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日本大会 2019 FMC 思考過程

※この記事は有料記事となっていますが、本文は全て無料で読めます。

11月2日から4日にかけてキューブの日本最大の大会、日本大会がありました。私は最少手数部門で平均31.67手を出し日本4位になりました。この記事ではその思考過程を説明します。もちろん最適な考え方とは限りませんが参考になれば幸いです。

前提知識として BB の基本的な考え方と EO について知っていることを想定しています。具体的には以下の2つの記事の内容が大体理解できていれば大丈夫だと思います。

早稲田大学スピードキュービングサークル「FMC解説」
 <http://wrcc.main.jp/commentary_fmc/>
(特に「入門から各テクニックの習得まで」は FMCer 必読)

UESYUU’S BLOG「FMCにおけるEOについて(加筆修正版)」
<http://uesyuu.wp.xdomain.jp/?p=28>

1試技目(31手)

まずは EO スタートから探します。c/e ペアが2つあったのでこれらを保存しないものは捨てて考えます。以降 () 内は inverse scramble です。

scramble:
R' U' F L2 D U2 F2 U' L2 U2 R2 U R2 B' R' U B L2 R2 U2 L' B2 R2 U R' U' F

solution:
(F' D' L2 B or B') //EO (4/4)

いきなり良さそうなものがみつかりました。1試技目で緊張して焦っていた私は他の EO を探さずにいきなりこのルートを使おうとしてしまいました。しかし、上手く 222 をつくれなくてパスします(誰かがこのルートで上手く 222 を作っていた気がする)。

scramble:
R' U' F L2 D U2 F2 U' L2 U2 R2 U R2 B' R' U B L2 R2 U2 L' B2 R2 U R' U' F

solutions:
(F' L D' B or B') //EO (4/4)
(F) U' D2 F' //EO+sq (4/4)
(F') U' D2 F' //EO+sq (4/4)
L (F' U' D' L') //EO (5/5)

2,3行目は FB 軸の EO が6個で F面に3個あったので F or F' して4個にしてスイッチしてます。4行目も同じように RL 軸の EO を8個→4個にしてスイッチしています。5手かかりますが c/e ペアが4組あったのでメモしました(結局使いませんでしたが)。

これで EO を調べ終わりました。次に sq のできていた (F) U' D2 F' から調べていきます。

scramble:
R' U' F L2 D U2 F2 U' L2 U2 R2 U R2 B' R' U B L2 R2 U2 L' B2 R2 U R' U' F

solution:
(F) U' D2 F' //EO+sq (4/4)
U R L' D' L2 //p223+sq (5/9)
U2 (F2 U') //F2L-1 (3-1/11)
R U' R2 U B R B' R B R2 B' //4c (11/22)

2行目の U R で sq を作ってから L面の sq を 222 ブロックにしようとしたら、偶然疑似 223 ブロックになりました。4行目は R U' R2 U で F2L#4 のエッジを入れるとパリティですが、 c/e ペアができるのでこれを保存するように Sune してエッジを揃えました。

他のエッジ合わせも考えましたが上手くいかなかったです。とりあえずこのスケルトンは保留して (F') U' D2 F' からスタートするルートを考えます。

scramble:
R' U' F L2 D U2 F2 U' L2 U2 R2 U R2 B' R' U B L2 R2 U2 L' B2 R2 U R' U' F

solution:
(F') U' D2 F' //EO+sq (4/4)
U R L' D' L2 //223+sq (5/9)
U (U2) //F2L-1 (2/11)
R2 U R' U' R' U R U' R2 //3c1t (9/20)

(F) U' D2 F' のルートとやってることは全く同じなのですが、3行目で U2 していたところを U しても F2L-1 になることに気づきました(本当は (F) U' D2 F' のルートのときに調べておくべきだった)。4行目で c/e ペアを保存しながらエッジ合わせ。これ以上上手いものは見つからなかったです。

残り20分か15分くらいになったので、20手 3c1t のスケルトンにインサートしていきます。

scramble:
R' U' F L2 D U2 F2 U' L2 U2 R2 U R2 B' R' U B L2 R2 U2 L' B2 R2 U R' U' F

skeleton:
U' D2 F' U * R L' D' L2 U R2 U R' U' R' U R U' R2 U2 F (20)

insert at * = U' L' D' L U L' + D L (8-4/24)
insert at + = B D' F' D B' D' F D (8-1/31)

final solution:
U' D2 F' L' D' L U L' B D' F' D B' D' F D2 R D' L2 U R2 U R' U' R' U R U' R2 U2 F (31)

