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『ご縁がある花を探しに来て欲しい』MABATAKI美雨 デザイナー“藤本宏樹”さん “此原絵梨”さん

“内なる花を身に纏う”をコンセプトに、花を宿した靴とアクセサリーを展開している『MABATAKI美雨』のデザイナー 藤本 宏樹さん、此原 絵梨さんにお話を伺いました。

プロフィール
藤本 宏樹さん(写真右)
出身地:大阪府 

此原 絵梨さん(写真左)
出身地:
岐阜県

活動地域:蔵前
活動経歴:2013年 花を宿した靴とアクセサリーのブランド、MABATAKI美雨を立ち上げ、2017年12月より蔵前にてアトリエ兼ショップをopen。

『長く使って欲しい』の想いを込めて・・

Q. 現在どのような活動指針を持って、どのような活動をしていますか?
藤本宏樹さん(以下、藤本 敬称略)
:花を宿した靴、アクセサリー、ドライフラワーを扱っています。地域の職人さんと協力しながら、オリジナルのプロダクトをお客さんにお渡しています。靴は、色んなパーツが組み重なるので、熟練した技術のある職人さんたちの力を借りています。

此原絵梨さん(以下、此原 敬称略):靴の底裏を作るのにも、熟練の職人さんたちの細やかな技術が必要です。職人さんたちは、仕事が細やかで、新しいものに挑戦する力もあります。みんなで作りながらやっていると、発見するデザインとかもあったりして面白いんですね。

藤本
:また、利益の一部を犬や猫の保護に寄付をしています。小さい頃に飼っていたこともあり、犬や猫の殺処分に心を痛め、何かできないかと思って始めました。


記者:今の活動で、大切にしている方針は何ですか?
藤本:
なるべくロスを出さないことと、しっかり想いを込めるということですね。商品には、自分たちや職人さんたち、お花の力が籠るんですね。商品を販売しているというよりも、お客様に合うものをマッチングしているような感じで、ご縁がある花と出会うきっかけを作っているような感覚でいます。

此原:“長く使って欲しい”という想いがあるので、無理やり買ってもらうとか売上重視にはしないように心がけています。お客様が帰ってからもう一度箱を開いた時に、『良かった』と思えるようにお届けすることを意識しています。

記者:長く使って欲しいという想いが、素敵ですね!
藤本:足の大きさが、左右で違う方もいらっしゃるんですね。靴の試着だけでは分からなくて、一日履いて、足が痛くなってしまうということも聞きます。その場合は、靴を持ってきてもらって、調整させていただくこともあります。見た目も、履き心地も納得していただきたいので、メンンテナンスも修理もお受けしているんです。こうやって、お客さんと顔の見える関係を築けるのも、楽しかったりしますね!

お花をテーマにした背景とは・・

記者:今の活動を始めたきっかけは何ですか?
藤本:もともと私も、此原も、以前は大量生産の靴の仕事をしていました。海外の安い賃金で大量に作って、安く売って、捨てるという繰り返しでした。

此原:大量に作ると、大量にゴミが出るし、修理も海外だと出来ないんですね。だから、使い捨てのものを作るというサイクルでした。また、流行を追って、自分自身のスタイルというよりは、みんな同じであるという雰囲気で、同じようにしていると安心というプロダクトを提案することが多かったんです。

だから、一つのものを繰り返し使う習慣を捨てていくような仕事でした。私も藤本も、そこに疑問を感じていました。もっと社会と繋がりながら、一人ひとりの「可愛い」とか、心に何か咲かせられることをやりたい。長く使うことができて、個性を引出せるような商品を展開していきたい。そんな意志が芽生えたことがきっかけに始めることになりました。

藤本:以前の仕事では、大量に捨てられる現場を見てきました。だから、ブランドを立ち上げる時に、何だったら捨てにくいのかを2人で真剣に考えました。お花を宿すと愛着が湧いて捨てにくい。だから、お花をテーマにすることに決めました。物を大切にするきっかけ、物に対する愛着を感じていただくために、お花をプロダクトとして使っています。

靴”に魅了された背景とは・・

記者:以前は、靴の大量生産の仕事をしていたということですが、なぜ靴だったのですか?
藤本:もともと花の絵を描いていて、それをもっと身近なものでやりたいと考えていました。それから就職しようと思って、面接で絵を描いていることを伝えたのですが、50件くらい落ちてしまったんです。たまたま大阪の靴の会社が拾ってくれました。そこで、面白いものとか、良い物をつくりたいという意地が出てきたのがあるかもしれないですね(笑)

此原:可愛いものを身に付けた時の女性の輝きが凄いと思ったことから、まずファッションに興味をもちました。好きなファッションを身に付けて、喜んで、友達に会ったら、友達にもその喜びが伝わったりもします。だから、ファッションの力って凄いなと感じ、ファッションの業界に入りたいと思うようになりました。

