再会した男と女
みんなで連続小説 Advent Calendar 2014 第五話は私@tamuuuuuuが書かせていただきます。
Barは煤けた感じの全く飾り気もそっけもない店だった。
薄暗くまるで洞穴のような、でも悪くないと思った。
「結構いい感じの店じゃない。」
「良かった。」
私はタバコを取り出し、火をつけた。
「ここで、いつも一人で飲んでるんです。落ち着くんですよね。」
「確かに落ち着く感じよね。」
もう、どれくらい飲んだだろう。
少々酔いが回ってきた。
でも、もう少し。
「ソルティドッグ下さい。」
「僕は水割りで」
「うーん、しょっぱい」
「え、ソルティドッグってやっぱりしょっぱいの?僕はスイカに塩をかけたみたいな感じで、しょっぱくないものかと思ってたんだけど。」
「しょっぱいよ。そりゃあ、塩だもん。」
で、これを飲みながらタバコを吸うとこれがおいしいからなのだけど、それを言うのはさすがにあれだと思ったので言わなかった。その代わりに、
「やっぱり、痛いよ。」
「すいません・・・。」
「さっきは許すつもりでいたんだけど、やっぱり許さない。」
「すいません。」
「今日、寝るところがないの。だから、あなたのうちで寝かせて。いいでしょ。別に・・・」
「え?」
彼ははにかんだような表情を浮かべていたが、しかし、その表情は驚愕に変わった。
「エリ?何でこんなところに?」
これまで気がついていなかったのだが、後ろのボックス席にカップルが座っていた。その女性は彼の知り合いだったらしい。
「何で、こんなところに・・・」
そのエリと呼ばれた女性も明らかに狼狽していた。
そして、その向いに座っていた男性・・・、薄暗いから今まで気がつかなかったのだが、え、え、何で、こんなところにいるの?
「ユウ。ユウだよね?」
あの頃に比べてやつれてはいたがまぎれもなくユウだった。