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かすり傷を重ねて美しくなる

「死ぬこと以外はかすり傷。だから、何でもあきらめない。めいっぱいチャレンジしてみる」と友人は言った。夫さんとの関係も、仕事で目指したい姿も、どちらもあきらめないらしい。

結婚生活の形や仕事への姿勢について、いくつか友人と作戦会議をした。仕事も結婚生活も、どちらも。世間の知る形ではなく、友人にあう形を一緒に考える。両方を回していける形を、これからちょっとずつ実験していく。その決意に満ちた友人が、なんだかまぶしい。

心のわだかまりを話して、久々に作戦会議をして。力抜けた友人は、やわらかな表情で帰っていった。後ろ姿が美しかった。

死ぬこと以外がかすり傷なのだったら、生きてることそのものがかすり傷ではなかろうか。毎日、生きていて、何かしらのかすり傷を負う。かすり傷がそのうち、味になってその人自身の魅力になっていく。

アンティークな家具たちも、光にあててみたらかすり傷だらけだ。けれど、そのかすり傷たちが、深みになる。傷はそのままに、せっせと磨いていくと、新しいものとは違った美しさとなる。

生きていることで起きたかすり傷も、それはそれとして。磨きながら生きていけば、そのものが美しさとなる。その美しさ、私にもあるだろうか。

アンティークな美しさ。かすり傷を重ねて、美しくなるその姿は私が目指しているものかもしれない。

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