時間がなかったので4手キャンセルを見つけてすぐに2回目のインサートを始め、1手キャンセルをみつけたところで解答としました。optimal は28手、*  をインサートした後から探しても29手が存在したようです。ちなみに22手 4c の方は optimal 30手です。

2試技目(34手)

普段はまず EO スタートを試みるのですが、今回は EO が非常に難しく BB も探してみることにしました(周りに聞いても4手 EO はなかった模様)。

追記:にっけんさんが自作ツールで調べたら (B) F U' B という4手 EO があったそうです。しかし、(B) で EO が1つも減らないので気づくのは難しそうです。

scramble:
R' U' F L2 U R2 F2 R2 U B2 R2 D U' L' B U' R' B2 D' F' D' B U F' R' U' F

solution:
D' R D' F R F2 //222 (6/6)

恐ろしくセンスがない。うえしゅうさん曰く BB の場合 222 ブロックに5手まで許しているそうですが、それすら見つからない。もう一度 EO を5手まで許して探してみることにしました。

scramble:
R' U' F L2 U R2 F2 R2 U B2 R2 D U' L' B U' R' B2 D' F' D' B U F' R' U' F

solution:
(L' F) U2 D' F //EO (5/5)
R B2 U' //222 (3/8)

(L' F) で EO を8個→4個にしてスイッチしています。他にも5手 EO を見つけた気がしますが、3手で 222 ブロックにつながるのがこれだけだったのでこのルートを採用します。

scramble:
R' U' F L2 U R2 F2 R2 U B2 R2 D U' L' B U' R' B2 D' F' D' B U F' R' U' F

solution:
(L' F) U2 D' F //EO (5/5)
R B2 U' //222 (3/8)
U' D R U D //223 (5-1/12)
R' U' R U R' F2 //F2L-1 (6/18)
D R2 D' R D R2 D' R' //5c (8/26)

222 ブロックまで作ったところでひとつも c/e ペアがなかったので U' して作り、なんとか 223 ブロックにします。4行目はコーナーが埋まってる F2L の要領で c/e ペアを作りました。あとは適当にエッジ合わせして26手 5c ができあがりました。

手数がかかりすぎなので同じ 222 ブロックからもう少し分岐を探してみます。

scramble:
R' U' F L2 U R2 F2 R2 U B2 R2 D U' L' B U' R' B2 D' F' D' B U F' R' U' F

solution:
(L' F) U2 D' F //EO (5/5)
R B2 U' //222 (3/8)
U' D R U F2 D //223 (6-1/13)
R2 F2 R F R F' R F R2 F' //5c (10-1/22)

3行目の F2 がさっきとの違いです。EO を崩さずに1手インサートできる場所を探したて丁度良かっただけで深い意味はありません。4行目は R2 F2 で F2L のエッジだけ入れました。パリティですが、Sune でエッジ合わせ+1コーナーが揃ったので採用して22手 5c です。

まだ不満の残るスケルトンですが残り15分なので急いでインサートします。

scramble:
R' U' F L2 U R2 F2 R2 U B2 R2 D U' L' B U' R' B2 D' F' D' B U F' R' U' F

skeleton:
U2 D' * F + R B2 U2 D R U F2 D R2 F2 R F R F' R F R2 F2 L (22)

insert at * = D B D' F D B' D' F' (8-4/26)
insert at + = B2 L F' L' B2 L F L' (8/34)

final solution:
U2 B D' F D B' D' B2 L F' L' B2 L F L' R B2 U2 D R U F2 D R2 F2 R F R F' R F R2 F2 L (34)

早々に * の4手キャンセルを見つけたものの欲張ってもう少し先まで探してしまい、残り5分から2回目のインサート開始。残り2分になったのでキャンセルなしのまま解答を作りました。optimal は29手です。* をインサートしたあとから探した場合、一番最初に R U' L' U R' U' L U を入れれば1手キャンセルで33手だったのに見逃してました。ちなみに26手 5c の方は optimal 33手です。

3試技目(30手)

今回は EO たくさん見つかりました。c/e ペアが1ペアあったのでそれを保存するものだけメモします。

scramble:
R' U' F L2 B2 F R2 D2 F' U2 B2 D2 R' D' U' L' B' F2 R2 D F2 R B' R' U' F

solutions:
L2 U' F or F' //EO (3/3)
(U2 D' R' B or B') //EO (4/4)
(B L U2 B or B') //EOもどき (4/4)
R (L' F L') //EO (4/4)
R' (L' F' L') //EO (4/4)
(U L' B D or D') //EO (4/4)
(U B L2 D or D') //EO (4/4)

