田辺ひゃくいち

コピーライター。言葉で課題を解決する「一(ぼう)」代表。慶應大学環境情報学部卒業後、アダルト会社や某中国法人支社長など10年で10職以上を流転したのち、第52回宣伝会議賞グランプリを受賞。もうすこし生きてみることに。現在は企業の「言葉顧問」も務める。足立区生まれ足立区育ち。偽名。

とある東京のコピーライターの日常 #006

とある企業から「新卒採用のコンセプトとコピーを2週間でつくってほしい」とのご依頼が届き、結果としてお断りさせていただいた実話をフィクションかつシンプルに組みかえて、今後のために書いておく。

毎年、いろいろな外部のコピーライターに頼んでは採用コピーを変えてきたのだけれど、どれもしっくりこなくて困っている。どうせなら、ずっと長く使えるようなコピーがほしい。

そんなお話だったので、まず最初に「採用で

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とある東京のコピーライターの日常 #005

そろそろ、今年度が終わる。見切り発車で独立して、アクセルとブレーキを踏みまちがえたまま大阪から東京へ再び移り住んだ日々は、想像以上にタフだった。ひとくぎりつくと思うと正直、すこしホッとしている。

今朝から仕事で小田原へやってきている。半年前の自分には今の自分をまったく想像できなかった。つまり、半年後の自分も今の自分にはまったく想像できないのだろう。ただ、今日はすこしだけゆっくりと、今年度を振り

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とある東京のコピーライターの日常 #004

鼻から音楽が聴けたらイヤホンを鼻にさすだけで花粉も防げて一石二鳥なのに。そんな意味不明な妄想を考えはじめるほどに強烈な花粉症を抱えてはいるのだけれど、最近、仕事まわりの方とお会いするときは「散歩でもしませんか」と外にお誘いすることが増えた。

鼻汁をだらだら垂らしつつも散歩をしながら話すと、考えがまとまりやすい気がするからだ。お互いの健康にもいいし、ムダな飲食費だってかからない。おなじ方向に歩きな

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とある東京のコピーライターの日常 #003

このまえに書いた「無料言葉相談」へのお問い合わせが、ちらほら届きはじめた。案件のご相談だけではなく、「コピーライターになりたい」という就職や転職相談のようなものも目立つ。

どうやったらコピーライターになれるのか。そう聞いてくれた方には、10年で10職以上を流転したのち、たまたま人生に流されて行き着いただけのわたしなど参考になれないことを正直にお伝えさせていただいた。

なかには「コピーライターに

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とある東京のコピーライターの日常 #002

それにしても暇である。

エアポケットに入ってしまったかのようで、独立したばかりのわたしとしてはこのままどこまでも落ちてしまうのではないかとの不安がよぎり、新宿のルノアールで手元にあるプロジェクトを書きだしてみる。

企業理念の執筆、企業サイトのライティング、企業メディアの記事制作、新サービスのコンセプト設計とキャッチコピー、新商品のネーミング、新ブランドのコンセプトブックとブランドサイトのライテ

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とある東京のコピーライターの日常 #001

ひさしぶりに会った人から「最近、ちゃんと働いているの?」だなんて聞かれちゃったよ。

そんなことを笑いながら妻に告げたら「え、最近、ちゃんと働いているの?」と真顔で聞かれてしまった。

いちばん身近な存在であるはずの妻にまで疑われるなんて。ましてや、まわりからはどんな風に見えているのだろう。

たしかに、コピーライターって働いている姿が見えづらい仕事なのかもしれない。だから、遊んでいるだなんて思わ

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