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2019/06/28 金曜日 社会人1年目に住んだ、東京北区

日記、153日目。

最近、赤羽で食事をすることが多い。
この日も東京北区を通った。

僕は上京した1年目は北区王子の会社の寮に住んでいた。
上場企業の子会社ということもあり、恵まれた福利厚生の中、家賃の1万5000円程度。
給与は色々な税金やら退職金積立やら、労働組会会費やら色々引かれて、手元に振り込まれたのは14万円後半だったことを記憶している。

田舎からでてきた貧乏学生で、その割には働くくらいなら本を読んでいたほうがいいと思い、ろくにバイトもしていなかった。そんな感じだったので、特にお金を使うことなく過ごすことは苦ではなく、給与には不満はなかった。むしろ、そんなことよりも、新生活に期待と不安に溢れていた。

毎朝7時44分発の、京浜東北線王子駅の電車に乗り込み、ぎゅうぎゅうの満員電車により、勤務地の日暮里まで移動した。窮屈な電車の中では、ああ、これが東京だな、とぼんやり感じていた。それが辛いとかどうとか、全く思わなくて、現実を素直に受け止めていた。

プログラマだった僕は狭い電車の中で、分厚い技術書を無理やり読んでいた。周りの人から見ればきっと迷惑だったような気がする。そして本を読んでいた僕もそれほど集中できていたわけでもない。そんな混み合った中で、集中もできるわけもない。ただ僕は、同期についていなければならない不安で、とりあえず本に目を通し続けていた。偶然に入社できた僕には不釣り合いな会社の同期は皆、とても優秀だった。僕は一番仕事がができなかった。だから必死だった。1年目は必死さしか記憶がない。

疲れ果てた金曜日の夜の夕食は、CoCo壱番屋でカレーを食べた。
学生時代に、お金がなくてコロッケと缶詰と白米で生活していた僕にとっては、充分ごちそうだった(学生時代はなけなしのお金は全て、レコード代や本につぎ込んでいた。)。

そんな社会人1年目から、およそ17年ほど経つ。
北区を通るだけど、当時の記憶が鮮明に思い出される。

社会人1年目の僕は、起業なんてするとは微塵とも思っていなかった。
華やかなキャリアがあるわけでもない。そんなだいそれた事ができるなんて思ってもいない。

当時の僕ば今の僕を見ればどう思うだろう?
これ、僕?って思うかも知れない。それほど僕の立場はすっかり変わってしまった。きっとあの頃の僕が今の僕をみれば、違う世界の人に見えるかもしれない。

けど僕は何も変わっていない。
好きな食べ物も、好きなことも、好きな感覚も。
何一つ変わってない。

社会人が始まり17年間で起きた、上京、転職、そして起業が僕に大きな世界を見せてくれた。
そして酸いも甘いも経験することができた。
もう終わりだ、と思ったことも何度かあった。

そして、きっとこれからも何度も何度も、辛いでことが起こるだろう。
僕はそれを受け入れる準備ができている。
耐えられるかわからなけいけど、受け入れる準備はできてる。
僕の最大の成長は、それを受け入れられる準備ができるようになったことだ。

東京北区に降りると、当時の若かりし頃の初々しい気持ちを思い出す。
僕にとって、この土地は一生忘れられない。

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