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あるYRHの食事〜おにぎりは要注意!


“あるYRHは一日3食680円の食材費(消耗品含む)で給食会社に食材の調達、調理などを委託しています。施設と委託会社の相応の都合により、栄養士は施設の職員のみで、献立作成、発注、在庫管理、材料費の管理、食数の管理などの業務を行なっています。”

おにぎりは食べやすく、豚汁と合わせたこのメニューは人気メニューの一つ。おにぎりは「鮭」「梅」または「昆布佃煮」などの具材を用意し、入居者に、カウンターで選んでいただきお好みで食べていただきます。感染対策を厳しくするようになってからは、おにぎりを取り分けるのは私たち職員がするようになりました。

お好みで選ばれるので、「鮭」2個とか、「梅」1個とか、若い男性(といっても70歳)は時には4個を召し上がります。簡単に口に運べるので、頬張ってしまって、これがとても危険。喉詰まりのリスクも高いメニューなのです。自立されていらっしゃる方も、海苔が危険!ということで、刻んだ海苔をおにぎりにまぶしています。海苔の風味は残し、ご飯だけより手で持ちやすく、口に入れてほぐれやすいようにと考えました。

それでも、急いで食べることが習慣になっている方がいらして、その方の時代は早く食べることが良いとされていたそうです。お嫁さんがのんびり食事をしていてはいけなかったそうです。急いで食べて、仕事をしたそうです。だから今でも早く食べることがやめられなくて、口に詰め込んでしまいます。噛まないで丸呑みです。それでもこの方は自力で吐き出されたから無事でした。

認知症が進んでいる方も、飲み込まないうちに次から次から口に詰め込み、職員が気がついたらチアノーゼを起こしている。ということもありました。こういうときは一瞬の判断が命を救います。本人のそばで口の中から義歯を外し食物を出させる、応援を呼びに走る、そしてナースに連絡する、食堂にはサクションが常設されておりそれを準備する。さらにはその他の入居者を落ち着かせることも大事です。

リスクを最小限にするには、職員のよく観察する目があり、すぐに気がつく集中力そして瞬時に動ける判断力が求められます。食事の時間は職員は神経を集中して見守っています。ですから特にリスク高いお料理は人手の多い平日の昼食に限定しています。食事の時間は気の抜けない時間でもあるのです。

そうはいっても大半の入居者は問題なく召し上がります。大好きです。おにぎりと豚汁。

◎本日の昼食

・おにぎり鮭1個、梅1個 ・豚汁 ・卵焼きと野菜 ・フルーツ

おにぎりの時は精製塩ではなく、海塩が美味しいです。炊き上がりの米飯に0.5%の塩を混ぜ込みそれから握ります。

1食分のおおよその栄養価 エネルギー710Kcal、たんぱく質16.8g、塩分3.9g

塩分量も多いので、野菜と果物を食べてカリウムもしっかり摂取し塩分の排泄に努めましょう。


*このお話は実話をもとにしたフィクションです。なお、「YRH」とは私が作ったDAI語風の養護老人ホームの略語です。



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