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ゆりやんレトリィバァと安室奈美恵

急に何を言い出すのかと思われそうだし、双方のファンに支持されなさそう。だけど、思ったので書き綴っておく。

渡辺直美×ゆりやんレトリィバァの"Rain On Me"が話題に

レディー・ガガとアリアナ・グランデのコラボ楽曲"Rain On Me"のMVを完コピ+渡辺直美流にアレンジした動画が話題になった。再生回数は1週間ちょっと経った今(2020/8/8)1,000万回超え、まだまだ伸びそうな気配。
この動画で目を引く要素はたくさんあって、渡辺直美とゆりやんの完コピ具合とか、コロナ禍におけるソーシャルディスタンスを守るためのパーテーションやダンサーのフェイスガードとか、一個ずつ上げるとキリがないんだけど、自分が一番感じたのは「ゆりやん、輝いてるなぁ」ということだった。

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渡辺直美 feat.ゆりやん という形

「NAOMI CLUB」という渡辺直美アカウントでアップされていることからも分かる通り、これは渡辺直美がゆりやんに声がけをして実現した形。渡辺直美は過去に何度もレディー・ガガのリップシンクパフォーマンスを披露しているだけあり、その完成度+おもしろ要素のバランス具合も完璧。ゆりやんも時々変顔っぽい動きとかするんだけど、あくまで「完璧なパフォーマンス」に徹していて、結果的にこの動画のかっこよさと面白さに繋がっている。いわば「渡辺直美とのコラボによって引き出された魅力」とも言える。

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近とのコラボ「友近ゆりやんの時間」

一方、BS日テレでレギュラー放送されている「友近ゆりやんの時間」。ここでは友近とゆりやんが5分間の砂時計(トーク時間の目安)を前に自由なトークを繰り広げるのみ。井戸端トークのようなおしゃべりが続いたと思えば即興でコントが始まったり、モノマネの応酬が長時間続いたり、とにかく二人が自由でゆるい。友近のモノマネに気づき即座にスイッチを切り替える様が見られたり、友近×ゆりやんの化学反応を存分に楽しめる。

安室奈美恵の話

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ここで急に安室奈美恵の話を。2018年9月18日に惜しまれつつ引退した安室奈美恵。ニュースやワイドショーは軒並み「デビュー以来常に人気を誇ってきた安室奈美恵さん…」という取り上げ方をしていたけど、自分のような安室奈美恵ファンは少し違和感を抱いていた。実際、小室氏の手を離れてセルフプロデュースを始めた後の「Say the word」以降は売上が伸びず(それでも「小室時代最盛期に比べたら」という話だけど)ライブ規模も縮小していた時期が確かにあった。

安室奈美恵「SUITE CHIC」とその後

そんな最中の2003年に立ち上がったプロジェクトが「SUITE CHIC(スイート・シーク)」=通称「オシャレ組合」。音楽プロデューサーの今井了介とZEEBRAの「日本のジャネット・ジャクソンって誰だろう?」という雑談から生まれたというこのプロジェクトは、いわゆる『ポップアイコン』だった安室奈美恵としては異例のクリエイター揃い。ZEEBRAとの掛け合いあり、AIとの初コラボありで世間の「安室ちゃん」のイメージをとことん覆した(ただ、ベースには元々安室自身もR&B系統への興味があったことと、それを物にできるカリスマ性とを持ち合わせた結果の成功ともいえる)。

2003年当時のインタビュー記事はこちら
SUITE CHIC - TOWER RECORDS ONLINE

SUITE CHICとしての活動はアルバム1枚(+リミックスCD1枚)のみだったものの、その後の安室奈美恵個人でのCDリリースでもT.KURA・MICHICO夫妻、Nao'ymt、ダラス・オースティン等を楽曲プロデューサーに迎えるなど幅広い活動に。そして引退の2018年まで再びジワジワとファンを増やしていったように思う。

