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フリーランスになって初めての……

夜10時過ぎ。駅を降りて5分くらい歩いたところで、背後から声をかけられる。

「すみません、すみません」

若い男の声。こんな時間に何の勧誘だろうと思い、しょうがなく振り返ると、警察官だった。それも二人。

「何かあったんですか?」と思わずこちらから聞いてしまった。
「事件でもあったんですか?」
「いいえ、何も」
「じゃあどうしたんですか?」
「職務質問です」

職務質問!?

「私にですか?」
「はい、さっき駅前で反転したので」
「反転?」
「パトカーをみて、反対方向に歩き出したので」
「はあ?」

思い出してみると、駅を出てバス停にいったが、バスはなかった。家に歩くコースは東西二通りあるので、駅の方をみてどうしようかなと思いながら、西側のコースで帰ることにしたのだった。

「バス停で時刻表をみて、もうバスが終わっていたので歩き出しただけですけど」
「それは見ていませんでした」

それでも二人は動かなかった。

「まだ何か?」
「身分証明書を見せてもらえませんか?」

学生時代、バイトが終わって夜中に自転車で都心を走ると、必ず呼び止められて、防犯登録の番号を照会された。東京は自転車の盗難も多いので、それはよく分かる。
記者時代、夜回りをしていて、職質されたことも多々ある。住宅地で待機しているのだから、怪しいと思われても仕方がない。

しかし歩いていて職務質問されたのは初めてだった。
フリーランスになったからなのか?
次の機会を待ちたい。

(2016年7月23日)

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