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べっどるーむ・まんどりん <今ひとつマイナーな楽器への考察と対策#3>

どんな音楽を演奏できるか? (後編)

後編はエレクトリック・マンドリンを中心にまとめてみます。
実は「エレクトリック・マンドリン」、なかなかにくせ者だったりします。マンドリンは通常2弦まとめて1コースとし、4コース8弦というのが一般的ですが、エレクトリック・マンドリン(特にソリッドボディ)については単弦のモデル(つまり4弦)が存在します。さらにそのまま低音弦を1本増やして5弦というのも珍しくありません。こうなると「5弦ミニギター」とか「ミニテナーギター」的な楽器となります。さらにウクレレにもスチール弦でソリッドボディの「エレクトリック・ウクレレ」なるものも存在しており、こうなるとチューニングの違いぐらいで、自ら「私はマンドリンです」と言わなければ同じ楽器ということになります(笑
さておき、後編の音楽をご紹介します。

Jason Anick:
アコースティック編でも紹介しましたが、こちらではソリッドのテレキャスシェイプのマンドリンを演奏しています。曲も Ornette Coleman の<Turnaround>。アドリブフレーズもかなりモダンなフレーズに変わっています。ギタリストもいますが、似ているようでも音色の違いがはっきりわかりって面白いです。この他フルアコタイプの5弦モデルを演奏している動画もあります。

Joe Brent:
アンビエントで自分的にかなり好きなサウンド。5弦エレクトリックですが、ファンフレット(でしたか?)とはなかなかに変態な仕様(笑 この方アコースティックも変わったモデルなんでそちらもアップしてみました。ボディは小さいが厚みがあって、スロテッドヘッド・・・独特の音です。どちらもどこでカスタムするんでしょう?
バッハなども演奏していて出自はクラシックかと思うのですが、<So What>などを演奏している動画では、バイオリン、ギター、ピアノとなかなかのマルチプレイヤーぶりを公開しています。

Alex Heflin:
また2本です。自分がマンドリンを研究するようになった最初の頃に遭遇して、ずっと聴いているミュージシャン。フルアコ風の4弦マンドリンが良いですね。でもって<Turnaround>(笑 この界隈はオーネット好きな人多いのでしょうか?自分も大好きですけどね。
決して超絶技巧とかではないのですが、音の組み立て方がセンスいいなあと思います。やっぱりというかマルチ・プレイヤーなので多重録音で音源をリリースしていますがこれがなんとも不思議な感じでいいんですよ。2本目の動画はそのうちの1曲です。

U. Shrinivas U Rajesh:
やはりインド方面は外せません(笑
このお二人はご兄弟で、U. Shrinivas 氏の方がお兄さん(残念ながら若くしてお亡くなりになられました)。お兄さんの方は、John McLaughlinの Remember Shakti の日本公演でライブ演奏を聴く機会があったのですが、マクラフリンとのユニゾン大会に唖然とし、感激のあまり握手してもらったのを覚えています。当時はマクラフリン目当てで行ったのですが、今マンドリンを演奏するようになったのも何かの因縁かも(笑
インド方面へ行くと、何の楽器でもやたらテクニカルになる印象がありますが、マンドリンも。独特のスライドと速弾きはなんとも言えない快感があります。ちなみに自分も同じモデルのマンドリンを所有していますが、これがなかなかに変態な仕様。それについてはまた別項で。

Kevin Breit:
記憶違いでなければ、Cassandra Wilson のアルバムにクレジットされているのを見て知ったかと思います。カサンドラのアルバムでは、特に目立ってもいなかったのですが、こうやって動画を見るとなかなか面白い事をやってますね。ギターも演奏し、どちらかというとギタリストとしての側面が大きいように感じました。ちなみに共演のパーカッショニストは、Derek Bailey とデュオでアルバムを作った人だったかな?

John Abercrombie:
John Abercrombie も基本はギタリストですが、一時期はよく演奏していました。ECMでのリーダー作や、動画の Ralph Towner とのデュオ作でも演奏していました。ECMレーベルは好きなミュージシャンが多くてよく聴いていたのですが、今から30年ぐらい前の話で(笑 当時はギターだと思って聴いていましたね・・・後追いで「そう言えば」と。特にスタジオ録音のものはミックスの具合などもあって、解って聴いてもイメージしているマンドリンの音ではないです。ただなんとも耽美的というか、魅力的な音であることは間違い無いです。
動画は長いのですが、マンドリンは前半部分のみ登場します。

Eva Scow:
アコースティック、エレクトリックのどちらもプレイし、バンドではフュージョン、ソロやセッションではスタンダートやブラジリアンミュージックまでと多彩。テクニックも確かだし、とにかくバランスの良いミュージシャンだと思います。やっぱりというかこの人もマルチプレイヤーです。
彼女が使用しているGODINのマンドリンは、自分も同じモデルを所有しています。随分と弾いていなかったのですが、この人演奏を聴いて楽器としての良さを再認識。現役復帰させました(笑

エレクトリック・マンドリンは趣味でプレイしている人が「たまたまアップした」みたいな動画もあって、そこに案外面白いものがあったりして楽しいのです。


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