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べっどるーむ・まんどりん <今ひとつマイナーな楽器への考察と対策#2>

どんな音楽を演奏できるか?(前編)

最初に自分がマンドリンに取り組むにあたって、どんな音楽に使われて(演奏されて)いるのか?という事でYoutubeで片っ端から聴いてみました。結果、あるにはあるのですがジャンルというか音楽スタイルはだいぶ限定されているな・・・と言った印象でした。まあ「そんなもんだ」と言ってしまえばそれまでですが、何か勿体ない気がして(笑
しつこく探して遭遇した、個人的に好きなミュージシャン(有名・無名、ジャンルもバラバラ)をまとめてみます。
まずは前編<アコースティック編>から。

Julien Martineau:
残念ながらボウルバックタイプのマンドリンを演奏するミュージシャンで、自分が好きな音色で演奏するミュージシャンにはほとんど出会えなかったのですが、この人の音色はすぐに好きになりました。シングルトーンもトレモロの音色も素晴らしい。スタンディング、ストラップも無しで、フォームがこんなに安定しているのは凄い。もしかしたら楽器やピック、弦などのチョイスも一般的な奏者と違っているかも知れません。

Avi Avital:
クラシックの他、動画のようなエスニック風味な音楽も。イスラエル出身とのことで、使用楽器もフラットタイプの独特なデザイン。同じフラットタイプでもカントリーやブルーグラスのそれとはまた違って、ちょっと枯れたというか「民族楽器」っぽいニュアンスもあって面白い。ピックやピッキングも一般的なクラッシックのそれとは違っているように見えます。パーカッションやウッドベース、ピアノという組み合わせもマンドリンと合っていると思います。

Chris Thile:
フラットマンドリンの王道的な演奏でしょうか?
テクニックも凄いですが、他にもバッハやウッドベースとのデュオ、バンド編成と演奏の幅も広いです。
しかし、センターにマイク1本。プレイヤーの立ち位置と楽器演奏のダイナミズムのみで、このバランスで聴かせてしまうとは・・・恐るべし。

Olga Egorova:
この人も色々な楽曲を演奏されるようですが、その中で、何か不思議な曲だったので選んでみました。ネイティブな楽曲なのかオリジナルなのかよくわかりませんが、こういうアプローチはとても興味を惹かれます。「なんでも演奏」ではなく「何を演奏」するかが楽器演奏の可能性を広げるのだと思います。

Jason Anick:
所謂ジプシー・ジャズというのか、マンドリンはこういうスタイルに合っているようで、ジャンゴ・ラインハルトのレパートリーを演奏している人は結構います。マカフェリタイプのギターはサスティンが短く、歯切れの良い音色なので、傾向が似ているマンドリンはジプシー・ジャズと相性がいいようです。またこの人はバイオリニストでもあり、エレクトリック・マンドリンのプレイヤーでもあります。エレクトリック・マンドリンでのプレイはもっと現代的なジャズ。バイオリンはチューニングが同じなので、バイオリンとマンドリンを演奏するプレイヤーも少なくないのでしょう。

Aaron Weinstein:
ジャズ・マンドリン。初期の動画ではfスタイルのマンドリンを演奏していましたが、途中からこのフルアコのギターに似たシングル・カッタウェイのマンドリンに変わりました。前述の Jason Anick と並んでマンドリンで、きちんとしたジャズの演奏ができる数少ないプレイヤーの一人。この人もバイオリニストでもあります。

Hamilton de Holanda:
最後は Hamilton de Holanda です。厳密に言えばこれは「バンドリン」という楽器。しかも5コース10弦という仕様なのですが、同じマンドリン族という事で(笑
ブラジルは古くからショーロという音楽スタイルもあるせいか、インストゥルメンタルに関して高度なテクニックを持ったミュージシャンが多いのですが、当然バンドリンにもこういう人がいます。弦が1コース多いとは言っても、この小さな楽器でここまで大きなスケールと強烈な躍動感そして解放感(しかもソロ!)というのは驚異的です。

という訳で<アコースティック編>はこのぐらいで。
次回<エレクトリック編>はだいぶカオスになってきます(笑


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