非喫煙者スペースはどうしたら作れたのか?
こちらのノートは「僕の考え方を変えた4つの寓話」の続編となります。
先のノートでの「非喫煙者スペース」という話で、「どうすれば、非喫煙者スペースの提案を通す事が出来たのでしょうか?」という問題の答えを書きたいと思います。
その前に、皆さんから寄せられた回答をご紹介します。
喫煙者と非喫煙者のスペースを分けることによって、まるで対立しているかのような構造を連想させるから。
おおっぴらに「休憩」を積極的に取らせるスペースを作る事に、会社として問題があるから。
非喫煙者スペースは、必須ではないから。
全くわからないです、ヒントください。
などなど、皆さん思慮深い理由を頂いて、この回答を書いていいのかどうか一瞬迷ってしまいました。
提案を却下した原因
提案の通し方の説明の前に、提案が却下された原因を説明します。
皆さん、いろいろな原因を推察していただいたのですが、事実はもっとシンプルです。
「プロデューサーが面倒くさいと思ったから」
この回答を聞いたときに頭を鈍器で殴られたような衝撃を受けました。
「なんていい加減なんだろう」と…
プロデューサーの言い分を聞いてみましょう。
面倒くさいって言うと「いい加減だ」と思われるかもしれないけどさ。
だって、よく考えてみてよ。
休憩スペースを新しく作るって、口では簡単に言えるけどさ。
各所から許可を取ったり、周りの人に話を通したり、運用ルールの設定とか、細かくて面倒な事が沢山あるんだよ。
僕だって業務を抱えてるんだからさ、丸投げされたって困るよね。
プロデューサーだって人間ですから、いくら職責があろうとも面倒なもんは面倒なんですね。ただでさえ忙しいのに、必須でもない非喫煙者スペースを作れと言われたって、モチベーションが湧くわけがないんです。
ここで僕は「組織の決定ってのは、思ったよりも単純な感情で動いている」と悟りました。
じゃあ、どうすれば良かった?
じゃあ、どうすれば提案を通したのか?
プロデューサーはこう続けました。
「こちらで各所に話を通しました、周りの人たちの了解も取りました、運用ルールも考えました、あとはハンコをここに押すだけです。」
って提案されたら、ハンコを押したと思うんだよねぇ。
なるほど…
今の意識高い系の社会人に言わせると、「プロデューサーが無能」と叩かれそうですが、相手の立場になったらこういう側面も理解できます。
そこで、提案者たちの敗因をまとめると、次のようになると思います。
自分たちのやれること(提案を出すこと)を勝手に線引して、後は「あっちの仕事だ」と思ってしまった。
「自分たちのやれることはすべてやった」と錯覚していたんですね。
実はあっちもこっちもなくて、尽力すべきは「いかに提案が通りやすい状況を作り出すか」なんだと思います。
その視点があれば、ボールを無造作に投げつけるような行為をしなかったように思えるんですよね。
おそらく却下された提案者たちは、建前的にもっともらしい理由を説明されて「やっぱり巨大な組織は保守的だ」と思っているでしょう。
事実は、思ったよりも単純で生臭いものなんですね。
たった一歩だけ踏み込みが足りなかった、それだけで結果が180度かわってしまうという事実に恐怖を覚えました。
そこから僕は仕事に対して「もっと踏み込めるスキはないか?」と思う癖がつきました。それは今も僕の行動指針として、根強く残っています。
最後に
たぶん、この話を読んで「いや、この上司が無能だからだ!」と言う人もいるかもしれません。
でも、それって「上司が有能じゃないと能力を出せない人間です」と言っているのと同じですよね、上司がどんな人でも能力を出せる人が有能だと思うんです。(足を引っ張る上司とかは別ですけど)
上司がどんな人になるかなんて運の要素が強いんだから、運の要素になるべく左右されない戦略を取ることが重要なんじゃないかと思います。
追伸:
プロデューサーが無能だったと思われそうですが、Wikipediaにその人のページがあるくらい非常に優秀な方です。
自分の意思決定のプロセスを赤裸々に語ることって、すごい勇気がいると思います。
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