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菩薩カタレプシー

こんにちは、催眠をやっている石井多聞(たもん)と申します。

このnoteは催眠をかける側の人だけご覧ください。
催眠にかかって楽しみたい人は、舞台裏なんか見ても全く面白くないと思いますので。

なお、この手順は僕はまだ試してません。
ですので、もし良ければ試してもらい成功か失敗か、どうなったのかを@tamonhypnoまで教えてもらえると嬉しいです。

※追記
実際に手法を試してもらい、成功した報告を沢山もらっています。
使い勝手は良いらしく、集団催眠からオープニング、果ては集中が切れてしまう方へのバリエーションにも幅広く使えそうです。

菩薩カタレプシーの開発経緯

催眠をやるにあたって、最も大事なのは「被術者の興味の導線を絶やさないこと」だと思います。

可能な限り早い段階で、インパクトのある現象を出したい。
しかし、被術者の予期がない状況で現象を起こすため、人体の仕組みを利用したトリック手法(催眠ではない)が存在するのも事実です。
そこで可能な限りクリーン(トリックではない)で、インパクトがあり、出来る限り成功率が高いものが欲しかったのです。

また、被術者の方で催眠が失敗するパターンとして「好奇心のあまり手順を追ってしまう方」「マルチタスクに長けており意識の切り替えが上手い方」があります。
そのようなパターンに対抗できるアプローチになっています。

手順

※事前に「催眠はイメージによって起こるもの」と認識してもらうこと

まず被術者に下記のような菩薩のにぎりにしてもらう。

範馬刃牙より 菩薩のにぎり

※実際には中指と薬指を、親指の付け根の膨らみの部分にくっつけた方が、くっつくというイメージを連想させやすくなります。

この手の形にする理由は、指の爪を凝視してもらうときに指の本数が少ないほうが集中しやすく、かつ自然な手の形になるかなと思ったからです。
また、この手の形はカタレプシーを引き起こしやすい形のような気がします。

「目力というものをご存じですか?目にも力が宿るんです」

「中指と薬指の爪をじっと見つめてください」

「これからイメージトレーニングをします、目を凝らすと2本の指が目力によって押しつけられる…というイメージをします」

「指が離れそうになったら…グッと目力を入れてください、指が押し返されていきます」

このように、指の位置と目力が連動するように学習させます。
指が離れそうになったら目力に集中させて押し戻すように反復学習を繰り返します。

「あなたが目力を入れるほど、2本の指がぐーっと強く押されていきます」

「ゆっくりと指に力を入れていきます…(指が離れそうなら)そこで目力に集中して!押し返されていきます!」

「あなたが指を見つめる限り、指が離れることはありません(合図)」

これで指が手から離れなくなります。
指が離れそうであれば、目力に集中するよう追い込みをかけてください。

解説

この手法の肝は以下の2つです。

  • 矛盾した課題による二重拘束

  • ジャッジメントタイム(後に説明)を集中/混乱の状態で迎える

それでは1つずつ解説していきます。

矛盾した課題による二重拘束

この手法は、よく考えると矛盾を孕んでいます。

「指が手から離れるにつれて、目力に集中し押し返されるイメージで頭を一杯にしなさい」
という課題を被術者を純粋に遂行すれば、指が手を離れる事はありません。
何故ならば指が離れるほど押し返すのですから、指を離す意識は押し返すイメージに弾き出されてしまうはずです。
このように、矛盾した課題を同時に与えられるダブルバインド(二重拘束)となります。

一見して子供騙しのような矛盾ですが、術者の畳み掛けと誘導によって、短時間ですが矛盾した課題に辻褄を合わせようと無意識的な努力が生じます。
その結果として「指を動かそうとすると押し返される」という状況になります。

ですので矛盾した課題を分割し、相手に気取られないように学習させることが重要となります。

ジャッジメントタイムを集中/混乱の状態で迎える

ジャッジメントタイムという聞き慣れない用語が出ました。
禁止暗示において、被術者が禁止されている事を確認/挑戦する瞬間を「ジャッジメントタイム」と僕が名付けました。
術者が最も緊張する瞬間ですね。

禁止暗示でよく失敗するパターンは、ジャッジメントタイムにおいて被術者が一拍おいて冷静になり禁止が解かれるというものです。
つまり指示が変わったタイミングで、意識を切り替えられてしまうんですね。

この手法の大きな肝は、ジャッジメントタイムを集中/混乱の状態で迎える構造になっている事です。

ですので術者は集中している状態を継続しながらジャッジメントタイムに移行する必要があります。
具体的には挑戦の兆候を見たら「指を見つめてる間は、指が押し返されます」と、追い込み暗示を入れ目力を入れさせ続けます。

ジェスチャーを交えてもっとスマートに

この手法の肝は、矛盾した二重拘束ジャッジメントタイムを集中/混乱で迎える事です。
慣れてきたらジェスチャーを加えて、この2つを強化する方法もあります。

それは、目力の学習をさせるときに術者は何らかのジェスチャーをします。
指で相手の指を軽くポンポンしたり、目の端からでも視認できるように手を振り下ろすジェスチャーなど、何でもいいのです。
被術者に対して、そのジェスチャーが目力を入れる指示であると認識させます。

そして「指が離れません(指を離しなさい)」という指示と同時にそのジェスチャーをします。

つまり言語では「指を離しなさい」と言いながら、非言語では「指を押しつけなさい」と矛盾した指示となり完全な二重拘束になり、さらに混乱した状態になります。

最後に

コツはいくつかありますが、比較的に平易な手法になると思います。
また集団催眠にも使えるという報告もあるので、フィンガースティックの代替にも使えると思います。
また、意識の切り替えが早い方への対策でもあるので、角度を変えたアプローチとしてのバリエーションにもなると思います。

この手法はライセンスフリーです。
改良も改変も自由に行ってください、この手法を使っても「パクるな!」など言うつもりはありません。
ただ「この手法はワイが考えた!」と起源を主張するのは辞めてください。

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