一番最初の推理小説 #日記

ってなんなんだろうとふと思った。ほんとうに最初に書かれた推理小説には新鮮な驚きと喜びがあったはずだ。アリバイという概念くらいは当然あったんだろうか? 巧妙なトリックを仕掛ける犯人とそれを見破る探偵という構図が変わらずあったのか? 新しいジャンルの創造というのはとてつもないことで、きっと最初はある種の気まずさみたいなものがあったんじゃないかと思う。作者にも読者にも。新たな世界との遭遇を果たしたときの、これは「正しい」のか?という感覚。不思議な居心地の悪さ。

さっきググってみたら、一番最初の推理小説はポーの「モルグ街の殺人」らしい。小さい頃に読んだ気もするが、なんにも覚えていない。というわけで今から読んでみようと思う。なにせ里帰りしていて暇なのだ。せっかくなので読む前に予想を書いてみる。まあタイトルにもあるし、流石に殺人は起こるだろう。その死には不可解な点があるはずだ。窓の鍵のところに釣り糸を…的なトリックは出てこなさそうな気がする。最初の推理小説にしてはすこし小賢しすぎる感じがある。わからんけどもうちょっとこう、死体になってたのは実は別の人だった的な、でかいトリックが展開される気がする。

では読みます。ちなみにkindleアンリミテッドで無料だった。ラッキー。

読み終わりました。けっこう短かったです。感想としては、あんまり面白くなかったというのが正直なところですね、文化というのはやはりどんどん洗練されていくんだなあと思いました。ちなみに予想は割と当たっていて、思いっきりネタバレしますが、犯人は人間じゃなくてオランウータンだったというオチだった。一番最初にこの小説を読んだ人たちはみんな感動したんだろうな。しかし2022年からすると流石に新鮮な喜びはまったくなく、なるほどね…という感じだった。

最初に誰かが思いついた新たな表現のフレームをみんなが踏襲し、変化させ、壊していく。その繰り返しで塔は巨大になっていく。その頂点に「文化」の二文字を掲げた塔。そういう意味で、自分の作る音楽たちもこの巨大すぎる塔の一部になれていればとても嬉しい。未来の人々が聴いて「新鮮味がなさすぎる」とか言ってくれれば何よりだと思う。

それではまた。

寿司が食べてえぜ