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鶯霞 棘の妖森 

脚本/監督 Tana.Ellis.Kelly
タイトル 真実が絆に変わる時
出演キャスト様
嬉読屋しおん様
朗読あん様
emi様
語り/くる様

◼️家族編
※16年前の物語と16年後の物語2つのシーン

◼️登場人物
父親役(陽 ヨウ)嬉読屋しおんさん
年齢設定【30歳】【46歳】
正義感溢れる頼れる父親。

母親役(茜 あかね)朗読あんさん
年齢設定【30歳】【46歳】
愛情深く、芯の強い母親。

長女役(萌 もえ)emiさん
年齢設定【5歳】【21歳】
心優しく、家族想いの姉。

次女役(繭 まゆ)tana 架空の人物
妖怪、鵺に育てられた少女、紗。

《くるさんの語り》
100年に一度と言われる大きな災害が起こると予言されていた日。
人間界で大雨が降り、雷が落ちた…
その数時間後に大きな地震が発生、津波が起こり家も車も人も流された。
陽は萌の手をひき、茜は生後5日の繭を抱き抱え、高台へ避難。
しかし避難した高台も危険だと感じた陽は家族を守る為、絶対に入ってはいけない妖怪の森へ向かった。

【陽30歳 茜30歳 萌5歳のシーン】

モノガタリスタート

陽「よし、ここまで来れば安心だ…茜!萌!大丈夫か?」

茜「あなた…ここはだめよ。妖怪の森は絶対に入ってはいけない。ここに迷い込んだ者は決して、人間界には帰れないって、聞いた事があるわ」

陽「大丈夫だ!心配するな!一時的な避難だ!まだここは妖怪の森の入り口付近、奥まで入らなければ大丈夫だ」

茜「なんだか、妖怪の森ってだけあって、気味が悪いわ…」

萌「お母さん…まゆが泣いてる…」

茜「あらあら、お腹がすいたのよ、ミルクも何もないわ、どうしましょう」

陽「川!川を探そう!水を飲ませよう」

萌「お母さん…怖いよー。お父さん…疲れた、歩けないよー。」

茜「萌、大丈夫よ!お母さんがいますからね」

陽「萌、おいで!お父さんがおんぶしよう!」

※川を探し求める一家のもとに妖怪3人組が現れる

陽「茜…お願いがある。萌とまゆを連れて通ってきた道を走って戻れ」

茜「あなた!無理よ!あなたをおいていけない」

陽「茜!俺は大丈夫だ!行け!萌、お母さんと一緒に行くんだ。茜!娘達を頼んだぞ」

茜「萌、お母さんの手をしっかり握って!分かった?」

萌「お父さーん!お父さーん!」

茜「萌!ほら!萌!きなさい!お母さんと行くの!」

※泣きじゃくる萌を手をひいて逃げようとした茜の前にも妖怪達が…
陽と茜と萌は眠りの魔法にかけられ眠ってしまう。

《くるさんの語り》
妖怪の森で魔法にかけられ眠ってしまった3人は気付いたら病院のベッドの上だった。まゆを失った悲しみ、辛さを抱きながら気付いたら16年の月日が経っていた。

▪️16年後のモノガタリ

【陽46歳 茜46歳 萌21歳のシーン】

モノガタリスタート

※ドアを開けて空を見上げて父親、母親に呼び掛ける

萌「ねー!お父さん!お母さん!うぐいすが鳴いてる」

茜「あら!本当ね珍しい、そして今日もなんだか蒸し暑い1日になりそうね」
「(ひとりごと)16年のあの日と一緒だわ…」

陽「なー茜!萌!ちょっといいか?
話がある!信じるか信じないかは茜と萌に任せる」

茜「どうしたの?(笑いながら)真面目な顔をして」

※持っていたコップを落とす萌…

萌「お父さん?何を話すつもりなの?また、お母さんと喧嘩とかやめてよね!」

陽「16年前の話なんだけど」

茜「また、その話!あなたが、あの時、妖怪の森に誘導しなければ、まゆを失わずにすんだのに、まだ産まれたばかりの子を」

※テーブルを叩く萌…

萌「もう!やめて!やめて!何度、この話をするのよ、まゆ!まゆ!まゆ!って、娘は、まゆだけなの?萌の事も考えてよ」

陽「茜も萌も落ち着いてくれ、これから話す事は、大事な事なんだ」

茜「正直、あの日の災害も、あの森も、あなたの事も憎いわ」

陽「憎んでくれてもいい、ただ信じてほしい、あの時、あの日、妖怪の森で妖怪達に助けられたような気がしたんだ」

茜「あなた!何を言い出すの?妖怪に助けられた?あなたって…どこまで…」

萌「お母さん…ちょっと待って…お父さんの話聞こう…萌もね、妖怪達に助けられた気がしたの」

茜「陽さんも萌もどうかしてるわ…まゆの命を奪った妖怪達よ」

陽「茜…まゆは、どこかで生きてる、そして、妖怪達は俺達を助けてくれた」

萌「お父さん、そういえば私、妖怪にお水を飲ませてもったの」

陽「多分な話なんだけど、人間界に送り届けてくれたのも妖怪達のような気がするんだ」

茜「そんな…話…あるの!?…そんなの信じられない!信じないわ!まゆが生きてる!?じゃぁ、ここに、まゆを連れてきてよ!私の娘のまゆを私に返してちょうだい!」

萌「まゆ…まゆちゃん…うん…生きてる…絶対…生きてる…私もこの16年、お父さんとお母さんの顔色伺いながら過ごしてきた、まゆの分も頑張って生きようって」

茜「萌…ごめんなさい、あなたにそんな想いをさせていたなんて…私はなんて母親なのかしら…母親失格ね」

陽「この16年は3人それぞれ、辛く悲しい想いをしてきたんだ、きっと、まゆは生きてる…そして、いつか帰ってきてくれる」

萌「私達を助けてくれた妖怪達だもの。まゆの事もきっと助けてくれているはず」

茜「陽さんと萌の話…正直…受け入れられないわ…でも私は母親として、まゆの帰りを待つわ!それが母として愛する娘に出来る事だから」

萌「ねー!見て!空が綺麗!きっと、まゆもどこかでこの空を見ているはずよ!空って繋がってるのよ」

陽「うん、まゆもきっと見ているはずだ」

茜「そして、あの子も、きっと空が好きよ」

萌「かすみがかった感じの空でしょ」

家族編完

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