「パフォーマー」としての安室奈美恵

安室奈美恵自身による作詞/作曲の楽曲、というのはほとんど無い(Say the word, I WILLや、アルバム曲等いくつか作詞曲はある)。作詞家と話し合いを重ねて個人的な想いを込める…という楽曲もいくつかあるけれど、あくまで彼女は「パフォーマー」としての役割を全うするのに長けていたし、自身もそこをフィールドとしていた。他のプロクリエイターとタッグを組んで作品を作り、高レベルなパフォーマンスで表現しファンに送り出す…というスタイル。もちろん、これは本人にめちゃくちゃ卓越した表現力とか体力とかセンスとかその他諸々…がないと到底無理な話。雲の上のプロとプロとの対峙みたいなものだと思う。

2008年のベストアルバム発売時には、“最近やってきたものって、「最高のつくりもの」っていう気がする” “まさにベストなフィクションです”とコメントしていることからも、彼女自身が「楽曲の世界観をパフォーマーとして提供する」ということを念頭に活動していたことが伺える。

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料理されることで輝く存在、という位置づけ

ここでゆりやんの話に戻ると。大阪NSCを主席で卒業後に「NHK上方漫才コンテスト」優勝、「女芸人No.1決定戦 THE W」優勝など、ピン芸人としての快挙に暇がない。ただ、ひな壇芸人とかバラエティの賑やかし的な立ち位置で出ているときは少しやりづらそうだな…と(勝手に)思っていた。話を振られて突然自分のネタを始めちゃうとか、ずっと話しているうちにオチが見えなくなってしまう、とか。もしかしたら台本の流れでそのように決まっていたのかもしれないけど、「楽しいことを伸び伸びとやっている」という感じではなかったと思う。

けれども、渡辺直美と踊るゆりやんや、友近と軽妙な掛け合いを繰り広げるゆりやんを見ると「これはこの人にしかできない仕事だなぁ」と思わされる。ちなみに、最近では友近のコントライブにも出演しており、こちらでも軽快なキラキラしたゆりやんを見ることができる。

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時々ハマらないときも…

2019年、公開オーディション番組「アメリカズ・ゴット・タレント」(AGT)に過激な水着姿で出演したり、同年ミラノ・コレクションに着物を着崩した奇抜なファッションで登場したり、ゆりやんとしては世界に活躍の場を広げた年ではあった。

ただ、この2点について自分はあまり良く思っていない。AGTのパフォーマンスでいうと、これは世界的に広がっている「容姿や体型を笑い者にするのは絶対NG」という流れから大きく遅れていると思ったし(事実予選落ちだった)、ミラノについては何というか「品がない」と思ってしまった。着物の着崩しとか現代的にアレンジ!とかは全然良いんだけど、「そもそもゆりやん、本当に好きでやってる?」みたいな…。

(同じ事務所で比較されがちな)渡辺直美の場合は、それこそ日本でテレビに出始めた頃なんかは体型を自虐ネタにされていたこともあったけど、今はその点で笑いをとるわけでなく、あくまでパフォーマンスでの笑いとか魅力を追求しているように思う。「奇抜」と取られがちなファッションとかヘアメイクとかも、本人が好きでやってるんだろうなーという感じがあって好感が持てる。

ゆりやん、良い感じに料理されてほしい

こうしてみると、やっぱりゆりやんは頭の回転が早いし、渡辺直美とか友近みたいに相手とバチッとハマった瞬間にめちゃくちゃ輝く人なんだと思う。ここで挙げたのはたまたま2人とも芸人だけど、もしかしたら次は音楽クリエイターかもしれないし、映像作家かもしれないし、はたまた小説家とか服飾デザイナーとかかもしれない。でも何かガッチリハマったときに、また新しいこと見せてくれるんじゃないかとワクワクしてしまう。

外にいるプロとのタッグにより、本人のポテンシャルがめちゃくちゃ引き出されるのがゆりやんレトリィバァという芸人なんじゃないか、という勝手な考察でした。

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