先日、子どもの学習会でお手伝いをしてることについてシェアハウス内で話していたときのこと。
「自分ができん子だったことがないから、なぜできないのか、どこでつまづいているのか、わからん」
と、本音をポロリ。
　高校に入るまで、勉強で苦労したことがない。まじめさの欠片もなく、夏休みの宿題は一度も提出したことがなく、毎日の宿題もしないことがほとんどで、それでも学年で20～40番くらいの成績だった。
　どうしても解き方がわからない図形の問題があったのだが、入試直前、すこーんと解決。しかもその問題が高校入試でも出題され、県内最難関の高校に合格できた。（で、高校入って520人中500番という落ちこぼれになった）

　今の子たちは問題集の回答も渡されていて、自分で問題を解き、自分で丸付けをし、それを提出するそう。それも「？」なのだが、そこは置いておく。
　問題集を広げると、最初から
「ねーねー、これわかる？」
と隣の席の子に答えを聞く。おしえてもらった答えをそのまま書く。教科書をめくって答えを探し、書く。で、丸付けをして、間違えると赤で答えを書き、問題集をしまう。
　ええ！？　赤で書いたら覚えられると？　人の答えを書いて、それに丸付けをするの？
　あかんやろ、それじゃ、なにも身につかないよ！

　中学3年生の子たち、ふたりで問題出し合いっこするのはいいけれど、
「答えは、公正取り締まり委員会だよ」
「あー、公正取り締まり委員会やったの」
って言ってる。
　問題文もつっかえつっかえだったり、漢字が読めなかったり。

　シェアハウス内で話していたとき、
「英語と国語ならおしえられるけど、さすがに中3の科学や数学は厳しい」
と言ったら、東大卒で家庭教師経験のある家主に
「いや、英語と国語は誰でもできるから」
と言われた。そうだよね、だったら私におしえられるものはないなーと思った。
　でも。
　本当に国語、できるんだろうか？
　問題を解くとき、最大のヒントは問題文だ。問題文をよく読めば、なにを答えればいいのかがわかる。算数の文章題も、国語力がない子はできないといわれている。
　でもまさか、社会の問題で国語力が問われるとは思っていなかった。

問題：日本において、～～～～である憲法とはなにか
答え：ワイマール憲法

　まじか。「日本において」と書かれているのに「ワイマール」って。

問題：日本アルプスの東側にある大きな溝をなんというか
答え：フィヨルド、、リアス式海岸、、

　まじか。日本アルプスって言ってるのに。

　たぶんだけど、問題文をきちんと読めてないのだと思う。答えがわからない以前の問題。というか、もしかしたら授業や教科書も、きちんと読めてない、聞けてないのかもしれない。
　国語力以前に、文章を読んだり、書いたりする力がないのではないか。「英語と国語は誰でもできる」わけじゃない気がする。

　五教科ができる、できないは受験以外で大して問われない。でも、文章を読む、書くは生きる上で必要な能力。そこが足りていないと、この先、日常生活においても困ることが出てくる。
　どうにかしないと！　どうしたらいい？
　私は文章の読み方、書き方をならったことはない。授業でやったかもしれないけれど、それよりも幼い頃から本を本でいたことの方が大きい。いわさきちひろや斎藤隆介の絵本から世界児童文学全集、週刊女性のカーセックス特集、森村誠一、北杜夫、星新一、松本清張、沢木耕太郎、赤川次郎などなど、手に入るものは片っ端から読んだ。それが私の国語力の基礎になっている。

　子どもの頃から大人の本を読むことも多く、小難しい文章を読みこなせるまで何度も何度も読み返した。
　もしかしたら、学習会に来ているあの子たちは本を読まないのだろうか。ネットの文章しか読まないのかもしれない。ネットの文章は読まなくてもわかるものになっている。そういう文章を書くのが私の仕事でもある。
　web ライティングで書くような文章は、読まなくてもざっと見るだけでわkるように書く。読む必要なない。というか、読む価値がないと言い切ってもいいかもしれない。
　そんな文章しか見ていなければ、文章を”読む”ことができないのも当然だ。読んでいないのだから。文章というものがどういうものか、わからないと思う。
　読めないということは、書けないということ。文字の表記ができたとしても、それは文章とはいえない。読んだ人に言いたいことが伝わらないものは、文章ではない。（うわ、自分の首をしめてる…）

　学習会に来ている子たちに、私はなにもできない。根本を解決することも、手助けすることもできない。家庭教師すらしたことのない私にできることはない。
　ただ、
「問題文、ちゃんと読んでみよう。ここに『日本で』って書いてあるよ」
と言ってみたり、
「公正”取引”委員会だよ」
と言ってみたりするだけ。
　私が学習会に参加する意味はあるのだろうか。