真弓氏のトークを思い出す。

ハロウィン夜中0時〜3時くらいまで生死の交流が渦巻き 11/1「正月」を迎える。時間は直線的に万遍なく流れているのではなく「反転する」というのがケルトの思想。生命も時間も再生し、秩序を取り戻したケルトの新年「冬のついたち」11月1日から1年が始まる。

映画「Soul Odyssey – ユーラシアを探して」
2016年 2017年 日本プレミアム上映
渡辺真也監督、鶴岡真弓氏トークショーより


ケルトの暦によれば、供養された生と死という混沌のエネルギーによって、それまでの古い時間が「反転」し、新しいものに「再生」するという。あの、われた土鍋には期待が大きかったので命が宿っていたのだろうか。


ハロウィンの「ウィン」は「イヴ」。この時間、供養された生と死が交流しているというのだから、まさにあの土鍋は死であり生に反転するものなのかもしれない。そんななぐさめ物語をめぐらせながら、秩序を取り戻すというケルトの新年を、今年こそ強く信じよう。

きょうから「冬のついたち」がはじまる。



あとがきコッチョリーノ

▶︎今月20になる今まで作品を割ったことがない青春はとっても優秀だと思うし、家人もわったことがないので優秀家族。逆に陶芸家と同居するのは、なんとも気の毒だと思います。▶︎よちよち歩きのころコッチョリーノ茶碗を庭で持たせわざと割らせました。こういう仕事をしていると教えたかったからです。あの顔と昨日の青春の顔はまったく同じでしたが、親から離れる日も近いいまこの顔が見られるのは最後かなと思いました。▶︎ 自宅の下に狭小工房があるため、つい生活空間に大事な作品を置いてしまうわたしがすべて悪いわけです。失った作品の痛手は残りますが、ハロウィン明けの「再生」で大切なものを見つけるのかもしれません。▶︎割れた新作は、内側に織部釉薬を施した土鍋でした。どうにかとりもどして個展に発表できればいいなと思っています。


「我妻珠美 個展」
12月14日〜21日
横浜元町 クロコアートファクトリー



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