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要町交差点

東京は空が狭い。狭いというか、窮屈に感じる。ビルヂングが多いからなんだろうけど、一番の理由は“下界”の慌ただしさ。空を見上げることも忘れて、足元ばかり見てしまっているのではないだろうか?

東京メトロ有楽町線、要町駅。
改札を出て、階段を登ると見えてくるのが要町交差点だ。
山手通りと首都高速中央環状新宿線を繋ぐ、大きな十字路。
交通量も多いせいか、どこかせわしない。
だけど、要町交差点に来ると、なぜか気持ちが落ち着いてしまう。

池袋駅西口から真っ直ぐ進み、祥雲寺を越えて、要町交差点へ。
輸入食料店でパスタを買い込んで、ブックオフに寄って……
信号待ちの間、そんなことを考えながら、ゆっくりと視線を上に向ける。

ここだけ空が広いのだ。パノラマ写真のような、引き伸ばした空。
夕暮れ時が一番いい。空の色が融け合いつつ、足元には都会の日常が目まぐるしく動いていく。

幻想的。でも、どこか懐かしくて、人間の文明臭い。

信号の色が青に変わった。
ペダルを漕ぎつつ、「もうちょっと見ていたいな」と毎回思ってしまうのである。

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