3行目の (B L U2 B or B') は本当は (B' L U2 B or B') と回さないと EO 解消されないのに間違えて回してしまいました。しかしそれに気づかず、c/e ペアが3ペアもできていたのでこのルートを採用してしまいます。

scramble:
R' U' F L2 B2 F R2 D2 F' U2 B2 D2 R' D' U' L' B' F2 R2 D F2 R B' R' U' F

solution:
(B L U2 B') //EOもどき (4/4)
(D) //sq (1/5)
(B2 U B2 U2 R') //222 (5/10)

3行目の U2 の意図が思い出せない・・・。まあ何にせよあまりうまくないと思います。ここでやっと EO が解消されてないことに気づき修正します。

scramble:
R' U' F L2 B2 F R2 D2 F' U2 B2 D2 R' D' U' L' B' F2 R2 D F2 R B' R' U' F

solution:
(B' L U2 B') //EO (4/4)
(D) //sq (1/5)
(B2 U B2 U2 R') //222 (5/10)

EOもどきのルートと同じ方法で 222 ブロックを作れました。しかし、手数がかかりすぎなのでパス。EO まで戻って normal scramble にスイッチします。

scramble:
R' U' F L2 B2 F R2 D2 F' U2 B2 D2 R' D' U' L' B' F2 R2 D F2 R B' R' U' F

solution:
(B' L U2 B') //EO (4/4)
U R' U L2 F2 //222 (5/9)
U2 R' (R2) //223 (3/12)
U' R' U R B2 (B2) //F2L-1c (6/18)
U' F U2 F' U' F U' F' //3c (8/26)

222 ブロックまでで手数がかかりすぎですが、そこから3手で 223 ブロックを作れたので採用しました。4行目の U' R' U R で sq を作るのはその場で思いつきました。こういうのをたくさん覚えておけばもっと時間短縮できたと思います。 sq 作成と同時に F2L#4 のエッジが正しい位置に入り残りは LL のパリティ。c/e ペアを保存しつつ Anti Sune を回したら運よくコーナーがもう一つ揃いました。

余談:今回3試技通してパリティを Sune 系で処理することが多かったですが、できれば回避するか別のルートを使った方がいいと思います。

とりあえずこのスケルトンは保留して3手 EO のルートを探してみます。

scramble:
R' U' F L2 B2 F R2 D2 F' U2 B2 D2 R' D' U' L' B' F2 R2 D F2 R B' R' U' F

solution:
L2 U' F //EO (3/3)
B2 R U //222 (3/6)

この先が繋がらないなと思ってたら残り15分になってしまったので26手 3c のスケルトンでインサートを開始します。

scramble:
R' U' F L2 B2 F R2 D2 F' U2 B2 D2 R' D' U' L' B' F2 R2 D F2 R B' R' U' F

skeleton:
U R' * U L2 F2 U2 R' U' R' U R B2 U' F U2 F' U' F U' F' B2 R2 B U2 L' B (26)

insert at * = L U' R2 U L' U' R2 U (8-1/33)

solution:
U R' L U' R2 U L' U' R2 U2 L2 F2 U2 R' U' R' U R B2 U' F U2 F' U' F U' F' B2 R2 B U2 L' B (33)

optimal 32手ですが見逃してこれしか見つかりませんでした。しかし、まだ10分弱残っていたのでスケルトンの U' F U2 F' U' F U' F' の部分を L U2 L' U' L U' L' U' にしてもう一度インサートしてみます(AUF → Anti Sune を Anti Sune → AUF にした)。

scramble:
R' U' F L2 B2 F R2 D2 F' U2 B2 D2 R' D' U' L' B' F2 R2 D F2 R B' R' U' F

skeleton:
U R' U L2 F2 U2 R' U' R' U R B2 * L U2 L' U' L U' L' U' B2 R2 B U2 L' B (26)

insert at * = B2 L F' L' B2 L F L' (8-4/30)

final solution:
U R' U L2 F2 U2 R' U' R' U R L F' L' B2 L F U2 L' U' L U' L' U' B2 R2 B U2 L' B (30)

これは流石に optimal でした。

本文は以上です。
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