とある東京のコピーライターの日常 #002

それにしても暇である。

エアポケットに入ってしまったかのようで、独立したばかりのわたしとしてはこのままどこまでも落ちてしまうのではないかとの不安がよぎり、新宿のルノアールで手元にあるプロジェクトを書きだしてみる。

企業理念の執筆、企業サイトのライティング、企業メディアの記事制作、新サービスのコンセプト設計とキャッチコピー、新商品のネーミング、新ブランドのコンセプトブックとブランドサイトのライティング、それに「言葉顧問」として契約している企業の業務。

おかしい。ひとりで抱えるには少なくないはずだ。ただ、どの案件も3月になったとたん、2月までが嘘のように凪。自分だけ2月29日と30日を過ごしているんじゃないかとさえ思えてくる。下手をすれば31日も。

仕事以外の個人的な作品づくりなんかを進めるチャンスとしてはありがたいけれど、あっというまに地面が目のまえに迫ってくるような気がして、怪しげなビジネスの勧誘がくりひろげられる隣のテーブルの話を盗み聞きしながら、コピーライターとしての自分について考えを巡らせてみる。

先日、とある中小企業の経営者に「なにをされているんですか?」と聞かれ、「コピーライターです」と答えた。すると、彼は「ほう」となんとも曖昧な返事をしながら「どんなことをされているんですか?」と眉間にしわを寄せた。

わたしが戸惑いながらも「いまは企業理念を書く仕事が多いですね」と返すと、彼はようやく「ああ、企業理念を書いているんですか!」と顔を明るくし、「実はうちも困っていまして」と話が進むことになった。

このやりとりに、わたしは衝撃を受けた。

彼はコピーライターが企業理念をつくるだなんて知らなかったのである。そして、そういった人たちは、きっと全国にたくさんいて、彼らがどんなに企業理念づくりで困っていたとしても、「コピーライター」を名乗るわたしがお手伝いすることはできないわけだ。

コピーライターなんて多くの人たちには知られていない。その前提で考えなければ、莫大なる出会いを見逃してしまう。これまで、なんて小さな枠のなかで物事を考えていたのだろうか。愕然とした。

なにかいい方法はないだろうか。

隣のテーブルで若い男女が、怪しげなスーツの男が言葉巧みに広げるパンフレットを見ながら「へえ、そんなこともできるんですね!」と目を輝かせているのを横目に、「あ、これか」と思った。

べつに怪しげなマルチ商法をやりたいわけではなくて、「へえ、コピーライターってそんなこともできるんですね」と知ってもらえる機会をもっと増やしたいと感じたのである。

言葉まわりで悩んでいる人たちが、もっと気軽にコピーライターへ相談できる場があったらいいのに。たとえば、無料の法律相談のように。

というわけで、手元のプロジェクトの静けさが続いてくれそうな3月に「無料言葉相談」を実験的にやってみようと思う。

冒頭に羅列した業務のほか、社内向けの行動指針やマニュアル、採用メッセージ、ニュースレターやメールマガジンの制作、はたまた自分自身のキャッチコピーをつくりたい、などなど。わたしが思いつくようなことだけではなく、まったく予想だにしなかった「言葉まわりのお悩み」と出会えたら嬉しい。企業や個人に限らず。

ちなみに、英語や中国語の文言もネイティブレベルで対応できる体制が整いそうなので、訪日外国人観光客向けに日本語だけではなく英語や中国語の言葉も用意したいなんてお話も大歓迎である。

こんなことってできるんですか。

そんな気軽さでご連絡をいただければ、こちらから出向き、僭越ながらコピーライターとして1時間ほどお答えさせていただこうと思う。オンラインやチャットベースでも構わないので、東京に限らず、ぜひ。

新しい春の出会いを楽しみにお待ちしております。


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