その時は日本の大学にいたのですが、休学してロンドンの大学へ行き、ァッションマーケティングを学びました。そこでは当たり前のようにエコとか、エシカルが基盤にありました。でも、日本では、そのような意識がなくて、エコやエシカルを反映できる企画がしたいと思いました。1件だけ、すぐに企画を募集している会社がありました。そこが靴の会社だったので、はじめは靴から行こうと思いました。洋服とは違う、足元を変えて、ガラッと変える靴の力に魅了されて、はまってしまいました。

子どものころの夢

記者:藤本さんは、絵に興味をもつ背景には、何があったのでしょうか?
藤本:
10代のころに一度入院をしたことがありました。そこで、看護師さんやヘルパーさんたちに心を支えていただいたんですね。入院中に、弱った時に心を支えたり、元気にしたりする仕事を見たんです。

それから、自分も心のケアがやりたいと思うようになりました。看護師さんを目指そうと思ったこともありましたが、親に向かないんじゃないかと言われたりもして・・・。じゃあ自分は何なら心のケアができるのか考えている中で、自分の好きな絵でやっていこうと思うようになりました。

あと、今思えば高校受験の失敗もありますね。中学生の頃は、優等生だったんです。進学校に進もうと思った時に、入試で2つ落ちる経験をしました。周りからも勉強していたのに落ちたと言われたり、当時はめったに落ちる人もいなかったりしたので、当時は傷ついたんでしょうね。そこで、自分は何がやりたいんだろう?と考えました。

親父が中卒で、学歴社会で苦労したので、良い大学に行く方がいいと言ってました。当時の私は、自分の価値観をもっていなかったので、親父の価値観に乗っていたのですが、受験に失敗したことで、何をやりたいのかを考えるようになりました。その中で、自分が好きなことは何かと考えた時に、“絵が好きだった”と出てきたことも背景にありますね。

記者:此原さんは、ファッションに興味をもつ背景には、何があったのでしょうか?
此原
:幼少期は、お金がない家庭環境で過ごしていました。周りの子どもは自転車を持っていましたが、自分は買ってもらえず走っていました。そんな中でも、父は自然環境に興味があって、環境問題に取り組むために、お金を貯めて、中国に植林活動に行っていました。私は子どもながらに、父の姿を尊敬していましたし、父からも自然環境の話をよく聞かされて育ちました。

当時、「ナンとジョー先生」という孤児院のアニメを見ていました。自分の力で幸せにできるなら・・と子どもながらに思っていました。だから、もともとは孤児院の先生になるのがずっと夢でした。自分が好きなことは、絵を描くことで、絵は友達という感じでした。また、貧しかったこともあり、何でも自分で作る環境で、人形も自分で作っていました。大人になると「可愛い」というものに力があることを知りました。夢だった孤児院の先生も直接的に人に関われるので素敵だけれど、間接的に何か想いを届けられるものがあるのではないかと思うようになりました。

記者:どのような夢をお持ちですか?
藤本:
もっとエコにプロダクトしたいです。今は革を使用していて、それを革として見てしまうけど、もともと生き物なので・・。それを使うことが正しいのかどうか、葛藤があります。100年後には、エコは当たり前になっていると思います。だから、エコなものづくりはもちろん、今よりもさらに社会貢献に踏み込んだ状態を作りたいです。

此原:私も同じですね。誰が見ても、エコであり、エシカルなものを作っていきたいです。また個人的な夢ですが、私の父は昔ながらの製法でお米を作っています。そういった農家は減ってきているので貴重なんですね。食品の分野なのでどこまでできるかわからないけれど、農家の仕事を尊重しているので巻き込めたらと思っています。


Q.最後に読者の方にメッセージをお願いします。
藤本さん:
自分とご縁のあるお花を探しに来てください!

此原さん:お花のものを身に付けた時に、人は笑顔になったり変わっていきます。「可愛い」と思うことは強い力を持っているので、自分が笑顔になったり変わっていくことで、周りが変わっていくことを知っていただきたいです。

記者:藤本さん、此原さん、今日は本当にありがとうございました。

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藤本宏樹さん、此原絵梨さんについての詳細情報についてはこちら
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編集後記
今回インタビューの記者を担当した田中、見並です。もともと大量生産への疑問を持ったところから、今のご活動に至ったという話を聞きました。お二人からは、一貫した“信念”のようなものが伝わってきました。社会に問題意識をもっていても、一歩踏み出せない、なかなか思うようにチームプレイが築けない人もが多いのではないでしょうか。
そのような中で、同じビジョンを持って協力し合っているお二人の存在はとても貴重で、今からの時代を生きるモデルだと思いました。これからも応援したいです。ありがとうございました!

この記事はリライズ・ニュースマガジン”美しい時代を創る人達”にも掲載されています。