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「社畜論争」への違和感/フリーランス=幸せ?

会社員を「社畜」と呼んでみたり、フリーランスを「負け組」と呼んでみたり、、、最近、会社員とフリーランスとの対立をあおるような意見の応酬をネット上で見るたびに違和感をもっています。

私はフリーランスと企業とをマッチングする会社を経営していて、フリーランス協会という一般社団法人でフリーランス支援の活動もしています。

たしかに、調査をすると「フリーランスの幸福度や満足度は会社員(あるいは一般的な日本人に比べて)高い」という結果が複数出ています。

たとえば、2年前に幸福学がご専門の慶応義塾大学の前野隆司教授と一緒に、フリーランスの幸福度について調べたことがあります。このときは調査したフリーランスの人生満足度の平均値が25.9点と、日本人の平均値18.9点を上回る高いスコアが示されました。(「活躍フリーランスの幸せ度実態調査」より)

また、フリーランス協会でフリーランスと会社員およそ1000人ずつの母集団で実施した比較調査でも、会社員よりフリーランスの方が、様々な指標で見ても自らの働き方に対して満足度を高く感じる傾向が見られました。(フリーランス白書2018より)

一方で大手人材派遣会社が昨日発表したワークライフバランスに関するアンケート調査によると、働き方の形態別ではフリーランスが最下位の満足度でした。

何が言いたいかというと、「フリーランス」とひとことで言っても職種もスキルレベルも驚くほど多様化していて、一概にフリーランスはこうだ!と断定できないということなんです。(「会社員」と言っても、ものすごくいろんなタイプの方がいるのと同じように)ですから、こうしたフリーランスに関するアンケートもその母集団においてはそうであったという見方でとらえることが重要だと思っています。「フリーランスのほうが会社員に比べて幸福度や満足度が高く出ているケースがある」ことは事実ですが、「脱会社員してフリーランスになれば幸せだ」ということはまったく別物だというです。

ただ、人材紹介という仕事柄、たくさんの方々のキャリアを見てきた結果、ひとつ言えることがあるとすると、その人の幸福度は「自己決定」が左右しているということですね。会社員だからダメとか、フリーランスだから幸せだということではなくて。意思をもってその働き方を選択しているか、そこに納得感があるかが重要ということです。

実際、最初にご紹介した慶応大学の前野教授と企画したアンケートで、回答したフリーランスの幸福度に最も強く影響していたのは、報酬や働く時間の多少ではなく、「今の自分がなりたかった自分かどうか」という軸でした。(報酬がいくら高くてもアンハッピーなフリーランスの方もいます。その逆のパターンもあります)

この「自己決定」については、昨年夏に神戸大学と同志社大学が国内2万人に対するアンケート調査の結果、所得・学歴よりも「自己決定」が幸福感に強い影響を与えていることを明らかにしていて、やはりそうなんだなぁと妙に納得しました。

加えて、今はフリーランスと会社員の「ボーダーレス化」が進んでいます。会社員からフリーランスになる人が増えている一方で、フリーランスを数年経験して会社員にまた戻る人も。最近の副業・兼業解禁の流れで、会社員をしながらフリーランスでも仕事を受けている人も増えています。

ですから、会社員かVSフリーランスか――という対立軸でとらえるのではなくて、ライフステージの変化にあわせて自分の意思でそのときの自分にあったぴったりの働き方を選んでいったらいいんだと思いますし、そのために必要な正しい情報(やっぱりそれぞれの働き方にメリット・デメリットあるのは事実なので)を私としてはもっとわかりやすく発信していかないといけないなと改めて思っています。

#日記 #コラム #ライフスタイル #ワークスタイル #フリーランス #起業 #幸せ #幸福論  


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